ダーク・ファンタジー小説

Re: 命懸けの人狼ゲーム 第6話後編 ( No.8 )
日時: 2023/04/07 21:41
名前: Riaゆく (ID: MRwb6zkQ)

あれから2時間程経過したが、近藤からの連絡は完全に途絶えてしまっていた。
「無事だといいが…」
俺は夜空を眺めながらそう呟いた。
その瞬間だった。
「君に他人の心配をしている暇はないよ?」
背後から突然、そのような言葉が聞こえてきた。
俺が咄嗟に振り向くとそこには…
人の姿をした、化け物がいた。
背中には漆黒に染まった羽が生え、その手にはこれが使用していたものと同じナイフが握られていた。
その姿はまさしく…
「ヴァンパイア…!」
「ご名答。そう、僕の役職はヴァンパイアだ」
「お前は何者だ!」
俺は叫び、問う。
「君に教える義理はないが、冥土の土産に教えてあげよう。俺は天堂新一。君の幼馴染だ」
「は?」
その言葉に、俺は思わず素頓狂な声を出してしまった。
この男は何を言っているんだ?
俺の知り合いに天堂新一なんて名前のやつはいない。
俺がそんなこと考えていると、天堂はナイフを構え、
「無駄話をしている暇はない。君にはここで死んでもらう!」
と、言い放った。
それと同時に、天堂は俺との距離を一瞬にして詰め、攻撃を繰り出した。
俺は間一髪でその攻撃を避けたが、今の俺の力ではじきに殺されてしまうだろう。
そして天堂は再び攻撃を仕掛けてきた。
万事休すか…。
俺が諦めかけたその時、一筋の光が天堂のナイフを貫いた。
足元を見るとそこには、砕け散ったナイフの破片の中に、1本の矢が刺さっていた。
「狩人か!」
まさか狩人が俺を守るとは思わなかった。
俺がふと天堂の方に目をやると、その姿は元の人間の姿に戻っていた。
なるほど、狩人の護衛先を襲撃すると覚醒状態が強制的に解除されてしまうわけか。
「誠、君は昔から運がいいね。俺はひとまず撤退させてもらうよ…」
そう言い残し、天堂は去っていった。
まさしく危機一髪だったな…。
狩人が誰かはわからないままだが、ここでヴァンパイアか誰か分かったのは大きいだろう。
夜も遅いしそろそろ横になるとしようか。
そうして俺は、眠りにつくのであった。