ダーク・ファンタジー小説

噂 ( No.94 )
日時: 2023/10/10 22:58
名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

「なぁ、知ってるか。」
「何をだよ。」
「この組に裏切り者がいるらしいぜ?」
「そんなまさか。」
そう男達の話し声が聞こえる。
「俺も聞いたぞ。なんたって、他の組に情報を渡してるとか。」
「エゲツねぇ奴だな。」
そんな会話を遠くから見つめていた一人の男が笑う。
「ほらな。すぐ広まった。」
そう言ったのは龍心だ。
「本当に。気持ち悪いほどすぐ広まりましたねぇ。」
俺達はレオ達からのお願いで、関西連合内の裏切り者を探すことになった。
だが、一人ひとりに聞き込むのも面倒なので何かいい案がないかと考えていた時に龍心がだしてくれた案がこれだ。
まず、一人に裏切り者がいると言う。
するとそいつも他の奴にその事を言う。
そして次々広まっていくという作戦だった。
初めはそんな上手くいくはずないと思っていた。
だが、その予想は外れ、見事作戦は成功した。
「けどこれじゃあ皆に噂が広まるだけで裏切り者は見つからねぇぜ?」
そう宗四郎が言う。
確かに。そんな噂を流すだけならば裏切り者は出てくることはない。
「まぁ。あと1日待ってみろ。」
龍心はそう悪そうに笑った。
龍心のことだ。何か考えがあるのだろう。
俺はそう思うことにした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
龍心が言ったその翌日、早速変化が起こり始めた。
何故か噂がピタリと止んだのだ。
陽汰が聞きに行った所、誰かに「その噂はデマだ。」と言われたらしい。
レオや綾也、幹部の皆はともかく、他の奴もそんな事を言ってメリットがあるとは思えない。
ということは…。
「誰が消してんな。」
そう蓮が呟く。
蓮が言った通り誰かが自己的にやってるとしか思えない。
「こっからは聞き込み祭りだ!」
そう龍心が言う。
皆明らかに嫌そうな顔をしたが、契約なのでしないといけない。
「しゃーねぇな。」
そう皆が聞き込みを始める。
嫌そうにしていたが、意外と皆真面目に取り組んでいた。
そして聞き込みが始まり3時間ほど。
集まった情報を整理するために皆を集める。
そして皆が言う奴を順番に並べていけば、黒幕にたどり着けるという作戦だった。
龍心が無言で作業を続けること数分。
龍心は驚いたような顔で1枚の紙を見つめる。
そこにはレオ達から貰った組織図の一つに大きな丸がつけられていた。
「おいおい…こいつって…。」
その人物は俺達が予想にもしないような人だった。