ダーク・ファンタジー小説

敗北…? ( No.23 )
日時: 2024/05/13 23:21
名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

「あいつらだな。」
学校の前に群がっている集団がある。
おそらくあれが呼び出してきたやつらなのだろう。
ざっと数えただけでも50人は超えているだろう。
まともに戦って勝てるとは思えない。
だが、一つ不自然なことがある。
隊服がバラバラなのだ。
「別のチーム同士で喧嘩してるんですかねぇ?」
宗樹が耳元でそうこそっと言う。
「いや、もしかしたら連…」
「やっと来たかぁ!」
龍心が何かを言おうとしていたのを誰かがさえぎる。
それは集団の中の一人だった。
そいつは一段と目立つ格好をしていて真赤のコートのようなものを着ている。
「見つかったか?」
陽汰がそう後ろから言う。
俺は黙ったまま頷いた。
あの男が言ったせいで全員がこちらに気づいてしまった。
「そいつらをれ!」
そうその男は叫んだ。
その声と同時に全員こちらに向かって一斉にかかってくる。
「オラッ!」
隣では荒が一人を殴り飛ばしている。
「死ね。」
そう龍心はめんどくさそうにかかって来た相手を蹴り飛ばしている。
「おらあぁぁ!」
一人が殴りかかってきたがあっけないほど簡単に倒せた。
後ろでは他にも淳平達も真剣な顔をして戦っている。
「「ヒャッハー!」」
その中で楽しそうにしているやつが二人だけいた。
宗樹と宗四郎である。
「死ね死ね死ね死ね!」
宗四郎はそう笑顔で暴言を撒き散らしながら尋常じゃないスピードで相手を殴り飛ばしていく。
「雑魚が。」
とにかく殴り続ける宗四郎とは反対に宗樹は一人一人を確実に倒していった。
「あいつらバカだろ。」
蓮が呆れたようにそう言った。
「こいつらいくらやってもキリがねぇ!」
陽汰がそう殴りながら言う。
確かにさっきから殴っても殴っても新しいやつが来るため終わりそうにない。
「一回引くぞ!」
龍心がそう大声で叫ぶ。
「「「おぉ!」」」
全員がそう叫び返した。
「ッチ!」
宗四郎も不満そうにしながらも逃げ出す。
「追いかけろ!」
そう相手も命令したがかなり距離があるためそうすぐには追いつかれないはずだ。
「曲がるぞ。」
そう龍心が言い建物の裏に身を潜める。
「ッチ、どこ行きやがった…。」
まだ近くではあいつらの声が聞こえる。
だが、足音が遠ざかっていくため他の場所を探すことにしたのだろう。
「ふぅ…」
そう淳平が一息つく。
「何で逃げたんだよ。」
宗四郎はまだ不満そうにしている。
「あのまま戦っててもキリがねぇよ。」
龍心は汗を拭きながらそう言った。
「これからどうしやしょうかねぇ…。」
宗樹がそう考え込む。
宗樹が言う通り、まだ周りを囲まれているためむやみには動けない。
「どうするんだ。参謀総長。」
蓮がそう龍心に声をかける。
龍心は何も言わないまま頬杖をついて何かを考えている。
「あ!」
「「「!?」」」
誰かが横で声を出す。
(見つかった…!)
俺の心の中にもはや希望はなかった。