ダーク・ファンタジー小説

偽物 ( No.4 )
日時: 2023/01/26 00:20
名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

北天満小学校に行く途中、俺はずっと気になっていたことを龍心に聞いてみる。
「なぁ、何で犯人は華恋を誘拐したと思う?」
「んなもん知るかよ。」
まぁ当たり前の返事だ。知っていた方が怖い。
「まぁ思いつくとしたら通り魔的な存在なのか、あるいは…」
「ついたぞ!」
龍心がなにか言おうとしたところを宗樹が大声でさえぎる。
人がいる様子はないが、ほんの少し明かりが灯っているように見える。
「こっちだ。」
龍心はこちらに向かって手招きをする。
そこは正門とは真反対に位置する場所だ。
「ここだ。」
龍心の場所に行ってみると本当に細い道があった。
その道は猫が通るような道で、人は横に向いて入っても壁に擦れるくらいだった。
「ほんとにここにいるんですかぃ?」
宗樹が不満そうに言う。
「ビビってんのか?」
龍心は宗樹をそう軽く挑発する。
「誰もそうと入ってませんぜ。」
宗樹は負けじと言い返した。
そうあれこれ話している間に道から出た。
きつきつだったためグラウンドがやけに広く感じる。
長年整備されていないようで草花が生い茂っている。
「入るぞ!」
宗樹がそう小声で言い校舎のドアをそっと開ける。
相手がどんな者かも知らずに喧嘩を売るのはあまりにも愚策だ。
ーーでさーー
「!」
微かだが誰かの話し声が聞こえる。
手招きだけして声のした方に向かう。
その声は徐々に大きくなっていっている。
入り口から右に奥へ奥へと進んでいくと職員室と書かれている教室がある。
間違いない。ここから声が聞こえる。
龍心と宗樹の方を振り返る。二人共首を縦に振った。
俺は心を決めてドアを開ける。
それと同時に二人が中に向かって走って行く。
俺も遅れを取るわけには行かないので急いで追いかける。
「誰だ!」
その声に反応しその仲間たちが振り向く。
相手の方も気がついたようだがもう遅い。 
気づかれたときにはもう手を出している。
宗樹は振り向いた瞬間顔を殴り飛ばした。
「観念しろ。」
龍心がそう脅す。相手はビビって抵抗はしない。
「お前ら何年だ?」
宗樹が一人にそう聞く。
「よ、4年…。」
かなり怖がっているようで声が震えている。
「一個下だぞ。」
宗樹は期待外れと言った様子だ。
「華恋は?」
いちばん重要なことを聞く。
「知らない…。」
そいつは首に横にブンブン振った。
嘘をついているようには見えない。
「何か知ってることはないのか?」
もしないとしたら莫大なタイムロスだ。
「知らない男たちが、女を誘拐してた…。」
「ほんとか!!」
女というのは華恋かもしれない。ここをあたって正解だった。
「誘拐したそいつらは何歳くらいだ?」
少し興奮気味だったため一度落ち着きもう一度聞く。
「多分5年くらい?」
そう言った。5年ならば同学年だ。
「どこにいるんだ!」
興奮を抑えきれずそう聞いてしまう。
「お、扇公園…。」
そいつはビビったようで涙目になっている。
「ありがとう。」
それだけ言うと急いで扇公園に向かう。
「これで情報は全部掴めたな。」
「おう。」
華恋になにか恨みでもあるのだろう。
そう思ったが犯人の考えは全く異なるものだった。