ダーク・ファンタジー小説
- 野宿 ( No.80 )
- 日時: 2023/09/19 16:11
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
俺達が魔異鼓の護衛を始めてから早2時間。
特にこれと言った変化はなかった。
「もう少しで京都抜けるぞ。気引き締めてけ。」
そう龍心が俺達に警告する。
ちなみに、歩いて魔異鼓のヤサから関西連合のヤサまで行くには10時間かかるらしい。
足が棒になるわ。
てか、魔異鼓の皆さんは単車は持ってるらしいんだがこちらに合わせて歩きにしてくれた。
やっぱ凄い人は器が違うなと思う。
それに比べうちのメンバーは「疲れた。」「歩けない。」などずっと言っている。
電車で行けば言いという声もあったが、綾也いわく「社内で待ち構えられたら終わりだし、降りる時に挟まれる可能性がある」とやめさせられた。
というか、総長直々に行くんだな。
あれ?けど綾也は魔異鼓の使者って言ってなかったっけ?
「なぁなぁ、魔異鼓の使者を護衛するって話だったよな。」
そう俺は隣りにいた陽汰に尋ねる。
「どっちかの手違いだろ。」
そう陽汰は適当に受け流す。
そうなのだろうか。
まぁ、どちらにせよ考えたところでわかりゃしない。
「ふわぁ…」
目の前では宗樹があくびしている。
こいつという奴は…。
だが、気づけばかなり日も暮れてきていた。
「今夜はここで野宿するというのはどうでしょう。」
そう魔異鼓の幹部らしき者が言う。
俺達は顔を見合わせ頷きあう。
「わかりました。」
そう渡っていた橋の下に降り、川の近くまで行く。
「それでは準備いたします。」
俺はそう言い、陽汰が肩に吊り下げていた簡易のテントを開く。
ワンタップ式のテントなので組み立てが楽ですぐできる。
「先に入っててください。」
そう蓮がエスコートする。
「おぉ。すまんな。」
そう魔異鼓の総長が中に入っていく。
それに続き幹部らしき者達皆入っていった。
「俺こういうの苦手なんですよねぇ。」
そう宗樹が小さな声で呟く。
「俺もだ。」
その呟きに淳平が反応した。
「アホ二人は黙ってろ。」
そう宗四郎に殴られる。
頭を殴られた二人はそこを抑えていた。
宗四郎もこういうのは苦手そうに見えるが得意な方だ。
「こちら食料です。」
そう後ろでは龍心が魔異鼓の皆さんに食事を配っていた。
中身はコンビニのおにぎりとお茶だけという、本当に簡単なものだが。
「皆も入ってきて。」
そう魔異鼓の総長から声がかかる。
「失礼。」
そうわきまえながら中に入る。
「敬語やめて。対等な関係なんだからさ。」
そう魔異鼓の総長は言う。
あなたと私達では天と地がひっくり返っても埋まらないくらいの差があるんですが。
俺は内心そんなことを思う。
「それならお言葉に甘えて。」
そう初めに言ったのは志龍だった。
そう言えば志龍はこの任務が始まってから一度も喋ってなかったような気がする。
どれだけ敬語が苦手なんだよ…。
「それじゃあ俺も。」「なら俺も。」と次々と皆敬語をやめていく。
「じゃあ俺もだ。」
遂には龍心までもだ。
それなら俺も敬語をやめさせてもらう。
「自己紹介が遅れたな。俺は西上瑠騎。こっちが森下進でこいつは北上達規だ。」
そう3人分の自己紹介を終える。
「俺は前田拓海。こっちが永瀬龍心でこいつが植谷陽汰。中嶋宗樹と渡辺宗四郎後は槌井蓮と浅田淳平、それから福田荒だ。」
そうこちらも自己紹介を終えた。
「ん?さっき志龍って言って…。」
そう不思議そうに瑠騎が聞く。
「それはこいつでさぁ。」
そう宗樹が荒を指す。
「そいつは荒って…」
「こいつの厨二が目覚めたときの名でさぁ。」
そう宗樹が笑いながら言う。
「そんな話するんじゃねぇ!」
そう叫ぶ荒の声だけがこだました。
この時俺達は気づいていなかった。
俺達に忍び寄る不穏な影を。
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(火) 遂に敵に見つかる。魔異鼓が襲撃される。
(木) 悪英雄、地獄を見る。
(金) 敗北寸前へ、魔異鼓、悪英雄共に壊滅状態に。
(土) まさかの援軍。反撃開始。