ダーク・ファンタジー小説
- 危機一髪 ( No.64 )
- 日時: 2023/07/31 13:25
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
もうその時、智は疲れ切っていた。
「ハァ…ハァ…。」
俺はそう息を整える。
「何やぁ?天下の関西連合もこんなもんかぁ。」
山下はヘラヘラしながらそう笑っている。
「へっ。そんなこと言ってられんのも今のうちだぜ。」
そう俺はわざと余裕そうにして見せる。
が、もう本当は疲れ切っていた。
(体中が痛ぇ…。)
それでも戦わなければならない。
相手の山下は余裕そうに笑っている。
「さぁさぁ!もっと殺り合おうや!」
そうチャカを連射する。
「チィッ!」
俺は身を捩って弾をギリギリでかわす。
最悪なことに、今日はチャカを持ってきていなかった。
(このまま戦うのは不利か…)
そう智は考え込む。
「なら!」
そして何かを思いついたように体制を低くして一気に山下との距離を詰める。
「おぉ!すげぇ加速や!」
そう山下は驚いた素振りを見せる。
「だがな…」
そう急に声のトーンを下げる。
「そんなもんじゃ甘いんじゃ。」
そう言うと山下は地面を蹴り、砂を高く舞い上げる。
「うぉっ!」
俺は突然のことだったので反応しきれなかった。
(目に…砂が…!)
まずい、視界が塞がってしまった。
と、思っている矢先に背中に強烈な痛みが走る。
「ガハッ!」
俺はそう何かを吐き出し後ろに飛び退いた。
視界は少し戻ってきていた。
(せめて…せめてレオたちが来るまで時間を稼がねぇと…!)
そう俺は思い周りを見渡す。
「オラッ!」
俺は落ちていた石を拾い、山下に投げつける。
「そんなもん、当たらへんで。」
そう山下は身を捩り石をかわした。
「死ね山下ぁ!」
俺は山下が振り向くと同時にドスを抜き山下の顔元に刺そうとする。
「ぬぅおおぉ!?」
山下も想像していなかったのか驚きの声を上げている。
が、皮一枚で避けられ少し切れて血が出るくらいだった。
「全然大丈夫やでぇ?」
そう山下が言ってくる。
(もう…体が動かねぇ!!)
全身が痛すぎる。
少し動いただけで酸欠になるほど息があれていた。
「さぁ、さよならや。」
動けない俺を見下し無慈悲に山下はチャカを向ける。
もう終わりだと思い目を閉じる。
「させるかああぁ!」
そう聞き覚えのある声がする。
レオの声だ。
レオはそう山下に標準を向けたチャカを撃った。
「大丈夫か!!」
綾也がそう俺に駆け寄ってくる。
「あぁ。ギリギリな。」
そう俺は答えた。
「あの距離から当てる正確性…。あんた何者や?」
そう山下がレオに尋ねる。
「お前は知らなくていい。」
そうレオは冷たく言う。
「ケチな人やのぅ。さて、増援も来たらしいし、そろそろ帰るわぁ。」
そう山下はバイクに乗り帰っていく。
「あいつが山下か…」
そう綾也が呟く。
「何で知ってんだ?」
俺はそう尋ねる。
「あいつが八苦座の総長だからだよ。」
ならあの強さもわかる。
「よく戦い続けれたな。」
呆れたようにそうレオが俺を見た。
「うっせ!」
そう俺は綾也の肩を借り、立ち上がる。
「まぁ、今日は帰るか。」
そう俺たちも帰る準備を始めた。