ダーク・ファンタジー小説

戦 ( No.97 )
日時: 2023/10/16 23:15
名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

「よぉ。遅かったじゃねぇか。」
ヤサに着くやなんやレオがそう言ってくる。
「遅かったって…。」
細かい時間などは知らされていなかったから遅れないように6時には行こうとなり全員でかなり早く来たのだが、関西連合のメンバーは皆もう準備を終わらせていた。
「もう行くぞ。ほらお前らもこれ持て。」
そう遥輝が言い、一人ずつに木製サブマシンガンを手渡してくる。
「これって俺らにも戦えってことじゃ…。」
淳平はそうおそるおそる言う。
「バーカ。そんな物騒な事させねぇよ。」
そう綾也が言う。
今までに何度もさせられてきたのだが…。
そう言いたい気持ちをぐっと抑える。
「ほら。乗った乗った!」
いつの間にか単車バイクに乗っていたレオがそう急かしてくる。
俺は「ほら。早く。」というレオの言葉に従い、レオの後ろに乗せてもらう。
龍心達も綾也や他の組員達の後ろに乗せてもらっていた。
「ヘルメットだけは被っとけ。」
そう手渡されたヘルメットを反射的に受け取ってしまう。
「そんなスピードださねぇならいらないんじゃ…。」
そう俺は聞く。
「バカ。飛ばすぞ。しっかり掴まっとけ!」
そうレオが言いエンジン音を鳴らす。
「おい。バカちょっと待てええええぇ!」
俺の声は虚しく風に消えていった。
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「最悪だ…。」
単車から降ろしてもらった宗四郎がそう言った。
下道で飛ばしに飛ばしまくって終いにはスピード違反で警察に追いかけ回されるは散々な目にあった。
「てかお前ら免許持ってんのかよ。」
そう龍心が尋ねる。
「持ってねぇに決まってるだろ。」
そう綾也はあっさり答えた。
よくよく考えたら当たり前だな。
まずまず未成年だし。
これで警察に捕まったら未成年運転、二人乗り、スピード違反と道路交通法違反しまくってるし、それ以外にもいろいろやってるから少年院は確定だろう。
「止まれ。」
とかまぁ、いろいろ考えていると綾也の声を発する。
俺らは命令通り止まり、綾也は他の奴らにいろいろな命令を下していた。
「おいおぃ。組員達どっか行っちまいましたよ?」
そう宗樹が不安そうに言う。
「これも作戦だ。」
そうレオはニカッと笑う。
そこから見える白い歯はとても眩しかった。
「この配置は…魚鱗の陣か?」
少し遠くから様子を見ていた龍心がそう呟く。
「よくわかったな。」
そう綾也が答えた。
「てかさ、おかしくね?こんな近くにいるのに何で大大阪連合の奴ら出てこねぇんだよ?気づいてねぇのか?」
淳平がそう言う。
確かに。ヤサの目の前でこんな大人数が移動しているのに何故気づかないのだろう。
「気づいてるよ。恐らく奴らも中で陣を立ててるんだろ。」
そう智が言った。
「そろそろ行くぞ!」
そうレオが叫ぶ。
その声で皆が一斉に入っていった。
「今から連合対連合の戦い方を見せてやるよ。」
そうレオは言う。
見せたかったと言っていたのはこれだろう。
だが、俺達はまだそんな人数もいないのだが…。
そんなことを考えているうちに皆が次々と中入っていく。
「行くぞ。」
そう言う龍心の声に反応し、俺も中へと入った。
「オラっ!」
「死ねっ!」
「守れ!陣を崩すな!」
中に入ると大勢の奴らが叫んでいる。
「相手は方円の陣…まずいんじゃねぇのか?」
そう龍心は不安そうに綾也に聞く。
「何で不安そうにしてんだよ。」
そう宗四郎が問いかけた。
「魚鱗の陣は正面突破に長けてるが側面からの攻撃には弱えんだよ。対する方円の陣は円形の陣。俺らを飲み込んで袋の鼠にしたいようだがそう簡単にはさせねぇよ。」
そう綾也が軽く説明する。
「けどこのまま待ってても側面から破られて終わりだぞ!?」
龍心はそう不安そうに言う。
龍心がここまで焦るとは珍しい。
それほどのことなのだろう。
「まぁ待て。今に見とけよ。」
そう綾也は自信ありげに言う。
「別動隊!今だ!」
そう綾也の甲高い声に思わず耳を塞ぐ。
その命令でどこから現れたのかわからない組員達が側面の奴らを背後から撃退していく。
だが、数が多いからかなかなか打ち破れそうになかった。
これもレオ達が言っていた「お上」の仕業なのだろう。
「けどな、戦はそこが目的じゃねぇんだよ。」
そう綾也が呟く。
綾也の目線の先を見るとそこでは一人の小柄な男が大柄の男を倒していた。
そのうちの小柄な男はよく見るとレオであった。
「お前らの総長あたまは俺が倒した!速やかに降伏せよ!」
そう叫ぶレオの声に反応し皆次々逃げていく。
「す、すげぇ…。」
こんな大きな戦いを一瞬で終わらせてしまった。
「どうだ?面白かったか?」
そう綾也がこちらを向き聞いてくる。
「まぁな。けど、俺達はまだまだこんなことしねぇと思うけどな。」
俺がそう言うと綾也は小さく笑っていた。
ここから敵の総長を叩き起こして降伏させ、正式にこの領地を渡すことを証明させるなどやることはまだまだ沢山あるようだが、俺達は特別に返してもらった。
「すごかったなぁ〜。」
帰り道の途中、荒がそう声を漏らす。
「てか、レオ強すぎだろ。」
そう陽汰が言った。
それには本当に同情する。
地方連合の総長だからそれなりの強さなはずだが気づかないうちに一瞬で倒してたからな…。
「そういや最近見ねぇけど虎徹は?」
そう蓮が急に話を逸らす。
「あいつは完全に豊崎の奴らを統一したらしい。そろそろ会いに来るって。」
最近忙しくて完全に忘れていた。
一人で学校中制覇って…。
まぁあの強さだからあり得るか。
なんとなくだが、また忙しくなりそうな気がした。