ダーク・ファンタジー小説
- 決意 ( No.33 )
- 日時: 2023/04/12 23:01
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「あれだぞ。」
「へぇ…あいつらか。」
二人組の男がそう話している。
「それじゃあ、狩るか。」
男は裏路地でそう薄気味悪い笑みを浮かべた。
「次はどこと戦るんだ!?」
倉庫を出たところで宗四郎がそう興奮気味に聞いてくる。
「別にまだ決めてねぇけど…」
そもそもそこまで急ぐ必要ないと思うのだが…。
「よぉよぉ兄ちゃん達ぃ」
そうかなりたちの悪そうな連中が近寄ってくる。
年齢は15程度といったところか。
「んだよ。」
そう淳平が言い返す。
「悪英雄でしょ?お兄さん達の仲間にならない?」
今日はこういうのばかりだ。
先程断っばかりだというのに。
「だから無理って…」
だが俺はそこで言葉を止める。
なにか嫌な予感がし、後ろを振り向く。
ーカキンッー
そうすぐ隣で金属音が鳴り響く。
地面は何かで殴られてすっかりへこんでしまっている。
「外しちゃったかぁ〜。」
背後から4人、仲間らしき人物が鉄の棒を握りしめ近寄ってきていた。
「クソっ…」
周りを見渡してみると後ろで蓮や荒たちが倒れている。
他にも宗樹や龍心たちも襲われていた。
おそらく殴られたのであろう。
人数差はともかく、相手が武器を使っているのにもかかわらずこちらが素手というのはかなりきついだろう。
だが、皆をおいて逃げるわけにも行かない。
(絶体絶命だな…)
そんなことを呑気に思っている暇はない。
覚悟を決めて拳を握りしめる。
そうして殴りかかろうとしたときだった。
ーコツンー
「あ?」
相手の一人の頭にジュースの缶らしきものが当たる。
そちらを見るとそこには綾也がいた。
「テメェ舐めてんのか!?」
そう連中の視線がそちらにいく。
その隙に俺は後ろから一人の頭を殴りつけた。
「いってぇ!」
そう一人は後頭部を押さえて倒れ込む。
だが、そんなことをして仲間が黙っているはずがない。
「何してんだコラァ!」
そう叫び鉄の棒を振りかざす。
「ハッ!」
「んおおお!?」
男はそううめき吹き飛ばされる。
「俺も戦わねぇとな。」
そう襲われていた龍心が復活していた。
「舐めやがって!やっちまうぞ!」
そう言いまた一人、二人と襲いかかってくる。
「喧嘩喧嘩ぁ!」
「世界一の中嶋パンチぃ!」
そう宗四郎、宗樹も復活していた。
「くたばれっ!」
「オラッ!」
離れたところでは蓮や荒も戦っている。
そうして一人、また一人と着々と倒していった。
「何してんだコラ?」
そう聞き覚えのある声がする。
「こっちのセリフだよ。」
そう倉庫からレオが出てきた。
「テメェみてぇなチビにやられるはずねぇだろ!」
そうリーダーらしき男が拳を握ってレオに襲いかかる。
「…チビ?」
そうレオの声が聞こえたかと思った。
「そうだよ!」
そう言い男はレオに殴りかかった。
「……」
レオはそれを黙ったまま避ける。
「何っ!?」
男は大きく振りかぶったパンチをかわされて体制を崩す。
「誰がチビだボケが!」
そう叫びレオは男に絞め技をかける。
「ガハッ!」
そう男はつばを吐き出し倒れた。
「帰るか。」
そう言い綾也が立ち上がる。
「うん!」
レオがそれに明るく返事をして立ち上がった。
「待って!」
俺は反射的に言ってしまう。
「どうした?」
レオはそう立ち止まって振り向いた。
「何で助けてくれたんだ?」
傘下でもなければ関西連合のシマでもないはずだ。
「助けたって別に…」
綾也はそう言うが拓海には助けてくれたように見えた。
缶を当てて気を取り、反撃するチャンスを作ってくれたのだと。
他のやつもおそらく同じだろう。
「その、だから何だ…」
頭ではわかっているのになかなか言葉に出来ない。
その瞬間レオがニコッとする。
「そーかそーか!傘下に入りたいんだな!」
そう大きな声で言う。
「よーし!仕方がないなぁ!」
半強制的だが、拓海もちょうどそれを言おうとしていたところだ。
誰も何も言い返さないため、皆もそれでいいのだろう。
「ということで!悪英雄は今日から関西連合の傘下だ!」
そうレオが無邪気に叫んだ。