ダーク・ファンタジー小説
- 第七話(その3) ( No.24 )
- 日時: 2023/09/20 20:43
- 名前: 味海 (ID: qWWiRdBA)
「閃光弾を使うなんてやりすぎだったかなぁ……」
俺がいるここは森の中にひっそりとたたずむ洋館である。
いつ、だれが、何のために作ったかは定かではないが、とにかくここは洋館のはずである。
俺はそう思いながら自分が目の当たりにした意味の分からない空間を相変わらずにらみつけた。
少し濁ってて、ぶよぶよしてはいるが普通の空気のような……
「あー!もう来たのー?!」
小さい子供のような声が突然後ろから聞こえ、振り向きざまに俺は手にしていた銃を発砲する
が、
すんでのところで躱され、逆に俺の頭がそのまま跳ねられる。
「もーダメだよ♪僕の気配ごとき察しないと!」
「と言われましても……」
血だらけになった小刀のようなものをくるくると回しつつ、男の子は俺の首を手にするとこちらへパスをした。
すかさずキャッチをする俺、そしてそのまま首に取り付ける。
「ありがとうございます」
「いえいえ♪じゃあ入口まで案内するからついてきて!」
男の子……いや、彼の名は、
イサ・ノルベール
かつてあったオシャッシ―連続殺人事件の犯人であり、わずか9歳で人を手にかけ、彼に関わった者すべてを殺してきた、そんな人物なのだが
現在なぜかこのアルハマスに所属している。
そして何より、一番彼の恐ろしい所は、
奇術、人殺し、である。
その名の通り、人を殺すことで発動される。
そしてその発動した際の内容は……
「着いたよ♪」
っとそんなことを考えている間に洋館の入り口に着いたようだ。
彼は持っている小刀をその入り口と呼ばれるところに刺すと、その瞬間ぶよぶよとしていたものが破裂する。
音は出ないが相変わらずこの爆発にはなれないな。
「はーい♪入ってい入って♪」
彼はそのままドアノブをひねり、中へと案内をする。
「こっからまっすぐ行って二番目のドアに入ってね♪」
彼はそう笑顔で、狂気じみた笑顔で、
「……せいぜい死なないようにね♪」
「ふぅ……あー疲れたぁ……」
俺はもげた腕を接合しながらそう呟く。
あそこで彼と別れてからは大変だった。
いきなり火の玉はでるわ、ナイフはとんでくるわ……もはや地獄絵図だったよ。
「フフッあなたって本当に死なないのね」
「まぁ、はい……痛覚はあるんで痛いんですが」
「でも、もう慣れたでしょ?」
「まぁ、そう、ですか、ね~……」
俺の前には今は女がいる、白いシスターの服を着て、十字架を握り締めた女がね。
彼女の名はリルト・ノルベール、さっきの子の妹である。
「それにしても、みーんな遅いね、君が来てくれなきゃこの部屋八つ裂きにするところだったよ」
ニコニコとした顔で僕を見つめながらそう彼女は言う。
「まぁ、暇つぶしにもならないけどね」
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「ノ、ノブレス⁉⁉」
僕はとっさにそう叫んでしまった。
やばい、このまま僕は殺されるかもしれない。どうにかしてここからキヤと逃げる方法を……
そんなことを必死に考え始めた僕に彼女は慌てながらも返してくる。
「ち、違いますよ!!」
その瞬間、部屋にあった花瓶が大きな音を立てて割れ、この場を静かにさせると彼女は落ち着きを取り戻したかのように静かにこう答えた。
「私……私は、今のように奇術が使えるのでトレイトのはずです……」
「って言われてもな……」
あの子のような人はそうそういないはずなんだけどな。
そもそもサリーさんだけで戦争の引き金になりかけたっていうのにこりねぇなホント。
とりあえず僕は彼女の話を信じてみることにするのだった。
「はぁ……」
「?どうしました?」
「いや、これからどうしようかと思ってな」
第七話(その3) 人殺しになるところだったな