ダーク・ファンタジー小説
- 1日目 道 ( No.2 )
- 日時: 2023/10/22 22:01
- 名前: オコボ ◆TVCSPRoRFE (ID: jo2UR50i)
村に向かう道は未舗装路であり
尖った石が多く非常に難儀である
この分では遠からず
足の裏は血まみれになってしまうかもしれない。
さて、前述した穴であるが。
緩やかな窪みは
実は少数で
最小は幅1mで 深さは視認できるもので約5m以上<2階相当>もある穴が随所に見受けられた。
もし暗くなってから
動き始めた場合落下の危険が大きくなったことだろう。
何故穴だらけなのか謎である。
人の仕業だろうか?
穴の壁面を観察しても
何か道具の痕跡がみられず。
作業に使った道具が置き去りにされていたりもしなかった。
土を掘るわけだから、大量の容積をいずれかに運び去らなければ
捨てられた土砂が積みあがった小山があってしかるべきだし。
運び去ったなら
轍がみられるはずである。
が、見当たらない。
非常に不可解な地形である。
いったいどんな過程で
出来上がっていったのだろうか
謎である。
そんな平原を通る道は
丘の斜面などお構いなしで。
アップダウンを避けるように
曲がりくねった道ができるはず
素直に直進していて。
穴を中途半端に埋めて無理やり
道を通し、激しく上り下りを
繰り返す形になっている。
斜度のある道では雨水の通道が
面を深く切り裂きとがった
岩が露出している場所などもある
村の人間は補修しないのだろうか
1時間程歩いて
すっかり日が沈んでしまった。
しかし、町はまだ遠く
あと1時間はかかりそうだ。
村は、少々小高い丘の上にあり。
視界が高くなったせいで辺りを
見渡すことができた。
暗いから、見えないだろうと思われるだろうが。そんなことはない
月が非常に大きいのだ。
昼のように明るく遠くまで見える
丘の上から見渡すと 森が見えた
登ってきた方角と逆の方向には、
森が広がっていたのだ。
おそらく、町と逆側は
丘が視界を遮り見えなかったのだ
そして森の向こう側川と
その先に大きな海か湖が見える。
水平線の向こうで
全体像はうかがえない。
湖であるとすれば、非常に巨大だ
半径5kmはかたいか?
地球であればの話、そもそも。
なぜ、自分は全裸であの場所にいたのか全く思い出せない。
ここは地球なのだろうか。
月が巨大すぎる。
視野角5度位? とにかくでかい。
目の前にこぶしを作り
逆の手でこぶしを重ね。
最初のこぶしを、さらに重ねる
といったことを20回繰り返すと
真後ろを向く。
つまり
こぶしは9度に相当するわけだがそのこぶしの半分ほどもあるのだ
おっと、忘れていたが。
月は、進行方向。
つまり町の方向から登りつつある
であるので町の西で目覚めたのだ
いや、
もし自転の向きが逆である場合は
東になるのだろうか。
まあ、
太陽の登る方角を東としておこう
ところで、
月の公転が地球の自転より
短い周期である場合
太陽の登る方角と逆から登るのか
ううむ。まぁ、保留の流れで。
町の手前2km位か
ハエがやたらたかってくるようになった。
それと、異様なにおいを感じた。
なんというか。
独特なにおいだ。
丘を登ると臭いが変わった
さらに近づくと
糞尿のにおいが混じってきた
村の衛生環境について、かなり。
嫌な予感がする。
村に近づくにつれて
だんだん詳細な様子が
わかるようになった。
あばら家のような、貧相な家屋や
テントといって差支えないようなものなどである。
スラム、というか。
これが標準なのだろうか。
村は丘の上にあり
そこから汚水が流れてきており。
それを避けるように
入り組んだ道が出来上がっていた
雨が降る度流れが変わるのだろう
土質はきめ細かい。
乾燥していたら舞い上がりそうだ
汚川の側で衝撃的なものを目にしてしまった。
はじめは人とは認識できなかった
黒い袋が道端に放置されているのかと誤解したが、その実は。
黒い人が、汚物に顔を突っ込んで俯せに倒れているのだ。
よく見ると、骨ばった腹部側面がうごめいていて…。
ふいに、遠くから
女性の悲鳴が聞こえた。
それ以上は
見ないように足早に通り過ぎる。
体が震える。
ハエがうるさい。
前方のバラック小屋で
うごめく者が目に入る。
足を止めて
しばらく様子をうかがう。
口の中に、ハエが入り咳き込む。
無意識に呼吸が早くなり
口を開けていたせいだ。
じっとりとした嫌な汗。
目に、ハエが飛び込んでくる。
また、悲鳴。
ただ立っているだけなのに
強い疲労感をおぼえる。
座り込みたい衝動に駆られるが
身動きをとることに抵抗感を感じ躊躇ってしまう。
それが余計疲労感を助長させた。