ダーク・ファンタジー小説
- 偽物 ( No.63 )
- 日時: 2023/07/24 15:00
- 名前: ミトスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「オラっ!」
俺、レオはそう思うがままに拳を振るう。
「大丈夫かー。」
そう言う綾也の声が聞こえる。
「当たり前だ!」
俺はそう答えるとまた殴り始める。
「死ね死ね死ね死ねぇ!」
目の前ではそう宗四郎が暴れ馬のように殴り倒していく。
ヤバいやつだと思いながら自分も人のことを言えないと思った。
「ば、化け物かよ…」
敵の一人がそう言う。
「「化け物」ねぇ…」
俺は苦笑いしながらそいつを殴り倒す。
「そんなこと言われるのは何回目かなぁ…」
そう呟くレオの拳は赤色に染まっていた。
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その頃幸太郎は他の情報屋と接触していた。
「知ってるか?八苦座の黒幕。」
裏路地でそう小声で呟かれた。
「もうすこし詳しく教えてくれないか?」
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「北王子ってあれじゃねぇか?」
そう荒が聞く。
「あいつだな!」
まだ決まったわけではないのに淳平が走り出す。
淳平は喧嘩が強いわけではない。
むしろ弱い。
「きっと返り討ちにされるぞ。」
そう蓮が呟く。
皆もそう思っていた。
「オラ!」
そう淳平が後ろから殴る。
そして殴られた北王子はそのままあっけなく倒れた。
「は…?」
いくら不意打ちだとは言えど流石にこれは弱すぎるのではないのだろうか。
「おかしいですねぇ…。淳平のパンチで人が倒れるなんて…。」
そう宗樹が言う。
「いやそれ俺に失礼やぞ?」
「まぁそれは置いといて確かにおかしいな…。」
そう龍心が周りを見渡しながら言った。
「総長にしては弱すぎるし、それに護衛が一人もいない。」
龍心の言う通り、確かに護衛が一人もいなかった。
「おい!聞こえるか!」
そう綾也の声が聞こえる。
「そいつは偽物だ!急いで智のとこに戻るぞ!」
「え…」
どうやら本当に偽物だったらしい。
「けど…今更そんなこと言われてもな…」
北王子は倒れたままだ。
「とりあえず行くぞ!」
そう俺は皆に声をかけ倒れたままの北王子に背を向け智のもとに向かおうとする。
「おいおい、ちょっと待てよ。」
そう聞き慣れない声がする。
「お前らをボスのところには行かせねぇよ。」
声の方を向いてみると何人もの相手がいた。
おそらく幹部クラスだろう。
今までの奴らとは覇気が違った。
「そこどけよ。」
いつのまにかレオと綾也が後ろにいた。
「それは無理なお願いだな!」
そう一人の男はドスを抜き一気に距離を詰めてくる。
ーーーカンーーー
そう木がぶつかり合う音がする。
「先に行け。」
そう遥輝が言う。
「わかった。」
そう言い俺たちはそこを去った。