ダーク・ファンタジー小説
- 後輩の頼み 前編 ( No.89 )
- 日時: 2023/09/28 16:59
- 名前: ミートスパゲティ (ID: 69bzu.rx)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
魔異鼓の護衛から帰ってきて早一週間。
あれからと言うものの、関西連合からは少し休むようにと言われておりすることもあまりない。
どの理由でまたお悩み相談室を再開することになった。
「拓海も龍心も暇でしょ?一緒にしましょうよ。」
そう宗樹が俺たちを半ば強引に誘ってきた。
断ろうとしてもフル無視で強制連行された。
行くしか選択肢ないよな。
(理不尽すぎだろ。)
俺はそう思いながらも仕方なくすることにした。
龍心も不満げで、用事があるや何や言っていたが俺と同じように最後は無理やり連れてこられた。
そして連れてきた当の本人は「ちょっと散歩してくる。」と言い、かれこれ三十分程帰ってきていない。
「あいつ絶対殺す…。」
そう龍心が呟いている。
まぁ、無理もない。
任務を終えつかの間の休息の時間を壊されたのだ。
そう思うのも仕方がないだろう。
「てか、なかなか客こねぇなぁ…。」
そう俺は思わず声を漏らす。
ここに来てから1時間は経っているが誰も来る様子はない。
「あ?誰か向かってきてねぇか?」
そう龍心が言う。
そう言う龍心の目線の先には小4と思われる二人が並んでこちらに向かってきていた。
「あれって…冬弥と千尋だよな…。」
そう龍心が言った。
「誰だ?それ。」
俺がそう聞くと龍心は丁寧に説明してくれる。
なんでも、一度厄介な輩に絡まれていた時に助けてやったらしい。
そこから懐かれて、たまに遊びに行ったりもするとかしないとか。
だが、その二人が何の用だろう。
遊びのお誘いでも今日龍心がここに来るということは誰も知らないはずだ。
「龍心先輩!何でここに…。」
そう龍心が冬弥と説明した方が声を上げる。
「どうしたんだよ。二人で。」
そう龍心が二人に声をかける。
「いや。相談と言うか…。」
今度は千尋と説明された方が話し出す。
「早く言えよ。それとその怪我もどうしたんだよ。」
龍心の言う通り、二人は怪我を負っていた。
しかもかなり深傷だ。
冬弥の方は腕が折れたのか包帯でぐるぐる巻になっているし、千尋の方は松葉杖をついて歩いていた。
「その…俺達喧嘩して…。」
そう冬弥がしぶしぶという感じで口を開く。
「4年の高橋って奴、知ってますか?」
そう千尋が龍心に尋ねた。
「あぁ。聞いたことはある。何でもチームを建設したとか…そうだよな拓海?」
そう俺に話を振ってくる。
ここでかよ。
だが、4年の高橋と言う名なら俺も聞いたことがある。
かなり厄介な奴で、他の学校と揉めたと聞いている。
「そうだと思う。」
まぁ、ここは適当に流しておくのが一番だろう。
巻き込まれんのも嫌だし。
「そいつが急に4年の奴らを片っ端から襲っていって…。俺達は抵抗したんですけど数が数でこの有り様です。」
なるほど、集団リンチか。
数の暴力の恐ろしさはよく分かる。
なんせ、この前の護衛任務でもそうだったからな。
「そいつを殺ってほしいってことか…。」
そう龍心は二人に言った。
「殺るまではちょっと…。」
流石に殺すという言葉には抵抗があるのだろう。
「大丈夫だよ。こいつは人を殺したりしねぇからさ。」
そう俺は言う。
すると二人は安心したように胸をなでおろした。
けどまぁ半殺しぐらいまではするだろうけどな。
「今そいつらはいんのか?」
そう龍心が二人に尋ねる。
「はい。多分ですけど…。」
千尋がそう答えた。
「よし。そうと決まれば早速行くか。」
そう龍心が急に立ち上がる。
「え?でも本当に相当な数がいて…」
そう冬弥が言う。
「大丈夫大丈夫。慣れっこだから。」
そう龍心が言う。
それなら俺はここで退散…。
「もちろん、拓海も一緒にな。」
そう首根っこを掴まれる。
「窒息するぞ。」
俺はそう言い龍心の手を払い除ける。
結局、俺も行くことになんのか…。
まぁ仕方ないけどな。
そう自分に言い聞かせ、龍心達が向かう校舎の方に俺も足を進めていった。