ダーク・ファンタジー小説
- 第五話(その2) ( No.18 )
- 日時: 2023/07/11 18:06
- 名前: 味海 (ID: qWWiRdBA)
酒場での出来事から2時間後
「君に伝えないといけないことがある」
兎顔のそいつは汗だくになりながらもそう言う。
それを聞いた僕は本当の絶望を味わうこととなった。
「ルソアを止めてくれ」
兎顔……ビットは僕の目をじっと見て、必死にお願いをしてくる。
が、僕は相変わらず絶望のどん底にいるのだった。
そりゃそうだろう、さっきまで拷問されていてやっと助かったと思ったら今度はルソアを止めろって?
無理難題にもほどがあるだろう。
「ルソアを食い止められるのは君しかいないんだ」
そう言うビットの呼吸は次第に荒くなっていく、何かをこらえるかのように。
「……」
僕はどうしたらいいのだろうか、とにかk―――
「ルソアァァァ!!!!」
その声と共に、僕の体は宙に舞った。
誰かに顎を思い切り蹴られたのだ。
僕はとっさ何とか受け身を取ったことで軽症で済んだがそのまま硬い地面に激突する。
その瞬間僕の視界が真っ赤に染まり、体中から力が抜けていく。
「てめぇ、何でここに!」
ビットの声が聞こえる。
どうやらルソアと話をしているようだ。
「そんなことはどうでもいい、こいつはもらっていく」
そう言うと僕は誰かに運ばれ始める。
恐らくルソアが片腕で持っているのだろう。
そこで僕の意識は糸の千切れる音共に消えたのだった。
「行かさねぇよ、はぁ、ルソア!」
僕はとにかく叫んでみる。
ルソアはまだこっちにいるはずだ。
そう思っていたからだが、それはルソアの一言によって無残にも消え失せることとなる。
「俺はこの世界を変える、そのためにはこいつは必要だ、ずっと探していたんだこの機会を逃がしてなるものか」
そう言ったルソアは指を鳴らし、消えると同時にその場に白い仮面をつけた何かが僕の前に現れた。
「こんにちは、貴方を足止めするために来ました、白島と申します、冥途の土産にでも覚えていってください」
そう言う、ソイツの体からは煙が出ている。
爆弾……!?
そう思った時にはもう遅い。
何故なら
全てが
彼に託されているのだから。
「ごめん」
そう言った僕の目にはおそらく漆黒に染まった瞳が映し出されているであろう。
僕は昔から周りと何もかもが違っていた。
頭も、肉体も、奇術も、もちろん顔だって。
だからずっと思っていたんだ。
僕は
「最強なんだぁぁぁぁ!!!」
奇術level解放
「アマテラスオオミカミ!」
第五話(その2) 最高神、天照大神