ダーク・ファンタジー小説
- 犯人 ( No.95 )
- 日時: 2023/10/12 23:20
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「最後にもう一度聞くが、本当に噂を消せっていう命令はだしてないな?」
そう俺はレオに聞く。
今俺達は聞き込みの結果を霊体に報告しに行っていた。
「あぁ。神に誓う。」
そうレオは答えた。
「俺らが聞き込みでたどり着いた犯人が…こいつだ。」
そう1枚の写真を取り出す。
「おいおい…。」
そう綾也は予想もしていかったという声を出す。
「噓だろ…。」
智さえもそう言っていた。
その写真に写っていた人物。
それはそう。泉幸太郎だった。
「こいつならたしかに情報を持ってるな。」
そう遥輝が言った。
「今から幸太郎のところに行ってくるけど…。」
そう言いレオ達の方を見る。
二人共頭を抱えていた。
「すまん。今は無理だ…。頭がおかしくなりそうだ。」
そう綾也が答えた。
レオに関しては幸太郎を人一倍信用していた。
ショックがかなり大きいようで、黙ったままうつむいている。
「おい。行くぞ。」
そう宗四郎が俺の方を叩いた。
「あぁ。」
宗四郎は単純なように見えて、実はちゃんと周りの奴のことも見ている。
今回の行動はレオ達の事を考えてだろう。
「それじゃあ行ってくる。」
そうレオ達に伝え、俺達は幸太郎の下へと向かった。
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予め幸太郎には来るようにと言っておいた。
もしここで逃げたとしたら確信犯だろう。
俺は複雑な気持ちを抱え、約束の場所へ向かう。
「よ。」
だがそこには当たり前のように幸太郎が立っていた。
俺は少し驚いたが平静を保つ。
「単刀直入に言う。噂を消すように言ったのはお前か?」
そう俺は幸太郎に向かって言った。
「あぁ。俺だ。」
幸太郎は否定する素振りもなくそう答えた。
「何でそんなことしたんだよ。」
そう荒が尋ねる。
「だって。俺は裏切り者じゃねぇからな。」
幸太郎はそう答えた。
「情報を流したってのは?」
そう龍心が問いかける。
「……それは本当だ。」
少し間を開け幸太郎がそう言った。
「やっぱり裏切ってんじゃねぇか!」
宗四郎がキレ気味に言う。
「すまん。だが、関西連合を裏切るつもりじゃなかったんだ。」
そう幸太郎が言った。
「そんな言い分、信じれるはずがねぇ…」
「おーい!兄ちゃん!」
そう聞き覚えのある声が宗四郎の声を遮る。
「佑…樹?」
兄ちゃんと言っていたのは佑樹だった。
「ちょうどいいところに。」
幸太郎がそう佑樹に言う。
「あれ?皆?ってこれどういう状況…。」
佑樹はこの状況を理解できていないらしい。
「俺は佑樹に頼んで情報を流した。けどそれは妹のためなんだ。」
そう幸太郎が言った。
「妹の…ため?」
俺は訳がわからず思わず声を漏らす。
「俺と佑樹には妹がいる。その妹を助けたかったんだ。」
そう幸太郎が言った。
「俺と佑樹って…佑樹は関係ねぇだろ。」
そう淳平が言った。
「いや、同じ妹…こう言ったほうがわかりやすいか。俺と佑樹は兄弟…いや、兄弟だったんだ。」
「は?」
突然の告白に場が呆然とする。
「兄弟だったってのは?」
龍心が冷静に尋ねた。
「俺らの親が離婚した時、離れ離れになった。だから名字が違うんだ。」
確かに。それならさっき佑樹が幸太郎に向かって兄ちゃんと言っていたのも辻褄が合う。
「頼む。自分勝手だというのは重々承知だ。俺達の妹を…救ってくれ!」
そう幸太郎が頭を下げる。
それを真似て佑樹も頭を下げた。
「……わかった。レオ達に言っておく。」
レオ達がどのように言うかはわからない。
だが、俺もその気持ちをわからなくはなかった。
なぜなら俺…いや俺達だって同じ理由で暴走族になったのだから。
幸太郎がやったのは許されないことだ。
だが、俺はレオ達がそれを許してくれるよう心の中で願っていた。