ダーク・ファンタジー小説

壊滅寸前 ( No.86 )
日時: 2023/09/22 23:47
名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

「何者だよ…お前!」
俺はその男に向かいそう叫ぶ。
「遠くから来たんだし、手柄持って帰らないとなぁ…。」
そいつは俺の問いかけに向かい答える素振りもなく、そう言う。
「どうした!?」
そう龍心が駆け寄ってこようとする。
「止まれ!」
俺はそう龍心を制そうとするが、間に合わない。
その男はもうすでにチャカを撃っていた。
「ッ…!」
龍心は皮一枚でその弾を交わす。
「おいおい…やべぇな…。」
そう遠くから見ていた宗四郎が言った。
「いい加減失せろ!」
そう進が言い、懐から何かを取り出す。
それを勢いよく地面に投げつけ、急いで離れる。
「目を隠せ!」
そう叫びを聞いた俺達は瞬時に目を隠す。
次の瞬間、あたりは眩い光に包まれる。
「目が、目がぁ!」
「痛ぇ!」
そう群がっていた敵は一斉に目を押さえ座り込む。
「閃光弾か…」
俺達の目の前にいる男はなんともない様子だ。
目にかけているグラサンが光を遮ったのだろう。
「お前も死ね!」
そう進が言い、チャカを放つ。
だが、男は見向きもせずにそれを躱す。
それどころか、瞬時にカウンターの弾を撃つ。
「ぐおぉ!」と言い進は身を捩り、何とか弾を躱す。
だか、その時にはもう男は進の目の前まで来ていた。
ドスで腹を刺そうとしている。
「そうはさせねぇ!」
そう達規が飛び出し、槍のようなものを振るう。
男はその槍も片手で受け止めへし折る。
だが、そのおかげで男に一瞬の隙が生まれる。
「死ね!」
そう瑠騎が言いチャカを撃つ。
その弾は見事、男がドスを握っている方の腕に当たる。
「へぇ…。」
そう男は呟き、一度進から距離を取る。
俺は今がチャンスだと思いチャカを取り出し、狙いを定める。
だがその瞬間、俺の背筋に冷たいものが走る。
「もう皆殺すわ。」
そう男が唐突に言い、懐から大量の爆弾らしき物を取り出す。
それを周囲に投げつける。
その直後大きな爆発音とともに爆弾が爆発する。
「ガハッ!」
飛び出していた荒が爆風をくらい遠くにふっ飛ばされる。
爆弾自身の威力はそこまで強くないようだが、相当な数を持っているようだ。
そして、一番厄介なのはすぐに爆発すること。
投げつけられたらほぼ回避は不可能だろう。
「それなら…。」
俺は瞬時に落ちていた板を拾い男に突進する。
「やめろ!自殺行為だ!」
そう龍心の声が聞こえる。
確かに、普通ならそうなるだろう。
だが俺にも作戦があった。
男はやはり俺に向かって爆弾を投げつける。
それと同時に俺も木の板を真正面に投げる。
木の板に弾かれた爆弾は男の方に吹き飛んでいく。
「消しとべや!」
そう俺はチャカを抜き乱射する。
弾を避けようとすれば爆弾に当たり、爆発する。
だが動かなければ弾の餌食になる。
完璧な作戦のはずだった。
だが男は迷うことなき爆弾の方に駆け寄る。
それどころかその爆弾を持った。
その行為には場にいた全員が驚く。
だが、そんなことをしている余裕はない。
「ごめんな。これ火ついてへんねん。」
そう男は気づけば耳元で呟いており、俺の足元に何かがぶつかる。
(やべぇ…!)
そう思った時にはもう遅かった。
爆弾は爆発を起こし、俺はなすすべもなく吹き飛ばされる。
「次はお前らや。」
そう冷酷に男は呟き全員の場所ピンポイントに爆弾を投げつける。
すべての爆弾は全く同じタイミングで爆発し、皆吹き飛んでしまう。
そして、先程まで閃光弾で目を潰されていた奴らが少しずつ視力を取り戻し、復活してくる。
もはや俺達になすすべは無かった。