ダーク・ファンタジー小説

寿司パーティー ( No.93 )
日時: 2023/10/01 22:46
名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

「お前らにはよく働いてもらった!ってことで…。」
レオがそう言い、手を合わせる。
「寿司パーティーだ!!いただきます!」
「「「「「いただきます!」」」」」
そう回転寿司で叫ぶ。
周りの人に見られまくっているがお構い無しだ。
「マグロうめぇ!」
そう淳平が豪快に一口でマグロを食べる。
横にいる龍心は黙々と寿司を食べ続けていた。
もうすでに結構な量を食っている。
(意外と大食いなんだな。)
そう思いながら俺も好きを頼む。
今日の寿司パーティーはレオ達が日頃の疲れを癒やすために企画したパーティーだ。
その他にも他の奴の顔も覚えておきたいとのことだった。
他の奴とは、宗樹達がお悩み相談室で集めた他のメンバーのことである。
実は俺ももう二人のことは知らない。
誰かと思い少し期待している。
「ん、ほおときまひた。」
そう宗樹が口に寿司を頬張りながら何かを言っている。
まぁ、何を言っているのかは全くわからないが。
「悪英雄って…ここですか。」
そう一人の男子が俺に尋ねる。
「颯太!」
俺はその男に見覚えがあった。
同じ6年の知り合いだ。
「拓海!悪英雄だったんだ…。」
颯太は少し驚いたような素振りを見せる。
驚きたいのはこっちもだがひとまず颯太を席に座らせる。
その後ろにちょこんといた小さな女の子は颯太の妹らしい。
颯太と一緒に入ったとか。
大丈夫なのか…。
俺は少しそういう不安を抱いている。
そしてそのさらに後ろにいた男二人組が冬弥と千尋だ。
この二人はこの前の依頼で会ったことがあるため知っていた。
「え?四人だけ?」
そうレオが不思議そうな顔をする。
逆に後何人来ると思っていたのか。
てか、もう椅子ギュウギュウ詰めだし。
「お前ら、どんな集め方してんだ?」
綾也がそう尋ねてくる。
俺は相談室制度について話すとレオ達が皆顔を見合わせる。
「そんなんじゃいつまで経っても増えねぇぞ?」
遥輝がそう呆れたように言う。
「じゃあどうすればいいんだよ。」
宗四郎がそう問いかけた。
「関西連合とか大きなチームになってきたら張り紙だけで1日で10人は集まる。」
そう智が言う。
1日で10人…。
俺達は一ヶ月ほどかけてようやく4人なのに…。
だが、関西連合程の知名度はない。
地道にやるしかないな。
俺はそう思いレーンに流れてきた寿司を取る。
「うまい。」
思わず声が漏れる。
回転寿司など久しぶりに食べた。
恐らく最後食べたのが父親とだろう。
「父さん…。」
今どこにいるのだろう。
この世にいるかもわからない。
だが、必ず会えるということだけ信じている。
俺は他の寿司を食べる。
(何か…辛い?)
気づいた時にはもう遅かった。
舌中に辛さが走り鼻がツーンとする。
わさびだ。
誰がいれたのか。
俺はそう思い周りを見渡す。
陽汰と龍心は無言で食っているし、蓮も荒も宗四郎も寿司を食っていた。
淳平はなぜかラーメンをすすっているし、関西連合のメンバーと新参四人ははまずまず手が届かない。
となると残っているのは一人だけ…。
すぐ隣を見てみると宗樹がわさびを持って笑っている。
「てめぇ…。」
俺は怒りが爆発しそうなのをこらえる。
宗樹はニマニマしながら寿司に手を伸ばす。
そしてその寿司を口に入れた瞬間宗樹に異変が起こる。
「かっっっっら!」
そう宗樹は水を一気に飲み干す。
今度は龍心が宗樹の寿司に大量のわさびを塗っていた。
このわさび合戦が続きすぐにお開きの時間になってしまった。
今日は関西連合の奢りらしい。
「そのかわり、この前みたいな時はすぐに来てくれよ!」
綾也がそう俺の肩を叩く。
「そんなことがなければいいがな。」
俺はそう言う。
こうして、俺達の少しの間の楽しみの時間は終わったのであった。