ダーク・ファンタジー小説

デマ情報 ( No.6 )
日時: 2023/01/27 23:07
名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

「はぁ…。」
俺は病室から出て大きなため息をつく。
「どうだったんだ?」
病室の前では龍心がチョコムースを飲んでいる。
そのため、あたりには甘い匂いが充満していた。
「全治一ヶ月だってよ。」
華恋は表情がわからないくらい顔が腫れていた。
できることなら涼を殺したかった。
だが、それも無理な話だ。
「とりま帰ろーぜ。」
そう龍心に肩に腕をかけられる。
宗樹は先に帰ったようだ。
そのまま病院を出る。
「なんかあったのか?」
「へ?」
急に声をかけられて変な声を出してしまう。
「だってお前、なんかすげー真剣そうな顔してたから。」
実はずっと華恋のことを考えていただけだった。
隠していたつもりが表情に出ていたようだ。
「なんもねぇよ。」
そう言い返す。
「ならいいけどな。」
龍心はそう言い空を見上げる。
月に薄く雲がかかっていて綺麗だ。
「じゃあまた明日な。」
気がつけばそこは龍心の家の前だった。
「おう。」
手を振り返して自分の家の方向に向かって行く。
「ただいまー。」
俺は誰もいない家に向かって声をかけた。
もちろん返事はない。
今日は疲れていたためご飯を食べず寝ることにした。

「おはよー。」
結局、昨日は色々なことを考えていてろくに寝れず寝不足になってしまった。
「おい、お前涼達と喧嘩したって本当かよ!」
「あ?」
宗四郎がそう急に俺のところに近づいてきた。
「誰から聞いたんだ?」
宗樹は別として、少なくとも龍心がそんなことを言うはずがない。
「誰って…涼からだけど?」
やはり思ったとおりであった。
「おい拓海!」
龍心もこちらに駆け寄ってくる。
「どうしたんだよ。」
「あいつ、デマ情報流してんぞ。」
龍心の目は珍しく殺気立っていた。
「どんなだよ。」
「「俺一人で拓海達をボコした」って。」
「は?」
言っていることが真反対だ。
昨日ボコボコにされたのは涼だ。
「あいつ…。」
思わず頭を抱える。どこまで自分が強いと証明したいのだろうか。
ーーキーンコーンカーンコーンーー
授業開始のチャイムが鳴る。
「授業始めますよ〜。」
新しい先生が入ってきた。
「ヤベッ。席座らねぇと。」
そう宗四郎たちが急いで自分の席に戻って行った。