ダーク・ファンタジー小説

Encount ( No.4 )
日時: 2023/11/08 21:08
名前: オコボ ◆TVCSPRoRFE (ID: GDWSGe53)

 夏服の為むき出しの腕がきずだらけになる、左腕で木との衝突を避けたのですりむいた。
 左足を自転車の下に挟まった形で直ちに動けない。
 背の低い木の枝葉で道路側とを隔ててしまっている。ちょうど嵌りこんだようになったらしい。
 
 
 果たして追跡者の正体は猪であった。
 
 
 
 いのししは地面を数回前足でるしぐさをした後、私へ一直線に向かって来た。
「ヒィィィィィン」
 避けようとするが足を牙で浅く切り裂かれ、やぶれたズボンが牙に絡まり、私の足はいいように振り回された。振り回すうち何度も牙で足を切り裂かれる。
「フガ、フガ」
 いのししの牙がズボンからはなれた。
 こしを抜かしながら上半身全体で地面を掻いて自転車から左足を引きぬく。おそらく服は土まみれだろう。
 いのししは牙でかちあげるようにかちあげながら迫る。
「プゴ」
 ギャロップで前進しながら二度空を切るが、体の上に乗ってあごをかちあげようと牙を突き出した。首をひねってかわすが左目の上を浅く切りかれた。
 何度も牙であごをかちあげようとするが上手くいかずやがて、服にかみついて顔を左右に激しく振り始めた。
 体の上であはれる度腹にひづめが食い込み非常ひじょう苦痛くつうを感じた。
 みるみるやぶけていく上着。
 手ごたえが無くなると今度は、首をひねって顔にかみついた。
 顔の丸みのおかげで、顔の皮膚ひふをややけずるだけにとどまった。
「ゴ、フゴ」
 私はとっさにいのししの顔を右手でなぐりつけたがかたく、また仰向あおむけであるためこしが入らずまったく大した打撃だげきになっていなかった。
 
 私は……
 
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