ダーク・ファンタジー小説
- 誘拐 ( No.98 )
- 日時: 2023/10/17 23:13
- 名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
- 参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no
「…んでさ。」
俺の名前は永瀬龍心。
レオ達に戦いを見せてもらった1週間後、俺はつかの間の平和を楽しんでいた。
今は友人の田口虎徹、冬弥と千尋と拓海達と待ち合わせしているところまでバスで移動していた。
「もうそろそろじゃないっすか?」
そう千尋が声を出す。
「そろそろ降りるか。」
そう俺は言う。
そして皆立ち上がり、順番に精算していく。
バスの運転手のおっさんに軽く会釈してからバスを降りる。
「ここからは歩きだな。」
そう虎徹が言う。
「この調子なら10分以内に着きそうっすね。」
そう冬弥が言った。
バスを降りてからずっと真っすぐ行った所に拓海達と待ち合わせしているところがあった。
「正式に豊崎占領したからな。その報告しに行かねぇとダメだよな。」
そう虎徹が呟く。
「お前は真面目すぎるっつーの。そんなんしなくてもいいのによ。」
俺はそう言った後、小声で「まぁその方がありがたいが。」と付け足す。
「それにしても一人で学校中制覇ってすごいっすよね〜。」
そう千尋が言った。
「ほんとほんと!俺等じゃ到底無理っす!」
そう冬弥も重ねるように言った。
「そんな褒めても何も出ねぇぞ?」
そう虎徹は言うが顔は嬉しそうな表情をしていた。
(何だ…?この気配?)
俺は急いで後ろを振り返る。
誰かに見られているような気がしたからだ。
虎徹を見てみるも何も感じていなさそうだ。
もちろん。冬弥と千尋もだ。
だが、やはり見られている気がする。
俺は注意しながら道を進む。
少し細い道に入った時、その気配はより大きくなる。
「今だ!龍心を捕まえろ!」
そう聞いたことのある声がする。
「何だ!?」
俺と虎徹は瞬時に反応する。
少し遅れて冬弥と千尋も反応した。
だが、反応した時にはもう遅い。
大勢の奴らが飛びかかってきていた。
俺は瞬時に横蹴りをかます。
虎徹はぶん殴ってふっ飛ばしていた。
相変わらずどんなパワーしてるんだよと思う。
だが、こんな狭い所で、しかも大勢に襲われてしまったら勝ち目がない。
ふと後ろを見ると冬弥と千尋が殴られかけていた。
二人共尻餅をついて動けない。
「オラっ!」
俺は瞬時に駆けつけその腕を弾き返す。
だが、そこに隙が生まれ取り押さえられてしまう。
「龍心!」
そう虎徹がこちらに駆け寄ろうとしてくる。
「逃げろ!」
俺はそう叫んだ。
「龍心を捕まえろ。」ということはあくまで俺が目的なのだろう。
「でも…。」
虎徹は何か言いたげだ。
「でもじゃねぇ!拓海に伝えてくれ!」
俺はそう必死に訴えかける。
俺の気持ちが伝わったのか、虎徹は冬弥と千尋を連れ走り出す。
「もう誰もいねぇよ。さっさと出てこいよ。」
俺は先程命令し誰かに向かって取り押さえられたまま問いかける。
「久しぶりだな。」
そう一人の男が後ろから出てきた。
「お前は…!」
俺はそう言おうとしたが首根っこを叩かれ意識を失ってしまった。