ダーク・ファンタジー小説
- 説明会 ( No.96 )
- 日時: 2023/10/14 23:11
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「ってわけで幸太郎は情報を流したらしい。」
そう幸太郎に言われたことを全てレオ達に伝える。
「妹のために…。」
そう綾也は小さく呟く。
ブラコンの綾也だからこそ共感できることもあるのだろう。
「幸太郎と会ってくる。」
そうレオは立ち上がった。
「それなら俺達も…」
「一人で行かせてくれ。」
そう智が言おうとしたがレオがその言葉を遮った。
「……わかった。」
智は渋々といった様子で椅子に座った。
レオは無言でスタスタ歩いて行く。
俺は気になりそのままバレないようについて行く。
もちろんその後ろからは龍心達もついてきていた。
レオは幸太郎が待っている部屋の前まで来て一度立ち止まった。
そして息を整えるとその中に入っていく。
俺は気になり扉の隙間から中の様子を伺う。
「…レオ…!」
レオを見た幸太郎がそう言う。
「お前が情報をバラまいたんだって?」
レオは強い口調でそう言う。
表情は見えないが怒っていることは確かだった。
「そのことは本当にすまなかった!」
そう幸太郎が深々と頭を下げた。
「いくら妹のためだからって勝手に情報をバラまかれたら困る。」
そうレオは言う。
「っ…!」
幸太郎は何も言わずに唇を噛み締めた。
「だが、お前という存在はうちの組には必要不可欠だ。だからな…」
レオは急に優しい口調になり幸太郎に歩み寄る。
「これからも頼むぞ。」
ということは許してくれたということだろう。
それを見ていた俺はそっと胸を撫で下ろす。
龍心達も同じように少しホッとしていた。
「ありがとう……!」
そう幸太郎はボロボロと泣き崩れる。
「おいおい。そんな泣くなよ〜。」
そうレオは笑いながら幸太郎の肩を叩いた。
「もうこんなことすんなよ。」
レオはそう言った。
幸太郎はまだ泣き続けていた。
「それと…。」
そう言い急にレオが俺達が隙間から見ている扉の方を睨む。
俺は反射的に引っ込んでしまった。
「そかにいるんだろ。出てこいよ。」
いつからかはわからないがバレていたようだ。
「完璧な作戦だったはずなんですけどねぇ…。」
そう宗樹がノコノコと出ていく。
「嘘つけ。お前作戦も何もなかっただろ。」
それに続き宗四郎も出ていってしまった。
「お前らならやると思ったよ…。」
そうレオが頭をポリポリかく。
「それと、お前らもな。」
そう言いレオは俺達の後ろを睨んだ。
「な、隠れるのは無理だって言ったろ。」
気づけば後ろに綾也がいた。
「拓海達はともかく、何でお前らもいんだよ…。」
そうレオはやれやれだといった様子で首を振った。
「俺はやめとこうって言ってたんだけど智がどうしてもってさぁ〜。」
そう遥輝が明らかな嘘をつく。
「は?お前が行こうって言ったんだろ!」
智ももちろん反抗する。
こうやって見てるとあまり俺達と変わらない気がした。
「ところで、幸太郎の妹は何されてんだよ。」
そう陽汰が尋ねた。
「大大阪連合の奴らに誘拐されちまったんだ…。」
そう幸太郎は悔しそうに言う。
「!!」
それに一番に反応したのは綾也だった。
「それはちょうどいい。奴らを潰すための大義名分を考えてたところだ。」
関西連合は俺達との契約で内通者を探る代わりに大量の武器と大大阪連合の処分を約束していた。
そんな関西連合にとって仲間の身内が誘拐されたというのは好都合だった。
「てか、まず大大阪連合ってどこの奴らなんだよ。関西連合の傘下でなければ関東連合の傘下でもないんだろ?」
そう龍心が聞く。
確かに。いくら連合レベルの組と言えど関西連合との差はかなりある。
後ろに誰かいるのは当然だろう。
「それが一番厄介でなぁ…。」
そう智が苦虫を噛みつぶしたような表情になり言う。
「お上の回し者なんだよ。」
そう遥輝が言った。
「お上?」
俺は聞き覚えのない言葉を聞き、思わず声を漏らす。
「それは何かの組か?」
そう蓮が尋ねる。
だが、その問いには遥輝が首を横に振るだけだった。
「この際だから説明しておく。」
そう綾也が言った。
「暴走族の頂点は知ってるか?」
そう綾也が俺たちに問いかけてくる。
「関西連合…いや、関東連合か?」
そう荒が答えた。
「もっと上がいる。それがお上達の「COJ」だ。」
そう綾也はまたしても聞き覚えのない単語を挙げる。
「そのしーおーじぇい?ってのは何なんだよ。」
そう淳平が聞く。
「conqueror of japan。略して「COJ」だ。直訳すると「日本の覇者」って意味だ。」
随分と壮大な名前だなと思う。
「で、そいつらの何が厄介なんだ?」
俺はそう問いかける。
そこそこ大きい連合だとしても関西連合は日本トップクラスに大きい組だと聞いたことがある。
それ以上の組などなかなかないだろう。
「全暴走族界の頂点。いわば天皇や朝廷みてぇなもんだ。」
そう綾也が答えた。
「全暴走族の…頂点…?」
あまりにも壮大すぎて頭が追いつかない。
「まぁ、そんなところだ。」
そんなところだ。じゃない。
(そんなやべぇところに喧嘩売りに行こうとしてんのか…。)
俺は思わず頭を抱える。
「明日、大大阪連合を早速潰しに行く。お前らもついて来い。」
そうレオから集まるよう命令がかかる。
まさか戦わされるのではと思い俺は思わず顔をしかめる。
「そんな顔したって戦えとは言わねぇよ。」
そうレオが笑いながら答えた。
「お前たちにとってもいい経験になると思うしな。」
そうレオは言った。
後ろではいかにも怪しそうな綾也と龍心の取引が行われていた。
まぁ、チャカを渡しているところだから怪しいのだが。
「ま、何でもいいから絶対来いよ。」
そうレオに言われ追い出された。
なんて自分勝手な奴だと思う。
だが、レオがそこまで言うものだというのは少し期待していた。
俺は変な気持ちで家に帰った。