ダーク・ファンタジー小説

Re: 命懸けの人狼ゲーム 第5話 ( No.6 )
日時: 2023/03/29 20:45
名前: Riaゆく (ID: MRwb6zkQ)

〈朝になりました。二宮虎太郎と藤堂雅一は死体として発見されました。議論を開始してください〉
【美味しいパンが焼けました】
昨晩、銃声が聞こえた。
俺が襲撃したのは二宮。
つまり、二宮がハンターで藤堂を道連れにしたのだろう。
ハンターが落ちるのは予想外だったが、人狼が道連れされなかったのは不幸中の幸いだ。
俺がそんなことを考えていると、一人の男が話し出した。
「なあ…この死体、どうするんだよ」
男の名前は鹿野裕貴。
責任感が強く運動や勉強もほどほどにできるが、調子が乱れるとポンコツになってしまう。
そのため、重要なことを行う時は必ず母親の手を借りていたらしい。
つまるところマザコn…これ以上は言わないでおこう。
「ほっとけ。そのうちこのゲームの運営が回収しに来る」
そう冷たく返すと、鹿野は俺の胸ぐらを掴み、
「人が死んでるんだぞ!少しは心配をしたらどうだ!」
…と、怒鳴りつけてきた。
「どうやら、ポンコツだっていうのは本当だったようだな」
「なんだと?」
挑発まじりに俺がつぶやき、続ける。
「こいつらはまだ死んじゃいない。俺たちがこのゲームに勝てばいいだけの話だろ」
そうだ。このゲームは最悪自分が死んだって味方が勝てば生き返ることはできるのだ。
まあ、村人陣営に勝たせるとは一言も言っていないわけだが。
「それに、こんなことを話している暇があったら占いや霊能の結果を聞いた方がいい」
鹿野は俺のことを少し睨んだが、やがてそっぽを向きながら、
「それもそうだな、悪かった」
と、言い放った。
その後、霊能は全員白を出し、占い結果に移った。
先に話し始めたのは相馬。
「占いの結果は、上原さんが白でした」
上原は今まで一度も話に上がっていなかったな。
彼はゲームが趣味らしく、ガンガン攻めるプレイから、潜伏して堅実に守るプレイまでお手の物。
ゲーム大会でも何度も優勝した経験があるとのこと。
「岡田さんはどうでしたか?」
相馬がそう問う。
「黒川さんは白です」
黒川透真。
天才少年と言われるほどの頭脳を持ち、数々の難事件をいとも簡単に解き明かしてきた男。
こいつが村人陣営だった場合、相当厄介なことになるだろうから早めに始末しておきたいところだが…。
そこから先は例によって役職持ちを除いたグレランとなった。
〈議論時間終了です、投票時間に入ります〉
俺は投票先を既に決めていた。
鹿野裕貴。
彼とは今のうちにうっすらと対立軸を作っておいた方が後に楽になる。
他にも理由はあるが、それは今話さなくてもいいだろう。
〈投票時間終了です〉
後藤→鹿野 天堂→大沢
黒川→後藤 佐倉→鹿野
近藤→山根 水無瀬→大沢
岡田→上原 竹田→黒川
相馬→松尾 山根→大沢
松尾→大沢 上原→天堂
中田→水無瀬 藤原→大沢
鹿野→後藤 篠崎→上原
大沢→山根
〈投票の結果、5票で大沢遥さんが処刑されます〉
〈大沢さん、遺言をどうぞ〉
「いやだ、死にたくない!やめろ!やめてくれ…」
そんな大沢の叫びも虚しく、彼の首は弾け飛んだ。
すでに広場に残っている人数は片手で数えられるほどまでに減っていた。
俺はそんな奴らを尻目に自分の家へと戻っていく。
そして、情報の整理を始めるのであった。