ダーク・ファンタジー小説
- 酔拳 ( No.128 )
- 日時: 2024/02/26 20:17
- 名前: ミートスパゲティ (ID: oKgfAMd9)
「死んどけ!」
俺はそう藤岡に対し、拳を振り下ろす。
「あんたの事は知ってるよ。関西連合副総長、坂本綾也。」
そう俺の名前を言いながら俺の攻撃を軽く躱す。
「へぇ。そりゃ光栄だね!」
俺はすぐさま次の攻撃に繋げるが、それも簡単に躱されてしまう。
(何だ?こいつ…。攻撃がかすりもしねぇ…。)
俺はそう思いながらも攻撃の手を緩めない。
だが、どんな攻撃も奴には通じない。
「坂本綾也。主に拳を用いた近距離戦を得意とする。よくする連携は右ミドル、左ボディ、左ハイ。」
そう奴は俺がその連携を出す直前に攻撃全てを言い当てやがった。
そして奴は落ち葉のように、攻撃をひらりと躱す。
(何なんだよ…こいつ!)
俺は内心焦っていた。
こんな奴、今まで初めてだ。
「次はこっちのターンだ。」
そう奴はドスを構える。
俺はそれを躱そうと移動するが、奴は俺と向きと全く同じ方向に移動し、俺に攻撃を当てる。
「ッチ!」
俺は舌打ちをしバックステップを踏もうとする。
「それも計算済みだ。」
奴は俺がすると予めわかっていたかのように、俺の足を踏み動きを止める。
そして再びドスで腹を抉った。
「ぐっ…!」
本物程では無いが、痛さはかなりのもの。
俺は思わず反応してしまう。
「大丈夫かい?」
そう奴は俺に言ってくるが、到底心配しているとは思えない。
「離れろっ!」
俺はそう叫びながら右のポケットからチャカを取り出そうとするが、先手を打たれて右手をやられる。
(こいつ…どこまで計算済みなんだよ!)
このままではまずい。
やる事全てを止められる。
俺はどうしようかと考える。
「こないならこっちからだ。」
だが、奴がそれを許すはずもなく俺に攻撃を仕掛けてくる。
ドスを振り上げ肩に刺してこようとする。
俺は何とか左手で庇おうとするが次の瞬間、左足に激しい痛みが走る。
「くっ…!」
奴は俺の左足にチャカを突きつけていた。
そしてドスが振り下げられるその時。
「ウガッ!」
狂乱化した龍心が藤岡の方に吹っ飛んでくる。
「何だ!?」
藤岡は龍心に当たり吹き飛ばされる。
「ナイスだ!」
俺はそう言いチャカを構える。
「そうはさせない!」
藤岡はそれを阻止しようと立ち上がり、驚くほど的確な射撃で俺の手を撃ち抜こうとするが、俺はわざとチャカから手を離す。
「予測できないようなことをしねぇとな。」
俺はそう言い、片足を高く上げる。
「何だその構えは。おちょくっているのか?」
そう藤岡が不機嫌そうに言う。
「大真面目さ。さぁ、来いよ。」
俺はあえて奴をおちょくり、攻撃を仕掛けさせようとする。
「貴様っ…!」
そう奴は案の定、ドスを構え近づいて来た。
そしてドスを振り上げ、俺に刺そうとした瞬間。
俺は全身の力を抜き、そのまま倒れそうになる。
「死ね!」
体制を崩した俺に奴はドスを振り下ろす。
次の瞬間、俺は上げていた足を地面につけ、もう一方の足で奴の顔を蹴り上げる。
「ぐはっ…!」
アッパーと同じ原理だ。
俺はそのままその足で奴を蹴り飛ばす。
「クソッ!」
奴はすぐに立ち上がり、チャカで反撃してくる。
だが、俺はそれをひらりと躱し、奴に急接近する。
「くっ!」
奴は腹に力を入れる。
俺はそのまま奴の腹に突きを入れるフリをして寸止めをした。
「へ?」
奴は何も起こらなかったことに驚き力を抜く。
その瞬間俺は突きを入れた。
「ガハッ!」
奴は唾を吐き出しその場に倒れ込んだ。
そして俺は奴との戦いに勝利した。
ちなみに俺が使ったのは酔拳だ。
やはりドスとチャカだけではやっていけないということで何かしら武術を習得しようとなったのだ。
俺だけではなく、レオや智も他の武術だが習得している。
(さて、拓海と龍心は…。)
俺はそう思い2人の方に振り向くと、驚きの光景が待っていた。