ダーク・ファンタジー小説
- 拘束された2人 ( No.136 )
- 日時: 2024/03/12 22:55
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
「2人共無事か…っていねぇ!?」
俺は2人の安否を確認しようと2人が戦闘していた場所を見てみるが、そこには誰もいない。
辺りを見渡してみてもやはり見当たらない。
「作戦は成功したみたいだな…。」
そう気絶していたはずの藤岡が言う。
「作戦ってどういうことだよ!」
俺は奴の胸ぐらを掴み、そう聞く。
「へっ…。見てたらわかるさ…。」
奴はそう弱々しく言う。
「拓海!龍心!」
俺は大声で2人の名前を呼びながら辺りを探し回るが、返事もなく、見つからない。
「クッソ…どこにいんだよ…。」
俺は舌打ちをする。
その直後だった。
「全員止まれ!」
そう大地が揺れる程の大声が聞こえる。
「前田拓海と永瀬龍心は俺達が拘束している!こいつらが殺されたくなければ今すぐ悪英雄は降伏しろ!」
そう山下が叫んだ。
その隣には高松がいる。
「あの野郎…!」
俺は悪態をつく。
奴らの言う通り拓海と龍心は、2人の手によって拘束されていた。
拓海は必死にもがいているが問題は龍心だ。
狂乱化が終わったようで眠っている。
「おい!モタモタするな!早く降伏しろ!」
高松はそう声を上げる。
倉庫内が一気にざわめき始める。
そんな中、俺は1人考え続けていた。
「どうすれば助けれる…。」
降伏するわけにはいかない。
かと言っても早く何か策を立てないと2人が危ない。
「何も思いつかねぇ…!」
俺1人で八苦座のトップ1とトップ3から2人を助ける事なんてほぼ不可能だ。
もし、ここにレオや智、遥輝がいたら何か違ったかもしれないが、3人共行方が掴めない。
「取り敢えず電話かけてみるか。」
急いでポケットからスマホを取り出しレオに電話をかける。
『もしもし!何だ?」
レオはすぐに電話に応答した。
「今どこにいる?」
そう俺は単刀直入に聞く。
『どこって…綾也と一緒に倉庫の中に入っただろ。』
「けど、こんな狭い倉庫の中で会わないなんてことあるか?」
『確かに…。』
「何か目印みたいなもんあるか?」
『目印って言われても…。あるとすれば倉庫の上の方に「2」って書かれてるくらいだ。」
俺はそう言われ天井を上の方を見る。
するとそこには「1」と書かれてあった。
「2…?ありがとう!一旦切るわ。」
『おう。』
そう言いレオとの通話を終える。
次に智と遥輝にかけてみる。
すると2人の所には「3」と書かれてるようだ。
何故見えている数字が違うのか。
その謎が解ければ、大きなヒントになると思った。
(もしかして…。)
俺はその瞬間1つの考えが脳裏を過る。
その考えから数字の謎も解ける。
俺はもう一度山下と高松が立っている場所を確認してみる。
2人が立っているのは倉庫の一番奥だが、後ろに心做しか奥に続いているような気がした。
(やっぱり…!)
恐らくこの考えであっている筈だ。
「今から5分以内に降伏するか決めねぇとこいつらマジで殺すぞ!」
そう高松が急かしてくる。
時間がない。
俺は急いでもう一度3人に電話をかける。
「さぁ、形勢逆転だ。」