ダーク・ファンタジー小説

喧嘩屋 ( No.25 )
日時: 2023/03/27 13:04
名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

「よぉ。虎徹。」
龍心はそう敵に声をかけた。
「おい!!」
そうみんなに怒鳴られる。
(終わった…)
皆疲れてヘトヘトな状態の時にバレたら勝てるはずない。
「龍心!?」
「は…?」
その男はそう言い龍心に抱きついた。
「痛い」と言いながら龍心はその男を突き放す。
「てかなんでこんなところにいるんだ?」
虎徹と言う男が龍心にそう聞く。
「あー…何か色々あってな。ところで…」
「ようやく見つけたぜぇ!!」
「!!」
最悪だ。見つかってしまった。
男の声を聞いて他の奴らも集まってくる。
逃げようとしても後ろは建物で逃げ道は残っていない。
(最悪だ…!)
相手はジリジリと寄ってくる。
「やめろよ。」
「あ?」
急に虎徹が前に出る。
「聞こえなかったか?やめてやれって言ってんだよ。」
虎徹が強気でそう言う。
「てめぇ、豊崎連合の分際で何言ってんだ?」
男も引かずに反論する。
「前から思ってたが、やりすぎなんだよ。」
「甘いんだよ。それくらいしねぇといけねぇんだ。」
男は髪の毛をかきながら煽ったように言った。
「もし、コイツラを見逃さねぇんなら俺は豊崎連合を抜けてこいつらに味方する。」
「「「!?」」」
全員驚きザワザワしている。
「……。」
少し間が空く。
「ならそうすればいいんじゃねぇのか?お前一人抜けたところで何も変わんねぇよ!」
そう男は大声で叫ぶ。
確かに、味方してくれるのは嬉しいが一人増えただけで勝てるとは考えにくい。
「哀れな奴らだな。」
龍心が隣でそうつぶやく。
「どういうことだ?」
俺は龍心にそう問いかける。
「「喧嘩屋」。売られた喧嘩は絶対に買って勝つ。それがあいつの異名だ。」
「ふぅん…。」
それでもそこまで強くないんじゃないかと思うがまだ見ていないのでわからない。
「全員行け!」
奥にいた涼がそう叫ぶ。
それに続いて堀川軍、豊崎連合も続いて向かってくる。
(やべぇ…!)
そう思ったが体が動かない。
酸欠で意識がフラフラしている。
皆同じ状況だ。
「逃げろ!」
宗四郎が虎徹にそう叫ぶ。
もう相手がギリギリまで来ている。
完全に負けた。そう思っていた。
「フンッ!」
虎徹は大きく腕を振り3人一気に殴り飛ばす。
そのまま一気に何十人もふっ飛ばしていく。
「あれは人間ですかぃ?」
宗樹が苦笑いしながらそういう。
「やべぇな…。」
蓮もそう呟いた。
再び前を振り向くと相手はほぼ全滅状態だ。
涼は気絶していて、堀川軍は殴り飛ばされている。
残りは豊崎連合だけだ。
「うわああぁ!」
そう虎徹が殴られそうになる。
ーーバシッ!ーー
「ハッ!」
肘で腰の部分を殴り地面に叩きつける。
「ふぅ。」
次はこちらに向かって歩いてくる。
少し身構えたがその必要はなかった。
「全員、やったぞ!」
虎徹はそう無邪気に笑った。
「化け物かよ。」
龍心もそうつられて笑う。
拓海達9人VS扇堀豊連合軍60人。
結果は驚異的なものとなり扇堀豊連合軍は敗北を喫した。
その後もこの戦いは「喧嘩屋の祭」と呼ばれ後世に語り継がれた。