ダーク・ファンタジー小説
- 不吉な予感 ( No.35 )
- 日時: 2023/05/18 18:51
- 名前: ミートスパゲティ (ID: AQILp0xC)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「で、具体的にどんなことをすればいいんだ?」
傘下に入ると入ったものの何をすればいいかなどまだ全く聞いていない。
「あー…そのことなんだが…。」
そう綾也が心配そうに頬を掻く。
目線はレオの方に向いていた。
「とにかく片っ端から倒していって!」
「「「は?」」」
全員の声が重なる。
そんな適当なもので良いのだろうか。
「そこら辺の奴ら全員やればいいってことだな?」
そう宗四郎が指をポキポキ鳴らす。
「そういうこと!君頭いいね!」
「ハハハ!俺を誰だと思っている!」
二人はそう楽しそうに言い合っている。
こちらから見たらただのバカ二人組みなのだが…。
そのことは黙っておくことにする。
「はい。これが敵対組織のリストな。」
そう綾也に資料を渡される。
驚くことにその資料は500ページを軽々超えていた。
「多すぎねぇか?」
龍心がそう尋ねる。
「そりゃそうだ。日本中の組織が書いてあるんだからな。」
そこまで調べる気力がすごいと思う。
「まずは関西の奴らからやっていって〜。」
レオがそう積まれたダンボールの上に寝転がりながらそう言った。
「ってことだ。頼んだぞ。」
そう綾也が肩を叩く。
俺達はそうして倉庫を後にした。
「やれって言われてもねぇ…」
そう蓮が言う。
関西のチームだけでも50ページ以上ある。
「て、ん、の、か、み、さ、ま、の、い、う、と、お、り!」
隣では宗樹がそう適当に決めている。
ーバンッー
「あ?」
荒が誰かとぶつかったようだ。
相手もかなりタチが悪そうだ。
「てめぇなんだよ。」
そうこちらに詰め寄ってくる。
「何だ何だ?」
それに気づいて仲間も近寄ってきた。
「お前らが何だよ。俺らは悪英雄だぞ?」
このまま行けば必ず喧嘩になっしまう。
止めようとするも、下手に刺激してしまうとどうなるかわからない。
「どうしたの?」
その後ろから一人の小柄な男子が近づいてきた。
黒いフードを被っていて顔は見えない。
が、妙な感じがする。
「おたくの奴らが俺らに…」
「やめろ。」
淳平がそう言おうとするも龍心に止められる。
「ここは下がるぞ。」
そう小声で言い背を向けて歩き出す。
「ッチ。何でだよ…」
淳平も不満そうだが仕方なく引き下がった。
他の奴らも皆同じようにした。
宗樹も珍しく黙ったまま引き下がる。
少し歩いたところで曲がって細い路地に入る。
「何で逃げたんだよ!」
そこで淳平が大きな声で叫ぶ。
確かに。それほど喧嘩をしたくない理由があるのだろうか。
「スティンガーでぃ。」
そう壁にもたれかかりながら言う。
「スティンガー?」
「いわゆるメリケンサックみたいなもんでぃ。軽く殴っただけでも相手に大怪我させることができる。おそらく全員持ってるんでしょう。」
そう宗樹が説明した。
とにかく。今日のことをレオ達に知らせなければならない。
そう思い俺達はまた倉庫に向かった。
「悪英雄…か…」
男はそう呟く。
「面白そうじゃないか。」
このことが後に抗争に繋がるとはまだ誰も思っていなかっただろう。