ダーク・ファンタジー小説
- 地獄 ( No.84 )
- 日時: 2023/09/23 23:39
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「はぁ…はぁ…。」
俺はそう肩で息をする。
その乱れた呼吸を一度整えようと、岩陰に逃げ込もうとする。
現実はそう甘くない。
「どりゃあ!」
一人の男が鉄棒を俺に向かい振り上げる。
俺に振りかざされるのは空気が切り裂けるほどの袈裟斬りだ。
その鉄棒は俺の肩を斜めから切り裂こうとする。
俺は棒が当たる寸前に、関西連合がチャカのおまけにくれたドスを懐から取り出し、鉄棒を受け流す。
受け流された相手はそのまま鉄棒に引っ張られ、体制を崩す。
その隙を見逃すわけもなく俺はドスで相手の目元を斬る。
「うわぁあ!」
目元を斬られた相手は出血するまぶたの上を抑える。
その隙に俺は岩陰へと逃げ込んだ。
チャカの装填を終え、少し息を整えた後俺は周りの状況を確認する。
宗四郎、宗樹、達規はもちろんのこと、先程まではずっと笑っていた荒が真顔で殴り続けている。
人間って怖いな。
陽汰は一発もらうごとにカウンターで的確に倒していき、蓮や淳平、進は後ろから援護射撃を行っている。
龍心と瑠騎はチャカとドスをうまく使い分けて戦っている。
「見つけたぞ!」
そう真後ろで声が聞こえる。
俺は握っていたチャカの標準をそいつの顔面に合わせ、額に向かって銃弾を放つ。
その銃声につられ他の奴らも集まってくる。
一人ひとり、的確に眉間を撃ち抜いていき、対処しきれない場合はドスで切り刻む。
再びチャカが弾切れになった俺はリロードしようとし、あることに気づく。
(弾がもうねぇ!)
チャカを撃ちすぎた。
だがそんなことを思っている暇もない。
気づけば目の前には鉄棒がギリギリまで迫っている。
身を捩って何とかかわすものの、二の矢はすぐに迫ってくる。
地面に倒れ込んで無防備な俺にその男は容赦なく、その棒を俺に振り下げる。
俺はそのダメージを少しでも減らそうと腕を顔の前に置く。
強い衝撃を覚悟し、腕に力を込める。
「どっりゃあ!」
俺の腕に棒は振りかざされることはなく、相手の悲鳴と誰かの声だけが聞こえる。
「大丈夫か!?」
達規はそう俺に向かい手を差し伸べる。
「あぁ。ありがとう。」
その手を握り俺は立ち上がる。
「てか中学生男子一人2メートルくらい蹴り飛ばすって…。どんな脚力してんだよ。」
俺はそう達規に冗談交じりに聞く。
「サッカー部だからな。」
あ、意外と真面目な答えだったわ。
そういうのを期待していたのではないが、まぁいいだろう。
「ん?」
そう達規が突然そう言う。
「どうしたんだ?」
達規の視線の先を見てみると、そこには一人の水簿らしい男性がいた。
「おっさん。あぶねぇから早く逃げろ。」
そう達規は忠告する。
「それはどうも。」
そう男性は言いこちらを見る。
その目を見た瞬間、俺の動物的勘が何かを訴えかけてくる。
ーーーーーーーこいつはヤベェ…!ーーーーーー
「達規すまん!」
そう思った俺は急いで達規を押し倒す。
俺の勘は正しかった。
その直後、俺達のいた場所に銃弾が何発も飛んできた。
「何でバレたのかなぁ…」
そう言う男の口は、裂けるほどニヤけていた。
この直後、悪英雄は壊滅状態に陥ることになる。