ダーク・ファンタジー小説

消えた愛人 ( No.3 )
日時: 2023/02/19 23:54
名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

「ストライク!」
そう言い龍心はガッツポーズを決める。
「せっかくボウリングしに来たんですし、拓海もやったらどうですかぃ?」
宗樹がそう聞いてくる。
そう、今俺たちがいるのはボウリング場だ。
担任の谷壮亮たにそうすけが暴走族と絡んでいたと発覚し、今日の授業は中止になった。
そのため、真っ昼間からボウリングをしている。
なぜボウリングかと言うと単に宗樹がやりたいからという理由だ。
「さっきからずっとスマホいじってるけどよ、何してんだ?」
そう宗四郎が聞いてくる。
「彼女とメールしてるんすよ。」
そう言うと宗樹はまた玉を持ちレーンに転がす。
「ちげーよ。ただ、今日華恋来てなかったな〜って。」
「やっぱ彼女じゃないすか。」
「黙れ。」
そう言い宗樹を黙らせる。
華恋というのはクラスメイトの一人で陽汰と同じ幼馴染である。
何かあったのではないかと思い、連絡してみる。
だが、いつもは5分程度で返事が帰ってくるのだが10分経った今も帰ってこない。
龍心達の方を見てみる。
まだボウリングを続けていた。
ただ玉を転がしピンに当てて倒すだけだというのによくそこまで飽きないと思う。
ピコン
メールの通知音がなった。
指紋認証をして内容を見てみる。

前田拓海へ
木口華恋を誘拐しました
返して欲しければ、私達『天使』を見つけ出してください
制限時間は今日中です
もし、時間内に見つけられなかった場合、華恋を殺害します
脅しではありません
私達はあなたのすぐ側にいます

そう一通のメッセージが送られてきていた。
チェーンメールということはわかっているのだが、もしもと最悪の結末が脳裏をよぎる。
「そんな怖い顔して、どうしたんだよ。」
俺に気づいた龍心が俺に声をかける。
「いや、トイレ行きたくて。」
「トイレなら外にあるぞ。」
龍心が出口の方向に指を指す。
「ちょっと行ってくるわ。」
そう言い俺は外に出ようと、出口の扉を開ける。
一瞬、刺されるような視線を感じる。
後ろを振り返るが誰もこちらを見ていない。
(気のせいか…。)
俺はそう思い、走って外へ出る。
あのメッセージが本当なら、華恋を誘拐した犯人は近くにいるはずだ。
宗樹達には悪いが、先に帰らせてもらう。
まずはボウリング場の近くの公園を見てみる。
いたのは小学一年生が5人ほどだけだった。
自分に念の為と言い聞かせる。
探し始めて早2時間。
思い当たるところはすべて探したが、結局何もどこにもいなかった。
もう6:00を回っており、あたりも暗くなってきている。
暗くなってから探すのは困難だ。
「クッソ…。」
そう言い地面を思い切り踏みつける。
「何そんなに怒ってんだよ。」
後ろを振り返ると龍心と宗樹が立っていた。
「何で…。」
「あの時から変だったんだよ。なんか妙に焦ってるみたいでな。」
隠していたつもりが龍心にはバレバレだったようだ。
「で、何なんだよ。」
そう宗樹が聞いてくる。
仕方なく俺はあのメッセージのことを話した。
「一つ思い当たるところがあるとすれば…。」
そう龍心が頭を掻いて言う。
「どこだ?」
龍心は少し間を開け口を開ける。
「旧北天満小学校。」
旧北天満小学校と言うのは今はもう休校した学校であり、今はもう地元のまつりのときくらいにしか使われていないので、人目につかない。
確かに、監禁するならば都合のいい場所だ。
だが、北天満小学校は高い塀に囲まれており小学生では乗り越えられないはずだ。
「あそこは裏道使えば簡単に入れたよな。」
宗樹が龍心に尋ねる。
「あぁ。だからそこから入った可能性もあるな。」
龍心は眠たそうに目を擦っていう。
「善は急げ。早く行くぞ!」
そう宗樹は俺と龍心の手を引っ張る。
少し焦る気持ちがある中、俺は決意を抱く。
殺されたって取り返す。
必ず取り返して見せる。俺はそう心に決めた。