ダーク・ファンタジー小説

最悪の予想 ( No.99 )
日時: 2023/10/19 22:58
名前: ミートスパゲティ (ID: LQINEF0U)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

「龍心の奴ら遅いなぁ…。」
俺は思わずそう呟く。
虎徹が正式に豊崎を治めたということで報告しに来るので連れてくるという話だったのだが、待ち合わせ時間をとうに超えているのに来る様子は無かった。
「何かあったんじゃねぇか?」
そう荒が心配そうに言う。
「どうせただの遅刻でさぁ。まぁ万が一何かあってもあの龍心だ。大丈夫でしょう。」
そう宗樹が言う。
確かに。簡単にやられることはないと思うが…。
「やっぱ不安だよなぁ…。」
あの龍心だ。
遅刻することなど滅多にない。
結局俺は不安な気持ちで待つことになってしまった。
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それから30分後、結局龍心は来ない。
「本当に今日来るように言ったのか?日にち間違えたんじゃねぇの?」
陽汰がそう聞いてくる。
「あぁ。確実に今日だ。朝、龍心にも連絡を入れた。」
そう俺は答える。
「クッソ!電話も出ねぇぞ?」
そう電話をかけていた宗四郎がそう言う。
「おいおい。これそろそろ本当にやべぇやつなんじゃねぇの?」
淳平がそう言う。
「縁起でもねぇ事言うなよ。」
そう蓮が言った。
「いや。案外あり得るかもだぞ。」
そう陽汰は言う。
「あれ?案外ガチな感じ?」
淳平は冗談で言ったようだが、他の皆はかなり不安に感じていた。
「おーい。遅れてごめん!」
そう颯太がこちらに駆け寄ってくる。
ちなみに今回は妹は来ていない。
それを見て宗四郎が何かを思いついた様子を見せる。
「颯太。お前家豊崎の方角同じだったよな?」
そう颯太の肩をガシッと掴み宗四郎が言った。
「え?そうたけど…。何で?」
訳がわかっていない颯太は混乱している。
「来る時龍心達見なかったか?」
そう宗四郎が興奮気味に聞く。
「見てないよ。」
「そっか…。」
そう颯太が答えると宗四郎は頭を抱える。
「龍心君に何かあったの?」
そう颯太が聞く。
「龍心が来ねぇんだよ。もしかしたら何かあったんじゃないかって。」
「何かあった…。」
そう宗四郎が答えると颯太は何かを思い出したように考える素振りを見せる。
「何か思い出したか!?」
そう宗四郎が食い気味に聞く。
「関係あるかわからないけど、路地で喧嘩してる人達がいたなーって。大柄な人と小さい子二人と皆と同じくらいの人が一人。」
そう颯太が言う。
「それって…。」
そういい宗四郎が俺の方を向いてくる。
「あぁ。龍心達の事だな。」
恐らく大柄な奴は虎徹、ちっこいの二人は冬弥と千尋。そして俺らと同じくらいの背の奴が龍心だろう。
「拓海!」
そう大声を出しながら寄ってくる奴がいる。
「虎徹!?」
そう俺は驚きの声を上げた。
「どうしたんだよ。そんな焦って走ってきて。」
そう陽汰が声をかける。
後ろには冬弥と千尋もいた。
「龍心が…誘拐された!」
「!!!」
俺達の最も当たってほしくなかった予想は当たってしまった。
「とにかく、急いで助けねぇと!」
俺らはそう言い、走り出した。