ダーク・ファンタジー小説

二日目 洞窟探検 ( No.8 )
日時: 2023/10/27 22:18
名前: オコボ ◆TVCSPRoRFE (ID: jo2UR50i)

全裸の男は白目をむいて
立ったまま気絶している

「なにこれ」
「Zがどうした?」

全裸の男は、一行の中で勝手にZと名づけられていた
「中に連れてくわけにいかんから
あそこの木にでも
ぶら下げとくか」
一行の中でリーダーと呼ばれる男が指示する
話を始めたほうはZが"殿"と呼んでいた女だ。
最近治癒魔法を実戦レベルまで修めたことで若干天狗になり始めている
赤髪の男がロープの端にそこら辺に落ちている白い石を結んで
崖から張り出した斜めになった
無花果いちじくの木に向かって
投擲とうてきしロープをかける
"蹄"と呼んでいた男だ

「じゃぁ、そろそろ行くか」

困ったもので
コトの直前に脱糞する、という
行為が流行ってしまっている
「クソするほど余裕なんで。」
オレカッコイイという主張?
強いストレスで便意を催す+クソするほど余裕が奇跡のシナジーを引き起こした



まさに悪夢



「槍はしまっとけよ」

一行は槍を武器とするものが多い
槍は安いので駆け出しに好まれ
そのまま使用し続けることも多い
武器の値段は使われる金属の量が大きな要素。
町周辺の脅威は例外を除いて
ゴブリンとコボルドとゾンビと
スケルトンとエレメンタル
スライム類、魚人、人間、熊
いのしし、…まぁ、沢山いる。

ゾンビとスケルトンと
エレメンタル、スライム類は刺突武器に強い

出没する条件が決まっているので避ければリスクを管理できる
スライムは足が遅いので逃げればOK

当たれば、動きが鈍るのであとは流れでどうにかなる
槍はリーチが長く先制できるため
当てさえすればどうにかなることが多いのだ
それ以外と遭遇した場合自信が無いなら戦わないことだ
ここいらで真に気を付けるべきは
虎、熊、バイソン、ワニ
稀にライオンなどだ

彼らからしたらゴブリンと
コボルドなどただのエサであろう
ゴブリンやコボルド程の密度で
分布していないのが救いであろう

最も一部の素材は高値で取引されることがあるので遭遇すれば
幸運と考える者はわりと多い





入って10分程だろうか
石が転がって足場の悪くまったく光のささない暗闇の中を松明の煙に目を細めながら一行は進む

いつの間にか地下河川の水音は遠ざかり一行の反響音が支配する

1〜2人の歪な通路を激しく蛇行しながら下ったり登ったりしながら進む。途中分かれ道もあるが
たいがいは細く進めない
ゴブリンの痕跡を発見する
胸の下の位置の岩棚にコボルドの頭蓋骨がある
彼らは敵対関係である場合がある
来るたびゴブリンが
何かしら飾るのだという
オキニの棚という訳だ。

頭蓋骨を踏み砕いて進む
次回来たときの判断材料とするためだ。




暫く進むと分岐する。
右側に屈まないと進めないような細い通路が現れる。
しかし今までの分岐とは壁の質感が異なる。
放棄された巨大アリの巣と合流したのだ。
ここにも、ゴブリンが潜んでいる可能性があるので 6人向かうこととなった。




それは、狭い通路を20m程も前進した時のこと。前方の暗がりから石斧を持ったゴブリンが
襲撃をかけてきた
最前列を行く重装の男が石斧を
左手で受け止めピックで
頭蓋にトンネルを開通させる。
しかし、後から次々湧いて出る
左手で牽制しつつ掘削を続ける
足元に死体が積み重なる
「下がるぞ!」
予期せぬ事故を恐れて
後退しながら、作業を続ける
後続のメンバーは壁に隙間に松明を押し込みながら後退してゆく
光源を確保するためだ
ついには20m程後ろの割合広い
通路まで押し戻されてしまう
ゴブリンが重装の男の横を
通り抜けてこようとするのを
後ろに控えていた槍を構えた男が突き刺すが錆びた短槍の反撃を受ける。
軽装であったため腹に突き刺さってしまう

「下がれ!」

リーダーの号令で後ろから引戻し
入れ替わりに40cmの円形盾でゴブリンの露出した頭を角で殴りつけ
刃渡り20cm位の大型のナイフを胸に突き刺す
密集状態では取り回しのいいナイフが役立つ
ゴブリンを蹴り飛ばし重装に合わせて後退しながら幅広剣ブロードソードに持ち替える
そのとき石斧が投擲された
だがしかし冷静に盾で弾き飛ばし無手で遮二無二突っ込んできた
相手の胸を切り裂き地面に転がす
重装の最後の掘削工事が終わるとゴブリンわんこそば地獄は終わりを告げた。

早速腹の傷の治療が行われた。
刺さった汚物に汚れた穂先は浅く大事には至らなかったようだ。
応急処置ながら水で入念に
洗い流し清潔な布で拭い去り
包帯で処置した
魔法は必要ないと判断したのだ

全員でバケツリレー方式で
ゴブリンを幅広の通路まで運び
討伐証明部位を切り取る
増殖スピードが異常なので
定期的に間引かなくてはならないので報奨金を出し討伐を奨励しているためだ

全部で43匹にも達した。


右へ緩やかに下りながら曲がる
手彫りの痕跡が残る天井の高い
通路を進む
左が急に開けた三叉路に達した

巨大な空間があった。
遥か天井にぽっかりと1m〜2m位の穴が開いている。
洞窟の地上部を探せば穴が見つかるのだろうが
あそこから降りることは考えたくない。

中央の小高くなった小山の上には石筍せきじゅんをくりぬいた玉座の様にも見える歪な造形物があった。
その背もたれの上に節くれだった手足で身の丈より大きい杖を抱えたローブのゴブリンがしゃがみ込んでいた。

杖の上には幾つもの石塊が浮遊しながら緩やかに回転している
その両側には弓を構えたが2匹とひときわ大柄なゴブリンが控えていた。
そして、周囲の影の淀みには無数のゴブリンの気配を感じた