ダーク・ファンタジー小説

Re: ユリカント・セカイ ( No.7 )
日時: 2024/03/08 15:46
名前: みぃみぃ。 (ID: t7GemDmG)
参照: https://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

【 第八話 不思議 】

泣き疲れた私は体調良くなったと言いながらも少しフラフラしていたのでベッドに飛び込む。
ふう…
疲れた。

*・゜゚・*:.。..。.:*・'

「流華、昼ごはんよー」
お母さんの声がする。
「はーい」
体を起こ…そうとする。
頭が重い。
頭痛、腹痛。
すごく辛かったけどどうにかして起き上がり、フラフラしながら階段を降りる。
「ちょ、流華!?大丈夫!?」
「う、うん…いや、だいじょばない…」
「ぶっ!」
流愛が吹き出す。
え、私なんか変なことした…?
「お姉ちゃん、だいじょばないとか言って印象よくしようとしてるんでしょ!マジキモい!このぶりっ子!」
「え、いや、そんなこと…」
「…流愛。いい加減にしなさい」
「はー?流愛は本当のこと言ってるだけなのになにが悪いわけ?あ、分かった正論言われて恥ずかしいんでしょお姉ちゃんー!」
「だから、ちがっ…」
「ふーん、違うんだ笑」
流愛が鼻で笑う。
心の中で、はいそうです、と答える。
「流愛、いい加減にしなさい!」
お母さんが怒鳴る。
「…はーい」
流愛が不満そうに言う。
「で、流華…ちょっとベッドに寝ておきなさい!昼ごはんは持って行くから…」
「わ、かった」
流愛が鼻で笑う音が聞こえたが気にせず部屋に戻る。
ふう、頭が痛い…
私はベッドにダイブした。
はあ、流愛と話すだけでめちゃくちゃ疲れる…
そして眠い…
うとうとしているうちに私は深い眠りについた。

*・゜゚・*:.。..。.:*・'

「んん…」
なんとなく目が覚めたので体を起こすと、5時だった。
…え、つまり5時間寝てたってこと…?
そんな自分が信じられないままおどおどしていると、そこにお母さんがやって来た。
「流華…やっと起きたわね。体調はどう?」
「あ、うん、大丈夫そう」
「よかったわ…あと流華、流愛の言うことは気にしなくていいからね」
「…うん、ありがと」
そう言ってお母さんに昼ごはんをもらう。
お母さんは私のことを分かってくれている。
そう思うと少しホッとした。

*・゜゚・*:.。..。.:*・'

昼ごはんを食べ終え、一階に降りる。
いつもなら少し眠くなる時間帯だが、さっき寝たおかげで全く眠気が襲ってこなかった。
「お母さん、これ」
「はーい」
お母さんと少しだけ会話を交わし、お皿を渡して部屋に戻る。
そして夏休みの宿題のノートを広げる。
えっと…社会からやろう。歴史か…
まあ得意だからいいか、と思いながら問題を解き始める。

「お姉ちゃん。お姉ちゃんなんだから、数学わかるよね?教えてよ」
社会が半分くらい終わった時だった。
流愛が急に言ってきたのだった。
『お姉ちゃんなんだから』
その言葉が頭の中で響きながらも答える。
「うんいいけど」
「うーんとじゃあ、まずほーてーしきってなに?」
「えっと…」
そこからかよ…はじめに習ったじゃん…と思いながらどこから言えばいいか考える。
「えっと方程式って言うのは…当てはめれば答えが出るやつで、よく使うんだけど…」
「はあ?もっと簡単に言ってよ意味分かんないー」
「え、もう簡単に説明してるんだけど」
少し怒りが芽生えた私は冷たい口調で言う。
「はあ?もういいお姉ちゃんのバカ!お母さんに聞くから!」
「流愛が聞いてきたのになんでそんなこと言うの!?」
私の口からいつの間にかそんな言葉が出てきた。
「…お姉ちゃん、変だね笑」
流愛はそう言って去っていった。
…そうなのかな。
確かに変なのかも。
……流愛の言うことに納得する自分が恥ずかしかった。

*・゜゚・*:.。..。.:*・'

「流華、夜ご飯よー」
お母さんにそう声をかけられ、一階に降りる。
もうそんな時間だっけ?
「はい、今日は魚の煮付けね。流華が好きなやつ」
「ありがとう、お母さん。でも私お腹空いてない」
「ああ、そうだったわね、昼ごはん食べたの5時だったもんね…」
「ちょっとあとで食べるね」
「分かったわ」
流愛が『魚の煮付けやだー!』って嘆いているところを通り過ぎて階段をのぼる。
はあ、なんで私流愛と双子なんだろう。
年の差があればきっとこんなことにはならなかったのに…
そんなことを考えながらベッドに飛び込む。
…何しよう。
宿題、社会だけでも終わらせるか…
そう思い机にノートを広げて問題を解き始めた。

*・゜゚・*:.。..。.:*・'

社会が終わり、国語を少しだけ始めた時。
なんとなくお腹が空いてきたので一階に降り、夜ご飯を食べる。
「お母さん、今何時?」
「今9時よ。流愛は明日友達と遊びに行くからってすぐ寝たわ」
「へー」
流愛、寝るの早すぎじゃんと思いながら食べる。
友達、かぁ。
木村さんかな。
木村さん…木村 凛子さんは私が小学校の時からずっといる、クラスの中心的存在だ。
みんなに好かれている。
ちなみに、雪ちゃんのことが嫌いで、ついでに私のことも嫌いなんだと思う。
先生のご機嫌取りみたいな感じだ。
私は木村さんのことは苦手だ、流愛よりはマシだけど…。
…友達か、流愛にはいっぱいいるよね…
ちょこっとだけ羨ましかった。
まあ私には雪ちゃんがいるけどね!
…でも今はいつもより会いたくない気持ちの方が少し強い。
夜ご飯を食べ終わり部屋に戻る。
10時か…
お風呂入ってこよう。
そう思い洗面所に行った。

*・゜゚・*:.。..。.:*・'

お風呂からあがると、流愛がいた。
「え、流愛なんでここにいるの」
「お姉ちゃんがうるさいから起きちゃったんだー。お父さんとの約束守れなかったあ。」
お父さんとの約束と言うのは、夜は必ず子供は8時間、大人は6時間は寝るというものだ。
流愛がこの約束を守るのは納得がいく。
私はお父さんのことはあまり好きではなかったけど、私たちの健康を守ってくれていると思うと嬉しくて守っていた。小さい頃までは。
最近は面倒くさくなって守っていない。大体7時間くらいしか寝ていない。
「起きてからどのくらい経ってるの?」
「10分」
「そのくらいなら10分多く寝ればいいだけの話でしょ!?」
「はあ?お姉ちゃんお父さんの話全く聞いてないね!つ・づ・け・て!8時間寝るの!お姉ちゃん最っ低だね!」
続けての部分を強調される。
少し苛つく。
そんなこと言ってたっけ?
私は少し昔のことを思い出す。

「流愛、流華。君たちのためにお父さんは考えた」
冷たい口調だった。
「それは、続けて8時間寝ること。」
「え、お父さんとお母さんには決まりないの?」
流愛が不思議そうに言う。
「ある。続けて6時間は寝ること。」
「6時間…?少ない…」
私は声を発する。
「大人は家事をしたり仕事に行ったりしないといけないから少ないんだ。これも君たちのため」

そうか…
確かにお父さんは続けてと言っていた。
流愛に言い返せない。
すると私に謎の恐怖が襲いかかってきた。
咄嗟にダッシュで洗面所を去り、自分の部屋に駆け込んでいた。
「…え?」
自分が信じられなくなり、思わず声を出す。
…私、流愛に言い返せなくなって逃げたわけでは…ない。
それは確実だった。
いつもの私ならきっと、謝ってじゃあこうしたら、と提案したはずだ。
…きっと言い返されるだろうけど。
逃げることなんてする訳がない。
色々と考えていると、ガタッと音がする。
なんとなく恐怖を感じ振り向くと……そこには一通の手紙が置いてあった。
不思議に思いながらも手紙に目を通す。
『橘 流華さまへ
 この手紙は、ユリカント・セカイの招待状です。』
そこまで読んで顔を上げる。
ユリカント・セカイって何?
そしてなんで私の名前を知っているの?
…もしかしたらその答えが書いてあるかもしれない。
そう思いもう一度手紙を見る。
『ユリカント・セカイとは、自分の名前が嫌いな人が毎年7/31 11:59〜8/1 3:00までペンネームで過ごせる異世界です。
 全国から1000人程度の人が集まります。
また、全員中学一年生以上です。
 ユリカント・セカイは異世界です。ですから、普通の人は知りません。普通の人…つまり、ユリカント・セカイについて知らない人にユリカント・セカイのことについて話した場合、この世界からはもともといなかったものとされます。
 ただし、その後ある試験に合格したらこの世界に戻ることができます。その場合、行方不明だったけど見つかったシチュエーションかそれまでもずっといつも通り暮らしていたシチュエーションかどちらかを選ぶことができます。また、条件も設定することができます。
 ユリカント・セカイに行きたい方は以上を必ず頭に入れ、下の欄にペンネームを考えてお書きください。下の名前だけでOKです。
 質問等はユリカント・セカイに行った後受け付けます。ユリカント・セカイに一回行っても7/31 11:59までは戻ることができますのでご安心ください。
 行きたくない場合はこの手紙を閉じ、7/31 11:59までどこかにそっと置いておいてください。自動的に消えます。
 間違えて手紙を閉じてしまっても一度開けてペンネームを書いておけば消えることはないのでご安心ください。
 それでは、異世界へ行ってらっしゃい。

 7/31 案内部長 黒川 フェアリーナ』
私は信じられず、息がピタッと止まる。
意味が分からなかった。
とりあえず状況を整理する。

私はユリカント・セカイという自分の名前が嫌いな人が集まる異世界に招待された。
ユリカント・セカイのことについて知らない人に教えてはならない。
教えたら、この世界にいなかったことにされる。
試験に合格すれば戻ることができ、シチュエーションを選べる。
行くにはペンネームを書けば良い。
質問はあとでできる。

…これは行くしかない。
なぜか私の中で確信があった。
よく分からなかったけど。
私は枠にペンネームを書こうとする。
うーんと…
流々るるにしよう。
少し考えた後思う。
とにかく“華”だけは入れたくない。そう心の中で叫ぶ自分がいるから…。
あと、私の好きな人…小鳥遊くんとも関係がある。
今は小鳥遊くんに会いたくないのも事実だけれど。
小鳥遊くんの名前の留姫亜の“留”も“る”と読むから、私の“流”と留姫亜くんの“留”を踏まえて“流々”だ。
よし、これで完璧だと思い枠にペンネームを書く。
………ユリカント・セカイに、小鳥遊くん、いるかな?
留姫亜って珍しい名前だし、あり得る…かも。
それに期待もしているし、恐怖も感じている自分がいた。

*・゜゚・*:.。..。.:*・'

暇だなぁと思って軽く目を瞑ってベッドに横になっていると急に体が軽くなった。
「…え?」
思わず目を開けて体を起こすと……そこは見たこともない、紛れもない…異世界だった。
「ようこそ、おいでくださいました───。」
「だっ…誰?」
そこには、妖精がいた。
そういえば招待状の最後に黒川フェアリーナって書いてあったから、その人だろうか。
というか、人じゃない…。
「私は伊織 シャウナです、案内副部長です。フェアリーナ部長はあちらにいらっしゃいますから、そちらへどうぞ。」
フェアリーナさんじゃないのね、シャウナさんか…。
みんな名前が特徴的すぎ…。
というか、ここがユリカント・セカイか……
戸惑っていると、シャウナさんが教えてくれた。
「あちらですよ、あの水色の髪の毛の青緑色のワンピースを着た人がフェアリーナ部長です」
その人…じゃなかった、その妖精は片手に簡単に乗りそうなシャウナさんより大きく、両手でやっと乗るか乗らないかくらいの大きさだ。
小さいのには変わりないが。
「…、あ、の……」
「あら、流々さん、こんばんは。質問はあちらで。」
「…………!?」
やっと現状が理解でき、周りを見回すと……。
何もかも信じられなかった。
これは異世界。
それだけはわかった。
でも、私が想像していた異世界は真っ白で色が少し失われたような感じだったけど、ここは違う。
いや、そこも含めて異世界なのかもしれない。
なんて考えているといつの間にか質問をするところ?に着いていた。
「なにか質問はありますか?」
「あ、えっと………試験の合格率ってどのくらい、なんですか?」
「そうですね、大体40%くらいです。」
「は、はあ……。」
理解が追いつかない。
「他にありますか?」
「え、えっと……」
「無いならあちらに行かれてください。」
「……………小鳥遊 留姫亜くんって…いますか?」
ああ、聞いてしまった。
私は彼のことが気になって仕方がない。
私は…彼のことが好き。
振られてもその気持ちは抑えられなかった。
「ええ、いますよ。留異というペンネームです。」
……嘘。
聞かなければよかった。
居るんだ…。
「えっと…じゃあ行きます」
この場を離れたい。
そう思った。
私がそこに行くと………見覚えのある人が居た。
木村さんだ。
「あ、流華。あんた流華でしょ」
「は、はい……」
やっぱり木村さんだ。
「私、凛子よ。早く行くわよ」
……え?
木村さん、名前嫌いなの?どこが?
……そういえば、五年の時、名前の由来を発表する時に…みんなに『地味』って言われてた。それかな?
「木村さん…」
「やだ、感じ悪い。私のペンネームは凛愛りあ。凛愛って呼びなさい」
「は、はい、凛愛さん…」
「ところであんたのペンネームはなんなのよ」
「えっと、流々…です」
「やっぱりね。華は入れないと思ってた。さっすが私の名推理!」
「……」
私にはそれが名推理に見えなかったのは内緒。
言ったら恐ろしい未来が待っている、絶対。
「流々、ぼーっとしてんじゃないわよ!」
「は、はい…」
私は凛愛さんを恐れている。
それは確かだった。
凛愛さんはどんどん薄暗い道を進んで行く。
「凛愛さん…何回もここ来たことあるんですか?」
「あのねえ、あんた。招待状ちゃんと読んだわけ?中1からしか招待されないって書いてあったでしょうが」
「ご、ごめんなさい…」
凛愛さん、恐ろしい…。
「こんにちは、凛愛さん、流々さん。ユリカント・セカイに進みますか?」
また妖精に聞かれる。
「ええ、もちろん」
凛愛さんは即答だったけれど私は少し戸惑う。
小鳥遊くんもいるし………。
そう考えていると圧を感じるから凛愛さんの方を向く。
すると『絶対に行きなさい。行かないと殺すわよ』と言っているかのような顔が私に向けられる。
「えっと…………はい」
軽く頷く凛愛さんを見て少しホッとする。
はあ、よかった。
殺されるかと思った……。
「では了解です、ありがとうございます。こちらからご入場ください」
促されるままに入場するとそこはさっきとは違う……真っ白な世界だった。
これが、異世界か…
そう考えていると、フェアリーナさんが入ってきてステージのようなところに立つ
「みなさん、お集まりいただき誠にありがとうございます。案内部長の黒川 フェアリーナです。今夜は思う存分楽しんでいただけると嬉しいです。それでは、ユリカント・セカイ開始です!」
「わー」「なにこれ」「よーし、××ちゃんここ行こー」「すげー!」「ここが異世界、か…」「わ、すごい…」「うーん、どうしよ?」
フェアリーナさんが開始と言った瞬間ザワザワと騒がしくなる。
そんな時だった。
美空異みらい、だ…」
………あの人の声だった。
そう………小鳥遊くんだ。
とても騒がしい中、それだけははっきりと聞こえた。
「あ、留姫亜くん。」
声がするからそこを向くと……そこにはすごく可愛い子が立っていた。
「美空異…ペンネームってなにに…した?」
「私は絵美えみにした。留姫亜くんは?」
「ぼ、僕は、留異るいにした」
「えーなんで異、入れたの?私の名前の一番嫌いな文字なんだけど笑」
「うっそ…、笑」
美空異と呼ばれた人と小鳥遊くんはどんどん話を進めていく。
そんな中私は胸がちくりと痛む。
私、やっぱりまだ小鳥遊くんが好きなんだなあ…。
だってこれは、絶対に嫉妬なのだから…。
「あの人…カッコいい」
小鳥遊くんを呆然と見つめていると隣にいた凛愛さんが小鳥遊くんを見ながら言う。
「え…」
「好きなのかも、なあ。恋愛ってこーゆーのなんだ。」
「……ッ!」
私は居ても立ってもいられなくなりその場にしゃがみ込む。
「ん、流々?あんたもあの人好きなわけ?」
凛愛さんが私の異変を察したのか聞く。
私はガクガク震えながら頷く。
「ふーん、じゃあ」
「な、なんですか…?」
「あの人の名前と好きな人聞いてきなさい」
「…え?」
「んだーかーら!あの人の名前と好きな人聞いてきなさいって!あんた本当に耳おかしいわよ!」
聞き間違えかと思ったけれど違うっぽい。
「わ、分かりました…」
「じゃあ私はここで待ってるから」
ああ、頷いてしまった。
いくら凛愛さんだとはいえ、小鳥遊くんとこれ以上話したくないのが本心だ。
頷いてしまった自分が恥ずかしくてしょうがなかった。

「ぁ………ぁあの、すす、好きな、人、って、誰で、すか…………?」
私は恐る恐る小鳥遊くんに声をかける。
「美空異。ユリカント・セカイでは絵美」
やっぱり小鳥遊くんは私のことを私って分かっているのだろう。
名前は聞かなくていいか…。知ってるし。
美空異ちゃん、か…。
あの、可愛い子なあ…
どことなく羨ましかった。
すると小鳥遊くんはどこかへと消えてしまった。
まるで、『用は済んだのか?それなら先に言え』と言われているような気がして、胸が締め付けられる気がした。

「り、凛愛、さん…。き、聞いてきました」
凛愛さんに小鳥遊くんの名前と好きな人を伝える。
「分かったわ、じゃあ次は美空異ってやつの好きな人とついでに苗字も聞いてきなさい」
「…ええ……」
正直、抵抗があった。
小鳥遊くんとは知り合いだったからどうにか聞けたけど、美空異さんは赤の他人だ。流石に私でも無理だ。
「嫌なら好きな人だけでもいいから!」
「……」
私は黙り込む。
「はあ?もういいわ私が聞いてくる。美空異がいる場所を突き止めなさい」
こういう時に私の記憶力は役立つ……あんまり使わないけど。
美空異さんはさっき小鳥遊くんと喋っていた子で間違いない。
「えっと…あの子です」
私は美空異さんを指差す。
「分かったわ、じゃああんたはここにいなさい」
凛愛さんは美空異さんのところに躊躇ちゅうちょもなく行く。
すると美空異さんと話し出す。
10秒ほど話して、帰ってくる。
どんだけ早いんだ、恐ろしい…。
「いないらしいわよ、ちなみに苗字は有栖川ありすがわ
流石、凛愛さん。早すぎる…。
「さ、私は留姫亜くんの目を引くように頑張るからあんたとは離れるわね」
そう言って去っていく。
すると急に不安が襲ってくる。
その時に、凛愛さんの力強さを初めて感じた。
流愛の気持ちも分かるような気がした。
……ダメダメ、凛愛さんはライバルなんだから………。
でも不安はいつまで経っても消えなかった。