ダーク・ファンタジー小説

拓海と華恋のイチャイチャデート ( No.74 )
日時: 2023/09/14 22:53
名前: ミートスパゲティ (ID: exZtdiuL)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

「ったく…ひどい目あったぞ!」 
そう宗四郎がキレるのも無理はない。
たった6人で50人ほどと戦わされたのだから。
「龍心!お前のせいだぞ!」
そう淳平が怪我をしたところをさすりながら言う。
「あのなぁ。俺はちょっと倒してこいって言っただけで地方連合と揉めてこいなんて一言も言ってないんだからな。」
だが、龍心は冷静に対応する。
その言葉に皆ぐぅの音も出なかった。
「そもそも総長に責任があると思わねぇか?」
そう龍心がアホなことを言い出す。
「確かに…。」
まぁ、そのアホな意見に志龍達は納得してしまったのだが。
「よし!直接拓海に文句言いに行くぞ!」
そう淳平が立ち上がる。
「どこにいるかわかんねぇだろ?」
そう。蓮の言う通り拓海は今絶賛お出かけ中なのだ。
「怪しい…。」
そう宗樹は一人で呟いている。
「どうした宗樹。頭おかしくなったか。」
そう龍心が聞く。
「どうも怪しいんでさぁ。拓海の奴、出かける前ずっとソワソワしてたんでさぁ。」
確かに宗樹の言う通りなぜか落ち着きがないように見えた。
「!」
俺の頭に一つの考えが浮かぶ。
「これは!」
志龍も気づいたらしくそう声を上げる。
他の皆も気づいたのかお互いに顔を見合わせ合いうなづきあう。
「「「「「「「女だ…!」」」」」」」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ハックション!」
そう別の所で拓海は大きくくしゃみをした。
「どうしたの?」
そう横にいた華恋が顔を覗き込んでくる。
「いや。なんでもない。」
そう俺ははぐらかす。
昨日の龍心のくしゃみといい…。
まさか本当に龍心が風邪でそれが感染ってしまったのか。
もしくはあいつらが俺の話を…
「ねぇってば!」
そんな華恋の声で俺は現実世界に戻ってくる。
「何だよ。急に大声あげて。」
「急にって…さっきからずっと呼んでるのに拓海が無視するんじゃん。」
そう華恋は呆れたような顔をする。
そうだったのか。全く聞こえていなかった。
今俺は華恋と買い物に来ていた。
「ところでさ、こっちとこっちどっちがいいと思う?」
そう華恋が両手に持った2つの服を変わる変わる見せてくる。
「うーん…こっちかな。」
俺は少し悩んだ後に右で握っている紺色の服を選んだ。
「じゃあこれ買おーっと。」
そう華恋がレジに並びに行く。
俺は華恋に「外で待ってる。」とだけ伝える。
俺は店の外に出てレジに並んでいる華恋を見ながら思う。
(可愛い…。)
もう気持ち悪いと思われてもいい。
ほんとに可愛い。
俺はそんなクソ恥ずかしいことを考えながら龍心に華恋が好きだと相談したことを思い出す。
「告白すればいいじゃねぇか。」
(いやいやいや!待て俺!華恋とはそういう仲じゃない!)
そう必死に自分を制止する。
「何してんの?」
目の前には服を買い終えた華恋がいた。
「い、いや!何も!?さ、早く行こうぜ!」
そう必死ではぐらかす。
「変な拓海。」
それだけ呟くと華恋はまた歩き出した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「あいつ華恋とデートだと…!?」
「許せんなあ…許せんなあ!」
そう宗樹達の妬みの声が聞こえる。
「黙ってついていくぞ!」
そう軽く二人を叩きバレないように歩き出した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「今日は楽しかったー!」
華恋がそう満足そうに言う。
その言葉が聞けただけで俺は良かった。
かなり長い時間買い物をしていたようだ。
あたりはもう真っ暗で静かだ。
(告白…か。)
そう俺は心のなかで呟く。
「どうしたの?」
華恋はまたもや顔を覗き込んできた。
俺はギクッとし飛び上がりそうになった。
「今日の拓海なんか変だよ?なんかあるの?」
そう華恋が言う。
(俺だって…男だ!)
そう腹を括る。
「あ、あのさ!」
そう告白を決意し言いかけようとしたその時。
『ピロン』
そう動画の撮影音が鳴る。
「馬鹿!音は切っとけって言っただろ!」
そう草むらの中から宗四郎の声が聞こえる。
いや、宗四郎だけではない。
宗樹、陽汰、それに龍心達までいた。
「お前らずっと…!」
そう今までのことを思い返す。
あんなのを見られてたら恥ずかしいどころじゃ済まない。
横にいる華恋も顔を赤らめていた。
「お前ら…」
そう俺はベンチから立ち上がる。
「やべっ!」
本能で危険を察知したのか淳平が真っ先に逃げ出す。
「逃げろ!」
それを追いかけるように蓮達も逃げていった。
「お前らの脳内のデータ全部消してやらぁ!」
そう俺の声だけが公園にこだました。