ダーク・ファンタジー小説
- プロローグ4 ( No.4 )
- 日時: 2023/03/22 19:03
- 名前: 味海 (ID: qWWiRdBA)
サリーと出会った場所とは少し違う花畑の中、僕は確信した。
あぁ、やっぱりだ。
もう涙が出ない。
サリーを思い出すのにも体が抵抗する。
がたがた震える。
サリーは本当にいい人だったことはこの人の顔が物語っているのに。
オーク「今更だが…俺の名前はルソア・モルト、ワープの奇術を持っている。スキルのレベルとし
ては3で、サリーとは幼馴染の関係だ」
ルソア「お前は、サリーと同じハーフか?」
サリーと『同じ』?ハーフ?いったい何のことだろうか?
そもそもサリーはどうやってこの人に伝えたんだ?
僕の話は聞いてないのか?
とりあえず僕は一番気になっているハーフについて聞いた。
僕「サリーさんがハーフ?ってどういうことですか?」
ルソアは驚いたような顔をすると、少し悩み眉間にしわを寄せつつ僕に聞いてきた。
ルソア「…聞いていないのか…本当に聞きたいか?」
僕はルソアの目を見て力強くうなづいた。
ルソア「そうか…」
そこで僕はとんでもないことを知ることになる。
サリーはノブレス人の父とトレイト人の母から生まれたというのだ。
そして3年前両親二人とも殺された。
父親の親友であったルソアの父によって。
ルソアの父はその際、国にもこのことを報告したらしく、
サリーは逃亡生活を余儀なくすることになる。
最近引っ越してきたあの街の人たちも薄々気づいていたらしく。
この街から出ていけなどと脅迫じみた手紙を何通も送っていたようだ。
そして、僕がサリーの家に止まった時、ノブレス人の敵国が『たまたま』あの街に夜明けの時間帯に毒ガスを落としたようだ。
ここからはルソアの考察らしいが、一つ一つ説明してくれた。
まず、なぜ街の人たちがサリーの家に集まっていたのか。
おそらく、サリーへの怨み文句を言いに来たのだと思うそうだ。
しかしみんな言う前にサリーの家の前で死んでしまった。
唯一言えた人も、サリーも家の中で死んでしまった。
そこで疑問に上がるのがなぜ僕は毒がそこまで効いていなかったのか、
それはおそらく…
ルソア「サリーの奇術のおかげだろう」
ルソアは冷たい声で言う。
サリーの奇術は触った相手の運気を跳ね上げる、というものらしい。
最後の力を振り絞って僕に触ったおかげか僕は生きているのだろうとのこと。
その運のおかげか戦闘機の落とした爆弾が、
ほとんど僕のほうには当たらず家のみが周りの火によって燃えたんだろう。
その家が燃えている時にルソアが到着し、ワープして今に至たった。
とルソアは考えているらしい。
僕「…」
言葉が何も出なかった。
サリーは全世界の人の悪と戦ってたんだ。
それを僕が知らず、サリーを殺してしまった。
全部僕の所為だ。
いや違う。
ノブレス人の所為か?いや違う
ルソアの父の所為か?いや違う
悪いのは
優しい人、何もしてない人に対して差別を許し、その人たちを殺した悪人がのさばるこの世界だ。
僕の所為じゃない。
この世界だ。
いやだ、違う。
僕の所為じゃ。
ない。
僕「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!」
気づいた時には僕は絶叫していた。
突然の絶叫に耳をふさぐルソアが見えたのを最後に、
一つの決意を胸にまた気絶したのだった。
プロローグ4 一つの決意
次回へ続く…