ダーク・ファンタジー小説

傘下提案 ( No.32 )
日時: 2024/02/05 23:22
名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

「う〜ん…」
あの抗争が終わりはや一週間。
喧嘩もなくなりかなり平和になったと思った。
だが、予想外なことにあの抗争がかなり有名になってしまい、街中を歩いているだけでも噂されるほどだった。
ーー「あれ噂の悪英雄じゃない?」ーー
ーー「うわぁ…。いかにもそれらしそう…。」ーー
ーー「知ってる?それに学校、扇小学校らしいよ。」ーー
酷い言われようだ。
そこまで派手にした覚えはないが…
ーー「扇小学校なら何かダメなの?」ーー
確かに。学校が扇小学校なのが何か関係するのだろうか。
耳を立てて聞いてみる。
ーー「扇小学校といえば…」ーー
「君たちが悪英雄?」
もう少しで聞こえるというところで男の声が邪魔をする。
前を見てみると一人の男がいた。
「そうだけど、なんだよ。」
そう蓮が反応する。
「やっぱり?ちょっとついてきてくれない?」
男は蓮の言葉をガン無視で話しかけてくる。
「はぁ。」と言われるがままについていってしまう。
男は帽子を深く被っているため顔が見えない。
少し歩いたところで男が路地裏に入った。
「おいおい…これってなんかやばいとこなんじゃねぇの?」
荒がそう小さな声で言う。
荒の言う通り、人目もなくかなり不気味なところだ。
「もういいかな…」
そう男は小さくつぶやき手を帽子につける。
少し警戒し身構える。
「ひっさしぶりー!」
が、それは意味のないことだった。
その男は帽子を脱ぎ捨てこちらに向かって満面の笑みを見せる。
「え!?」
そう淳平が反応する。
「知り合いか?」
そう宗四郎が聞いた。
「知り合いって、前の6年じゃねぇか!」
そう淳平が嬉しそうに言う。
「あーっ!」
言われる通り、よく見てみると前6年の坂本綾也だ。
「何でこんなところに連れてきたんだ?」
そう龍心が尋ねる。
「もうすぐわかるさ。」
そう言い綾也は再び歩き出す。
今度は少し大きい倉庫のような場所に出た。
「連れきたぞーレオ!」
綾也はそう大声で叫ぶ。
「お!おかえり!」
そう奥の方から小柄な男子がひょこっと顔を出した。
そいつは前6年のマクリーン・レオだった。
「お前らもチーム作ったのか!」
そうレオは笑いながら近寄ってくる。
「で、何で連れてきたんですかぃ?」
宗樹がそう聞いた。
「あー…それなんだが…」
レオは少し間を置き話し始める。
「うちの「関西連合」の傘下に入らねぇか?」
そう提案してくる。
「…は?」
最初は皆理解できていない。
「お前らが…関西連合?」
陽汰も理解が追いついていないようでそう尋ねる。
「そうだけど…」
そうレオが普通の顔をして言う。
関西連合といえば近畿で最も勢力があるチームだ。
扇小学校が恐れられていたのはそういう意味なのだろう。
「どうすんだ?総長。」
そう隣から龍心が聞いてくる。
俺は少し考えて答えを出した。
「やめておく。」
「そっか…」
拒否したことに戦闘になるかと思った。
が、そんなことにはならなかった。
「くっそー!傘下が一つ増えるかと思ったのにぃ!」
そうレオが子供のように言う。
「怒んねぇのか?」
そう淳平が聞く。
「何で怒るんだよ。入るも入らねぇもお前らの勝手じゃねぇか。」
それを聞いてレオは不思議そうに答えた。
「あ、けどうちのシマは荒すなよ。」
そう綾也があとから付け足した。
「じゃあ!またな!」
そうレオが大きく手をふる。
俺たちも手を振り返して倉庫を出た。
が、この出会いが後に暴走族界を大きく揺るがすことになるなど、誰も思ってもいなかった。