ダーク・ファンタジー小説
- 1日目 ( No.1 )
- 日時: 2023/10/22 21:58
- 名前: オコボ ◆TVCSPRoRFE (ID: jo2UR50i)
目覚めると、そこは草原であった
肌寒さを感じ… というか全裸だ
…。
暫く呆然とたたずむ
体を登ってくるアリを払って
立ち上がり辺りを見渡す。
幾つもの丘の向こうのに
なんとも牧歌的な
構造物の連なりが目に入る。
村であろうか?
というか寒い
尻の土を払う。
払ったつもりだが
虫が這う感触があるので再度払う
背中にもいるので
払おうとするが届かない。
…。
あきらめて辺りを見渡す
視点が高くなったので
より遠くまで見渡せる。
よく観察すると
丘が奇妙な気がする
草丈はこの場と同じものが
続いているとしたのならば
叢が暗いのだ。
「深い」というか…。
穴だろうか?
穴だとすれば
丘中、穴だらけだ。
非常に高い密度で分布している
大きさや深さははわからない
あれほどの数があるなら
視認できる範囲にあるはずだが。
よく見ると、15m程先だろうか。
やや左前方に直径3m、50cm程の
深さの緩やかな窪みがある
全体に分布しているのだろうか
窪みの草はまばらで
石がごろごろしている。
野生動物が関与した地形
というには多すぎる。
首が疲れて、ふと顔を上げると
前方の草が不自然に途切れている
背中を気にしながら
近づいて確認すると
どうやら道のようだ。
枯れた草が道と交差するように
一定間隔で濃淡を描いている。
露出した地面は粘土質で
やや黄みがかっていて
湿り気を帯びている。
水が流れる過程で
枝や葉などを巻き込んで
自然のダムが作られる
それがこのような模様を生むのだ
それにしても綺麗な模様だ。
少しくらい歪でもいいはずだが
無数にあるランダムに
こういったものが紛れてるのが
自然か。
ふと、
道を外れた草の根元に
白く丸いものが目に入った。
直径10cm弱の発砲スチロールの玉だろうか。
軽くつついてみるが、地面に引っ付いて転がらない。
ああ。これは、キノコだ。
「オニフスベ」
というキノコによく似ている。
発生したての小さいものを
食用にできるらしいが、
好んで試そうとは思はない。
なんでも、名前の判明している
キノコの種類は
キノコ全体からすればごく一部で
大多数は
「よくわからない」
キノコであるらしい。
つまり、食用可能な
「オニフスベ」
によく似た毒を持つ
未知のキノコである可能性もある
と考えて。
自分としては、素人としては手を出すことを控えるべきと考える。
なので、
眺めて愛でるだけにとどめる。
Yes,キノコ No touch
というわけだ。
ザァァァァァァァァァ…
そのとき、草が一斉にざわめいた
風が吹き始めたのだ。
そして
太陽が傾き
日が暮れつつあることに気づいた
なじみのない匂いを感じる。
益体もないことを思案するうちに
すっかり時間が過ぎてしまった
…さて、村を目指すしかないが。
この恰好のまま訪れることに
非常に強い抵抗感を感じる
背中を掻きながら
そんな不安を覚えるのだった
そして
私のキンタマーニが
「キュッ」
となるのであった。