ダーク・ファンタジー小説
- 黄色に輝く黒死蝶 前編 ( No.27 )
- 日時: 2023/12/27 17:19
- 名前: シュン (ID: evp0hpRa)
終わった書類を提出箱の中に入れる。
いつもとは違う少し軽い書類の音が響く。
ドサッ
苑「、、、今日の仕事は案外少なかったな。」
自分の部屋に帰ろうかと席を立つ。
ガチャ
急に開いたドアに、すぐ開けた主の目処はついた。
苑「はい?」
愛「苑〜」
苑「ハァ、、、マタコイツカ、、、愛、なんだ?」
愛「面白いのが入ってさ〜」
苑「おもしろいの、、、???」
愛「事件だよ。」
苑「なんだ?どういう事件だ?」
愛「お、やる気になった??」
苑「で、改めてなんだ?」
俺は喫茶店で改めて愛に話を聞く。
愛「被害者は1人なんだけどね、[被害者は朧家の出身のようなんだ。]」
苑「、、、どういう事だ?」
愛「そうだよね、ボクも耳を疑ったよ」
次元名[朱雀]の十界には界ごとにひとつずつ[代表家]というものがある。
いわばその界のなかでの[1番の名家]。代表家には[当主]がおり、
その当主だけで行われる会議があるほど大きな力を持っている。
その内のひとつ、妖界の[代表家]、それが朧家。
事件はそんなに珍しくないが、
[異世界]、つまり別の界で[代表家]が死ぬ、それはかなりおかしい。
《客観的に見たら》な。
苑「、、、少し気になるし、行ってみることにする。」
愛「さっすが苑くん!!お願いね!!」
苑「ってことで、、、本家に来たが。」
まあいいか。どうせバレないだろう
苑「どうしよう、、、そんな簡単に入れるわけじゃ、、、」
?「あ、あの、、、すみません、、、」
そこに居たのは俺と同じぐらいの年で
赤髪に右目が青く、左が黄色。
この女性は[分家]か。なぜ[本家]にいるんだ?
普段は分家の人間は入れないとお母様が、、、
って、、、考えすぎだな。話すか。
苑「あ、すみません!!」
?「い、いえ、、、朧家に何か??」
苑「事件、、、あったそうじゃないですか、、、えっと、、、俺、、、[調査]に来て、、、」
?「なるほど!!入って下さい〜」
苑「え、良いんですか??」
?「大丈夫ですよ!!」
?「私、朧 茜といいます。」
苑「ご丁寧に、俺は蟹川 苑といいます。」
茜「苑さん。あの事件、詳しく分かっていますか?」
苑「資料にあった所は。」
茜「では分かっているかもしれませんが言わせて頂きますね。」
苑「はい。」
茜「私と良くしてくれていた従兄弟の次男。
朧 芦祢。芦祢兄さんは正真正銘の[本家]でした。
芦祢兄さんは前までは長男の朧 雨。雨兄さんの護衛だったんです。
雨兄さんは次の朧家当主になる予定です。ですが先週、芦祢兄さんが死んだ。
死因は確か、、、朧山の[上からの転落]」
苑「ッ!?」
上からの転落、、、
アノ時ト同ジ、、、、、、分かる。これは、、、
茜「これは、、、絶対[殺人]です。
あの朧山には先代、先々代、ずっと昔の頃にも死者、行方不明者が出たことにより
[巨大な柵]ができているんです。私の背ほどの。」
苑「、、、確かにおかしいですね。[昔はともかく]。」
茜「、、、???まあ本家の人間が死んだとなればそりゃあ分家も集められました。」
苑「なるほど。目処はついているんですか?」
茜「可能そうなのは、、、ってもう会議の時間!?行きますよ苑さん!!」
苑「ふぇ!?俺も!?」
茜「失礼します。」
苑「、、、失礼します」
?「遅いぞ茜。」
茜「すみません。晴兄さん。」
苑「あいつは?(((コソ」
茜「芦祢兄さんの弟の三男の晴兄さんです(((コソ」
苑「ふーん、、、」
?「久しぶりね茜ちゃん」
苑「誰?(((コソ」
茜「芦祢兄さんの姉の長女の舞華姉さんです(((コソ」
苑「、、、親はいないのか??(((コソ」
茜「いません。もう亡くなっています(((コソ」
苑「、、、そうか。」
晴「で、その男は誰だ」
舞華「そうね。見た事ない顔だけれど」
茜「事件の調査にこられた苑さんです」
苑「お邪魔してます、、、」
雨「ゆっくりしていってください。」
翠「、、、( ﹡・・ )」←茜の兄
雨「それで、誰が芦祢の代わりをするんだ?」
舞華「順番的には私ね。」
晴「おいおい、そんな女に出来んのか??」
舞華「そういう所よ晴。人望ないんだからもっといいことしなさい」
晴「は?」
茜「まあまあ、、、」
苑「、、、」
茜「もう夜ですよ苑さん。お部屋をお貸ししますのでもうお休みに、、、」
苑「芦祢を殺したのは家の誰かだ」
茜「え、、、???」
苑「殺したのは朧家の人間だ」
茜「な、なんでそんなこと、、、」
苑「この家はそういう家、、、なんだそうです。」
茜「、、、???」
苑「気を付けた方がいい。明日、死にますよ。」
茜「死ぬ、、、???」
苑「晴が。」
茜「え、、、!?」
〜翌日〜
ドン!!
茜「苑さん!!」
苑「、、、やはりか」
茜「晴兄さんが!!」
苑「死因はどうせ朧山の転落だろう。」
茜「、、、その通りです。」
苑「死んでる、、、なんてこの家では日常茶飯事ですよ。」
茜「え、、、???」
- 黄色に輝く黒死蝶 後編 ( No.28 )
- 日時: 2023/12/27 19:39
- 名前: シュン (ID: evp0hpRa)
- 参照: https://www.kakiko.info/bbs2a/index.cgi?mode=view&no=1639
苑「そうか。死んだか。」
茜「、、、はい」
皐月「遅くなってすまない!!」
茜「皐月おじさん!!」
苑「おじさん??」
茜「亡くなったお母さんのお兄さんなんです。」
苑「なるほどな。」
皐月「誰だ、、、???」
茜「事件の調査員さんです」
苑「では少しお話を。
こんなの聞き流してくれても構いませんが。」
苑「皆さんは先代を知っていますか?
[朧 阿里]さんです。
ですが、この阿里さんの出身は分家だった。
何故でしょう皐月さん。分家は本家の当主になるどころか
本家のこの家にもズカズカ入れませんよね。」
皐月「、、、死んだ」
苑「ですよね。先代は
その皐月さん以外亡くなったんです。
皐月さんは正真正銘本家の人間。だけどその頃はまだ幼かった。
だから十分成長していて23歳の分家の彼が当主となったんです。」
舞華「貴方、なんでそんなこと知っているの、、、??」
苑「先々代は案外平和でした。この殺し合う一家で。」
苑「ずっと前。殺し合いの全てが始まった代。この時の当主は[朧 月音]。
最初は[掟破りを罰する]ことから始まったんです。
ですが、資産の奪い合いで騙し合いが起きたんです。
死人がよく出ました。ですが行方不明者が一人いるでしょう?」
皐月「、、、朧 夏紀」
苑「そう。朧 夏紀。
あの日から消えた1人の少年。」
苑「おっと、少し話が逸れた。、、、正直いって犯人、知りたいか?」
雨「、、、ああ」
苑「犯人、殺人鬼はお前だろ?茜」
茜「ど、どういうことですか!?」
苑「、、、お前、頭が回っていないように見えてかなり回ってるな。」
茜「、、、」
苑「まあいい。俺はこの辺でお暇させてもらおう。」
皐月「ちょっと待て」
苑「、、、」
皐月「お前の名前はなんだ」
苑「、、、蟹川苑。それ以上もそれ以下も無い。」
翠「朧 天音。」
舞華「翠、、、???」
翠「朧 天音だよね。[お姉さん]」
苑「俺が女に見えるか」
翠「僕はお姉さんみたいに本家じゃないからさ。お姉さんと同じ目は使えない。
だけど[視える]から。」
苑「、、、面白い」
翠「、、、じゃあね天音さん」
苑「、、、朧家は安泰か。」
夏紀「姉さん!!」
天音「何かしら夏紀??」
夏紀「杏鈴と遊びに行ってくる!!」
天音「気を付けてね」
夏紀「うん!!」
ダッダッダッ
使用人「天音様、当主様がお呼びです」
天音「、、、分かったわ」
コツコツ
天音「お待たせしました姉様」
月音「座りなさい天音。」
天音「なにか私に御用で?」
月音「夏紀の件です。」
天音「は、、、はい??」ドキッ
月音「最近朧家ではない人間と共に遊んでいるとか。」
天音「、、、それは、、、」
月音「天音。あまり目立つようであれば殺さなくてはいけなくなります。
しっかり監視をしなさい。」
天音「、、、かしこまりました。」
使用人「天音様の髪は美しいですね」
天音「そうかしら??」
使用人「はい。綺麗です。」
天音「ふふ、ありがとう」
使用人「髪は女の命と当主様も言っておられました。」
天音「大事にするわね。」
天音「、、、夏紀。」
夏紀「はい」
天音「あまり出掛けるのはやめなさい。貴方、当主様に目をつけられているわよ」
夏紀「、、、分かりました」
月音「、、、天音」
天音「はい。」
月音「殺しなさい」
天音「え、、、???」
月音「夏紀の事よ」
天音「もう遊びに行っていないはずでは!?」
月音「、、、御託はいいわ。」
天音「姉様!!!姉様!!」
天音「夏紀、、、おいで」
夏紀「姉さん、、、大丈夫?声が震えてるよ」
天音「大丈夫。」
天音「ごめんねッ、、、」
夏紀「えっ??」
ドン______
天音「完了しました。」
月音「、、、そう。」
天音「、、、」
《髪は女の命と当主様も言っておられました》
天音「、、、」
カチャ、、、
ザスッ
その日、[彼女]は[彼]に変わった。
天音「こんな目、、、要らないんだけどな、、、」
その左目に包帯を巻いて。
苑「、、、茜、、、か。[俺]によく似ているな。」
夏紀は無事なのだろうか。
私に会う権利なんて無いとわかっているのに。
どうして会いたくなるのだろう。
黄色に輝く黒死蝶 完
記念☆登場人物容姿
一番上に貼り付けてあります〜