ダーク・ファンタジー小説

第二話(その2) ( No.11 )
日時: 2023/04/26 21:40
名前: 味海 (ID: qWWiRdBA)






僕「……能力、バリアlevel2、球体」
何故か僕はその言葉を叫んでいた。
頭の中にあった言葉でも、知っている言葉でもない。
その言葉と共に僕とビットの周りをバリアで包み込む。
ビット「おお!やったじゃん!」
ビットは嬉々として言う。
ルピフォ「ハッハッ!引っ掛かったな!全部読めてんだよ!お前らはもうそこから出れないぞ!」
僕「さぁ?それはどうかな?」
そういって僕は嫌味ったらしく言ってやった。
そして瞬間的にバリアを解除した瞬間、ルピフォが叫ぶ。
ルピフォ「そこから出ようとすることも全部知ってんだよぉ!!」
ルピフォ「兵よ!その周りを囲めぇ!!」
しかし、ルピフォの命令は少し遅いため、その一瞬を使い、ビットが僕を抱き連れて行った。
その際、兵は何とかして僕たちを捕らえようとしたがそれをすべて軽々と回避すると隠し持っていた人参をポケットから取り出し、
ルピフォへと投げつけた。
間一髪でそれを避けるルピフォと大混乱に陥りかける大量の兵。
それを後目にビットは巨大なドアを開け一言。
ビット「じゃあね、皆!」
ルピフォ「リトロォォォォ!!!」
ルピフォの怒りの声を最後に僕はビットに抱えられながら街へと向かった。
そして案の定僕は最初にきた場所で降ろされる。
そしてビットは僕に向き直って、僕をほめた。
ビット「君はすごいよ!あのルピフォと互角に戦うなんて!」
しかし僕は喜べなかった、そりゃそうだ。
僕はおじさんを……マルクドを殺したんだから。
しかもたちが悪いのは僕が全く記憶にないという点。
気が付いたら、殺していたなんてそんなの……
僕「うっ!……」
ビット「!?」
ノブレス人やこの世界と同じじゃないか。
そう思うと吐き気がまた押し寄せてきた。
僕は一体どういう奇術を持っているのだろうか?
バリアだけじゃないのか?
ビット「大丈夫?」
そういって心配そうに僕を見るビットを眺めているうちに吐き気は収まり、その代わりに疑問が浮かび上がってきた。
僕「あの……ルソアさんはどこに行ったんですか?」
何で僕は今までルソアの事を忘れていたのだろう?
しかしビットは目を泳がしながら首を横に振るばかりだった。
僕「?なんですか?どういうことですか?」
そう言ってもビットの動きは変わらなかった。
この動きに何かがあるのだろうか?
死んでいるのなら死んだと伝えればいいだけの事それを言わない時点で何かある。
僕「…死んではないんですか?」
ビット「…うん」
ビットはゆっくりと頷く。
その顔はどこか、悲しそうな雰囲気がした。
僕「では、どこにいるんですか?」
ビットはまた首を横に振るが、聞いてはいけないと目で伝えてきた。
ルソアさんは一体どこに行ったのだろうか?そしてなぜビットはそのことについて教えてはくれないのだろうか?
ビット「…おっと、もう情報が届いたようだね」
ビットはボロボロの家の住人を眺めならそう言う。
住人は槍のようなものを持ち、盾を構え、臨戦態勢を取っていた。
明らかに、敵として僕たちを認識しているようだ。
ビット「昨日の今日でまた逃げるのか…」
そう言ったと同時に、一人の住民が何かを呟く。
住民「あkljlだjぃ」
その瞬間、ビットは目を見開き、血を吐きながら吹っ飛ばされる。
住民「ハハ…!やったぞ!あとは雑魚のあいつだけだぁ!!」
一人一人が希望に満ちた笑顔だった、しかしそれはなんでだろうか。
何故僕たちを殺すことで希望が芽生えるのだろうか。
この世界はやはり腐ってる
何もしてない人までもが死ぬんだもの。
僕には怒りと似て非なる別の感情が宿り始めていた。
そしてまた住民は何かを呟く。
住民「ぁkじゃjsだjぃj」
そう言い終えた時だった。
??「ようぅぅケ?」
僕の前に何かが現れ、周りの動きがゆっくりになっていく。
??「お前が宿主かぁぁケ?」
黒く渦巻いた巨大なナニかが僕を囲うように回る。
黒いナニかは僕の目の前で動きを止めると、手のような何かを作り、差し出す。
そして僕に言う。
??「力を上げるよぉぅぅケ?触ってぇぇケ?」
触れば僕は力が手に入るのだろうか。
住民の奇術はもう使用されている。
つまり今死にたくないのであれば、この手を取るしか僕には助かる方法がない。
しかし、こんな怪しい奴の手を取っていいのだろうか。
黒いナニかは手をさらに差し伸べて言う。
??「はやくぅぅケ?」
ビットはやられ、サリーも死に、ルソアに至ってはどこにいるかも知らない。
僕はこの人たちの役に立てたのだろうか?
いや、一回も立ってない、そう思った僕は黒いナニかに手を伸ばす。
そこで僕の記憶は…途切れなかった。
黒いナニかの手に触れた直後、黒いナニかは僕の手に吸い込まれていく。
そして僕の体に何かがみなぎる。
気が付くと僕は手をまえに出していた。
そして一言
僕「limit解除 奇術 想像」
僕の前にバリアができ、何かが弾ける。
パァン!!
住民「!?…何が起きた!?空気玉が弾けたぞ!?」
そこからは酷く単純だったよ。
何せ、殺すだけだもん。








第二話(その2) 黒いナニか