ダーク・ファンタジー小説

何でも屋 ( No.1 )
日時: 2023/12/30 15:06
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

老鶯ろうおう町のとある事務所では、若い男は何でも屋を営んでいた。その男は、この世界では生きにくい無能力者だったが、2年前に開業して、今に至る。
男「…暇だな……」
一人で何でも屋を営んでいる彼にとって、一人だけの事務所は寂しさを覚えた。
この日は事務所をやっているというのに、依頼主が来ない。だから暇でやることがなく、ぼーっとして過ごしているのである。

そんな無駄な時間を過ごしていると、ピーンポーンっという電子音がなった。依頼主がやってきたのである。

男「はい、入っていいですよー」

そういうと、長髪の女性が入ってきた。表情は心なしか、怯えているようにも見える。

男「このソファーに座ってください。」
長髪の女性「…はい…」

元気がなさそうにその女性は返事をし、ソファーに座った。男は元気がないことに疑問を覚えつつ、いつも通りに対応をする。

男「どんな依頼ですか?何でもやりますよ」
長髪の女性「はい…実は私の友人は、2か月前からある宗教に入信していまして…」
男「宗教??」
長髪の女性「はい…友人は、『世界の光教』という宗教にはまっていて、やめようと言っても、聞かなくて…」
男「…なるほど、どうしてそのいかにもやばそうな宗教に入ったか、分かりますか?」
長髪の女性「詳しくは分かりませんが、その友人は『近藤恵子』って言いますが、3か月前にその当時の彼氏さんが亡くなっていて、それで入ったと思います」

男はなんとなく察した。近藤恵子は彼氏を失った悲しみを埋めるために宗教に入ったという事だろうと思った。

男「…それで、本題の依頼は…」
長髪の女性「…そうですね」

長髪の女性は一泊を置いて、こういった。

長髪の女性「恵子をやめさせるのを協力してくれませんか!?世界の光教って、調べてみたらとんでもない宗教ってわかりました。あんな宗教にはまっている恵子を救ってほしいんです!どうかお願いします!!」

長髪の女性は、頭を深く下げて言った。数秒おいて、男はこう言った。

男「…分かりました。その依頼を受けましょう」

長髪の女性は嬉しいのか笑顔になったが、「ただし、」と、男は付け加えた。

男「このような依頼は正直初めてです。失敗するかもしれない、ということは覚えていてください」
長髪の女性「大丈夫です。手伝ってくれるだけでもありがたいです。本当にありがとうございますそれで…」
男「…?…」
長髪の女性「貴方の名前はなんでしょうか?」

彼女は質問したので、男はこう答える。

男「俺の名前は、神谷悠です」

こうして、神谷は依頼を受け、達成をするために動き始めた。

近藤恵子の真実 ( No.2 )
日時: 2023/12/30 17:15
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

長髪の女性が事務所から退出して、神谷は世界の光教について調べ始めた。二日かけて施設の近くの近隣住民に聞き込みをしたところ、分かったことがある。

神谷「…そこまで規模はでかくない感じか?テレビでもやっていたが、少し前から問題がある組織なのは分かっていたが、ここまでとは…」

神谷が聞き込みで分かったことは、”その行動 ”についてである。場所は問題ないが、信者の行動がおかしかった。夜な夜な”施設に集まる ”ことだった。依頼主いわく、近藤恵子は入ってから、やつれていったという。
神谷は、近藤恵子をどうやって戻そうか考え、一つの結論にたどり着く。

聞き込みの二日後、神谷は依頼主に連絡を取った。

神谷「作戦は一通り考えました」
依頼主『どんな作戦ですか?』
神谷「強行突破です」
依頼主『えっ?えっええっ!?』
神谷「だって、色々考えましたが、強行突破で教祖を殴り飛ばした後、近藤恵子を連れ戻すのが、一番早いと思って」
依頼主『いや…そうですけど…失礼ですが、貴方は無能力者ですよ?世界の光教の教祖は、能力者ですよ?』
神谷(失礼だな…)「…頑張ればいけます!」
依頼主『……』

こうして、神谷は強行突破で近藤恵子を連れ戻す事になった。


神谷「本当にいいんですか?仮に死んでも俺は責任は取りませんよ?」
依頼主「大丈夫です。どうしてもしたかったんですから」
神谷「…分かりました。絶対服従ですからね」

依頼主は、なんと神谷のカチコミについてきたのである。神谷は反対したが、責任を取らないという条件で付いてきた。
今は、拠点の前である。神谷と依頼主は進むと、入り口に受け付けはいなかった。今は深夜、信者たちは”集まっている ”のである。壁に貼られた地図を頼りに地下に進むと、お経のような野太い声が聞こえ、扉の前についた。
神谷は、依頼主に問う。

神谷「今からでも間に合います。それでも行きますか?」
依頼主「もう決めた事です。迷いはありません」

依頼主はそう返すと、神谷は扉を蹴破った。部屋にはローブを羽織った信者らしき姿と、中央の台の上にいる教祖らしきおっさんが見えた。
蹴破った音で、神谷に注目がいく。

信者「なっ…なんだお前!教祖様の経の最中だぞ!!」
神谷「はいはい、その胡散臭い教祖のいう事聞いて、何の意味があるんだ?」
信者「なっ…お前!!」
?「静まりなさいっ!」

信者がそう叫ぶと、お経を読んでいた声が聞こえる。信者たちは、その声の方向に向いて、神谷と依頼主もその方向に向く。教祖らしき男は、こういった。

教祖「貴方は何者ですか?」
神谷「俺か?俺は神谷悠。何でも屋だ。隣のは依頼主だ」
教祖「なるほど…どうしてここに?入信したいなら、また明日来てください」
神谷「違う、そういう事じゃない。俺は依頼主に、近藤恵子を連れ戻すようにと依頼された」

神谷はそういうと、教祖はこういった。

教祖「ああ…あの悪魔ですか」
神谷「…?」

そうして、教祖は言う。依頼主にとって、重たすぎる真実を。

教祖「あの悪魔…近藤恵子は、神の教えで、殺しました」

進歩 ( No.3 )
日時: 2023/12/31 22:11
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

神谷「なっ…」
依頼主「…ぇ…」

神谷と依頼主は絶句した。殺されていたとは夢にも思わなかった。

依頼主「…嘘…」
教祖「嘘じゃありません。悪魔は殺しましたので、大丈夫ですよ」

教祖はそう笑顔で言った。周りの信者たちは教祖を尊敬の眼差しで見ていて、本気で信じているらしい。
だが、この事実は依頼主にとって到底受け入れられるものではなく…。

依頼主「なんで…なんで殺したの!!!」

依頼主の悲痛な叫びが、部屋全体に響き渡る。

依頼主「殺す理由が無いでしょ!!なんで…なんで!!」
教祖「教えを信じなかった罰ですよ。教えを信じなくなった…これでは、邪教徒と同じです。神は邪教徒は決して許しません」
依頼主「そんなの、貴方の都合でしょ!自分の都合で人を殺すなんて…最っ低!」

依頼主がそういうと、信者は依頼主を一斉に非難し始めた。「こいつこそ邪教徒だ!」や、「神の冒涜だ!」と、散々罵倒してきた。すると、教祖はこういってきた。

教祖「貴方は、世界の光教に入りませんか?」
神谷「…俺?」

なんと教祖は、神谷に入信を進めてきた。が、神谷は、

神谷「そんな誘いに乗るとでも?俺はこんな所に入りに来たわけじゃない。どうせ依頼主はこの後殺す気だろ」
教祖「…そうですか…」

神谷はそういうと、教祖は突然こんな事を言い始めた。

教祖「皆の者!あの二人は悪魔です!殺してしまわないと、殺されてしまいますよ!」

教祖が言い終えた瞬間、信者たちはいっせいに襲い掛かってきた。隠し持っていたのか、拳銃やナイフを持つものもおり、中には能力者が炎を飛ばしてきた。神谷は依頼主を掴んで、驚異的な身体能力でジャンプし、信者がいない壁際まで飛んだ。

依頼主「あっ…ありがとうございます」
神谷「例はいい。後は任せろ」

神谷は言い終えた瞬間、強力な踏み込みで瞬く間に信者にたどり着いた。瞬時で三人の手刀を首にあて、気絶させた。

信者「悪魔め!」

二人の信者が拳銃を撃ったが、神谷は放たれた弾丸を両手でキャッチし、二人を殴り気絶させた。神谷には、信者を殺すつもりはなく、あくまで気絶させている。
能力者も混じっている信者を無傷で全員気絶させた後、教祖に顔を向けた。
すると、教祖の目はピンクに染まった。

教祖「kaudioanddnhajwhdisdnjehfoniudfsni」

お経を読んでいるのである。教祖の等級はAであり、等級が下の者や無能力者は彼の能力にはまる。だが…

教祖「きっ効かない!?催眠が!?」
神谷「…なるほど…」

神谷は信者の能力は”催眠 ”と分かった。

神谷(能力で催眠し、入信料を取っていたわけか)
教祖「こっこんなことをして、列強が黙ってないぞ!!」

聞いてもないのに教祖は突然こう言い、命乞いをしてきた。この発言に呆れ、手刀で気絶させた。
そして、依頼主に顔を向け、歩み寄った。

神谷「大丈夫ですか?」
依頼主「…大丈夫なわけないでしょ!!大切な友人を失ったんだよ!?」
神谷「…確かに、そうですね…ただ」

神谷は一泊を置いて、こう言う。

神谷「それでも…人は進まなくちゃ、いけないんです。貴方の友人は、進んでほしいと望んでいるはずです」

神谷はこう言うと、依頼主は泣いた。子供のように泣きじゃくった。

そして…神谷たちは教祖を刑務所に送った後、帰った。

ドミナター ( No.4 )
日時: 2023/12/31 21:42
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

二日後の朝、世界の光教についてのニュースがテレビに流れていた。内容は、勿論昨日の事についてだった。

神谷「やっぱり…社会問題になりつつあったこの宗教は、テレビに出たか」

そう呟きながら、神谷は優雅にブラックコーヒーをすする。この日は休みなので、こうしてブラックコーヒーを飲んでいるわけだ。

神谷「…そういえば…」

神谷は昨日の教祖が言っていたことを思い出す。

教祖『こっこんなことをして、列強が黙ってないぞ!!』

神谷(何であいつから列強が出てきた?まさか列強の誰かがあいつと繋がっていたのか?……まさかな…)

神谷はこの時知る由もなかった。この事件をきっかけに、とんでもない展開になっていくことになる事に。


二日後、依頼を終え、依頼金を依頼主から貰った後、神谷がゆっくりしていた時だった。突然、事務所にサングラスを付けているスーツ姿の男が二人入ってきたのである。

神谷「どんな依頼ですか?何でもやりますよ」

いつものセリフを言ったが、男たちの目的は依頼じゃなかった。

男1「私たちは”ドミナター ”だ。貴方には、日本支部に来てもらおう」

そう言ってきた。ドミナターはフランスのマフィア組織であり、世界最大規模である。この組織は、薬物や殺人、売春や密輸など、ありとあらゆる犯罪に手を染めている。本来なら、現実の暴対法のような法律で規制されるのだが、この世界は実力主義である。つまり、ドミナターのボスは相当の実力を持っている。

神谷「…?」
男2「お前は我々と繋がっていた世界の光教を壊滅させた疑いがある。その話を聞くため、ついてきてもらおう」

ドミナターは、神谷が世界の光教を壊滅させたのを感づいていたのだ。

神谷「それは…無理ですね。それに、俺は壊滅なんかさせていませんよ」

そう言うと、男たちは「そうか」と、言ってあっさり帰っていった。この行動に神谷は疑問に感じたが、依頼主が依頼にきて、夜まで依頼をこなした。


神谷「…疲れたな……」

神谷は依頼を終えた後、深夜に一人で事務所に戻ってきたのである。今は薄暗い道を歩いている。
その時、声をかけられた。

?「待て」

神谷は振り返ると、ナイフを持ったいかつい男が二人いた。

神谷(アサシンか…)

その瞬間、二人の男はナイフを突き立てて神谷の懐に飛んできた。が、神谷は瞬時に避ける。

アサシン1・2「なっ…!」
神谷「成ってないな。俺がそれの使い方を教えてやるよ」

神谷は”無能力者なのに ”持ってないはずのナイフを握っていた。二人のアサシンは、それに驚愕する。
そして…その片目は”赤かった ”。

アサシン1「くそっ!調子の」

神谷は瞬時に近づいて、一人の首を切り、その男は血を流しながら倒れた。
もう一人は…神谷に恐怖を感じたのかは分からないが、即座に逃げ伏せる。

神谷「なに逃げてんだ。戦いで逃げるのは…死ぬぞ??」
アサシン2「ぎゃっ!」

ナイフをもう一人の頭に投げ、戦いは終わった。

神谷「はあ…面倒な事にならないといいな……」

そんな神谷の願いを踏みにじるように、事態は進んでいく。

列強第二位 ( No.5 )
日時: 2024/01/01 12:35
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

アサシンを返り討ちにした神谷は何事もなかったように薄暗い道を抜け、今は繁華街に来ていた。この先に事務所があるのである。老鶯町とは違う町並みで、神谷は新鮮さを感じる。

神谷「しかし、老鶯町と違ってここは栄えてんなぁ。また今度行ってみたいなぁ」

老鶯町は普通の町という印象を受けるが、繁華街はビルや駅、レストランなど、さながら都会のような印象を受ける。
だが、こんな都会のような街にも事件というものは起きるもので…。

?「キャアアアアアっ!!」

女性の叫び声が聞こえた先には、刃物を持った男と肩を負傷している男性がいた。神谷は救援しようとしたが、突然誰かに肩を触れられた。

神谷「…誰だ?」

警戒しながら振り返ると、神谷と同年代に見える眼鏡の男がいた。

?「ごめんね、止めちゃって。けど、ここは僕に任せてくれないかな?…ああ、自己紹介が遅れたね」

その男はこう言う。

?「僕の名前は…冬月那由多。列強第二位だよ」
神谷「…なんで、そんな大物のあんたが俺なんかに?」
那由多「いやぁ、君、やる気満々でしょ?危ないと思ってね」
神谷「嘘つけ。おいしいところを取りたいだけだろ」
那由多「あはは…確かにそうだね」

那由多と会話をしていると、刃物をもった男が声をかけてくる。

男「おっおっおいぃぃ!お前、俺を馬鹿にしてるだろぉっ!?」
那由多「あっ落ち着いて!馬鹿になんかしていませんよ!」
男「俺を……馬鹿にするなあぁぁ!!!」

男は刃物を突き立てて、那由多に向かって突撃をした。
…が、那由多はそれに対応し、刃物を持っている手首を握り、手首の骨を粉砕する。

男「がっがあああああああああ!?!?」
那由多(すみません!!)

手首が粉砕され、男は絶叫する。

一般人1「!?何が起こったんだ!?」
一般人2「どうなって…」

周りの一般人たちは何が起きたのか分からなかったが、この中で神谷だけが那由多の動きをとらえることが出来ていた。

神谷(…さすが列強ってところだな…今まで見てきた中で一番速んじゃないか?)

刃物の男は駆け付けた警官に逮捕された。神谷は那由多に声をかける。

神谷「あんた、さすが列強だな。あの男に近づいての手首粉砕だ。中々筋がいい」
那由多「ありがとう。僕なんか・・ってえ?」
神谷「…?どうした?」
那由多「いや…君、今の動きが見えたの?」
神谷「まあな」
那由多「すごいね…僕の動きが見える人なんて少ししかいないのに」
神谷「…そういえば、自己紹介が遅れたな。俺の名前は神谷悠。老鶯町のしがない何でも屋だ」
那由多「じゃあ、悠君よろしくね」

と、このように新たな出会いがありつつ、神谷は事務所に戻り、睡眠をとった。ドミナターはどうなっていくのか、まだ知らない。

株式会社 ( No.6 )
日時: 2024/02/14 14:43
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

アサシンや那由多との出会いといった事が起きた夜を越し、神谷は何でも屋を再開していた。
不倫相談の依頼を終えた後、次の男性の依頼主が来た。いつものセリフを言うと男性はソファに座り、依頼内容を話し始めた。

神谷「闇バイト、ですか」
依頼主「あいつ、やめろつってもやめないんです」

依頼主の依頼は、「闇バイトに加担している友人をやめさせてくれ」というものだった。その友人は村田という男で、聞けば村田が働いてる店がつぶれた後、金欲しさにやってしまった。組織の事を言ったり抜けたりすると殺されてしまうらしい。村田は依頼主に相談して、今に至るという。

神谷「その闇バイトの名前はなんですか?」
依頼主「名前は…『株式会社玄墨げんぼく』らしいです。会社って言ってますが、村田曰く、詐欺グループらしいです」
神谷「…なるほど…とりあえず、村田さんに連絡して、やめるように促してください。俺は玄墨に電話してみます」
依頼主「本当ですか!?ありがとうございます!」

依頼主が帰った後、神谷は玄墨に問い合わせをしてみたら、そんな社員はいないと言われてしまった。加えて雑な態度だったので、会社の程度が知れた。
電話を終えた数分後、突然依頼主から電話が来た。なんだと思いつつ、神谷は電話に出るとある真実が伝えられる。

依頼主『村田が…出ません!』
神谷「…!どういうことですか?」
依頼主『分からない…何度掛けても出ないんです』
神谷「…分かりました。後は私一人で何とかします」
依頼主『???分かりました…』

依頼主は神谷の言葉の意味が分からなかったが、この日は血が流れる事は確かである。


夜、神谷は玄墨の拠点に来ていた。理由は勿論”カチコミ ”であると同時に、村田の救出である。
ここの社員たちは全員クズなので…。

神谷「よぉ。か弱い人たちからとった金はおいしかったか?」
社員「なっなんだぁ!?こいつ!?」

ドアを勢いよく蹴破った瞬間に、社員たちは一斉に戦闘準備しようとしたが、神谷はさせるはずもなく攻撃を開始した。部屋の中を血まみれにしていく。サブマシンガンを撃っている奴もいたが、弾をナイフで全部弾き飛ばして撃破する。
いくら犯罪者集団と言っても所詮無能力者の集まり。イケメンで強い神谷に勝てるはずもない。社員たちを倒しながら進んでいくと、社長がいた。奴は慌てて何者かを呼ぶ。

?「こいつですかぁ?」

出てきた太っている男は命令されると、神谷にパンチしてきたが、神谷は避け、質問する。

神谷「何でそんなクズの仲間になったんだ」

男は嘲笑い、こう答えた。

男「そりゃあ、女と金に決まっている」
神谷「……そうか」

…神谷に迷いはなかった。神谷は瞬時に近づいて男のはらわたを殴る。男は悲鳴を上げる間もなく、神谷は持っていたナイフで腹をめった刺しにする。男の格闘服は赤色に染まり、倒れて動かなくなった。
社長の男は驚く。

社長「ばっ馬鹿な!?あいつはドミナターの」

言い終わる前に胴と首は分かれていた。


結局、村田は地下室で見つけた。達磨の状態で。それを依頼主に報告すると、「……そうですか」の一言で、今回の依頼は終了した。
…だが、これが神谷とドミナターとの全面戦争になる引き金だと、神谷は知らずに…。

炎上 ( No.7 )
日時: 2024/01/04 12:09
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

ドミナター構成員死亡の事件はニュースになり(神谷の名前は出ていないが)、世間は驚くと同時に嘲笑った。SNSでは、「馬鹿すぎるww」「あーあ、やっちゃった」「殺した奴何を四天王?」などのコメントがされ、ドミナターが圧勝すると予想していた。

神谷は24時間寝てる間も警戒しているが、何でも屋はやっていた。曰く、「よほどの事をしない限りこっちからやるつもりはない」だそうだ。


神谷「えっ、今日は来てないの?」
綾香&桃華「「うん……」」

子供の綾香と桃華の母である田中は母子家庭であるため、よく依頼をしていた。そのため、何でも屋の常連であり、来る時はいつも三人だった。が、この日は何故か綾香と桃華しか来ていなかった。
二週間前、いい条件の仕事が見つかって以来来ておらず、神谷は忙しいと思っていた。

神谷「そっか、じゃあ、なんでここに?」
綾香「それはね…お母さんを見つけてほしいの」
神谷「お母さんを?」
桃華「うん。このままだと、悪いおじさんに連れてかれちゃうの。だから…」
神谷「分かった。お兄さんが見つけるよ」
綾香&桃華「「ほんと!?」」

神谷は田中を見つけるために、行動を開始した。田中の就職先を調べた結果、ある事実が分かった。
二週間前、田中はS商事という会社に”好条件 ”で入った。高収入や残業なし、社員寮といった条件でだ。入社すると、携帯を没収、これは機密保持のためで、代替え金が用意されていると文句は言えない。

いざ仕事をすると残業や注意、罵倒のオンパレード、仕事をろくに教えていないのにだ。しばらくすると命令を告げられる。「風俗(キャバクラもある。男性は炭鉱)にいけ」到底受け入れられないが、社員寮の経費を払えと言われたら従うしかなく、仮に子供がいたら海外に売り払う事になっており、被害者は逃げられない。


神谷は老鶯町の外れにあるS商事の本社に行き、カチコミをする。会社内は能力者と無能力者であふれており、神谷を殺そうとした。
ある者はバットで、ある者は鉄パイプで攻撃した。バットの男は神谷に振ろうとしたが、逆に取られ、

神谷「ホームラーン」
男「ぐはあっ!」

逆にバットで顔面が粉砕し、

神谷「残業手当だよ」
男「かっ…かかっ」

首を絞められ、ものの数分で制圧する。
社長室にいくと、突然氷の針が飛んできた。首を動かして避けると、青髪の男と社長がいた。

社長「やっちまえ!!」

命令されたと同時に、男はかなりのスピードで神谷に接近し、氷をまとった拳で神谷に殴りにかかる。神谷はそれに対応すると、男に問いかける。

神谷「何でそんなクズに手を貸す?」

男はこう答えた。

青髪の男「俺は上に言われてここに来ただけだぁ。早く死んでくれない?」

青髪の男は言い終わると同時に氷の剣で神谷に突撃をする…が、神谷は氷の剣を拳を突き出しただけで粉砕する。
青髪の男は驚くが、神谷はナイフで男をめった刺しにし、赤い液体は噴水のように飛び出し倒れた。
神谷は周りを見渡すが、社長の男はすでに逃げていた。


会社内に収容されていた社員たちを解放し、今回の騒動は終わった。神谷は男が言った”上 ”はドミナターだと推測しつつ、田中や綾香、桃華に感謝され、事務所に帰ると、

事務所は”燃えていた ”。

天使 ( No.8 )
日時: 2024/02/14 14:45
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

神谷「……は???」

神谷はその光景に言葉が出なかった。事務所が”燃えていた”からである。事務所の周りには人が囲って、

?「やっぱ、敵の家は燃やすに限るよな」

隣で声が聞こえ、神谷は隣に首を動かすと、オールバックでスーツを着た男がいた。身長は194センチで、神谷の175センチより高い。

神谷「…おい、どういうことだ?」
男「はぁ~?決まってんじゃん」

男は神谷の逆鱗に触れる言葉を、当たり前のように言った。

男「神谷悠、お前の事務所を燃やしたんだよ」

神谷はその言葉を聞いた瞬間、恐ろしい速度で男の腹を殴り、男は壁にぶつかった。
男は口から血を流していたものの、すぐに立ち直る。

男「…痛ってえな、只の無能力者だったんじゃないのかよ」
神谷「うるせえぞ、かかってくるならサッさとこい」
男「はいはい、ああそうだ、俺の名前はノア・ルーセル。フランス人。上に言われて、お前を殺しに来た」
神谷「お前もドミナターか?」
ノア「正解~。じゃ、死ね」

ノアは凄まじい殺気を放ち、殴りかかった。神谷は両腕でガードするも、吹き飛ばされ壁に激突する。ノーダメージだが、神谷はその光景に驚いた。空を飛び、ノアの背中から天使の羽が二つ生えていた。その神々しい姿に、一般人は驚くことしかできなかった。

ノア「驚いたか?俺は準列強だ。俺の動きに対応できたのはやるが、天使にかなわねえよ」
神谷「…自分を天使って思っているのか?随分脳内お花畑だな」
ノア「仕方ないだろ、天使だから」

ノアの羽からレーザー光線が飛んできて、神谷は後ろに飛んで避けるが、すぐに対応され拳をまた喰らう。神谷は家の天井に飛び、体制を整う。ノアはすぐに動き、光線で家ごと破壊する。神谷が別の家に飛ぶと、語り掛けてきた。

ノア「……分からないな」
神谷「…何に?」
ノア「お前のその実力だ。それだけの実力があるのに、何で上は教えてくれなかったんだ?」
神谷「簡単だ。俺は等級に興味が無いからだ」
ノア「もったいねぇ~」

会話が終わると攻撃を再開した。神谷のいる地点を光線で破壊、神谷は別の家屋に飛ぶ移る寸前で、ノアの羽は神谷を貫く勢いで飛んできた。

神谷「……っぶね!?」

神谷は寸前でナイフでさばいたが、さばいたと同時にノアが突撃し、神谷の腹に直撃した。

神谷「ぐっ!?」

神谷は吹き飛ばされ、歩道にたたきつけられる。たたきつけられた場所は大きなひびが入り、一般人は突然の事に驚く。ノアは歩道に降り立つ。

ノア「どうだ?これが天使だ。負けを認めろ、楽に殺してやる」

ノアは攻撃をしようとしたが突然やめた。神谷の気配がおかしくなったからだ。神谷は立ち、そしてこう言った。

神谷「もう、止まらねえぞ?」

神谷の左目は…赤かった。

天使 2 ( No.9 )
日時: 2024/01/07 19:53
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

ノア「っは、目が赤くなっただけで俺に勝てるとでも言うのか?冗談きつ」

ノアが言い終わる前に神谷はナイフで攻撃を仕掛けた。ノアは左腕で対応したが、神谷の力が強すぎて後方に吹っ飛ぶ。天使の羽で無理やり止まるが二十メートルも移動して、歩道にはくっきり跡がついていた。

ノア「が…あぐ…」

神谷の力が強すぎたのか、ノアの左腕の骨は粉砕されていた。余りの痛さにうめき声をあげる始末だ。神谷はノアに瞬時に近づいて、こう言った。

神谷「おい…まだ全然本気を出していないぞ?この程度で根を上げるのか?」
ノア「…っ!なめるなぁ!」

ノアは神谷の煽りに乗って、空中に飛んだ次の瞬間、恐ろしい量の光線の弾幕が飛んできた。普通の人間なら抵抗も出来ずに蹂躙される、”普通の人間”なら。
神谷はその弾幕を軽々と避け、ナイフでさばく。そのままノアにジャンプで近づき、ナイフを突き立てる。

ノア(何だあいつ、強すぎる!?勝てるビジョンが見えねぇ!?)

ノアは圧倒的な実力差に焦っていた。列強を除いてここまでの実力を持った人間はここまでいない。ノアは戦闘中なのにいつかの記憶を思い出す。彼がまだフランスに居た頃だった。

ノア『が…こんな……』
?『おい、最後のチャンスをやる、俺に従え』

あの頃感じた、とてつもない恐怖を…とてつもない強さを…。

ノア『おいあんた…名前は?』
?『ああん?俺の名前?』

忘れることのできない名前を…。

?「ガブリエル。ガブリエル・マルタン。列強4位だ。俺のドミナターに入れ」

ノアの生まれは現在も分かっていない。学生時代は喧嘩に明け暮れ、殺人未遂に発展した日もあった。そんな中、ノアはガブリエルに勝負を挑み、惨敗。そして流れるように、この時はまだ小さかったドミナターに入った。
そして現在…そんな記憶を思い出していると、ノアは気が付くと地面に仰向けで倒れていた。腹は裂かれており、血を流していた。

ノア(…何故だ?回復しねぇ)

ノアの天使の能力は自動で回復する効果も含まれていた。が、何故か機能せず、羽も生やそうとしても生やせなかった。これは出血や体力消耗が原因じゃない。
ノアは周りを見渡すと、神谷が見下すように立っていた。

神谷「ったく、事務所を修理する金は払ってもらうぞ?」
ノア「…ははっはははっはははははっ!」
神谷「??何がおかしい?」

神谷が質問すると、ノアはこう答えた。

ノア「いや、なんでもない。昔の事を思い出してただけだ」

ノアはガブリエルに惨敗した一度だけしか負けたことがなかった。だが、神谷という圧倒的強者に惨敗した事実に、ノアは笑うしかなかった。

ノア「最後に…ほらよ、スマホだ。日本語を鍛えるつもりで文字を日本語にしたが、ここで役立つとはなぁ」

ノアはどこからか出したスマホを神谷に渡した。

神谷「…これは?」
ノア「俺のスマホだ。パスワードはめんどいからつけていないが…口座、好きに使え」
神谷「…はははっ、最後の遺言がこれかよ」

神谷はこれを笑った。神谷が言い終えたと同時に、準列強であるノア・ルーセルは…息を引き取った。


こうして今回の騒動は終わったが、ノアが死亡したことはドミナター本部に知られ、戦争は激化していく…。

まさかの再開 ( No.10 )
日時: 2024/01/05 21:20
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

結局、事務所が燃えた神谷は近くの公営住宅に住むことになった。家具や電化製品はノアの貯金を使って買いなおした。あの戦いから一週間たち、現在はノアの貯金と火災保険などで暮らしている。

神谷「…まさか、あいつの貯金額が億いってたとはなぁ。金には困らないな」

事務所が治るまで後二週間、公営住宅で暮らさなければいけない神谷にとって、何でも屋が出来ないこの時間はこの上なく暇なのである。勿論家事をしたりなど、やることはあるにはあるが、それでも時間が出来てしまっている。

買い物を終えて駐車場に着くと、ここに住んでいるのか同じ住居者が見えたので、神谷は声をかけた。

神谷「こんにちは~今日はいい天気ですね~」
?「そうですねってえ?」
神谷「え?」

声をかけた事は良かった。住居者が列強二位という事以外は。

那由多「あっ久しぶり~」
神谷「ああ、久しぶりだな」
那由多「大変だったねぇ~」
神谷「ああほんと、稼げないし暇だし、ひどい目にあったよ」

まるで友人にあったかのように話す神谷と那由多の光景は、チラホラいる通行人にとって驚きの事だった。

那由多「せっかくだし、僕の部屋に入らない?」


那由多「依頼をしていいかな?」
神谷「…は?」

那由多の部屋に入った神谷は、突然こんなことを言われていた。

神谷「別にいいが…何を依頼するんだ?」
那由多「それはねぇ…これ」

那由多は神谷にある写真を渡された。その写真は那由多と女性だった。中がいいのか、二人は笑っていた。

神谷「…なんだこれ?」
那由多「これは僕と妹の写真、今はドミナターに拉致られているんだ」
神谷「…まさか…」
那由多「そう…」

那由多は神谷にこういった。

那由多「僕の妹…厘を助けてほしい」


那由多と厘は親を亡くした後、列強レベルの那由多に日本政府からの義援金を使って暮らしていた。金銭は義援金によって問題なかったが、同時に寂しい思いをしていた。
那由多が17歳、厘が16歳の頃、高校の修学旅行で奈良に行っていた時、班行動をしていた厘はドミナターに連れていかれた。

厘『いやぁ!助けて!誰かぁ!』

学校は厘の解放を要求できなかった。相手が列強ガブリエル率いるドミナターだったため、学校も強く出れなかった。

神谷「あんた、列強二位だから解放を要求しなかったのか?世界は実力主義、要求すれば一発なのに」
那由多「僕は気が弱いからね…強く出れなかったんだ…」

すると、神谷は那由多を拳で殴った。那由多の頬には赤い跡ができている。那由多が立っている神谷を驚いた顔で見ていると、神谷は那由多の胸倉を握りながらこう言った。

神谷「お前…ふざけるなよ?」

まさかの再開2 ( No.11 )
日時: 2024/01/07 19:49
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

那由多「ふざけるなよって…一体何が?」

殴られた上に胸倉をつかまれている那由多は困惑と怒気が混じった言葉で質問すると、怒気を含んだ言葉でこう言った。

神谷「ああふざけてるさ。気が弱いから妹を取り戻せないって言い訳で、お前は妹を助けようとしない、こんなにふざけている事をふざけていると言わずして何という?」
那由多「…!確かに僕はふざけてるかもしれないよ……けどね」

那由多は一泊をおいて、こう言った。

那由多「けどね!あいつらは『救出しに来たら殺す』って言ってたんだよ!殺されるかもしれないのに、救えるわけがないだろ!こう言い訳してないと、どうにかなっちゃうんだよ!!」

那由多は神谷に怒鳴った。もともと温厚な那由多は人生で一度も怒鳴ったことは無い。

那由多「人の気持ちを分からないくせに…言ってこないでよ!」

神谷の顔に那由多の拳が突き刺さる。神谷は痛みを覚えた。…だが、神谷は微動だにせず、首を動かして那由多を見つめる。

神谷「…分かるよ、俺も大切な人を失ったんだ。もっとも、お前のように妹って訳じゃないけどな」
那由多「……」

那由多は神谷を殴った事に申し訳なさを覚えたと同時にこう思った。

那由多(…神谷君は、大切な人を昔失ったのか…。厘が生きている僕よりずっと、辛い思いをしてたのか…)
神谷「…まあいい。ああそうだ」

神谷は何かを思い出したのか、突然神谷にこう言った。

神谷「お前には…ある作戦に乗って欲しい」
那由多「…作戦?」

神谷が言う作戦に那由多は疑問を持った。

神谷「その内…ドミナター本部を直接攻撃をする」
那由多「えっ!?はっ!?さっきのシリアスな展開は!?」
神谷「俺からしたらシリアスより作戦だ!シリアスなんてくそくらえだ!!」

那由多はあまりにも唐突な展開で頭を抱え込む。

那由多「はぁ…で、作戦は?」
神谷「それはな…」

神谷は作戦を伝えると、こう言った。

神谷「正直一人でやってもいいが、さすがにめんどくさいからな。どうする?」
那由多「うーーーーーーーーん………」

那由多は迷う。攻撃したら厘が死ぬかもしれないからだ。だが、作戦の内容には『厘がいる日本支部を那由多が攻撃』のため、那由多は考えに考えた結果…。

那由多「分かったよ、その作戦に乗った!」
神谷「ああ、そう来なくちゃな」

神谷と那由多は手を組み、タッグは成立した。ガブリエルにたどり着く日は近い…。

ボスの誕生 ( No.12 )
日時: 2024/01/31 18:32
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

フランスのとある町で車に乗っている男がいた。運転は別の誰かがやっており、明らかに男の方が格上だとわかる。
男の名はガブリエル・マルタン。列強四位で、世界最大規模のフランスマフィア『ドミナター』を率いている。

彼は幼少期の頃、職を失った父親は酒を毎日のように飲み、ガブリエルやガブリエルの母親に手を出していた。所謂DV、虐待だろう。

父親「てめぇ!俺の酒盗んだだろ!!」
母親「盗んでいなっぎゃっ!?」
ガブリエル「あ…ぁ…」

そんな日々を過ごしていると、六歳の頃転機が訪れる。

ガブリエル「お母さん!!お母さん!!」
父親「ああっ!?うるせぇ!!」

六歳の時、ガブリエルの母は父親の暴力によって死亡してしまった。父親はそのままどこかに行ってしまい、ガブリエルは施設に入った。小学校高学年になり順調に育っていった。はずだった。

ガブリエル「早く金出せよ、また痛い目みたいのか?」
同級生「ど…どうぞ…これです…」

彼は『欲しいものは奪えばいい』という考えになっていった。母親の死で変わっていったのだろう。
だが、当然この事をされた児童は教師に報告するものだ。

教師「お前、なんてことをしたんだ!?」
ガブリエル「…ごめんなさい」
     (…あいつがチクったか)

報告した生徒はガブリエルによって徹底的に殴り蹴られ、報告などガブリエルの恐怖でできなかった。

中学になると喧嘩の日々に明け暮れた。高い身体能力をもったガブリエルに、能力をもってしても傷をつける事は無かった。
この頃から他校の生徒や高校生がガブリエルに喧嘩を売りに来たが、無駄な事だった。時には病院に送られる者まで出てきた。

高校になると、喧嘩を売ってきた高校生を全員倒し、実質的な学校のトップとなった。他校の者も喧嘩を撃ったが、その内ガブリエルは制圧した。配下の部下は40名ほどになった。

高校を卒業すると、周辺のマフィアからスカウトが連日のようにきた。

末端「君、マフィアって興味ない?」
ガブリエル「すみません、興味はありません」
     (ふん、雑魚が)

だが連日スカウトが来ると、ガブリエルはマフィアに興味が湧いていた。ドミナターの前任組織を乗っ取ると、名をドミナターに変えた。


こうしてガブリエルはドミナターを作り上げた。国内外の人間問わず、構成員は50万人を超えた。
ちなみに冒頭のガブリエルがどこに向かっているかというと…。

ガブリエル「よう…久しぶりだな、くそ親父」
父親「なっ…お前は…ガブリエル!?」
ガブリエル「ああそうだ。あんたが捨てた、ガブリエルだよ」

汚いホームレスになっていた父親はガブリエルにすがってきた。

父親「なあガブリエル!金を貸してくれないか?お前有名らしいからな。金はあるだろ?」
ガブリエル「ああ?」

瞬間、ガブリエルは拳銃を取り出し、恐ろしい速度で父親を撃った。断末魔を上げず、銃の口径がデカかったのか、頭は吹き飛んだ。

ガブリエル(あのくそ日本人を早く殺さないとな…ノアも殺られたんだ、殺らないと面子が潰れる…)

ガブリエルは夜空を見上げながら、そう思いながら煙草を吸う。
煙草の光ははかない命を表しているかのようだった。

決戦前の会話 ( No.13 )
日時: 2024/01/10 22:51
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

あの修羅場を終えて…夜。デリバリーでピザを食っていた。

神谷「おっうまいな…」
那由多「これもおいしいね」

Mを一枚づつ、他はお好みで頼んだピザはとてもうまかった。いいにおいで食欲がそそられ、食べてみると温かく、出来立てを食べてるようで素材の味を感じつつ、味付けはとても良いものだった。
神谷はピザの温かさとうまさを堪能していると、那由多からこんな事を言われた。

那由多「…昼間はごめんね…」
神谷 ムシャムシャムシャ(咀嚼音)
那由多「後…怒ったのも」
神谷 ムシャムシャ(咀嚼音) ゴックン(飲み込む音)
那由多「…一ついい?」
神谷 ゴクゴク(コーラを飲む音)

那由多は一泊を置いてこう言った。

那由多「しゃべってるときにピザ食べないでくれるかなぁ!?」
神谷「ああ、悪い悪い。ピザがうまいのが駄目なんだよ」
那由多「それを食べる悠君が駄目なんだよ??後シリアスな展開だからね今のって」

シリアスな展開が神谷に通じない事に那由多は頭を抱える。すると神谷がこう言った。

神谷「まぁ今のは冗談だ。例の作戦はしっかりやれよ?お前にかかってるんだ。失敗したらどうなるか分からない」
那由多「…大丈夫、絶対に成功させるよ。僕は列強だからね」
神谷「慢心はよくないぞ?」
那由多「ははは、たしかに」

例の作戦とは神谷が考えたプランであり、ドミナターとの戦いに勝利するための作戦である。元々一人でやるつもりだったが、那由多がいるなら話は変わる。
だが、那由多は疑問をぶつける。

那由多「勝てるの?僕が言った方がいいんじゃない?」
神谷「妹は俺かお前か、どっちに助けてもらいたいと思う?」
那由多「うっ……それは…」
神谷「それに、ちゃんと勝算はある。お前はつべこべ言わずに妹助けろ」
那由多「…そこまで言うなら、反対はしないよ。健闘を祈るよ」
神谷「ああ、勝ってくるさ」

作戦は一週間後に行われる。勝利は近い…。

妹と再会 ( No.14 )
日時: 2024/01/14 18:18
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

夜、那由多はドミナター日本支部に来ていた。理由は勿論日本支部の破壊と妹の厘を救出するためである。

那由多「建物はヨーロッパって感じだなぁ。日本ではあんまり見ないかも」

建物は欧州という雰囲気が強く、日本にはあまり似合わないものだった。さっさと門前に移動すると、そこにいた見張りは驚いた。

見張り1「あ、貴方は!?」
那由多「ごめんね」
見張り1「がっ!」
見張り2「何を!?」

那由多は見張り1を手刀で気絶させ、叫んできたもう一人を手刀で気絶させた。門を突破し扉を蹴破るとドミナター構成員たちがいた。那由多に驚きつつ、アサルトライフルや能力で対抗した。

構成員「かまうな!列強でも所詮無能力者だ!」
構成員「ぶっ殺せぇ!!」

那由多は驚くことに無能力者であるにもかかわらず、列強上位に上り詰めていたのだ。構成員たちは銃を乱射するが那由多にはほんの一つも当たらない。アサルトライフルを乱射してる構成員達は瞬く間に倒された。

構成員「ぶっとべぇ!」

構成員の一人は爆破の能力で那由多を爆破を試みたが、悲しいことに那由多には全て避けられてしまい、倒された。

構成員「くそぉ!?何で死なないんだ!?」
構成員「言ってる場合か!?早く殺すんだ!」

対抗はしているが攻撃は一つも当たらず、どんどん倒されていく。ある構成員は那由多の姿を見てこう言った。

構成員「…化け物…」

この言葉を聞いた他の構成員は、恐怖のあまり後ずさってしまう。那由多は何も言わずに進む。途中構成員が攻撃してきたが、彼らを気絶させる。その内支部長の部屋にたどり着いた。

支部長「…!お前は…!」
那由多「突然で悪いけど、降伏してくれないかな?後、妹の厘を解放して欲しい」
支部長「…それは…」

支部長はガブリエルの言った事を思い出す。『厘を解放したら殺す』と言われている。もし厘を解放したら本部から刺客が来る可能性もある。そんな状況で厘を解放すると冗談抜きで暗殺されかねない。だが、目の前にいるのは世界でも実力は二番目に入る列強である。そんな男に逆らうと殺されかねないと思った支部長は降伏を決定した。通信機で構成員にその趣旨を伝えると、厘のいる部屋を那由多に伝えた。

那由多「ここか…」

部屋の扉をひねり、ゆっくり開けた。部屋にはテレビやソファ、ベッドに本、果てはトイレなど、生活に困らない物が揃っていた。ソファには…厘は座っていた。厘は那由多に驚き、那由多は厘の姿に安堵していた。直後、厘は那由多に抱き着き、涙を流した。

厘「…馬鹿ぁ!寂しかったよぉ!」
那由多「…ごめんな…寂しい思いをさせて…」
厘「…ありがと、お兄ちゃん…」

数年ぶりの再会に、那由多は心なしか泣いていた。那由多も厘をハグし、部屋は静寂に包まれた。
…その時フランスでは、神谷は那由多から国際メールをもらった。内容は『成功したよ!!』という内容だった。神谷は『おk』と返した。

神谷「さて、俺もやるとするか。ドミナター、首を洗って待ってろよ」

そして始まる。歴史で語り継がれる戦い『ドミナター本部攻防戦』が。

ドミナター本部攻防戦1 ( No.15 )
日時: 2024/01/15 00:00
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

ドミナター本部は他国の支部を上回る規模の大きさで、もはや別荘の規模じゃなくなっている。神谷は裏路地から門前の敵構成員を見ている。今の時刻は22時、深夜に攻撃を仕掛けようとしている。

神谷(…雑魚構成員は問題ないが…問題はボスの列強だ。列強がどの程度の実力か未知数だ。最悪俺より強い可能性も考慮しないとな…)

神谷は列強ガブリエルの実力を知らない。はっきり言って勝てるかどうか分からない。だがやるしかない。この戦いに終止符を打ち、また何でも屋をするためにも、避けては通れない道なのだ。

神谷はまずナイフを監視カメラに投げ、無力化した。見張りはこの音に驚きカメラの方に首を向けたが最後、瞬時に首の骨を折られ絶命した。

神谷「よっと」

鋼鉄製の門を軽く引き裂いた。バキバキと、普通じゃ聞かない音が鳴る。進んで本部の扉を蹴破った。ロビーには那由多の時のように中には武装した構成員がいたが流石は本部、日本支部を超える人数がいた。

構成員「なんだお前!?」
神谷「ここのボスを殺しに来た何でも屋だよ」
構成員「あいつが…」
構成員「ノアさんを殺した…」

構成員達は神谷の登場に心底驚いた様子だったが、直ぐに攻撃を開始した。ある構成員は能力によってデカくなった腕で神谷に殴りかかり、ある者はアサルトライフルを神谷に向かって乱射し始めたが…。

神谷「バリヤー!」
構成員「があああぁぁぁぁ!?!?」

なんと神谷は近くの殴りかかってきた構成員を掴んでガードした。これには乱射してきた構成員は唖然とした。これによって構成員達はぶちぎれ、より神谷を殺しにかかってきたが、悲しいことに相手は無能力者の中でも最強の部類に入り、列強にも迫る実力者だ。

神谷「こんな組織楽しいの?」
構成員「ぐあああああ!?」

ある者はナイフで今袈裟切りにされ…。

神谷「ドミナターって儲かるの?」
構成員「やめ…ぎゃぁぁぁぁ!?」

ある者はナイフで腹の中をかき回し…。

神谷「人を薬漬けにした感想は?」
構成員「…」

ある者は置いてあった植木鉢を頭に投げられ、頭が文字通り吹き飛び…。

神谷「買収した感想は?」
構成員「があああああ!?」

ある者はナイフでめった刺しにされ、普通の死に方をさせてもらえない。そうこうしているうちに、ロビーの構成員は全滅し、その全員が血に染まっており、さっきまで綺麗だったロビーは地獄絵図に変わった。廊下に出ると騒ぎを聞きつけたのか、構成員が駆け付けていたが結果はロビーと同じだった。
更に進むと、他のものとは違う雰囲気を持った男がいた。

神谷「お前…名前は?」
男「俺はジャン・ロメール。ボスと戦うなら…」

ジャンは拳に雷をまとい、神谷に向かってこう言った。

ジャン「先に俺と戦え!」

ドミナター本部攻防戦2 ( No.16 )
日時: 2024/01/28 13:06
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

こんにちは!monmonです!投稿遅れて申し訳ございません。小説書くの難しいんですよね、特にバトルシーンとか。これから投稿頻度上げれるように頑張ります!それでは本編どうぞ!


ジャン「破っっ!」
神谷「ぐっっ!?」

雷をまとった拳を左腕でガードしたがとてつもない電気が腕に流れ思わず顔をしかめる。もう一撃は後方に飛んで避けた。電気による痺れで左腕はマヒしてしまった。

神谷(くそっ…!腕が一本使い物にならなくなった…)
ジャン「まだまだぁ!」

ジャンは人差し指を神谷の腹に向ける。神谷は横にジャンプした次の瞬間、雷のビームが横を通り過ぎた。横腹にかすったが威力が大きすぎたためか、血が勢いよく飛び出る。

ジャン「今だ!!」

神谷が着地の寸前でジャンは勢いよく飛び出してきた。さっきより強力な雷の拳で殴りにかかった…が、神谷は器用に拳を避け、ジャンの顔面にキックを食らわせた。ジャンは勢いよく吹っ飛び、神谷は背中から落ちる。

神谷「くそ…こんな事だったらあいつを連れてくべきだったな」

数十メートル先に吹っ飛んだジャンは鼻から血を流しながらこう言った。

ジャン「…なかなかやるな…」
神谷「そりゃどーも。んな事より、さっさと道開けてくれないかな?邪魔なんだよ」
ジャン「ふざけるなぁ!!」

廊下全体に怒号が響き渡る。

ジャン「ノアを殺したお前は、俺が絶対殺す!!」

ジャンの脳裏にはある日を思い浮かべる。それはノアと焼肉を食べた日だった。

ノア『俺金無いですよ?』
ジャン『金なら心配するな!お前は若いからたくさん食え!あっはっはっはっはっ!』

ジャン「お前は絶対に…絶対に!ここで殺す!!」

次の瞬間、ジャンは弾丸を持ち、両手を合わせ手のひらの中にしまう。そして…これまでとは段違いの雷が手のひらに集まる。『バリバリバリ!』という、普通じゃ絶対に聞かない音が聞こえてくる。

ジャン「超電磁砲レールガン…発射ぁ!!」

耳がイカれる程の轟音が鳴り響く。手のひらから放たれた弾丸は実にマッハ5という規格外の速さで神谷に放たれた!

神谷「……」

神谷は赤い目を発動する。なんとナイフで超電磁砲レールガンを迎撃しようとしているのだ。

神谷「ふっっ!!」

そして…ピンポイントで弾は切断され、ジャンの奥義は打ち破られた。

ドミナター本部攻防戦3 ( No.17 )
日時: 2024/01/28 14:23
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

ジャンは力尽きて仰向けになって倒れた。自分の最強の必殺技を打ち破られて、体力は尽きた。超電磁砲レールガンには自信があった。列強にすら通用すると思っていた奥義は…列強ですらない、無能力者に敗北した。

ジャン(ノア…すまねぇ…負けちまったよ…)

申し訳なさでいっぱいになる。ノアの仇をとれなかったことに…。
神谷は何も言わずに進もうとしたが…ジャンに呼び止められた。

ジャン「二つ…聞きたいことがある。なんだ?あの目は?」
神谷「さぁな、俺も知らない」
ジャン「…そうか…じゃあ、なんで俺を殺さないんだ?」

赤い目の事が聞けない事に少々残念さを感じるが、一番聞きたい事を聞くと、神谷はこう言った。

神谷「力尽きたお前を殺しても…意味はないと思ったから」
ジャン「何でだ…俺は準列強だ。殺せば少なくとも無能力者のお前は評価されるぞ?」
神谷「俺は評価だったり、等級だったり、そんなのは興味はない」

ジャンは驚く。この世界は等級が命だ、等級が高くないと生きにくい仕組みになっている。等級が上がれば少なくとも社会的に生きやすくなる。

ジャン「俺はお前を殺しに来るかもしれないぞ?」
神谷「だったら、返り討ちにするだけだ」
ジャン「…そうか……」

神谷は今度こそ進み、進んだ先にある扉を開ける。中には広い空間があり、事務机と椅子がある。そこに座っているのは…列強四位であり、ドミナターを作り出した張本人であるガブリエルが座っていた。

ガブリエル「お前が来たって事は…ジャンは負けたのか」
神谷「俺を止めたきゃもっと準列強を連れてくるべきだったな」
ガブリエル「米英独伊露中台伯加西葡墨印や香港にエジプト、オーストラリアと、その他さまざまな国にある支部にもリソースを割かないといけないからな」
神谷「へぇ、大変だな、それにしても日本語がうまいな」
ガブリエル「勉強したからな、どうも」

他愛もない会話をしているが一触即発、爆発寸前だ。

ガブリエル「そういえば、何でこんなところに?」
神谷「お前を……ぶちのめす為だ」

刹那、二人はナイフでぶつかり、戦いは始まった。ナイフで攻撃を捌き、捌かれる攻防が始まった。

ガブリエル「ほらよっ」
神谷「!?」

とんでもない速度で神谷を蹴ろうとしたが神谷は間一髪で避け、後ろに飛んだ。

神谷(あの速度…避けれたのは奇跡だな。あいつは全く本気を出していない…)

思考する間もなくガブリエルからくないが足元に飛んできた。神谷はジャンプして避けたが、先を読まれガブリエルから拳が飛んできた。

神谷「ぐっっ!?」

腕でガードしたが、吹き飛ばされてしまう。

ガブリエル「俺はな、ガキの頃からニンジャが好きなんだよ。だからニンジャのくないを使えて幸福を覚える」
神谷「…そりゃ、よかったな」

勝てるか分からない。だがここまで来た以上、勝たなければいけない…。

ドミナター本部攻防戦4 <赤眼> ( No.18 )
日時: 2024/01/29 22:15
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

刹那、神谷の目の前にくないが”突然”現れた。それは神谷に飛んでくる。

神谷「なっ!?」

神谷はナイフでくないを捌いたが、捌いた瞬間に周りに大量のくないがまた突然現れた。目の前のくないを捌いて避けたが、背中や腕、足に刺さってしまった。神谷は落ちたくないを複数個ガブリエルに投げつける。

ガブリエル「ちっ」

ガブリエルはナイフで対応するが、同時に神谷がガブリエルに向かって走り出し、間合いに入った。そしてナイフで顔を突いた。

……はずだった。

突然だった。背中がいつの間にか切られていた。

神谷「がっっ!?」
ガブリエル「へぇ…よく動けたな…確実にやったと思ったのに…」
神谷「お前…いつの間に…!」
ガブリエル「驚いたか?姿を消すのはまるでニンジャだろ?」

まさに忍者のごとく現れたガブリエルにナイフを振ったが、また消えた。その瞬間、ガブリエルは足元に攻撃を仕掛けてきた。神谷はジャンプで避けるが、着地した場所にあるはずのない撒蔆を踏んでしまう。

神谷「ぐっ…!」

足の裏が血まみれになってしまう。痛みで悶えている間にガブリエルは神谷に近づきナイフで腹を刺す。ただでさえジャンとの戦闘で傷ついた腹のダメージも相まって尚効く。

神谷「くそっ!」
ガブリエル「おっとっ」

ナイフでガブリエルの腹を刺そうとしたが、ガブリエルに手首を掴まれ折られてしまう。

ガブリエル「じゃあな、無能力者の割には強かったが、列強には敵わねえんだよ」

その刹那…腹に刺さっていたナイフを縦に振り、神谷の腹を裂き……神谷は血を流しながら倒れた。


ガブリエル「はぁ…ようやく終わったか…くそ、派手にやってくれたな。死んだ奴の埋め合わせと…」

ガブリエルは神谷から受けた損害について独り言を言っている。

ガブリエル「はぁ…これから忙しくなるな…」

そう言った次の瞬間だった。ガブリエルはとある気配を後ろから感じ取った。その気配は…能力者でも無能力者のでもないおかしなものだった。

?「ああ~…おはよう…いや、こんばんはの方が正しいか?」

振り返ってみると…なんと倒れていたはずだった。神谷が…立っていた。そして…傷は何故か”治っていた”。

ガブリエル「なっ……!なんで生きてるんだ、お前…それに…その目は…」
神谷「ん?ああそうか、俺も”これ”はよくわからん」
ガブリエル「じゃあ…死んだお前が生きているのはなんなんだ!?」
神谷「そんなことを言われてもな…そうだなぁ…強いて言うなら…」

神谷は口にする。その目を…その名前を…。

神谷「”赤眼”」

ドミナター本部攻防戦5 ( No.19 )
日時: 2024/01/31 17:22
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

神谷の赤眼せきがんはなんなのか?どんな力があるのか?それは神谷にしか分からない。科学で証明は不可能であり、どんなに技術が進んでも分からない。能力者が調べても分からない。仮に神谷が他者に赤眼の力を教えても、赤眼の情報の部分だけが理解が出来ない言語になる。だが唯一理解できる方法が一つだけある。
それは…直接見る事だ。

神谷「おらよ」
ガブリエル「がっ!?!?」

ドおおおおおおん!と、大きな音が鳴る。ガブリエルは神谷の拳を顔面で殴られ、壁に激突する。鋼鉄よりも頑丈な壁は激突した後が大きく残る。その動作に、ガブリエルは全く反応できなかった。
ガブリエルは呻く。鼻は折れ、鼻血が流れている。

ガブリエル(なんだ今の…速度は?おかしい…本当にさっきの日本人か?)
神谷「何やってんだ?さっきの威勢はどこ行った?」
ガブリエル「なめんじゃねえぞ…俺は列強4位だ」

この瞬間、ガブリエルは能力を発動した。能力は”時止め”。景色は灰色に染まる。

ガブリエル(さて…どう調理しようか…)

この時だった。ガブリエルの耳にガシャァァァァン!と聞こえた。気づけば…能力は……解除されていた。
神谷はにやりと笑う。

神谷「どうした…?時止め…早くやれよ」
ガブリエル「…っ!なめるなぁ!」

ガブリエルは激怒し、ナイフを片手に突撃する。ナイフを突き立て、喉元を刺そうとする。
が、神谷のナイフで防がれる。

ガブリエル「はあぁぁぁ!」

ナイフで捌き捌かれの攻防が始まった。ナイフのぶつかる音は音楽の音楽のように聞こえた。が、最初は互角だった攻防も徐々に神谷が速度を上げ、力の差は広まっていく。ガブリエルは少しづつ傷ついていった。

ガブリエル(くそっ!?何なんだこいつは!?ナイフの速度が高まっていく!?まるで上位列強と戦ってるみたいだ!)
神谷「へぇ…まだ耐えるのか…流石列強だな」

ガブリエルは列強と戦ったことが無いが、そう錯覚する程、実力がかけ離れていた。
ガブリエルは鍛えたことがない。才能だけで列強に上り詰めたのだ。自分でも強いと思い、いつかは列強一位を超えて世界最強になる事を夢見ていた。
…が、明らかに自分を超える列強クラスの神谷に、なすすべなく蹂躙されている。自分の思っていた常識がガラガラと崩れていく。

神谷「ガブリエル、そろそろ本当の終わりだ。お前は強かったよ」
ガブリエル「くそぉぉぉぉ!!」
神谷「…じゃあな」

神谷はそのナイフで…ガブリエルの体を袈裟切りにした。

ガブリエル「がぁぁぁぁ!?!?」

血は勢いよく噴出した。神谷は…勝利したのだ。

勝利 ( No.20 )
日時: 2024/02/01 17:16
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

薄れていく意識の中で、ガブリエルは思った。「いつからこうなっていたのか?」と。20の頃、ドミナターの前身組織に入った。その実力で、僅か5年でトップになった。他のマフィアをつぶしながら勢力を拡大、50万の兵力という、大国並みの軍事力を持った。資金は20兆円を超す資金力を手に入れた。すべてを手に入れた。いつか最強になれる。そう思った。

…はずだった。
この目の前の男はガブリエルをいとも簡単に打ち倒した。全く手も足も出ずに。強かった。ガブリエルは強かった。神谷というイレギュラーが現れるまでは。

ガブリエル(ああ……どうすりゃ良かったんだよ…)

ガブリエルの薄れる意識の中で、神谷がこう言った。

神谷「お前…お前は強かったよ。本当に…俺が赤眼を使うまで手も足も出なかった。だが、俺の勝ちでいいな?」
ガブリエル「く…そが…最後に…煽ってんじゃ…ゴフッ」
神谷「…じゃあな、もう会わないだろうな」

神谷はそう言い残し、部屋を出る。部屋は静寂に包まれる。
ガブリエルはこうつぶやいた。

ガブリエル「おふくろ…もしあんたが俺をもっと育ててくれたら…施設に一回でも来てくれたら…俺は…違う人生を…歩んでいたのかも…な…」

それは…自分を捨てた母親に対する…言葉だった。
こうして…列強4位であり、ドミナターボスのガブリエル・マルタンは…静寂の部屋の中、静かに息を引き取った。


神谷はフランスでの戦いを終えた後、日本に帰国していた。空港には…那由多と厘が迎えに来てくれていた。

那由多「お疲れさま。どうやら勝ったみたいだね」
神谷「ああ、強かったよ。で、隣の奴は?」
那由多「そうだね、紹介するよ。冬月厘、僕の妹だ」
厘「厘です。初めまして神谷さん」
神谷「ああ、初めまして。俺は神谷悠だ」
  (礼儀正しいな)

神谷と厘は握手を交わした。

厘「神谷さん、今回はありがとうございます!感謝しきれません!」
神谷「どうって事ねぇよ。あと那由多」
那由多「?どうしたの?」
神谷「依頼金一億よこせ」

この後、依頼金についてちょっとした戦争があったのは別の話。


皆さんこんにちは、monmonです。ついにドミナター編、終わりましたね。勿論まだ終わりじゃありません。
この後の物語についてですが、予定としては神谷の過去編、揺らぐ列強編、第二次世界大戦編、最後の戦い編です。
最後の戦い編については、名前はまだ仮であり、どういう結末にするかは決まっていませんし、今言った”編”も、なくなるかもしれないですし、新しい”編”がスタートするかもしれません。
まあとにかく、小説は続けていきます。良かったらずっと見てくださると作者のモチベーションにつながりますので、今後ともよろしくお願いします。

補遺 閲覧は1000目指しています

外伝 異世界転生 『転生』 ( No.21 )
日時: 2024/02/10 14:17
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

ドミナター敗北は世界に衝撃を与えた。「え?まじ?」「嘘だろ…」「ガブリエルに勝った奴やばくね」などのコメントがSNSに投稿された。

神谷「…こんなことになるなら、倒さない方が良かったんじゃ…?」

二日前、神谷は世界的マフィアであるドミナターボス、ガブリエルを撃破した。想像以上にSNSやメディアが騒いでおり、軽く後悔している。今日、というか日本に帰ってから少し何でも屋を休んでおり、一週間以上前から何でも屋の事務所が燃やされて出来無い状態になっているのである。

今は公営住宅に住んでいる。あと数日でまた再開できる状態だ。
コーヒーをうまそうにすすりながらテレビを見ていると、那由多がやってきた。

那由多「凄い事になったね」
神谷「ああほんと、いい迷惑だ」
那由多「まあまあ、悠君の実力が世間に知れ渡るのはいいこt」

那由多が言いかけた次の瞬間、神谷の周りに”魔法陣”のようなものが出てきた。如何にもファンタジーに出てきそうな見た目をしている。

神谷「うお!?何だこれ!?」
那由多「え?なになに!?」

二人が驚いている瞬間、神谷が消え、同時に魔法陣も消えた。

那由多「え?悠君?悠君!?」

那由多は消えた神谷がいた場所を見ながら、驚きを隠せないのであった。


神谷「…?」

神谷は消えたわけじゃなく、何処かの部屋にワープされていた。周りを見ると、中世の豪華な服を着た、外国人らしき女性と、神官みたいな老人と、中世の鎧を着た兵士らしき者たちが数十人いる。神谷の姿を見た数秒後、歓声に満ち溢れた。

兵士「「「うおおおお!」」」
神官「聖女様、やりましたぞ!」
女性「ええ、これで我が国は…」

歓声に満ち溢れる兵士、涙を流す女性、神谷は状況が飲めなかった。が、その瞬間、周りは絶望に染まる。
部屋の綺麗な窓ガラスが割れ、見ると羽を生やした人型の化け物がいた。肌は紫色と、人間じゃ思えない見た目をしていた。

兵士「聖女様、神官様、ここは我らに!」

兵士たちは剣を構えるが、がくがく震えていた。

化け物「あいつかぁ、召喚された奴は」

そう言った次の瞬間、化け物は神谷にとびかかってきた。…が。

化け物「ぐぎゃぁ!?」

背中の羽が切られていた。

神谷「おいおい…異世界召喚ってやつか?」
化け物「てめぇ!人間の分際でぇ!?」
神谷「人間は人間でも最強クラスなんだわ」

化け物がどうなったかは想像に難くない。死んだのち、死体は消え去った。

神谷(死体が消えた…?マジで異世界だな…)
女性「あの、ガーゴイルを倒していただきありがとうございます!!」
神谷「あ、ああ…それで、なんで俺はこんなところに?」

神谷はかなりめんどくさくなると予感した。


皆さんこんにちは、monmonです。これからは異世界転生編をやっていきたいと思います。このストーリーは外伝なので、あんまり本編とは関係ないです。

外伝 異世界転生 「理由」 ( No.22 )
日時: 2024/02/10 23:41
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

神谷「まず質問、ここはどこだ?」
女性「ここはフリーデン王国、私はこの国の聖女のローゼ・ハイリヒゲスです」

思いのほか異世界で神谷は驚くが、話は続く。

ローゼ「貴方を召喚した理由は、この国を救ってほしいためです」
神谷「救う?」
ローゼ「はい、まず千年前、魔王という魔族がいました。魔王は世界を征服するために魔物たちを操り、いろんな国を滅ぼしてきました。人々は召喚魔法で四人の勇者を召喚し、見事に魔王を封印しました」
神谷「封印?倒したんじゃなくて?」
ローゼ「勇者様御一行でも魔王は倒せなかったようで、現在はその魔王が復活しようとしているようです」

神谷はここで分かった。召喚した理由は『魔王を倒してほしい』と。

神谷「分かった。要は魔王を倒してほしいって事だろ?」
ローゼ「はい…」
神谷「いいぜ、その魔王ってやつを倒してやるよ」
ローゼ「本当ですか!?」
神谷「ただし、倒したら俺をもとの世界に返すこと、それが条件だ、いいな」
ローゼ「ありがとうございます!!」

ローゼは深々と頭を下げた。フリーデン王国にとって、神谷を返すことは簡単なのだ。

神谷「頭を下げるのはいい、それで、俺はこれから何をすればいい?」
?「それについては私が」

神官らしきいとこが話に入ってきた。

?「私はドルイド、神官にございます。まず貴方は今日は休んでください。明日は貴方の実力を確かめるために、我が国の兵士たちと戦ってもらいます」
神谷「別にいいが、俺は強いぞ?」
ドルイド「強ければ強いほど良いのです」
神谷「なるほど」

その他諸々説明を受けた神谷は、王の間を兵士に案内され、王と謁見する事となった。

?「よく来てくれた。私はフリーデン王国のフリーデン十三世だ。まずは協力に感謝する」
神谷「俺は神谷悠です。よろしくお願いします」
十三世「うむ、今日は王城に滞在してくれ。明日の予定は分かるか?」
神谷「ドルイドさんに聞きました」
十三世「分かった。お前たち、部屋に案内せよ」

神谷は緊張しつつ謁見を終えると、自分の部屋に案内された。

神谷「豪華だな」
兵士「神谷様に最上級の部屋を用意しましたので」
神谷「サンキューな」
兵士「後もう夜なので、食事室に案内します」

今度は食事室に案内された。部屋には王とローゼ、その他の大臣がいた。食事は豪華である。

神谷「……で、俺はガブリエルを倒した」
十三世「ほう、神谷殿は強いのだな」

神谷の話を聞きながら食事をし、終えて風呂に入った。

神谷「凄いな…」

その広さに驚きつつ浸かり、終えて部屋に帰った。

神谷「やっぱ異世界転生なんだなぁ。食事は豪華で風呂も広くて、魔王もいて…。」

根落ちした神谷。明日は試合、フリーデン王国の精鋭兵と戦う事になる…。

外伝 異世界転生 『御前試合』 ( No.23 )
日時: 2024/02/11 15:11
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

なんか別の作品にフリーデン王国がありましたが、全く関係ありません。


アナウンス「間もなく御前試合が始まります!」

なんとフリーデン王国の国民に見られる試合となった。今はその会場にいる。

アナウンス「それでは、この国で最強と言われ、神の才を持つ聖騎士アティス様!」
観客1「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
観客2「アティス様素敵ー!!」
観客3「結婚してー!!」

鎧をまとったイケメンの聖騎士という男の登場により、貴族の娘やマダム、一般の国民はアティスを見て興奮している。アティスは中央部付近まで進み、神谷の説明となった。

アナウンス「それでは次に、ガーゴイルを一人で討伐した、召喚された異界の者、神谷悠!」
観客4「えぇ!あれが?」
観客5「なんだあの服?汚らしい!」
観客6「本当にガーゴイルを一人で?」
観客7「これはアティス様の圧勝ね!」

何の根拠もなく、アティスの勝利を予想する観客たち。神谷は中央部付近に行くと、アティスに話しかけられた。

アティス「やぁ。この時を迎える事が出来て、うれしいよ」
神谷「ああ、俺もだ」
アティス「私はね、ライバルという者がいなくなってしまった。強すぎるというのも孤独なものさ」
神谷「そうか、俺はライバルだらけだ」
アティス「ハハハ、凡人は大変だね」
アナウンス「それでは、試合を開始します!」

試合が始まった瞬間、アティスは剣を抜き、炎をまとい突撃してきた。が、神谷はナイフで受け止める。

アティス「やるね、でも、これはどうかな?『氷剣 アイスブレード』!」

炎は吹雪をまとい、力強く上段から神谷を切ろうとするが、また防がれた。上から剣を振り下ろすため、対処は簡単である。
そのまま神谷はアティスの腹に蹴りを入れる。

アティス「ぐっ!?」

バランスを崩し、剣を落とす。立て直すのには時間がかかるが、アティスは受け身を取りつつ横に転がり剣を取り立て直す。

アティス「や、やるね…」
神谷「その回避は見事な物だ。賞賛に値する」
アティス(どうする…相手は格上、だが武器はナイフだ。剣ならリーチがある…)

その瞬間、剣の上部で神谷を切りつけようとしたが、ナイフで受け止められた上に、剣を取られてしまう。
神谷はナイフを突きつけ、こう言った。

神谷「剣のリーチを生かして攻撃しようとしたのはうまいが、実力が足りなかったな。俺の勝ちだ」

会場は騒然となった。ここで王はこんなことを言い出す。

十三世「会場に集まった臣民よ。知っての通り我が国は創設以来、魔物に怯え続けた生活を余儀なくされている。しかし!!我々は1人では無かった。そう、もう気付いた者もいるだろう。今聖騎士アティスと戦った兵は、異界の戦士だ。魔王討伐のため、少しの間協力されることとなった。私は民が平穏な暮らしを取り戻せるよう、全力で国を導く事をここに誓う」

会場は王の言葉で大歓声が響き渡った。

外伝 異世界転生 魔王の側近 ( No.24 )
日時: 2024/02/16 22:42
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

御前試合が終わり、神谷は騎士に謁見室に案内された。中には王が座っており、その横に立っているのは魔物討伐隊隊長のレイクルがいた。神谷は王たちと話し合う。現在の状況としては、

・現在魔物二千体とフリーデン王国騎士団一万人が地方都市カイールで交戦中
・その中に『魔王』らしき魔族が発見される
・既に地方都市ミールが陥落。守備隊三百人が捕らえられている

というものだった。実を言うとアティスと神谷の試合が始まる前魔王が復活しており、試合が始まると攻勢を仕掛けていた。その為この様な事が起きている。

隊長「…という事だ」
神谷「なるほど、状況はやばいな」
十三世「オーグルを倒せれば何とかなるが…」
神谷「オーグル?」
隊長「オーグルとは強力な魔物で、身長は五メートルと巨体のくせに素早い。奴らは鋼鉄製の棍棒を使う。我々にとって脅威なものだ。倒せるのは聖騎士くらいだ」

神谷は聖騎士と聞いてアティスを思い浮かべてくる。
会議はいったん終わり、各自の持ち場に行こうとする。その時、黒い物体が1体、窓から飛び込んで来た。
パリん!!と、天窓のガラスが砕け散る。物体は漆黒の羽を生やし、白い服を着て会議室に降臨する。

隊長「なっ…!あれは!」

隊長が叫ぶと同時に騎士たちは剣を鞘から抜く

物体「千年で人間をここまで行くとは…見くびっていましたよ」

王に向けて手のひらを向ける。魔力によるものか空間がゆがみ、黒い炎が顕現した。そして…その炎は王に向けて放たれる。

物体「ヘル・ファイア」
副隊長「させるかぁぁぁ!!」

副隊長がかばったが炎をくらい、断末魔と熱風が感じる。

副隊長「ぎぃあぁぁァァ!!!」

神谷はすぐにナイフを出し、物体をめった刺しにする。

物体「がっ……」

物体は崩れ落ち、静寂が部屋を支配する。


十三世「神谷殿、こいつは魔王の側近、タグトリース。討伐をしていただきありがとう」
神谷「いや…副隊長が…」
隊長「何をいう、彼は残念だったが、神谷殿がいなかったら、我らは全滅していた。それほどまでにこいつは強力な魔獣だ」

神谷は話が終わったのち出撃の準備ができ、最前線にワープされ魔物たちとの戦いという名の蹂躙を開始する。

外伝 異世界転生  『無双』 ( No.25 )
日時: 2024/02/16 22:41
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

数時間前、地方都市カイールでは魔物とフリーデン王国騎士団との戦闘が起きていた。一般人は逃げ遅れており、百人が魔物側に捕らえていた。今は魔物が管理している建物へ捕らえられてる。

魔物「魔王様は、今日はあっさりしたものがいいと言っていたな」
魔物「だったら、野菜をメインにしよう」

百人に安堵の空気が流れる。

魔物「味付けに若い女をドレッシングに使おう。おばえだ」
女性「イヤァァァァァァァァァ!!!助けてぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
魔物「うるさいぞ、あばれんn」

魔物が若い女性を連れて行こうとしたとき、見張っているオーガは首から血を流しており、声を出さずに倒れた。
倒れた音で魔物たちが振り返る。

魔物「な、なんだおばえ!!」
神谷「お前な」

神谷は女性の手首をつかんでいた魔物の手首を切った。

魔物「いでぇぇぇぇぇぇ!?!?」
魔物「「「野郎ぶっ殺してやらぁぁぁ!!!」」」

何処かで聞いたセリフを言いながら魔物たちは棍棒なり剣なり持って突撃してきたが数秒の命だった。
駆け付けた騎士に任せて神谷は外に出て、魔物と戦う。
大通りにいるオーグルにむかってナイフを投げつける。

オーグル「グゥゥゥゥゥグォォォォッォ!!!!!」
神谷「おーおー怒ってる」

尻にナイフを刺されてキれない生物はいない。オーグルは例のごとく突進してきた。が、攻撃を避けられ太くも筋肉がよく見える腕を豆腐のように切られ、青い血が流れる。

オーグル「グォォォォォォォォ!!!!」
神谷「ばーいばい」

そのまま頭を切られ糸人形の糸が切れたかのようにオーグルはその場に倒れ込む。
駆け付けた騎士団と共に大通りを進むと身長が二メートル半の青鬼が現れた。

市民「ブルーオーグルだぁぁ!!」
市民「逃げろぉぉぉぉぉ!!!」

市民はパニックに陥った。
神谷はブルーオーグルに近づき戦おうとする。周りの騎士や市民たちは神谷の死を確信した。

神谷「ふっっっ!」
ブルーオーグル「?」

何と神谷のナイフが効かない。キンッ!と、金属音がなる。

神谷「!まじかよ…」
ブルーオーグル「グォォォォォ!!」

ブルーオーグルが鋼鉄の棍棒を神谷に振りかざしたその時、神谷は赤眼を使い、攻撃力が上がったナイフで連撃。伝説の魔獣、ブルーオーグルはあっけなく切り刻まれ死んだ。神谷は赤眼を解除する。次の瞬間、周りから歓声が響き渡った。

市民「うぉぉぉぉ!!」
騎士「すげぇぇぇぇ!!」

神谷は照れつつ、更に気配の大きい場所に進む。

外伝 異世界転生 『魔王の力』 ( No.26 )
日時: 2024/10/14 22:32
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

ブルーオーグルの撃破後、魔王がカイールの城門から広場の間の大通りに単身で出現した。顔は怒りに満ち溢れていた。

騎士「ウォォォォォォォォ!!」

ドドドドドドド・・・と、馬の走り出す音と、騎士による気合の入った声が聞こえる。フリーデン王国騎士団の約200名が城門から討って出たようだった。
騎士団隊長のミリングは相手はたったの1体、今なら数で押しつぶせると確信していた。

魔王「人間がっ!」

魔王はフリーデン王国騎士団に対して手をかざす。手の先からは、タグトリースとは比べ物にもならない黒い炎が出現する。

魔王「魔王の名のもとに命ずる。獄炎の炎よ、我の命により我に逆らいし愚かな敵を焼き尽くせ。
   邪王煉獄拳、煉獄黒龍波!!!」

黒い獄炎で作られた炎の龍が騎士団に向かい飛んでいく。

ミリング「なっっっ!!!」
騎士「ぎいぁぁぁぁぁ!!!」

炎の黒鳥は大きくなり、拡散して騎士団に襲い掛かる。騎士たちは、1人残らず、馬もろとも黒い炎に包まれ、消し炭となり、絶命した。

市民「うそだろ…」
騎士「勝てっこない…こんなの…」

城門の上で一部始終を見ていた者たちは、魔王の力に唖然とする。

魔王「大いなる大地の魔人よ、その絶大なる力を解放し、我が配下となりし古の魔人を呼び覚ませ。
   ドレッドゴーレム!!!!」

大地が盛り上がり、鋼鉄は人の形をなし、動き始める。魔王の魔力で大量に作られた、身長が十メートルあるドレッドゴーレムは城門に進撃を開始する。フリーデン王国兵は、城が迫ってくるかのような圧倒的な大きさ、なす術が無いほどの質量に絶望する。

騎士「通常のゴーレムでさえ、大軍での対応が必要というのに…。これが…魔王の力か!!」

その時、白いローブを羽織る十人の男が魔王とドレッドゴーレムの前に立ちはだかる。
彼らは『王国魔導特戦隊』であった。その技量は超エリート中のエリート。

男「いくぞ!古代魔法だ!」

リーダー格の男が指示する。特戦隊の隊員たちは詠唱を開始する。

隊員「雷よ、舞え!その大いなる力を解き放し、眼前の敵を滅せよ!!!!
   サンダードラグーン!!!」

雷を交えた強烈な竜巻がドレッドゴーレムと魔王のいた位置に発生する。騎士たちは勝利を確信した。しかし…。

リーダー「ば、馬鹿な!!全く効いていないのか!!」

隊員たちは魔力を使い果たし、崩れ落ちる。

魔王「魔法か…小賢しい!ドレッドゴーレムよ、ゆけ!!」

圧倒的な物量で城壁は破られ、最悪魔王軍が国中になだれ込む。誰もが絶望したその時だった。

ドレッドゴーレムの内一体が…その頭が跡形もなく吹き飛んでいた。

外伝 異世界転生 『魔の王と聖騎士』 ( No.27 )
日時: 2024/02/16 22:44
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

破壊されたドレッドゴーレムの頭の周りを見ると、ある剣を持つ一人の男が宙に舞っていた。

騎士「あ…あれは…!」
騎士「アティス様だ!」

アティスは魔力をまとっている剣でドレッドゴーレムを粉砕。その剣はどちらかというと切るより叩く方が正しいが。魔王とドレッドゴーレムたちはアティスに顔を向ける。

魔王「人間の分際でドレッドゴーレムを破壊するとは!小癪な!」

アティスは地面に着地しもう一体に攻撃する。足を粉砕したのち、背中を登り撃破する。
だが、それに見かねた魔王が動く。

魔王「人間よ、やるな。だが所詮人間だ。我には勝てぬ」
アティス「悪いけどあがいてもらうよ
     オーラブレード!!!」

アティスは自身の必殺技である『オーラブレード』を使用する。この技は古代魔法でも傷一つつけられなかったドレッドゴーレムを砕く攻撃を魔王に向けて攻撃する。だが…。

魔王「甘い!」
アティス「!?!?」

なんと防御魔法で防がれてしまった。並みの魔導士の防御魔法なら容易く破壊できただろう。だが相手は魔王だ。そこらの魔導士とはわけが違う。魔法の練度も魔力量も桁が一桁どころか四桁違う。

魔王「ヘル・ファイア!」
アティス「ちっ!」

ヘル・ファイアでアティスを燃やし尽くそうとしたが剣で塞ぐ。そのまま後ろに飛び間合いを取る。

アティス(どうする、オーラブレードは防御魔法で防がれる。なら解除魔法で…)

アティスは地を蹴り魔王に一気に近づき、オーラブレードで切りかかる。

魔王「なら防ぐまでよ!!」

魔王は防御魔法を展開、防御態勢に移った。が、バリアに当たった瞬間、なんと防御魔法を突破した。理由は簡単、アティスはなんと剣に解除魔法を『流していた』。これによって攻撃が当たるようになる。

アティス「もらったぁぁぁぁぁ!!!!」

アティスは勝利を確信した。このまま切り込めば必ず勝てる。はずだった。

魔王「所詮は人間か。残念だったな」
アティス「が…なん……で……」

…魔王は魔力で手を保護しつつオーラブレードがまだ発動している剣を左手で粉砕。右手でアティスの鎧を粉砕し、腹を貫通した。魔王はアティスを投げ捨てる。そこには血の池が広がっていた。

神谷「……まじか…」

神谷はその光景に絶句していた。すると、アティスが生きているので近づいた。

神谷「大丈夫か!?」
アティス「もう…駄目みたいだ…最後に…一つ…」
神谷「…なんだ?」
アティス「絶対に…絶対に…勝ってね…」

大陸最強である聖騎士アティスは…魔王との戦いに善戦するも、奮闘むなしく戦死した。

魔王「はっはっはっはっはっ!!!所詮は人間、聖騎士といえど我にかなう事は無い!安心しろ、今すぐその聖騎士の元へ送ってやる」

神谷の左目は…赤く光っていた。その光は怒りが混じっているようにも見えた。

外伝 異世界転生 『赤眼と魔の王』 ( No.28 )
日時: 2024/02/17 15:26
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

魔王「!!ヘル・ファイア!」

神谷の気配が一気に変わったことにより、魔王はタグトリースより威力があるヘル・ファイアを弾幕で撃ってきた。アティスでもこれほどの弾幕は防げない。だが神谷は赤眼を持つ。赤眼を発動した瞬間、視界に映るヘル・ファイアが一斉に停止し、ナイフを振るったその瞬間、視界に映るヘル・ファイアがガラスのように崩れ落ちた。

魔王「なにぃ!?」

魔王が驚く隙を神谷が見逃すはずもなく、地を蹴り一気に魔王に近づく。魔王は防御魔法を展開し攻撃を防ぐ。

魔王「人間のくせに小癪な!!」
神谷「言っておくが、俺はただの人間じゃない。世界で四番目に強い奴を殺した人間なんだよ」

神谷のナイフに赤いオーラが流れ出す。ナイフを受けていた防御魔法がオーラに触れた瞬間、防御魔法が解除される。そのまま魔王の左腕を切る。

魔王「がぁぁぁぁぁ!!」
神谷「まだまだだ!」
魔王「ぐはぁぁぁぁ!!」

痛みに悶える魔王の腹を蹴り吹っ飛ばす。魔王は五十メートル先でようやく止まった。が、さっきの姿とは程遠い姿になっていた。切られた左腕からは血が流れ、吹っ飛ぶ過程で何度かバウンドしたせいか、体中から血が流れ、打撲の跡が出来上がっていた。
神谷は”それ”に近づきこう言った。

神谷「…無様だな」

魔王を侮辱する言葉を呟いた瞬間、突然魔王から魔力がさっきの比じゃないほど溢れ出していた。一般人が感じ取るだけでもその恐ろしさで失禁し、気絶するほどだ。
これだけじゃない。魔王の姿がさっきの頭に角が生えている人間の姿から更に角が巨大化し、肌も緑色になった。魔王は後方へ飛び、こう言った。

魔王「この姿は…我にとっては醜く美しくない姿だが、いかしかたがない。この町ごと焼き払ってくれる!!」

そう言った瞬間、魔王は天に両手を掲げ、魔法陣が出現。魔法陣は天高く空へと昇った。
次の瞬間、地響きが鳴り響く。

騎士「なんだ…?」
市民「地震…?」

騎士や市民が戸惑っていると、カイール上空に”隕石”が現れた。隕石は燃えながら接近していく。

魔王「はーっはっはっはっ!どうだ、国家崩壊級魔法『隕』は!”あのお方々”より威力は遥かに下だが、それでも人間には十分すぎるよ!」

魔王が放った隕石はカイールに向けて落ちてゆく。このままカイールは消滅し、魔王は世界を征服する。なんてことはもう永遠に来ないだろう。

魔王「ば…ばかなっ!!そんなことがあるわけが!!」

神谷はそこらの石ころに赤眼を発動、オーラを石に流し、なんと隕石に『投げつけた』。超音速で飛んでいく石は隕石にぶつかり、赤眼の力でガラスのように砕け散った。

神谷「ふぅ、流石に隕石は危なかったな。さて」

神谷は魔王に視線を向けこう言った。

神谷「お前の切り札らしきあれは防いだ。さぁ、楽しい時間は終わりだ」
魔王「…くそ!くそ!くそ!崇高なる魔王の我が、こんな人間ごときにいぃぃぃぃ!!!」

神谷は飛んでいる魔王にジャンプで近づき、首を切った。

魔王「かっ……」

異世界を震え上がらせた魔王は、神谷によって、討伐された。


皆さんこんにちは、monmonです。次回は外伝 異世界転生の最終回です。長かった…。最終回の後は本編をまた再開します。と言いたいところですが、まだストーリーが決まっていないんですよ…。ストーリーが決まり次第、投稿するので、ぜひこれからもとある町の何でも屋の無能力者を見ていってください。

外伝 異世界転生 『帰還』 ( No.29 )
日時: 2024/02/17 23:25
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

魔王が討伐され、神谷は謁見の間に来ていた。というよりかは呼ばれたという方が正しいが。

十三世「神谷殿、魔王を討伐していただき、誠にありがとう。アティスも、天国で喜んでいるだろう」
神谷「…そうであるといいですね」
十三世「神谷殿の世界に返す、と言いたいところだが、是非とも戦勝の宴に参加してほしい」

十三世からパーティーのお誘いが来た。神谷的には断って帰りたかったが、頭を下げられてしまい渋々参加することに。そして…数時間後、宴が始まった。

パーティーは賑わい、十三世や聖女ローゼ、神官ドルイドは勿論、貴族や一部の一般人、更には他国の人間までが参加していた。そして…神谷は今、台の上に立っていた。神谷にはさまざまな人の視線が向けられている。十三世曰く、『神谷殿、宴に向けて演説をしてほしい』という事だ。

従者「これを」
神谷「これは?」
従者「魔導拡声器です」

神谷に渡された石のようなものは拡声器だという。どうやらフリーデン王国は技術力(魔法力?)が高いらしい。
魔導拡声器を渡された神谷は台に上がり、演説を始める。

神谷「あー、あー、俺が魔王を討伐した神谷悠だ。ここに居る皆さんは俺を英雄だと思っているだろう。だが真の英雄は俺じゃなく戦場で散っていった騎士だ。地方都市ミールにいた騎士三百人は魔物に捕らえられ、全員が死んだ。だが俺たちが魔王に勝利できたのは散った英雄だ。決して俺じゃない」

会場の人々は動揺する。続いてこう言った。

神谷「騎士の死者は3451人、聖騎士は12人、民間者は17264人が亡くなった。決して少なくない被害だ。この戦争で大切な人が亡くなって悲しみに明け暮れている人も多くいるだろう。だが、俺たちはやり遂げたんだ。恐怖から開放されたんだ。この出来事は歴史書に残り、後世に語り継がれるだろう。俺が言うのもおかしいかもしれないが、」

一拍置いてこう言う。

神谷「乾杯!!」

言い終えた瞬間、会場から拍手が鳴り響いた。宴が始まり、うまい飯を食って笑顔になる者や市民と飲み比べをする十三世、酔って歌う騎士がいて、楽しいものになった。神谷は少し離れた場所にいて、一人酒を楽しんでいた。すると、聖女ローゼがやってきた。

ローゼ「隣いいですか?」
神谷「…あぁ、いいぞ」

隣に来たローゼはこう言った。

ローゼ「どうしても…帰りたいんですか?」
神谷「…どういうことだ?」
ローゼ「貴方はこの国、いや世界で英雄です。確実にいい生活が出来ますよ?あわよくば王位につけるんですよ?」
神谷「興味がないからだ」
ローゼ「…興味がない?」
神谷「俺は国のトップになる器じゃない。どうせ失策の連続で最後は処刑台だ。それに…何でも屋が楽しいんだよ。大変だけどな。後は友人がいるし」
ローゼ「あっ…」

友人の部分は完全に盲点だった。神谷は続けてこう言う。

神谷「だから、俺はここには残らない」
ローゼ「…そうですか。貴方がそこまで言うなら反対はしません」

宴に関しては、十一時になると流石に帰りだす人が出始め深夜になると、ほぼ全員が帰った。こうして、宴は終わった。

翌日、神谷はついに帰る時間が来た。周りには騎士や神官ドルイド、聖女ローゼ、十三世が並んでいた。

十三世「神谷殿、そちらでも元気にやるんだぞ」
ドルイド「短い間でしたが、ありがとうございます」
騎士1「俺はあんたを応援しているぞー!」
騎士2「尊敬しているぜ、神谷さん!」

感謝の声が聞こえる中、ローゼが近づいてこう言った。

ローゼ「今後は貴方はその強さゆえ、苦難の道を歩むかもしれません。ですが、貴方は必ず困難を乗り越えるでしょう。短い間、本当にありがとうございます」
神谷「あぁ、俺も本当にここは楽しかった。そっちも元気にやれよ」
ローゼ「ありがとうございます。それではこれより儀式を始めます!!」

神谷の足元に魔法陣が出来る。次の瞬間、神谷は消え去った。

神谷「おっ、戻ったか」
那由多「あっ、悠君!心配したよ~」
神谷「あぁ悪い悪い」

すると、やっていたニュースのアナウンサーがこう言った。

アナウンサー『という事で、列強一位のアグネス氏は、神谷悠氏を列強会議に参加させる趣旨を示しました』

神谷はまためんどくさくなると確信した。

赤眼の過去 ( No.30 )
日時: 2024/02/23 21:55
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

アナウンサー『では次のニュースです。先日、列強五位であるアクシオン氏が殺害されたことが判明されました。司法解剖の結果、死因は全身を強く打った事により、即死だったという事です。犯人は夜神よがみ伊吹氏という事であり、アグネス氏は列強会議に参加させる趣旨であります』

ニュースを見た神谷と那由多は驚いた。アクシオンは列強五位、列強では最弱だが実力者には間違いない。彼の能力は『弾丸の生成』。一見すると弱いかもしれないが、弾丸はアサルトライフルのサイズから大和の46㎝砲までのサイズを”無尽蔵”に生み出し、自由な速度で撃つことが出来る。

那由多「…」
神谷「…」
アナウンサー『では次のニュースです。三日前、突如として謎の巨大な島が現れ、そこには現地住民が住んでいました。現地住民たちは『アンストロース大魔法帝国』と名乗っており、政府は国交樹立を検討しています。また、アメリカ合衆国、イギリス連邦、スペイン王国、フランス共和国は国交を樹立しているようです』

魔法と聞いて、神谷はフリーデン王国を思い浮かべる。このニュース以外に、特に特筆するものはなかったが、那由多が神谷に話しかける。

那由多「アクシオンさんが死んじゃっていることは、今言った夜神さんが列強になるってことだね…」
神谷「アクシオンと会ったことがあるのか?お前」
那由多「列強会議でね」
神谷「なぁ、その列強会議ってなんだっけ?」
那由多「え?知らないの?」
神谷「名前だけ知ってるって感じだわ」
那由多「じゃあ説明するね。一年おきに開催して、列強会議は言わば列強同士の交流なんだ。ご飯を食べたり、話し合ったりするんだよ」

神谷は思う。『これに自分が参加するのか…』と。

神谷「俺は初めてだから、案内頼んだぞ」
那由多「いいよ、一緒に行こう」

神谷はいろんな事を教えてもらった。服などの荷物や、スケジュールなどを。那由多は帰っていき、一人になった。
夜になり、神谷はベッドの上で目をつぶった。


これは、赤眼を持つ男の過去の物語。神谷は一人だった。12歳の頃、両親が他界。神谷は遺産を受け継ぎ、一人で生活をしていた。どうやら父の遺産は多く、生活には余り困らなかった。今は17歳、アパートに住んでいる。
そして…いつも通り高校に通学する。朝の挨拶の時、担任がこんなことを言った。

担任「今日、転校生が来るぞー」
男子高校生1「えぇ!マジかよ!」
男子高校生2「女子がいいな~」

各自各々の感想を言う。神谷は興味なさそうに頬杖をつき、外を見ている。

担任「じゃあ、入ってくれー」

担任の野太い声が教室に響く。扉が開き、転校生が入ってくる。女子であったが、その姿は一言で表すなら美しい。白い肌、真っすぐ整った鼻、潤いのある唇、すっきりとしたあご、綺麗な瞳、美少女だ。髪はショートヘアーとなっている。彼女はこう言った。

転校生「皆さんこんにちは、白鳥葵です。親の仕事の都合で転校してきました。よろしくお願いします」
担任「じゃあ葵、そこの神谷の隣の机に座ってくれ」

神谷は知らなかった。彼女との出会いが人生を変えることになるなんて。

趣味が合う男女 ( No.31 )
日時: 2024/04/01 23:21
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

葵が隣に座ってくる。歩いてる姿に男子たちは見惚れていた。

葵「神谷君、よろしくね」
神谷「…あぁ、これからよろしく」
男子1「神谷いいなー」
男子2「俺と変われ~」

横からヤジが飛んでくるが神谷にとっては雑音と同じだ。そのまま授業が始まったが、ちょっとしたハプニングが起きた。葵は数学の教科書を忘れてしまった。

葵「神谷君、ごめん!数学の教科書忘れちゃったから見せてくれないかな?」
神谷「ん?あぁいいぞ」
葵「ありがと~」

男子から嫉妬の目を向けられているが、気にしない。数学が終わり、教科書は返してもらった。
授業が終わり神谷は小説を読み始めるが、葵がそれに反応して話しかけてきた。

葵「神谷君、なに読んでいるの?」
神谷「別に下の名前の悠でもいいよ…。そうだな、『一生会えない君からの手紙』だな」
葵「あ~それかぁ。私も読んでるよ」
神谷「特に主人公が手紙を読んだときは感動したな」
葵「分かる!私そこで泣いちゃったなぁ」

完全に二人の世界となっており、周りの生徒たちはポカーン( ゚д゚)とする。その後、二人の語りは続く。生徒たちも各々のしたい事をするようになった。

学校も終わり、神谷は尾川町の古本屋で小説を買いに来ていた。今度は恋愛小説2冊買いに来た。店内に入り、いい小説を見つけたが、取ろうとしたと同時に誰かの手に触れた。どうやらその人も小説を取ろうとしたらしい。

神谷「あ…すみm」

言いかけたと同時に、その人物を認識した。白鳥葵だった。

神谷「…お前だったのか?」
葵「え…悠君も?」

狙っていた小説がかぶってしまい、若干気まずくなったが、神谷はこう言った。

神谷「お前が欲しいなら譲るが…どうする」
葵「いやいや…私こそ悠君が欲しいなら」
神谷「いやいや」
葵「いやいや」

話が進まない。結局、神谷は押し切られ、葵は別の恋愛小説を取った。購入し、店を出た。

神谷「そういやお前は何でここに?」
葵「小説を買いにね。この尾川町にはどんな本が売ってあるんだろうって」
神谷「なるほどな。じゃあな、…ええと、名前で呼んでいいのか?」
葵「いいんだよ!」

葵はぐぃっと顔を近づけてこう言った。

葵「ずっとお前お前って呼んでたから、てっきり名前で呼んでくれないのかなって思ったよー!」
神谷「名前で呼んでほしいのか?」
葵「名前で呼ばれないと案外寂しいからね」
神谷「わ…分かった。おm…葵…」
葵「ありがとね、悠君」

葵はふわっと笑顔を浮かべた。その後葵と別れて、家に帰った。玄関で神谷はこうつぶやいた。

神谷「相駆らわずあの赤い眼はなんだ?」

守る ( No.32 )
日時: 2024/02/24 17:45
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

朝、神谷は学校の玄関に来ていた。神谷の上履きを取ろうとしたが、何故かなくなっていた。

神谷「…あれ?」

昨日絶対にしまったはずなのであるはずだが無い。あるのは紙だけ。その紙にはこう書かれていた。

『白鳥葵と縁を切れ。切らなければお前に不幸が訪れるだろう』
神谷「面白れぇ、上等だ」

まさかの対抗しようとした神谷。その時、後ろから突っ込みが飛んでくる。

葵「いや面白くないよ…」
神谷「おっ、葵か」
葵「大丈夫、悠君…?」
神谷「大丈夫だろ、犯人探し出してボコボコにすればいい」
葵「凄い怒ってるんじゃん…」

尚この三日後、犯人(D級)は顔面がはれ上がった状態で見つかったとさ。仕方なく職員室で上履きを借りた。借りてる最中、教師から陰口が聞こえてきた。心が広い神谷は煽りにも負けない、と思いながら歯軋りをしながら教室に行った。

神谷(あの教師、後で消してやる…)

物騒なことを思っているが気にしてはいけない。嫉妬の目線を向けられつつ、授業が終わり神谷は屋上で昼飯の弁当(米、から揚げ、卵焼き、サラダetc…)を食べようとしたが、屋上には先客がいた。

神谷(誰だ…?)

様子がおかしかったので覗くと、女子一人と男子一人がいた。男子一人は問題児で有名な愚川ぐがわで、女子は葵。神谷は様子を見ると、なにやら話していた。

愚川「なんでだよ!あんな無能より強い俺の方がいいだろ!」
葵「だから嫌なの」
愚川「はぁ!?」
葵「あなたみたいな自分より弱い人を馬鹿にする人は好きになれない」
愚川「っ!てめぇ!!馬鹿にすんじゃねえ!」

そのまま葵の手を掴もうとした愚川だが、勿論神谷がそれを許すはずもない。神谷はわざとドアを勢いよく開ける。その音に気が付いた愚川と葵が神谷に視線を飛ばす。

愚川「なっ…てめぇ、いつの間に!」
神谷「葵を襲って楽しもうとしようとしたのか?よっぽどのクズなんだな」
愚川「なめやがって!ぶっ飛ばしてやる!」

愚川は神谷に殴りかかってきたが、神谷は赤眼、愚川はC級、勝ち目はない。そのまま避けられ、逆に神谷に顔面を殴られた。

愚川「ぐへぇあぁー!!!」

断末魔を上げ吹っ飛ばされる。勿論だが殺してはいない。気絶した後、葵は質問してきた。

葵「えぇっと、神谷君は無能力者なの?だとしたら何であんなに強いの?」
神谷「そうだな、俺にもよくわからん」
葵「えぇ……」
神谷「何でそんなに強いのかは本当によくわからんこの体は。変化があるとすればだな…えぇっと、強いて言うなら時々、左眼ひだりめが赤くなることだ」
葵「左眼が…赤く…?」
神谷「あぁ、赤くなるって言っても、赤くなるだけだからな」

葵は神谷の説明を理解できていないようだ。仕方なく別の所で食事をとった。
そのまま学校は終わり、葵は家に帰った。そして湯船につかった。ふと神谷を思い出す。

葵「…なんで、なんで悠君を思うと、胸が締め付けられるの…?」

葵は神谷の事を思いながら、湯船を満喫する。

守った結果停学 ( No.33 )
日時: 2024/02/25 20:10
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

実は愚川をぶっ飛ばした日、現場を駆け付けた教師に見られて、神谷は生徒指導室に来ていた。

先生「神谷、俺は驚いたぞ。ここまでの実力があったとはな。E級じゃ勿体無い、B級の申請書を出してみないか?」
神谷「いや、指導しましょうよ…」

何故か評価される神谷。生徒指導の先生は文字通り脳筋だった。

先生「指導、か…そうだな…」

先生は少し悩んで、こういった。

先生「やりすぎだ」
神谷「やりすぎ、ですか」
先生「だが逆に言えばそれだけだな。あの状況を聞けばお前は葵を守ったんだな?」
神谷「はい、それが?」
先生「会議でもそれを評価された。だがな、殴った際、歯が折れまくった挙句、頭蓋骨が一部ひびがあったそうだ。流石に見過ごせないんだ」
神谷「…なるほど」

そこまでの重傷を負っていたとは少し申し訳ないと思う神谷。先生の話が続く。

先生「まぁ俺は助けたことは正しいことだと思う」

先生は一拍を置きこう言った。

先生「だがあそこまで傷つけるのはやりすぎだ。傷つけるのは筋肉だけだ」
神谷「は、はぁ。確か、筋肉を傷つけると逆に活性化する、的なことをした気が…」
先生「そうだ、よく覚えているな!お前も筋トレをやr」
神谷「結構です」
先生「あ…うん…」

少し残念そうにするが、神谷は疑問に言ったことを問う。

神谷「…それで、俺はどうなります?」
先生「まぁ、停学だろうな。ただ退学は無いな。実力主義と言えど、あいつのやった事は問題だしな。未遂でも犯罪だ。葵から聞くと、『襲われそうになった』って言ってた。あそこでお前がいなければあいつを退学せざるを得ない事になる。お前は同時にあいつを守ったんだ」
神谷「そうですか」
先生「まぁ二人とも停学だ」
神谷「…これ、進路に影響します?」

神谷は今高二で、一年後には進路を考えなければいけない時期だ。

先生「そうだが…お前いまだに進路考えていないのか?」
神谷「それは…」
先生「まあいい、早めに決めた方がいいぞ。まぁ、生徒指導の俺が言うのもあれだが、お前のした事は正しいと思う。それは誇れ」
神谷「…将来には黒歴史になってそうですけどね」
先生「まぁ今日はこれでおしまいだ。今日は自習しろ」

そんなこんなで、神谷は自習をすること(するとは言っていない)になった。その帰り、神谷は校門に向かうと、葵がいた。

葵「待ってたよ」
神谷「律儀な奴だな。帰ってもよかったのに」
葵「あのさ…」

葵は申し訳なさそうにこう言った。

葵「ごめんね!」
神谷「?どうして?」
葵「だって、私のせいで悠君が…」
神谷「別にいいよ…そもそも、あいつが事の発端だし…」
葵「でも…」
神谷「事の発端があいつでも、俺がやった事だ。しっかり責任を取る。それに、俺がいなかったら葵は襲われていた。葵が無事な事にほっとしている」
葵「そっか…それならいいけど…」
神谷「そういうわけで、俺は用事があるから先に帰るぞ」
葵「えっ、あっ、さようなら」
神谷「ああ、さようなら」

そう言って神谷は走り去っていった。そして、葵が湯船につかっている時間に戻る。

テロリストとの出会い ( No.34 )
日時: 2024/03/02 16:08
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

神谷「…暇だな…」

次の日停学になった神谷は本を読んでいたが、それも読み終わり、やることが無くなった。

神谷「…そういえば、最近映画を見ていなかったな」

映画を見に行こうと思った神谷は、駄目だが見に行った。映画自体は面白かった。
映画のストーリーがある程度落ち着いてきたころ、突然前の席から声をかけられてきた。その男は学ランでリーゼント。いかにもヤンキーのような姿だった。

?「…あんたも停学か?」
神谷「…そうだが、あんたは?」
?「俺は大田垣カイロだ。俺は学校で馬鹿した結果、停学になったヤンキーだ!」
神谷「大声出すな…」

そして映画が終わったが、何故か神谷とカイロは近くの飲食店に来ていた。

カイロ「代金は気にすんな、好きなもん頼めよ」
神谷「お、おう…で、なんでこんなところに来たんだ?」
カイロ「お前の事が聞きたいからだよ。お前、無能力者だろ」
神谷「…!そうだが、それが?」

無能力者の事に気づいた事に驚くが、話は続く。

カイロ「俺は気配に敏感で、無能力者って気づいたんだよ。あんたは強いのに無能力者なのが気になったんだ」
神谷「あいにく、俺はそんなに強いわけじゃない」
カイロ「またまた~わかってるんだぞ~」

神谷はうざいと思いつつ、注文したコーヒーがやってきた。カイロには無茶苦茶でかいパフェがやってきた。

神谷「へえ…意外と甘党なんだな」
カイロ「甘いものは俺にとってガソリンさ」
神谷「なんだその例え…で、目的はそれだけか?」
カイロ「と、言うと?」
神谷「そんな事の為に俺をここに誘ったわけじゃないんだろ?」

神谷はそう答えると、カイロは不適な笑みを浮かべる。

カイロ「そうだ…俺たちはロンギヌス。今、俺たちは人材が欲しい」
神谷「…見かけによらず、随分とテロリストなんだな」

ロンギヌスは、日本に存在するテロリストだ。度々テロを起こし、警察や日本軍が対応をするが拠点が一切見つからないため、国民、特に都市部にすむ人々は怯えている。

神谷「悪いが、俺はテロ組織なんかになりたくない。この話は終わりにさせてもらう」
カイロ「いいのか?革命が成功すれば、お前には今と比べ物にならない富が手に入る。後悔するぞ?」
神谷「関係ない。もういいか?」
カイロ「待てよ…ほら、名刺だ。入りたかったら、名刺に書いてある連絡先を見な」

こうして、カイロは代金を払い、店の外へと出て行った。そのうち、神谷も店の外に出た。

神谷「…なんだったんだ?あいつ…」

と、言葉を零したのだった。

ロンギヌスのテロ ( No.35 )
日時: 2024/03/06 15:28
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

停学になって一週間、まだ停学でやる事がない神谷はブラブラとショッピングモール『ニオン』へとやってきた。勿論小説を買いにだ。

神谷「迷うな…これもいいし、これもいい…」

何を買うか迷っていた頃、彼らも行動を開始していた。

警備員「はーい、止まって止まって」

ニオンの地下搬入口に十台近いトラックがやってきて、直ぐに警備員が止め、運転手に事情を聞き始めた。

警備員「なんだこの車列は?商品の搬入なんて、こっちは聞いてないぞ」
運転手「我々は建設会社の者だ。ニオンが建てられた5年前後の建物で、立て続けに問題が見つかっていてな。その確認と、念の為に補修用のパーツとか交換用のパーツを持って来させて貰った」
警備員「じゃあ何で事前通告がないんだ?」
運転手「昨日いきなり言われて、連絡する暇が無かったんだ」

警備員は怪しいなと思っていたが、最近のニュースでも「建物の老朽化が」というのを言っていたので通すことにした。だがそれは、間違いだった。
彼らの正体は建設会社の社員なんかでは無い。彼らはテロリスト『ロンギヌス』の構成員である。
今回の作戦は簡単だ。地下の制御室と変電設備を制圧し、電気を遮断し電子機器をダウンさせ、取れる限りの人質を確保。その後は能力でニオンを要塞にする。

建物の中へ続くドアの前で、警備員から入館証の提示を求められる。精巧に作った偽物の入館証を見せ、中へと入っていくテロリスト達。ここでも事情を話して、中に入れてもらった。
しかし、そんなことを知る由のない神谷はまだ迷っていた。

構成員「始めるぞ」

構成員達は構える。

構成員「GO」

警備員たちは対応をしようとしたが、直ぐに殺され制御室は制圧される。続いて変電室も制圧され、構成員達は銃を持ち、その姿を公衆の前に晒した。

構成員「動くんじゃねぇ!!!殺すぞ!!!」
構成員「騒ぐな、大人しくしろ!」

テロリストたちは銃を乱射し黙らせる。勿論能力者たちも戦おうとしたが、戦えなかった。

一般人「…は?なんで能力が発動しな」

数人を撃ち殺し、更にはさらに客に変装して紛れ込んでいた他のテロリスト達も、客を誘導し一か所に集める。その中には勿論神谷もいた。

神谷(…さて、これからどうしようか…)

今後の動きを考えていると、聞きなれない音が外から聞こえてきた。日本の警察がやってきたのだ。奇跡的にニオンから出た一人が通報したのだ。警察は直ちに投降を求めた。

警官「あー、あー、君たちに告ぐ、直ちに降伏しなs」

その時、一人の警官が狙撃銃によって腹が貫かれ、殉職した。他の警官たちは直ぐにパトカーの後ろに隠れる。
が、窓に設置された機関銃が、パトカーを貫き、パトカーが爆発し、殉職者を増大にする。

警官「こ、こちら佐藤巡査、相手は武装している!至急増援を!!」

が、佐藤巡査も狙撃銃によってこの世を去った。

本部『おいどうした、佐藤巡査!』

いつもは大人から子供まで、多くの人間が行き来するニオンが、一瞬で戦場と化した。近くにいた市民は逃げ出していたが、後から来た市民が周囲を彷徨い、一般人の避難誘導すら出来ておらず、警官が20人近く一気に殉職し、制御不能になったパトカーがニオンに突っ込み、大惨事となった。
警官たちは能力や拳銃で各々対抗したが、窓から機関銃の弾幕や狙撃銃の攻撃、能力者たちの攻撃で圧倒的不利になった。

最強の見守りと無能の反撃 ( No.36 )
日時: 2024/03/09 11:52
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

この惨状を音で聞いた神谷は直ぐに動き出そうとしたとき、隣から聞き覚えのある声が聞こえた。

葵「…悠君、なんでこんなところに?」
神谷「あのなぁ…こっちのセリフだよ」
葵「いやいやいや!停学中に遊び目的で外出る普通!?」
神谷「うるせぇ!暇なんだよ停学!やってられるか!!」
構成員「うるさいぞ!静かにしろ!」

構成員に怒鳴られて流石に黙る二人。今度は小声で話しかける。

葵「…どうするの?殺されないよね?」
神谷「今殺されないってことは、まだ人質の価値があるだろうな。あと数時間くらいは持つはずだ」
葵「そっか、そのころには警察の人や特殊部隊的な人たちが助けてくれるよね」
神谷「いや、そうでもないぞ。外の音を聞く感じ、かなり苦戦している。というか死者が出ている。それに、能力が発動しない。まぁテロリストのせいだろうけどな。要するに今ニオンは要塞と化している」
葵「私の耳だと外の音は爆発音ぐらいだよ。なんで分かるの…」
神谷「…」

自分の身体能力を疑われて思わず押し黙ってしまった。


そのころ、イギリス連邦、ロンドンでは、この惨状をテレビの中継で見ている者がいた。その洋風の部屋には、長袖のワンピースを着ている17歳の少女と、執事らしき54歳男がいた。

執事「日本は大変ですね、こんなテロリストの対応をしなければいけいないなんて」
少女「そうねタキオン…”我が”イギリスで起きてないだけでも幸運ね」

彼女はイギリス王室王女アグネス。彼女は最強だった。

アグネス「…あっ」
タキオン「どうしました?殿下」
アグネス「紅茶が無くなったわ、それにクッキーも。持って来てちょうだい」
タキオン「承知しました、殿下」

そういって紅茶とクッキーを持ってこようとタキオンは退出する。アグネスはこうつぶやいた。

アグネス「そういえば…あの”日本人”は、今何をしてるのかしら…」

その日本人の事を思いながら、アグネスは中継を見守る。


警官とロンギヌスの戦闘から一時間後、いい加減神谷はイライラしていた。縄で両手を縛られ、動けない状況ではイライラしてしまう。

神谷「葵、少しじっとしてくれ」
葵「…え?どういう事?」
神谷「俺はこいつらに、俺を敵に回すとはどう言うことか。敵に回した奴はどの様な末路を辿るのか。それをその身に刻んでくる」

神谷は歩き出す。少し歩いた後、構成員の前に立った。

構成員「お前、何をうg」

構成員に手刀を喰らわせる。一瞬で崩れた。

構成員「き、貴様!!」

構成員達は銃を抜こうとしたが、瞬時に神谷は手刀を喰らわせた上、銃も握りつぶされた。
一般人は混乱するが、直ぐに神谷は構成員の気配がいる場所に地を蹴り急行する。

神谷は気配のある場所に急行する。曲がり角を曲がろうとしたが、

ガガガガガガガガガ!!!

という音と共に弾幕が神谷を襲う。神谷は咄嗟に後ろにジャンプした。

構成員「出てくるなら出て来いよぉ!ははは!!」

が、機関銃のリロードが始まった瞬間、バキッっという音と共に構成員は気絶する。更に進むと構成員が男性の人質を取った。

構成員「動くな!動いたr」

が、神谷は地を蹴り男性を救出し、そのまま倒した。男性はお礼を言った後、走り去っていった。
構成員達を倒していくと、制御室にたどり着いた。そこには、ボスらしき男がいたボスは驚きつつも、余裕の笑みを浮かべる。

ボス「能力は使えないぞ!俺の能力でニオン一帯は能力が使えないテリトリーとなった!」

が、ただでさえ無能力者の神谷に通用するはずもなく、そのまま腹を殴られ倒された。
その後攻撃が来なくなり特殊部隊が突入し、騒動は終結を迎えた。

『それ』の疑問 ( No.37 )
日時: 2024/03/23 16:28
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

テロが終わり、神谷たちは救出され(神谷は特殊部隊が来る直前に捕まっていた場所に戻っていた)、事情徴収を受けたのち、各自各々帰っていった。神谷が事情徴収が終わったのは午後9時。夜ご飯は何も食べていないため、ラーメン屋に食べに行った。神谷は醤油ラーメンを食べている時だった。

神谷「…で、何でお前がここに居るんだよ」
カイロ「いいじゃねぇか。あ、大将!ニンニクとチャーシューましまし醤油ラーメン!」

テロを起こしたくせに何食わぬ顔でカイロはラーメンを頼んでいた。

カイロ「で、ロンギヌスに入るか?」
神谷「入るわけねぇだろ、頭湧いてんのか」
カイロ「別に湧いていないさ。あと、今回のテロはお前の実力を確かめるためだ」

まさかの爆弾発言に、どう返せばいいのか神谷は困ってしまう。

カイロ「ま、いいさ。いつでも待っているぜ」
神谷「そのまま逝ってくれ」
大将「おい兄ちゃんたち、物騒な話は別でやってくれ」

顔が怖い巨漢の大将からラーメンをカイロは受け取り、神谷とカイロは黙々とラーメンを食べ続ける事10分、神谷の方が食べ終わり、代金を払い店から出て行った。

カイロ「またな~」

「おう」と返し、ガラガラガラと扉を開け、神谷は家に帰っていった。昼間と違い夜は寒く、星は輝いていた。


…それから数か月後、神谷の停学も終わり、学校生活は過ぎていった。
ある日の事だった。神谷と葵は小説の事を話していた。

葵「…ねぇ悠君」
神谷「?どした?」

突然真面目な顔をされ、神谷は疑問に感じた。葵は制服のスカートのポケットからスマホを取り出した。スマホを操作し、それを神谷に見せる。

神谷「…これは?」

見せられたものに、神谷は疑問を感じざるを得なかった。


こんにちは!monmonです!今後、投稿頻度が下がるかもしれません(上がるかもしれませんが…)。後、投稿できず、申し開けありません!『赤眼の過去編』も、折り返し地点まで来ました。今後もよろしくお願いします!!

初めて女友達と遊ぶ ( No.38 )
日時: 2024/03/25 16:46
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

神谷「…これは?」

見せられたものに、神谷は疑問を感じざるを得なかった。スマホに映っていたものは、”USJ”の公式ホームページだ。

葵「ふっふっふっ、私の家って私、お母さん、お父さんの三人だけどさ、前の夏休みの時にさ、チケットを間違って5枚買っちゃったんだよね。2枚残っているから、悠君行こうよ!」
神谷「いや、次家族と行くときに残せばいいじゃねぇのか?」
葵「うっ…それは…」

少し痛いところを神谷に指摘され、たじろいでしまう。

葵「でも!まだ日付変更できるし、行こうよ!」
神谷「…分かった。いつだ?俺的にはいつでもいい」
葵「ありがと~じゃあ次の連休の日曜日に!」

連休は土日月。日曜日にUSJに行く事になった。


カイロ「…なるほどな」

という神谷と葵と会話を”能力”でカイロは聞いていた。カイロは周りにいる部下にこう言った。

カイロ「USJにいるであろう神谷悠と白鳥葵を”襲撃”する」
部下「質問です。誰が襲撃するんですか?」

部下の質問にカイロは答える。

カイロ「俺がいく」

ザワザワザワザワザワザワ

部下たちが騒ぎ始める。無理もないだろう、ロンギヌス”ボス”が直々に手を下すことに驚いていた。

カイロ「その後は…そうだな、冬月那由多を殺る」

ザワザワザワザワザワザワザワザワ

更に部下たちが騒ぐ。つい最近列強入りした那由多を殺害するつもりに驚いていた。

カイロ「…と、いう事だ。暫くは”行動”するな。いいな?」

部下たちは、賛同するしかなかった。


…そして、時が流れ、ついにその日がやってきた。神谷は駅で待っていた。すると、葵が走ってやってきた。

葵「はぁ…はぁ…はぁ…ごめんね、遅れちゃった」
神谷「大丈夫か?」
葵「うん…大丈夫…いこ…」
神谷「お…おう…」

…こうして、神谷と葵はUSJに遊びに行く事となる。

初めて女友達と遊ぶ2 ( No.39 )
日時: 2024/03/26 12:12
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

日本ではあまり見かけない木、クルクル回るUNIVERSALの文字がついている地球儀、そして大きな門。ここはUSJのエントランスだ。葵は楽しみで仕方ない。

葵「早く開園時間にならないかな~!」
神谷「そんなに楽しみか?」
葵「楽しみだよ!何度来ても飽きないからね!」

程なくして開園時間は来た!大勢の人々が園内になだれ込むように入っていく。

葵「まずUSJですることは…」
神谷「する事?」
葵「コインロッカーの確保!」

お土産を買いたい気持ちはある。だがコインロッカーを持っておけば上着を入れられるなどいろいろ楽だ。「後で確保しておけばいい」と言うのは、痛い目を見る。確保できても小さいのしか取れないためである。
二人はコインロッカーを確保し、トイレに行った後に再結集する。

葵「まずは宇宙のあれいこ!」
神谷「USJって行ったこと無いから分からねえよ…」

宇宙のあれとはスペース・ファンタジー・ザ・ライドの事である。詳しくは言わないがライド系アトラクションの事だ。

神谷「イィィィィィヤッホォォォォォォ!!!!!」
葵「キャァァァァァァァ!!!!!」

一応言っておくと葵は楽しんでいる。二人ともこの後はハリウッド・ドリーム・ザ・ライドに乗り、楽しんだ後はニューヨークエリアに来た。

神谷「すげえ。まるで昔のニューヨークみたいだ」
葵「なんだか外国に来たみたいだよね」

ニューヨークエリアは1930年代のニューヨークをモチーフにしたエリアである。二人は写真を撮りまくった後は〇ニオンパークに来ていた。そこではミ〇オン・ハチャメチャ・ライドに乗った。

葵「ミニ〇ンだ!可愛い~~!」
神谷「どうなってんだこれ!」

神谷は終始混乱していたが楽しかった。もう12時なのでレストランがたくさんあるサンフランシスコエリアのハピネス・カフェに来ていた。

神谷「んだこれうめえ!!」
葵「ほんと、ここはおいしいよねえ~」

一応言っておくと神谷はマナーが悪いわけじゃない。初めて食べるものに感動しているだけである。因みに神谷はバーガーを、葵はワッフルを食べている。
食べ終わり、ジュラシックエリアに来ていた。そこではザ・フライング・ダイナソーに乗っている。

神谷「あ”ぁ“ア“ア“ア“ア“!!!!!回転す”る”う”う”う”う”う”!!!!!重力す”げ”え”え”え”え”え”え”え”!!!!!!」

楽しんではいるが、初めての感覚に困惑する神谷と慣れてるのか楽しんでいる葵。
次はウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー〇ッターに来ていた。ハリー・〇ッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニーで遊んでいる。

神谷「まじでどうなってんだ!?」

もの凄い躍動感がある映像に興奮しっぱなしな神谷。
次はメインディッシュのスーパー・〇ンテンドー・ワールドだ。神谷も葵も、もの凄く楽しみだった。某バンドやアプリはしていないが、マ〇オ〇ート ~〇ッパの挑戦状~を遊んでいた。

神谷「すげぇ!!回る!」
葵「あ!外した!」

二人とも楽しみ、この後も様々なアトラクションを回ったら、気づけば7時とすっかり暗くなっていた。神谷と葵は休むためにラグーン・湖のほとりのベンチで座っていた。周りには人がいない、完全に二人だけだった。

葵「…悠君、ちょっと立ってくれるかな?」
神谷「?おう」

神谷と葵は立つ。そして…。

告白…? ( No.40 )
日時: 2024/03/26 16:35
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

葵「…ずっと好きなの」

葵は、顔を赤面しながらそういった。神谷は一瞬、葵が言った事を理解できなかった。が、直ぐに理解していく。

神谷「…ちょっと待ってほしい」
葵「やだ」
神谷「俺に拒否権は無いのか」
  (なんで俺に?俺は無能力者だぞ)

少し考えて、理由を聞く。

神谷「…なんで俺を?」
葵「えっ…ええと…」

葵はもじもじとする。

葵「だって…小説の話をすると楽しいし、一緒にいてて楽しいから」
神谷「…一応言うが俺は無能力者だ。仮に俺と付き合った所で、周りからはあんまりいい目で見られないかもしれないぞ?」
葵「それでも!」

葵は自分の気持ちを神谷にぶつける。

葵「…それでも…だよ…私は悠君と一緒に居たい!」
神谷「…葵…」
葵「私じゃ…駄目かな…」

その質問に、神谷は答える。

神谷「…俺は」

パァァァァァン!!!

乾いた音が、遊園地であらざる音が、そこに響いた。気づけば葵は頭から血を流しながら倒れていた。その顔は生気が全く感じられない。
おかしい…こんなこと…。突然の事に神谷は呆気にとられる。ゆっくり銃声が聞こえた方向に首を動かせば、煙を銃口から出すマカロフPMを持つカイロがいた。

神谷「…お前…何で…」
カイロ「いやぁ、告白タイムの時にごめんな?けどお前を始末しないといけなくなったんだよ」
神谷「…!てめぇ!!」

神谷の怒号がその場に響く。

神谷「俺を始末するなら…俺一人で十分だろ!?何で…何で!!!」
カイロ「彼女は理想の能力を持っている。『自分の理想を現実にする能力』だ。俺の能力で見たところ、将来ロンギヌスと敵対する未来が見えた。だがさっき言ったところ、彼女が敵になれば確実に負ける。だから殺したんだ」
神谷「…まじか…」

葵がそれほどの能力を持っているとは思ってもみかった。その能力に絶句する。

カイロ「俺の能力を教えてやろう。『殺した相手の能力を奪う能力』だ。俺は彼女を殺した。それが意味すること…。分かるか?」
神谷「!?まさか!」
カイロ「俺は今、『自分の理想を現実にする能力』を手に入れた!!文字通り俺は世界最強となったんだ!!俺は今、機嫌がいい。手始めに、お前を殺そう」
神谷「…くそ…」

神谷はこうして、絶望的な戦いを強いられることになった…。

理想の力 ( No.41 )
日時: 2024/03/27 11:55
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

カイロ「けどUSJを壊すのもなぁ…」

そういった瞬間、突如八幡屋公園にワープした。周りは人がいない。完全な二人の状態。

神谷「ちっ…随分と余裕だな」
カイロ「そりゃあ、最強だからな。さあ、始めよう」

パンパンパンパンパン!

5回、マカロフPMの乾いた音が鳴る。神谷は銃弾を最小限の動きで避け、地面がえぐれる程の踏み込んだ、とんでもない速度でカイロに近づき殴ろうとした。が、なんと”人差し指のみ”で受け止められてしまった。

神谷「!?」
カイロ「お前、空飛んだことあるか?」

人差し指を上にあげた瞬間、神谷も同時に空中に投げ出されてしまう。高度は地上から400メートルほどだ。

神谷「~~!?」
カイロ「おらよ!」

カイロはジャンプで神谷のいる位置に到達し、指を組んだ両手をハンマーのように神谷の背中に振り下ろす!余りの強さに神谷は多目的広場に向かって落ちてゆく。

神谷「ぐっ!?」

上手く着地が出来ず胸から地にぶつかってしまう。体のつくりが丈夫だから生きているが肋骨が2~3本粉砕した。そして血を吐いてしまう。広場は落ちた衝撃でコンクリートがバキバキに割れてしまう。
何とか立つと空から拳大程の石が次々と、数千数万と恐ろしい量で降ってくる。その一つ一つが、人体を容易く破壊できる威力だった。

神谷「…くそ…面倒だ…」

神谷は拳で石をある程度迎撃できているが、数が多すぎて大部分が対処しきれない。顔や頭、肩に背中など、常人なら死んでしまう程喰らってしまう。
降ってこなくなったが、体のいたるところから出血する。血の生臭い鉄の臭いが不快感に感じる。

神谷(くそ…!この一瞬で一気に劣勢だ…!)
カイロ「まだまだだぞー」

高度を下げたカイロがその言葉を言った瞬間、神谷とその周りがとてつもない重力に襲われる。

ドン!!!!

あまりの重力に地面がえぐれ、神谷も立てなくなる。思わず地面にはいくつばってしまう。

神谷「…か…あ……」
カイロ「どうだ?20Gを与えているんだ。しゃべれないだろ。肺が潰れたから呼吸困難で息できないだろ。お前の身体の状態なんてまるわかりだからな。まぁ…」

カイロは、動かなくなった神谷を見て、こう言った。

カイロ「もう…死んでるから聞こえないか」

神谷は…神谷悠は、死亡した。

自分の答え ( No.42 )
日時: 2024/03/27 16:30
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

深く沈んだ神谷の意識。闇のように暗く、まるで宇宙のように際限無く広い。何も無い、光すら通らない夜の様な異空間。そこに1人で立っていた。

神谷「……何処だここ。いわゆる死後の世界ってやつか?」

神谷はここが何なのか分からなかった。だが歩いた。意味もなく歩き続けていた。
そして…神谷はなんとなく止まると、一つの画面が浮かんでいた。

神谷「…走馬灯か?」

葵と話していたり、両親が死ぬところ、アパートの大家の老夫婦に初めて会うところ、両親の葬儀のシーン、愚川を殴るところ、それらの記憶が一つ一つアニメーションとなって流されていく。
そして、見覚えのない記憶もあった。見覚えのある日本人とピザを食べ、外人と戦ったり、教祖らしきおっさんを気絶させるシーン。

神谷「…なんだこれ。こんなの記憶にないぞ」

一通り見終わったあと、最後に出てきた1枚の映像。雑音と掠れた画質ではまともな判断ができないが、後ろ姿で着物を着た黒髪で長髪の女性が映っていた。振り向いたら可愛らしい笑顔。…その両目は赤かった。
心当たりがない。いつの話かも分からない。

神谷(まぁ、いいか)

…この暗闇にどれだけ長く居ようと、神谷が死んだことには間違いはない。
どれだけたったか分からない。突然、辺りは明るくなる。空は薄く赤みがかって、陸地には彼岸花の花畑と、馬鹿でかい川があった。が、問題はそこじゃない。なんと明るくなった瞬間、神谷は空中に投げ出され、川に落ちる。でかい水しぶきと音が鳴る。

神谷(三途の川か!!)

理解した瞬間、神谷は三途の川に落ちた。とてつもない引ていく。苦しい。やがて川底が見えてきた。

神谷(これは……!)

川底に、何か”赤く光る何か”があった。神谷はなんとなくだったが、それが”自分の答え”のような感じがした。

神谷「邪魔するな」

突然引力は消え、神谷は泳ぎながらそれに近づく。右手でそれに触れた瞬間、神谷は”自分の答え”にたどり着いた。


眼が覚めると、白い天井が目に入った。体には、掛布団がかけられていた。頭や体には包帯がまかれ、左腕には点滴が刺さっていた。辺りを見渡すと、ここが病室という事が分かる。

看護師「あっ…」

そう呟き看護師が走り去っていく。数分すると、医師らしき白髪の60代の渋い顔の男と30前半らしき看護師がやってきた。

看護師「気づかれましたか?」
医師「私は医者です。緊急搬送された貴方を治療しました。現在の容態だと、命に別状は無いでしょう。全力で治療に当たらせていただきます」
神谷「…そうか」

包帯が巻かれているが、全身が痛む。痛覚神経は自分が大けがを負った事を訴えてくる。医師の横にはスーツ姿の男が二人見ている。

男1「私たちは大阪警察の者です。少し事情徴収いいですか?」
神谷「…分かった」

そうして神谷は昨日の事を話す。


男2「そうでっか。話してくれておおきに」
男1「では私たちはこれで」

少し時間がたった後、警官たちは去っていった。

最強と赤眼 ( No.43 )
日時: 2024/04/01 23:24
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

今日は少し長いです。


僅か1日で全快し、医者からも「あなた人間ですか?」と突っ込まれる。身元保証人はあの筋肉先生がやってくれた。神谷はそれを知ったときは感謝した。すぐに神谷は退院できたわけだが、医者から神谷にある手紙が届けられた。

『神谷悠。生きてるんだってな。驚いたよ、死んだかと思ったのにな。
 今度こそ殺す。指定された場所にこい。
 場所は……………………だ日付は…月…日だ。』
神谷「…ご丁寧に招待状を出してやがる。嫌だなぁ…正直行きたくねぇ…」

ふと神谷の脳裏には葵の姿が浮かび上がる。

神谷「…いや、行くか」

こうして神谷は行く事を決意する。


那由多「…くそっ!」

温厚な那由多は珍しく、自室の中で激しく怒っていた。理由は一つ。厘がドミナターに拉致されたのだ。

那由多「学校は我慢しろって言っていたけど、こんなの…!」

学校は『ドミナターを敵に回すとどうなるか分からないし、ドミナターも厘は丁寧に扱うと言っているから。な?』と言っていた。学校は厘など正直どうでもよく、自らの保身を優先していた。

那由多「…どうすれば…」

那由多は、この事態に苦悩するのだった。


神谷「部下は呼ばなかったのか?」
カイロ「何でたかがお前ごときにつれてかないといけないんだ?」

…その日、招待状の通りに神谷は来ていた。場所は人気のない山だった。木など数本しか生えておらず、草そこらに生え、岩石まみれの場所だった。空は快晴、時間も昼。だが少し寒い。

カイロ「…じゃ、始めようか」

その瞬間、神谷の周りにたくさんの宙に浮いた銃火気が、神谷を囲むように銃口を向けていた。
M16、カラシニコフ、89式小銃などの小火器、ブローニングM2、Kord、.50"/62ヴィッカース、DShK38、XM806、などの機関銃、RPG-7、RPG-2、パンツァーファウスト、PIATなどの対戦車兵器など、そのほかの様々な銃が、対戦車兵器が、様々な時代の兵器が、神谷を狙っていた。

カイロ「発射」

冷たい言葉が口から出た瞬間、対戦車兵器が神谷めがけて発射された。ロケットの噴出音がやけにうるさい。着弾し、その瞬間火器が発砲を開始、音楽のように乾いた音が鳴る。

が、神谷はカイロの後ろに回り、頭にめがけて蹴りを仕掛ける。カイロも気づき蹴りで受け止める。

カイロ「何か強くなったんじゃない?回復して、戦闘民族みたいに強くなったのか」
神谷「ちげえよヤンキー」

呑気な会話をしながらも攻防は続く。神谷は足払いを掛けられて避けきれずに転んだ。

カイロ「おらよ!」

カイロはその隙を見逃さず蹴りを入れる。神谷は数十メートル吹っ飛ぶが着地に成功する。

カイロ「あれ?まだ死なねえの?」

地を蹴り瞬時にカイロに近づく。カイロに殴ろうとしたが突如として減速する。そのまま跳ね返されてしまった。

カイロ「驚いたか?空気を丁度よく弾力があるようにした。だから効かないんだよ」
神谷「……」

カイロが説明しても神谷から応答がない。カイロは不審に思った。

神谷「ははは!!ははははは!!ははははっははあっははははっはははは!!!」
カイロ「…?何笑って」

神谷が突然笑い出し思わず一歩後ずさる。様子がおかしい神谷に警戒し始めた。

神谷「なぁカイロ。お前は生物として格が上がったら、どう思う?嬉しいだろうな。気持ちがいいだろうな」
カイロ「?何を言ってんだ?」
神谷「お前が理想を現実にする能力を手に入れたとき、そんな気持ちだったんだろうなぁ。俺も、ようやく理解したよ。なんでも出来るって感じる……生物としての格が上がった様なこの気持ちっ!」

その黒い左目は…赤く染まっていく。

神谷「第二ラウンドだ!お互い本気でやろう!」
カイロ「ああいいぜ!俺がお前の本気とやらをねじ伏せてやるよ!!」

…もはやこれはただの能力者同士の戦いじゃない。最強の能力者と赤眼の戦いだ。

夢への決意 ( No.44 )
日時: 2024/04/05 16:24
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

はなから結果は明らかだった。圧倒的な戦闘力の前にカイロはなすすべがなかった。能力を使っても、赤眼はそれを許さなかった。

カイロ「おらよ!」
神谷「効かねえよ!」

純粋な殴り合い。だがカイロの傷はどんどん増えていき…最後は仰向けになって倒れた。
神谷はカイロを蔑むような、悲しいような、複雑な顔をしていた。

カイロ「…じゃ、俺負けたんだ。やりたきゃ殺れ」
神谷「…そうだな、お前は負けた」

神谷はボロボロになった、カイロにとどめをさそうと”した”。突如神谷の前に女が現れた。女はすぐ、カイロを守るかのように神谷の前に立った。

神谷「…?誰だ?後どけ、見世物じゃないんだ」
女「……やだ」

女は小さく呟いた。

神谷「もう一度言う。どけ」
女「…やだ!」

女は様々な感情を含んだ声で神谷に訴える。神谷は驚いた。

女「カイちゃんを殺さないで!殺すなら私を殺してからにして!」
神谷「…おいカイロ。これはどういう事だ」
カイロ「…」

カイロは倒れながらも不適に笑う。

カイロ「俺の彼女だ」
神谷「…まじか」

神谷はカイロに彼女がいたのかと驚いた。

カイロ「…桃には手を出すな」
神谷「桃…こいつの事か」
カイロ「ああそうだ。俺が勝手にやった事だ。こいつは関係ないはずだ」

カイロが言い終えた瞬間、桃は泣きながら懇願してきた。

桃「お願いします!!カイちゃんだけは!カイちゃんだけは…」
神谷「……はぁ…」

神谷はため息をつく。神谷は自分の結論を言った。

神谷「…今すぐ警察に自首しろ。俺の事は言うな。後は知らん、好きにしろ」
カイロ「おいおい…罰が軽すぎないか?」
神谷「あいにく、俺はカップルを殺す主義じゃないんだ」
カイロ「…そうか。お前ってやつはすげぇ」

桃が神谷に何かを言おうとした瞬間、神谷はすぐにどこかに行った。


…それから、カイロ含むロンギヌスは警察に出頭。この出来事は社会を驚愕させた。言ったとおり、神谷の名前は出てこなかった。数か月後、暖かく、出会いと別れの季節になった。神谷は、とある女性の墓を訪れていた。周りは桜の木が、優しくつぼみを花開いていた。

神谷「…久しぶりだな。お前の両親の言う通り、ここに来てみた。カイロが死なず自首した事は、お前がどう思っているかは分からない。だがあいつは曲がりなりにも、この世界を良くしようとした。それだけは覚えといてほしい。最後に…」

恥ずかしくなりつつも、こう言った。

神谷「最後に…あの時の答え、答えられずにごめんな。そして、今だからこそ、あの質問に答える。
   …俺もだ。大好きだよ、葵」


朝になり、神谷はベッドの上で目を覚ました。

神谷「くそっ…んだよこの夢、目覚め悪りぃ」

時刻は午前7時。鳥のさえずりが聞こえてきた。

神谷「…準備するか」

神谷は来る列強会議に、備えるのであった。


皆さんこんにちは、monmonです。お…終わった…。2月23日から始まった過去編、長かったような短いような…。
今後の展開としては、『揺らぐ列強編』か、『黄金の都編』のどちらかを先にします。
揺らぐ列強編は、列強会議を書きます。黄金の都編は、文字通り黄金と化した町での出来事を書きます。
どちらもやるつもりなので、楽しみにしてください。

列強会議 1 ( No.45 )
日時: 2024/04/09 23:14
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

空は晴れ、空気は暑すぎず、寒すぎない。ロンドン・ヒースロー空港は、今日も飛行機が飛び立つ。
マスコミは新しい列強を写真や映像に収めようと集まっていた。

「新しい列強、どんな姿なんだろうなぁ」
「イケメンだったりして!」
「ナユタに続き、また無能力者なのか」

市民も、各々の感想を抱き、滑走路を見守る。


神谷「…ようやく着いたか」
那由多「だね。いつ来ても綺麗なところだなぁ」

朝、神谷と那由多はロンドン・ヒースロー空港に着いた。理由は勿論、ロンドンで開催される列強会議に参加するためだ。
ドアが開き外に出る。案内され、空港内に入るとカメラのシャッター音とフラッシュが耳と目に入る。フラッシュが激しく、二人は思わず目を細めてしまう。

「神谷さん!列強会議に呼ばれた時の心境は!?」
「列強会議に対して一言!」
「夜神伊吹さんはどう思ているのですか!?」

マスコミの質問攻めを華麗にスルーし、二人は外の車に向かって歩いていた。事前に車が入置いていたのである。
そして護衛もいた。アメリカ大統領並みのガチ警護である。沿道には完全武装の兵士は立ってるし、建物内や屋上にはスナイパー。もし何かあれば、イギリス軍の部隊が即駆け付ける事になっている。

「指揮官車より各車。指揮官車より各車。列強2名搭乗確認。これより、バッキンガム宮殿に向かう」
『先導、準備良し』
『後続よし』
『こちら、受け入れ体制、並びに警備体制用意良し。いつでもお迎え可能』
「了解。これより出発する。全車、前へ」

車列はバッキンガム宮殿に目指して出発する。道中何の問題もなくバッキンガム宮殿へ。


イギリス名物衛兵交代式を見た後、神谷たちは宮殿に入る。
約1万坪の敷地を誇り、舞踏会場、音楽堂、美術館、接見室や図書館等が設置されている。部屋数は、スイート19、来客用寝室52、スタッフ用寝室188、事務室92、浴室78、部屋総数775である。宮殿に勤務する人は約450名、年間の招待客は4万人にもなるという。王族たちを補助する侍従50人は同じ宮に住み込み、その他の侍従達は王室厩舎であるロイヤル・ミューズに寄居する。内装は非常に美しい装飾が施されており、あらゆる人間を魅了する。
その美しさに魅了されつつ、神谷達は侍従に案内され、その部屋にたどり着いた。

侍従「ここです。楽しい会議を」

侍従が扉を開けると、目に入ったのは綺麗な絨毯に使われていない暖炉、テーブルとそれを囲うように装飾が施された椅子が5つほどある。そこに座っていた二人は見覚えがあった。

一人は列強3位の滕 梓涵(トン ズハン)。投資家であり、世界有数の資産家でもある。
もう一人はイギリス王室王女アグネス。説明不要の世界最強のイギリス王室女王である。

神谷「すみません。少し遅れました」
那由多「僕もです。すみません」
アグネス「時間通りよ…日本人は時間を守るのね…あら?」

アグネスは神谷を見るや否や何かを思い出した顔になった。因みにだが神谷と那由多は英語を喋っている。

アグネス「貴方…昔会ったわよね?」
神谷「?会ってませんが?」
アグネス「別に貴方列強だし敬語はいいわ。椅子に座って」

神谷と那由多は椅子に座り、敬語はいいと言われたため、神谷は普通に話し出す。

神谷「…それで?俺はあんたにあった事は無いが、何処かであったか?」
アグネス「ええ、あったわ。覚えてる?あの時の事を…」

アグネスは、少し昔話を語りだす。

列強会議 2 ( No.46 )
日時: 2024/04/10 22:31
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

皆さんこんにちは!monmonです!閲覧数1000超えました!この作品を見てくださりありがとうございます!
今後とも、この作品をよろしくお願いします!!


アグネスの話によると、神谷とは9歳の頃に出会った(この時はまだ両親は存命している。また神谷も9歳)。日本に来たアグネス含むイギリス王室は日本に訪問していた。が、お転婆なアグネスは持ち前の身体能力で護衛を振り切りはぐれてしまう。アグネスははぐれ、泣いてしまうが偶然神谷家と会い、何とか王室と合流する。

神谷「……そんなこと、あったなぁ~」
アグネス「思い出したかしら?あの時はありがとうね」
那由多「そうなんだ、知らなかったな~」

3人は会話に盛り上がる。すると、滕梓涵に声をかけられた。

梓涵「…俺を忘れるなアル」
アグネス「あら、それは悪いわね」
神谷「あ〜い、とぅいまてぇ〜ん!」
梓涵「古くないアルか?」
アグネス「古いわね」
那由多「古いね」
神谷「いつの間に標的にされたんだけど」

などと、茶番を交えつつ、話していたが梓涵がこう言った。

梓涵「夜神伊吹、遅くないアルか?」
神谷「確かに、もう始まってから15分だ」

伊吹について話していると、扉が開いた。全員の視線がそこに集まる。仮面の男が入ってきた。

仮面の男「ここがそうなのか?随分派手な部屋だな」
アグネス「…貴方が夜神伊吹かしら?」
伊吹「ああそうだ。少し怒ってんのか?しわが出来るぞ?」
アグネス「…日本人って時間を守るのに、貴方は守らないのね」

アグネスは若干機嫌が悪くなる。怒りを抑えるために紅茶を飲む。伊吹は椅子に座る。

梓涵「先日、うちの会社が世界の未来を見たアル。この情報は未確定要素が多く、またその日がいつか分からないアル。その上で聞いてほしいアル」
神谷「それは?」

全員が梓涵を見る。

梓涵「”ハルマゲドン”が復活する」
アグネス「!?!?!?!?」

アグネスに衝撃が走る。

梓涵が言う”ハルマゲドン”とは、おおよそ700年前、世界を破滅寸前まで追い詰めた災厄を指す。ある日突然現れ、世界を僅か半年足らずで破滅寸前まで追い詰めた。
だがある日突然消えた。比喩でも何でもない。”消えた”のである。

梓涵「少なくとも今じゃないアル。この情報はここに居る列強のみでお願いアル。他言無用アル」
伊吹「はーっはっはっは!!!あーっはっはっは!!!!」

急に笑い出す伊吹に、アグネスと那由多、神谷は避難的な目で伊吹をみる。

伊吹「わりぃわりぃ。ハルマゲドンだか何だか知らないが、伝説にビビるなんて、そんなレベルに驚いた!そもそも、伝説なんて物ををこんな場で喋る神経が俺には理解が出来ないな。しかも、列強がこの発言。
俺にあっさりと殺された中東のアクシオンも弱かったが、列強と言われていたな。列強会議か。レベルの低さがしれるな」
アグネス「…貴方は伝説と思っているかもしれないけど、実際にあった事なの。それに、梓涵の会社の能力者は、未来を見ることが出来るの。このおかげで、災害とかを事前に防いだ事もあったんだから」

伊吹とアグネス、梓涵は言い合いになってしまった。

那由多「なんだか、凄いことになったね…」
神谷「そうだな。しょうがない。」

神谷は3人を落ち着かせるために、行動を開始した。

列強会議…? 3 ( No.47 )
日時: 2024/04/13 13:55
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

神谷「おいお前ら、一旦落ち着け。少しはクールになれ」
伊吹「ああっ!?」
アグネス「なに?この男に言われたままでいろって言うの?」
梓涵「そうアル!言われたままは悔しいアル!」
神谷「落ち着け、一人ずつ喋ろ。俺は聖徳太子じゃねぇんだ」

何とか神谷は3人を落ち着かせる。が、3人ともかなり機嫌が悪い。

神谷「別に喧嘩するのは好きにするがいいさ。俺からすればクソどうでもいい。だがな、今は列強会議。列強同士の交流を目的とした、言わば交流会だ。そんな場で、こんな喧嘩をするな。お前らはガキか?」
伊吹「…ちっ」
アグネス「…」
梓涵「…」

3人は納得はしていないが、理解はしたようである。すると、伊吹が話し始めた。

伊吹「一つ、最初に伝えておく。俺は今回、列強会議に参加し、くだらない戯れをしに来たんじゃあない。列強が全員が会うこの機会に、宣言をしに来た。今一度聞こう。俺に従うか?喋らないのは反逆と見なす。まずは尋る。今、ここで俺に忠誠を誓う列強はいるか?」

一瞬の沈黙。ここに居る列強は、伊吹の言葉に唖然とする。

那由多「貴方は何を言っているのでしょうか?」
アグネス「意味が分からないわ」
梓涵「何を言ってるアル?」
神谷「お前は何を言ってるんだ?」

あまりにも突然の、あまりにも非常識な発言に、列強は呆れる。

伊吹「まぁいいさ。忠誠を誓うのは俺の力を知った後でもいい」
「「「「…!」」」」

突然、伊吹を除く4人は、伊吹の殺気を感じ取った。感じたこともない殺気に、4人は驚愕する。

伊吹「簡単にぶっ壊れるなよ!!」

左腕を差し出し、拳を握る。その瞬間、部屋は轟音と共に猛烈な爆発で包まれた。


神谷「っあっぶねぇ!?」

4人は部屋の窓から宮殿正面広場に行き、爆発を避けていた。窓からは黒煙が立ち上っている。アグネスは3人の安否を確認する。

アグネス「皆怪我は!?」
神谷「モーマンタイ!」
那由多「アグネスさん、大丈夫です!」
梓涵「同じくアル!」

全員無事なのにアグネスは安堵する。が、その感情はすぐに吹き飛ぶ。伊吹は窓から宮殿正面広場に飛び降りる。

伊吹「流石列強だな!他の奴よりは殺りごたえがありそうだ!!」
アグネス「…少し、痛い目にあったh」

その時、ロンドンの街から爆発音が響いた。4人は街の方に首を向ける。

アグネス「何が!?」
伊吹「おっ、”あいつら”も動き出したか」
アグネス「貴方!何をしたの!?」
伊吹「何もしてないさ。それより、忠誠を誓うか?」
アグネス「誓うわけないじゃない!?」
伊吹「残念だな、じゃ、死ぬか」

更に強力な殺気を4人に対して伊吹は向ける。

アグネス「ねぇ神谷君!」
神谷「何だ?」
アグネス「ロンドンの方をお願い!那由多君と梓涵はこの男を!」
梓涵「正気アル?あいつは何かやばいアル。戦力が少なくなるアルが?」
アグネス「いいの。さぁ早く!!」
神谷「…分かった」

神谷は地を蹴り、広場からロンドンの街に走って行くのだった…。

絶望の破壊者 ( No.48 )
日時: 2024/04/15 19:15
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

能力を発動した梓涵の体は、頭部からは2本の角が生え、皮膚は青い鱗が皮膚の表面を覆っている。背中からは服を破り小さい羽が生えていた。その姿は龍人とも言うべき姿だった。

梓涵「がぁぁぁぁあ!!」

超音速で伊吹に対し突進する。踏み込んだ地面は大きな亀裂が入っていた。伊吹に近づき、伸びた爪で引き裂く態勢をとる。

アグネス「待って梓涵!」
梓涵「貰ったあぁぁぁ!」
伊吹「…はっ」

伊吹は梓涵を鼻で笑い飛ばす。爪は伊吹に当たる事は無かった。梓涵があっけに取られるその瞬間、伊吹は梓涵の後頭部を右手で掴み、地面に顔をぶつける。その時生じた地面の亀裂は梓涵が踏み込んだ時より大きい。

梓涵「ぐっ!?」
伊吹「おいおいその程度かぁ?さっきの威勢はどうしたぁ!!」
那由多「梓涵さん!」

那由多は援護するために伊吹に急接近する。後頭部に蹴りを入れようとしたが、左手で那由多の足を掴み、バッキンガム宮殿の壁に投げつけ、那由多はぶつかり、壁には亀裂が生じる。

那由多「ぐっ…」
伊吹「あははははは!!!爆発してみようぜぇ!!」

左手を差し出し、握ろうとする。能力の発動の態勢に入る。だが、それをアグネスは許さない。

アグネス「させないわ!」

握ろうとしたが、アグネスは能力を発動。伊吹の手に重力を発生させ、手は地面に打ち付けられる。同時に膝をついてしまう。

伊吹(!!これは、重力かぁ?)
梓涵「どけぇぇぇぇぇ!!!」
伊吹「あぁ?」

梓涵は伊吹の右腕から脱出。そのまま振り向き、炎をまとった爪で引き裂こうとするが、伊吹は後ろに飛んで避ける。

伊吹「!」

その攻撃を感知した伊吹は咄嗟に左に避ける。その直後、伊吹の頬に”何か”がかすり、そのまま後ろの木を切断してしまった。木は倒れ、木の葉は鳴る。

伊吹「あははははは!!面白れぇ!何をしたんだぁ?」
アグネス「企業秘密よ」
    (嘘…さっきの攻撃を察知したの!?)

攻撃が避けられ、アグネスは焦る。が、すぐに冷静さを取り戻す。その時、周りが影に覆われた。3人は空を見上げると、巨大な龍がいた。大きさは500メートル。その姿は、まるで中華の龍のようだった。

アグネス「…!?梓涵!?何やってるの貴方!?」
梓涵「…」

梓涵は反応せず、口を開ける。光弾が口の前に出現し、光輝き雷と炎が弾を包む。光弾のエネルギーは付近の空気を振るわせ、甲高い音が鳴り響く。
超高熱の巨大な光弾。雷と炎によって閉じ込められた光弾はさらに圧縮された。
亜神龍の攻撃は開始された。光弾はようやく解放されたかのごとく、伊吹に対して極超音速で進んでいく。

伊吹「やるなぁ…おそらく喰らったらひとたまりもないだろうなぁ…けどなぁ!」

伊吹は左手を差し出す。

伊吹「てめぇごときじゃあ、俺を殺せないんだよ!!」

伊吹は手を握る。その瞬間、轟音と共に猛烈な炎が出現。光弾より何倍と大きい。
余りの轟音と衝撃に、バッキンガム宮殿内にいた人間は耐えられず、肺がつぶれた。逆に、列強は難なく耐えた。

伊吹の能力は『大抵の物はぶっ壊す能力』。この能力は伊吹が破壊できると思った物体、物質を破壊する。爆発範囲や爆発時の音、爆発時の衝撃は自由自在(尚、爆発範囲や音が変わっても、破壊には影響しない)である。余談だが、宮殿内の人間が死亡したのは、伊吹が”わざと”轟音と衝撃を出したためだ。
また、伊吹が破壊できないと思った物(例えばガブリエル以降の列強や概念上の物は破壊不可)は破壊不可能。この能力で、アクシオンを殺害した。

アグネス、那由多、梓涵は絶句した。梓涵の最強の攻撃ですら、伊吹に傷一つ、つけられなかった。

伊吹「デカいのは単なる的だぁ!!」

瞬間、伊吹は龍になった梓涵の背中にジャンプで到達。背中にめがけて全力で拳を振り下ろした。空中に浮遊していた梓涵は耐えきれず、血を吐き失神し、地面に自由落下。

ズガァァァン!!!

地面に衝突した瞬間、思わず耳を塞ぎたくなるような轟音が鳴り、埃がまき散らされた。周りを見ると、宮殿には当たっていないものの、木々や噴水が破壊され、綺麗な庭園が荒れ果てていた。巨体故の被害だろう。十秒後、梓涵は元の人間の姿に戻ったが、内臓が数か所傷ついており、口からは血を吐いている。

アグネス「梓涵!!」
那由多「梓涵さん!!」

二人は梓涵に近づく。確認すると、息はあるものの、もう戦えない状態なのは明白だった。

アグネス「…私の能力で確認したけど、内臓が傷ついているわ。もう戦えない状態よ」
那由多「そんな…」

伊吹はうまく着地。2人まで10メートルの所まで接近した。

アグネス「…那由多君、梓涵を遠くに。その内イギリス軍が助けに来るわ」
那由多「正気ですか!?殺されますよ!?」
アグネス「…大丈夫、切り札はあるわ」
那由多「けど!」
アグネス「大丈夫。私は死なないわ」
那由多「…分かりました。死なないで!」

那由多は梓涵を連れて遠くに行った。

伊吹「いいのかぁ?お仲間がいなくなったぞぉ?」
アグネス「ご心配どうも。けど、切り札があるの」

アグネスは着けていた槍のアクセサリーに触れ、槍を取る。槍は既に酸化しており、黒くなっていた。

伊吹「そのちんけな槍で戦うのかぁ?こりゃ傑作だ!」

伊吹はアグネスの行動を嘲笑う。突然、槍は淡く光りだす。

伊吹「うおっ!?」
アグネス「これは、イギリス王室に代々受け継がれ、最強の私だけが持つことが許された物…」

槍は巨大化し、装飾の施された西洋式の槍になった。アグネスはそれを構える。

アグネス「ロンギヌスの槍…日本人の貴方でも聞いたことはあるでしょ?」

奇跡の聖なる槍 ( No.49 )
日時: 2024/04/16 18:39
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

伊吹「ロンギヌスの槍…確か、持ち主は世界を制する槍の事かぁ?」
アグネス「そうよ、違うのは、世界を制するのではなく、”持ち主を勝利させる”事かしら」
伊吹「変わらねぇよ」
  (…あの槍、何なんだぁ?よくわからない感じだぁ…)

アグネスは聖槍の石突を地面に二回ぶつける。石と石がぶつかり合う音が鳴る。不思議なことにぶつかった地面は波紋が広がったように見えた。

伊吹「…?」

伊吹は何とも言えないような感覚に襲われた。その感覚に困惑した。今まで感じたこともない感覚に、一歩も動けなかった。

アグネス「えいやっ!!」
伊吹「がっ!?」

困惑している間にアグネスは近づき、聖槍を打ち込む。伊吹は9メートル飛ばされ、倒れてしまった。

伊吹「クソがぁ…どうなってんだぁ…」
アグネス「どう?聖槍の強さは。聖なる槍に、貴方じゃ勝てないわ」

そう言いアグネスはドヤ顔をする。伊吹は立ち上がる。

伊吹「確かに…その槍は強いなぁ…流石伝説の武器だぁ。だがな…」

伊吹は左手を差し出す。

伊吹「使う奴がゴミじゃあ意味はないんだよ!!」

そう言い手を握る。いくら伝説の聖槍でも破壊できる。そう思い握ったが…。

伊吹「ああっ!?くそがっ!何でぶっ壊せねぇんだ!?」

伝説の槍は…健在だった。イエス・キリストが磔刑となった際、その死を確認する為にキリストの体を突いたと言われる槍。「ロンギヌス」というのは、その槍を持っていた兵士の名前という説がある。
曰く、その兵士は白内障で目が見えなかったが、滴ったキリストの血が目に当たると視力を回復したという。
以後ロンギヌスは聖者とされた。
もっともこのロンギヌスのくだりは新約聖書には書かれておらず(兵士が刺したとだけ)、後世に作られた伝承と思われる。
キリストの血を受けた聖遺物、聖槍は、聖者の血を受けている。聖者の槍は、破壊者の力ごときだと通用しない。

アグネス「怒り狂ってるところ悪いけど、まだ終わりじゃないわ」

聖槍の槍の石突を3回地面に突く。その直後、伊吹の上部20メートルからは直径10メートルの超巨大な槍が、その刃が、伊吹の目の前に落ちてきた。そして槍はすぐに光の粒子となって消えた。

伊吹「ぶはぁ!!?」

突然胸部から想像を絶する痛みが襲ったかと思えば、それは食道を一気に昇り、大量の血を吐き出す。

伊吹「う…あ…」

吐血は止まったが、さっきよりは軽いとはいえ継続して痛みが胸部を襲う。下を見れば、赤い血の池が広がっている。が、アグネスはそれを許さない。

アグネス「やあぁぁぁぁぁぁ!!」

一気に加速し伊吹に飛び込み、止めを刺そうとする。槍を突き立てようとした。

ガシッ!!

なんと伊吹は、槍の刃の部分を指の力で掴んでしまった。まさかの事態にアグネスは焦る。

アグネス「っこの!」

アグネスは引き抜こうとしたが、力が強すぎて引き抜けない。伊吹はコンクリートの地面を砕き破片がアグネスの目の前に飛ぶ。そして、左手は握られる。

ドオォォォォン!!!

絶大な爆発。二人が閃光と爆炎に包まれる。

アグネス「きゃあぁぁぁぁぁ!?!?」

アグネスは20メートルの地点で吹き飛ばされ、倒れてしまう。美しい顔と、スタイルのいい体には、Ⅱ度、Ⅲ度の火傷が出来ていた。アグネスは意識を朦朧とさせ、やがて目を瞑り意識を失った。


伊吹「…やれやれ、手ひどくやられたものだな」

伊吹は自分の胸部に右手を添え、痛みがないか確認する。

伊吹「…痛みは、流石にないか。だがもう戦えねぇな。くそ、あと少しだったのに…」

思わず顔をしかめる。当初の予定(忠誠を誓うなら仲間に入れる。誓わないなら列強を全員抹殺する)が、アグネスのロンギヌスの槍で戦闘不能に陥った。そこに一人の男が駆け付ける。

神谷「…まったく、”あいつ”にてこずって、戻ってみたらこれかよ…」

少し怪我をを負っている神谷の登場に、伊吹は笑う。

伊吹「お前が来たって事は…もうあいつは死んだか」
神谷「あぁ、きっちりあの世に送った」
伊吹「そうか、なら殺り合おう。と、言いたいところだが…」

伊吹は腕につけていた腕時計のようなものに、右手を添える。

伊吹「じゃあな。だがさよならとは言わせねぇよ?近いうちにまた会うかもな」

そう言って伊吹は腕時計のボタンを押す。その瞬間、伊吹は突然消え去ってしなった。神谷はあっけに取られてしまう。神谷は倒れているアグネスに駆け込み、その惨状を見て、こう言った。

神谷「まじかよ…何があったんだ…あの2人はいないし…」

最強にここまでのダメージを負わせた伊吹に、神谷は戦慄した。

キャラが濃いおかま医師 ( No.50 )
日時: 2024/05/09 17:44
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

アグネス「ん…うぅん…」

宮殿前の戦いから二日後、目を覚ますと、白い天井が最初に目に入った。そして布団に入っている感覚もある。ここはロンドン・クリニックの病室。

那由多「悠君、目を覚ましたよ」
神谷「ほんとだ。おはよう、体の調子はどうだ?」

そこにいた神谷は質問をする。

アグネス「最悪よ。体中ヒリヒリしてるし」
那由多「まぁ、僕も悠君も傷を負ってるから」

そう言い那由多は苦笑いする。二人を見ると、アグネスや梓涵は重症だ。確かに神谷も那由多も傷ついているが、そこまでじゃなかった。

那由多「所で悠君、何で怪我をしちゃったの?」
アグネス「私も気になるわ。何があったのかしら?」
神谷「そうだな…ロンドンの街にたどり着くと、伊吹と同じように仮面をつけた謎の集団がいたんだ。人数は6人程度で、俺を見ると襲い掛かってきたんだ」
アグネス「どうなったのかしら?」
神谷「勝った。だが少し苦戦したな。で、だ。この後はどうする?新参者の伊吹に最強が負けたと報じられたんだ。おかげでネット掲示板では伊吹が最強、って言われてる」
アグネス「そうなのね…」
神谷「だから、あいつをぶっ飛ばして、俺らの評価を戻すしかない」

神谷の言う通り、アグネスが伊吹に敗北した事件『列強会議事件』が報じられた後、すぐにネット掲示板では「伊吹が最強なんじゃね?」「もう伊吹以外の列強とか時代遅れww」「最強が列強最弱に負けたのか…」と、伊吹最強論が展開されていた。神谷がスマホで画面を見せるとアグネスは「うわぁ…」という顔をしていた。

そんな時、扉が勢いよく開かれた。3人が一斉に扉を見ると、そこにはハイヒールを履き、白衣を着た…おかまがいた。

おかま「あらあら、王女様重症じゃない。もお折角の美人顔が台無しじゃない」
神谷「ア…アグネス…?」
那由多「えぇと…アグネスさん、あの人は…?」

神谷と那由多は恐る恐る聞く。当然だ、突然おかまが現れたら少し怖くなる。

アグネス「彼はラディー。おかまよ」
神谷「んな事は分かってる」
アグネス「優秀な医者よ。おそらくこの国で一番」
ラディー「よろしくね~神谷ちゃん、那由多ちゃん」

ラディーが投げキッスとウインクをすると神谷と那由多は背筋が凍った(ギャグ的な意味で)。
ラディー「3人とも、悪いけどついてきてくれる?」

そう言われると3人はラディーに意味も分からずついていった。途中梓涵と合流し、ある部屋に入った。
4人はラディーに言われ右から梓涵、アグネス、神谷、那由多の順番だ。

ラディー「いくわよぉ~」

ラディーの体に緑色のオーラが溢れ出していく。そして構える。

ラディー「はあぁァァァ!!!!」

男声で叫んだ瞬間、四人の包帯なり絆創膏が消え、アグネスと梓涵に至っては普段の服に戻った。傷が全て消えて。

神谷「What!?」
那由多「え?えぇぇ!?」
梓涵「うそぉアル!?」

3人が驚いた。

アグネス「どう?ラディーの能力は?彼の能力は『医療をする能力』。医療系なら世界でもトップレベルなの」
神谷「…すげぇ…」
那由多「凄い…」
梓涵「ちょっと見直したアル」
ラディー「聞こえてるわよ梓涵ちゃん」
梓涵「あ…」

全員が笑った。当の本人は赤面した。すると、部屋に近衛兵らしき男がやってきた。彼は息を切らしていた。

近衛兵「殿下!大変です!次女様のアイラ様が何者かに誘拐されてしまいました!」
アグネス「えっ!アイラは無事なの!?」
近衛兵「現在、全力で捜索していますが、分かりません…なお、犯人は仮面をつけていました」
アグネス「仮面!?本当なのね!?」
近衛兵「落ち着いてください、仮面の男です」

仮面の男と言えば、もうあの男しかいない。

アグネス「3人とも!アイラを助けたいの!お願い、協力して!」

そう言い頭を下げる。

神谷「分かった。俺らは列強同士だ。最強のお願いなんて無にできないしな」
那由多「出来る限りですが、協力させてください!」
梓涵「まぁ…少しは…」
アグネス「ありがとう…みんな…」

アグネスの顔は、安堵しながらも泣きそうだった。

ワンチャン伊吹を倒せる技 ( No.51 )
日時: 2024/05/11 16:12
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

近衛兵が横を見る。驚いた顔をし、何者かに吹っ飛ばされた。正体はタキオンだった。

タキオン「はぁ…はぁ…で…殿下…こ…これを…」
アグネス「え?えぇ…」

アグネスが息を切らしているタキオンからスマホを受け取る。動画サイトだ、配信されている。問題は内容だった。手を拘束されているアイラが、数人のローブを着た男に囲まれている。

伊吹『列強!俺は今、アイラを拘束している。数時間後、アイラを処刑する!殺されたくなければ、コーズウェー海岸に来るんだな!』

そう言い、配信を切る。

「「「「「「……」」」」」」

絶句する。来なければアイラは殺される。だからといって行ったら、最悪全員殺される。神谷を除く5人は、絶望した。

神谷「…一応、あの技を試してみるか」
那由多「あの技?」
神谷「使ったことは無いが…ワンチャン伊吹を倒せる」
アグネス「なっ!?」
梓涵「はぁ!?」
ラディー「うそぉ!?」
タキオン「!?」

その場にいる全員が、驚いた。梓涵に至っては語尾が消えている。

梓涵「…寝言は寝てから言えアル」
アグネス「そんな技があれば、苦労なんてしないわよ」
神谷「あくまでも、ワンチャンの話だ。成功するかは分からん」
那由多「そっ、それって、どんな技なの?」

全員が興味津々で聞いてくる。だが神谷は「見てからのお楽しみ」と言って、教えてくれなかった。


…数時間後。

伊吹「さぁて、いよいよお前の処刑タイムだ」
アイラ「んー!んー!」

口を布で塞がれているため、喋ることが出来ず、声を出すのが精いっぱいだった。
配信の準備をしようとしたその時、ローブの男が4人、あの世に旅立った。

伊吹「おっ、来たか」

そう言い崖を見る。列強4人が集結していた。

神谷「やっと見つけたわ!今すぐアイラちゃんを解放しなさんせ!お母さんが悲しんでいるザマスよ!」
アグネス「神谷悠?」

伊吹に向けて指を向けている神谷に、アグネスは肩に手を添える。無茶苦茶な殺気が神谷に対し向けられている。

神谷「…怒ですか?」
アグネス「ええ、それはそれは」

電気を流す。神谷は断末魔を上げる。ギャグ漫画だったら、黒焦げになっているだろう。

震電 ( No.52 )
日時: 2024/05/11 22:43
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

「くそっ、死ねぇ!」

ローブの男たちが杖を出したかと思えば、魔法陣のようなものが展開されていた。

「ファイオ!」
「アイシング!」
「サンダー!」

一斉に4人に向けて炎と氷と雷が飛んでいく。4人は避けつつ崖を降りるが、神谷を除く3人は非常に驚いていた。

アグネス(何あれ!?まるで魔法みたい…)
那由多(魔法みたいだ…ローブや杖もあるし、魔法使いなのかな…)
梓涵(なにあいつら。魔法使いなのかアル)

また神谷も冷静だが多少驚いていた。

神谷(何だ今のは?異世界に来た時の魔法みたいだ…)

疑問に思うが、その思いを振り払い、アイラを救出することに集中する。
伊吹は動かない。ローブの男たちは伊吹の態度にイラつきつつ魔法?を飛ばすが中々当たらない。

梓涵「がああぁぁぁぁ!!!」

梓涵が竜人に変身し、ローブの男に爪を使い攻撃する。

「くっ…!」
梓涵「まだまだぁ!」

男は避けたが梓涵は追撃。よけきれず杖もろとも破壊され、胸に傷を負って倒れた。

那由多「ふっ!」
「がっ!?」

那由多は杖を破壊し、アッパーで気絶させる。

アグネス「悪いけど、アイラを助けるためなの。ごめんあそばせ」
「があぁぁぁぁ!?!?」

アグネスは電撃を死なない程度に食らわせる。

神谷「そらよ」
「くそっ!くそっ!がっ!?」

男は魔法?で攻撃したが速度で翻弄され、最終的には後ろの首をチョップで気絶させられた。
そうこうしているうちに、ローブの男達は全滅。残る敵は伊吹一人となった。

伊吹「ほう…流石だな。強い強い」
神谷「本当にそう思っているのかよ」
伊吹「思ってる思ってる。さぁ殺ろう!」

伊吹は一気に殺気をを出し、列強たちを圧倒する。

神谷「なぁ、俺がやっていいか?」
アグネス「…冗談でしょ?」
神谷「まっ、さっき言ったろ?”技”を見せるって」

そう言い不敵な笑みを浮かべ、赤眼を発動した。気配の変化っぷりに、伊吹を含む3人は驚愕していた。

梓涵(なんだこの気配はアル!?)
アグネス(何この気配!?)
那由多(えっ!?いきなり雰囲気が変わった…)
伊吹(何だぁ?急に気配がガラリと変わった)

神谷は構える。少し引いた右手を左手で包むように触れる。右手が赤くなり、力を蓄えているように見える。数秒後、4人の視界から神谷の姿が消え去った。

伊吹「どこ行きやg」

神谷は伊吹の間合いの中に現れた。もう伊吹は攻撃を避けられない。

神谷「震電」

神谷の拳が伊吹の腹を殴った瞬間、赤い雷が迸り、衝撃波で空気が揺れた。果てしない威力の攻撃を喰らい、伊吹は吹き飛ばされた。
…今この瞬間、伊吹の体力は7割以上が文字通り消し飛び、伊吹の能力は、文字通り「破壊された」。

決着と、魔法国家への疑心 ( No.53 )
日時: 2024/06/03 11:50
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

伊吹(今まで…アクシオンも、アグネスも、俺には勝てなかった…。俺が強いからだ…だが)

吹き飛ばされた伊吹は血を吐きながら神谷をにらみつける。

伊吹(こいつはやばい…!今までのどんな奴よりもだ!)

伊吹は負けたことがない。破壊の力を持っているからだ。だが周りの人間は伊吹の力を恐れ、遠ざけた。それ故、友と呼べる人間がいなかった。幼い伊吹にとって、心にストレスを抱え、凶暴になっていった。
列強は、赤眼の力に驚愕する。

那由多(あんなに強いなんて…凄い…)
アグネス(…あの実力、ガブリエルが負けたのも納得するわ…)
梓涵(あれじゃ、ガブリエルが勝てるはずもないかアル)
伊吹「…てめぇ…」
神谷「どうした?随分としんどそうじゃないか」

煽っているように言われてにらみつけるが、神谷には全く効果がない。
すると、伊吹はポケットから小さな瓶を取り出し、地面に落として割る。ガラスの割れる音が鳴り響いたと同時に、三つ目のゴリラのような怪物が現れる。

怪物「ぐるあぁぁぁぁ!!!」

常人じゃまず捕らえられない速度で神谷に突進してきた。

神谷「焼」
怪物「がぁぁぁぁ!?!?」

まずはナイフで右腕を切断し、

神谷「肉」
怪物「ぐォォぉぉ!?!?」

左腕を蹴りで骨折させ、

神谷「定食」
怪物「が、がが…」

最後は喉を刺し絶命させる。が、周りをよく見ると12体出現した。

アグネス「私たちが倒すから、神谷君は夜神伊吹を!」

そう言い3人は怪物に攻撃をし始める。神谷は伊吹の方に首を戻す。

神谷「早くお縄についたほうが楽だぞ?それにいい加減俺も面倒になってきたからな」
伊吹「…はっ!いいやまだだね!俺は戦えるんだよ!」

そう言い近接戦闘をする。攻撃を捌くことが続いた。

神谷「伊吹…お前は強い。戦闘センスも、能力も、何もかもが列強クラスだ。…けどな」
伊吹「…がっ…」

伊吹の腹に神谷の拳が当たる。伊吹は崩れる。

神谷「…俺の、勝ちだ」

その時、アグネスたちも怪物を倒し終えた。ただ、伊吹が弱かったわけではない。伊吹は、間違いなく列強クラス、しかもアグネスを超える。赤眼を使わない限り、伊吹は倒せなかった。
だが、ひとまずはこの騒動は終結した。だが一点、神谷は引っかかっていた。

神谷(そういや、あの魔法使いみたいなやつ、そしてあの怪物、そして、アンストロース大魔法帝国、あの国は魔法っていう言葉が入っていたな。まさかアンストロース大魔法帝国が関わっている…?いや、妄想のしすぎか)

だが神谷の疑心は間違っていない。約数か月後、科学国家は震撼する。

終わった会議と新たな面倒事 ( No.54 )
日時: 2024/06/06 17:18
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

夜神伊吹が拘束され、アグネスの妹のアイラを救出し、2日が経過した。伊吹の事件もあったが、列強会議は行われていた。

アグネス「夜神伊吹、その仲間が使っていた腕時計は、我が国の技術者たちが作った転移装置だったわ」
神谷「あー、最近ニュースになっていたあれか」
アグネス「そうそう、そして、夜神伊吹は今は牢屋に入っているのだけど…」
那由多「だけど?」
アグネス「尋問している途中、突然痙攣し始めて泡を吹いて倒れちゃったの」
梓涵「は?どういう事アルか?」

3人は理解できなかった。そもそも伊吹が倒れたのは、神谷の「震電」が原因じゃない。

アグネス「能力の形跡もなかったし、体は健康で異常は無かっただったから、本当に分からないわ」
神谷「そうか…」
梓涵「その資料、うちの会社に出来たら回してほしいアル」
アグネス「分かったわ。後で言ってみるわ」

因みに今は食事しているのだが、神谷のフードファイター並みの食べっぷりに3人は少し引いていた。

アグネス「それにしてもあなた食べすぎでしょ…」
神谷「震電を使うと、数日間フードファイター並みの胃袋になっちまうんだ」
那由多「それにしても、『震電』って言った所、かっこよかったなぁ」
神谷「おいやめろ!あれ俺の中では黒歴史になっているんだぞ!!」
梓涵「自業自得アル。震でn」
神谷「おい梓涵やめろぉぉ!!!」

赤面しながら必死に止める神谷の姿に、アグネスと那由多は面白おかしく笑った。


列強会議が終わり、神谷と那由多は報道陣の飽和攻撃を受けながらも、那由多と厘は大学に、神谷は何でも屋を再開していた。知名度が上がった弊害なのか、依頼主の目的がサインや握手が多かった。更に神谷特集の番組を作ろうとテレビの人間がやってきたりと、儲けていたが大変だった。

神谷「…ったく、しょうもない依頼ばっかしてきやがって…儲かってはいるが何かなぁ…」

プルルルル プルルルル

机に置かれている電話が鳴る。神谷は「またテレビか」と少しうんざりしながら電話を手に取った。

アグネス『久しぶり、神谷君』

神谷は面食らった。相手が知り合いとはいえイギリスの王家の血を引く人間だからだ。神谷は英語で話し始める。

神谷「…なんだよ、イギリスでの神谷特集か?」
アグネス『そんなわけないじゃない。ある依頼をしたいの』
神谷「依頼?」

神谷は少し驚いた。イギリス王女が直々に依頼をするなんて聞いたことがない。

アグネス『アクシオンが死んだことは知っているわよね?』
神谷「もちろん。それがなんだ?」
アグネス『…アクシオンがいた中東では、戦争が起きているの』
神谷「戦争?」
アグネス『ええ。アクシオンという強大な実力者がいなくなった途端、中東では戦争が勃発したの。梓涵は会社で忙しいし、那由多君は大学なの。私も多忙になりそうだから、神谷君に頼もうと思って』

神谷は困惑しっぱなしだが、アグネスはお構いなしに話を続ける。

アグネス『率直に言うわ。中東に行って、黄金郷について調べてほしいの。イメニア解放軍という、イメニアの反乱軍の所に行って。彼らは至って過激じゃないから安心してね。彼らとイギリスの考古学者と一緒に調べて』
神谷「それなら準列強が言った方がいいんじゃないか?」
アグネス『それが、準列強の人を中東に送ったら、すぐに遺体になって帰ってきたの』
神谷「うへぇ。しかし、黄金郷ってなんだ?エルドラドって訳じゃないんだろ?」
アグネス『分からないわ』

神谷は怪訝な顔をした。

アグネス『黄金郷は、どんなところか、どんな施設があるのか、一切の情報がない上に、最初の考古学者団がいったら、音信不通になったの』
神谷「はぁ?全滅とか?」
アグネス『確認を取ろうとしたけど、人工衛星が黄金郷の部分だけノイズで映らないし、能力者が調べようとしたけど、全く分からなかったし、軍用機が調べようとしたけど、何故か撃墜されたの』
神谷「つまり俺は考古学者の護衛兼、最初に来た学者団の安否を確認しろって事か?」
アグネス『そういうことね』

神谷は思わずため息を出してしまった。

神谷「分かった、その依頼を受けよう。報酬は?」
アグネス『2億円でどう?』
神谷「分かった」

こうしてアグネスは諸々の事(飛行機の便や期間)を言った後、電話を切った。

神谷「…さて、準備するか」

神谷は中東に行くために準備する。だが、そのころ、黄金郷では、不敵な笑みを浮かべる美少女とも言うべき女性の姿が、そこにいた…。

黄金郷 ( No.55 )
日時: 2024/06/14 09:12
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

??「…へぇ…夜神伊吹を退けた、神谷悠が、”ここ”にくるのね…」

とある村で、彼女は椅子に座り、頬を机につきながら独り言をしていた。その村は至って普通”だった”。家の中は血まみれで赤に染まっている。なのにもかかわらず、死体という死体もなかった。

??「またやったのか」
??「いいじゃない、人は殺しつくさない程度であれば、殺しても問題ない」
??「…そうか」

彼女のいる家に現れたのは、長髪の美男子。だが服装はまるでアラブの貴族が着ていそうな豪華な服。一目で地位の高い者だと分かる。一方、彼女は質素で娘のような服。

??「まあいい、後で始末する」
??「いいの?神谷悠はとんでもなく強いけど」
??「俺よりもか」
??「えぇ」

男は彼女にそう言われ、彼女を睨みつける。

??「貴方は強いことは分かっている。けど、それで油断で死んじゃったら元も子もないじゃない」
??「…ふん」

男は家の玄関を開け外に出て行った。残された彼女は、狂気の笑みを浮かべる。

??「待ち遠しいわ…神谷悠…貴方はどんな人形になるの?」


イメニアン国際空港。イメニアの首都イメニアンに設置された国際空港。2年前、現在でも続く内戦で破壊されたが、現在はイメニア解放軍が治っている。

神谷「おぉお…」

こんな声を出すのも無理はない。ロンドン・ヒースロー空港なんかよりもの凄い砂漠だ。神谷もイメニアン国際空港を全く調べていなわけじゃない。だが思ったより砂漠で驚いたのだ。

??「あっ!来た来た!」

飛行機から降りたら何やら爽やかな青年と数人の自動小銃(AK47)を持った男4人が走ってきた。

神谷「えーと、君は?」
??「俺ですか?俺はムージャ・アッザーム・ジブリールっていいます。ムージャって呼んでください」
神谷「お…おう」

「なんで神谷はアラビア語なんて分かる」と思うだろうが、神谷はこの数日間、赤眼で記憶力向上の効果などを使ってアラビア語を覚えた。日本語訛りはあるが。
入国手続きを済ませ、空港の外に出て車に乗る。

神谷「おっ、トヨハシだ」
「トヨハシの自動車は頑丈だからな。うちでも重宝されている」

実際、現実の中東のテロリストはトヨタの自動車を使っており、機関銃などを載せている。数台の車と共に未舗装の道路を進む。

ムージャ「酔わないんですか?」
神谷「この程度で酔ったら列強やれねぇよ」
ムージャ「凄いですね!」

一時間走れば時々木が見えたり、砂の世界に入ったりする。ラジオはイメニアの言葉だが、内容は面白味のない物なので暇な時間が続く。だがそんな時間は前のトヨハシの車の爆破で終わりを告げる。

神谷「あ?」
「なんだ!?」
「なにが!?」

神谷は余裕だが、男たちは特段強いわけじゃない。驚いて動きも遅れる。すぐに神谷の所へRPGの弾が2発飛んでくる。

神谷「おらよ」

1つ目を手に取り2つ目に当て回避する。男たちは「おお!!」と驚きと感嘆の声を上げる。だがまだ襲撃は終わっていない。
車から降りると、AKを持った軍人らしき男が数人、神谷に向けて銃を向けていた。神谷は悩む。ここで軍人らしき男たちを殺してしまったら、更に面倒なことが起きてしまうかもしれないのだ。
すると、ムージャが神谷の前に出た。

ムージャ「神谷さん、ここは俺に任せてください」

神谷の前に出るムージャを見て、男たちは警戒する。瞬間、一番前に出ていた男はムージャに顔を殴られ吹き飛ばされる。

「殺せぇ!!」

周りの男はAKを乱射するが、現地生産された粗悪品では精度が非常に悪く当たらない。ムージャはものの一分足らずで制圧した。神谷はその光景に感心する。

神谷(おぉ…あいつかなり動けるな。いつか大物になるのかもな)
「大丈夫かぁ!?」

車が数台やってくる。元々いた男たちは安堵している様子を見ると、どうやら仲間らしい。

「大丈夫か!?」
神谷「大丈夫、ではないな」

負傷した男は仲間の車に乗せられ、神谷たちは仲間と共に進み、彼らのベースキャンプにたどり着く。

黄金巨人 ( No.56 )
日時: 2024/06/10 16:34
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

暫くして車列はベースキャンプに到着し、神谷とムージャは考古学者団の部屋へと案内された。そこには複数人のイギリス人がいた。

??「貴方が神谷悠?こんにちは。私の名前はサイラス・ブラウン、団長です」

学者の中で一番年齢が高いであろう初老の男が、神谷に握手を求めてきた。

神谷「よろしくお願いします」

神谷も握り返すと、ムージャがやってきた。

ムージャ「全員揃いましたね?では今からプランを説明していきます」

ムージャがポケットから地図を取り出し机に広げ、指を差す。

ムージャ「まず、このルートを進み、黄金郷に行きます。神谷さんと俺、あと数人を学者さんたちの護衛をします。期間は3か月、あとは…」

こうして数十分後、説明が終了する。各自自由にし、神谷もキャンプの子供たちと遊んでいると、軍服を着た若い男が血相を変えバイクから降りて、ベースキャンプの隊長室に走っていった。

「あの人何してるんだろぉ」
神谷「んー…分からないな…」

隊長室に入って数十秒、「なんだって!?」という声が聞こえた。神谷は隊長室に入ると、血相を変えた隊長の姿があった。

隊長「神谷さん!今、巨人が来ています!」
神谷「きょ、巨人?」

いきなり巨人と言われても、何が何だかよく分からない。曰く、「巨人は黄金の肉体を持っており、小銃程度は跳ね返す防御力を持っている。身長は2~3メートルの化け物だ。戦車かロケットランチャーを持ってこないと倒せない」らしい。

隊長が説明を終えると同時に、例の巨人がやってきた。

「は、早く逃げろぉぉ!」
「対戦車兵器は!?」
「今持ってくる!」
「もうだめだ…おしまいだ…」
神谷(いや、俺列強だぞ?少しは安心してくれ…)

神谷は呆れつつ、巨人の前に出る。巨人は神谷に大振りでその黄金巨椀を振るう。が、神谷に片手で防がれる。
周りは一瞬静かになったが、「おぉ!」と感嘆の声が開けられるが、神谷からすれば余裕じゃなかった。

神谷(うお…力が滅茶苦茶強いな)

神谷は即座に離れるが、勢い余って地面までその巨椀はぶつかるが、めり込みひびが入っている。神谷はすかさず追撃。首にナイフで斬りかかり、その首を落とす。
一瞬の沈黙、誰が言ったか分からないが、「すげぇ…」の一言で、歓喜の声が響き渡った。

黄金の化け物 ( No.57 )
日時: 2024/06/14 16:42
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

2日が過ぎ、神谷はついに出発をする事になった。軍用車に乗り、車列は出発する。森を走っていると、車に近づくように男が走って近づいてくる。

ムージャ「誰でしょうか?」
神谷「さぁ?」

そのまま無視して進もうとしたが、男が車の前に仁王立ちして強制的に進行を止めた。
車列にいた数人の兵士がAKを持って、男に銃口を向ける。神谷とムージャもなんだなんだと思い車から降りる。

男「なあ、助けてくれ!!」
「何を言っている?ふざけているのか?」
ムージャ「まぁ少し待ってください。俺が聞きます」
「!?…失礼しました」

ムージャが前に出ると、男はムージャに縋りつく。

男「仲間が全員殺された!あれは化け物だ!最初は軽い気持ちで行ったんだ!!行ったら仲間が化け物に殺された!黄金の化け物だ!!助けてくれよ!お願いだ!お願いだ!!」
ムージャ「…一度落ち着きましょう」
男「落ち着けるか!?なあお願いだよ!助けてくれ!!!」

男が叫んだ瞬間、足に異変が起こった。足は金になっていた。

男「あ、あ、ああああああ!!!!助けてくれぇ!!!!!」
神谷「くそ!」

神谷が赤眼を発動するまでもなく、男は黄金の像と化した。

ムージャ「何が…」
神谷「…」

神谷は赤眼を発動して男だった黄金像に触れたが、何も起こらなかった。

神谷(…本物の黄金になったから、何も起きないのか?)
ムージャ「神谷さん、その黄金は偽物です」
神谷「どういう事だ?」
ブラウン「その黄金、いや物質は、見た目が黄金なだけで、構造が黄金とは違う。売っても価値がないですよ」

車から降りてきたブラウンにそう言われ、神谷は黄金像を見つめていた。

神谷(ここに来てから、今まで起こったことが黄金がついてくる。どういう事だ…?)

一両は黄金像を抱えベースキャンプへと帰ってくる。神谷たちはそのまま黄金郷へと向かう。


??「いい嫌がらせじゃない。けど引いていく様子が無いわね」
??「なら俺が作った黄金郷で、神谷悠を迎え撃つ。それでいいだろう、ジハード」
ジハード「そう、好きにしたらいいじゃない、ザハブ」

ザハブと言われた男は家から出ていく。扉を閉めていかない様子に、ジハードと呼ばれた女性は機嫌が若干悪くなった。

ジハード「全く、ドアくらいは閉めてほしいのだけれど」

黄金郷の主 ( No.58 )
日時: 2024/10/10 23:57
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

ついに神谷達は黄金郷にたどり着いた。神谷達は黄金郷の少し遠くにキャンプを設置し、神谷とムージャ、学者団と数人の兵士と共に黄金郷へと入る。

ブラウン「しかし、扉が開いててよかったです。危うく扉を壊すことになったかもしれません」
神谷「そ、そうか…しかし、黄金郷って名前がついているが、全部黄金なのかよ…」

この黄金郷、街の全てが文字通り黄金で出来ている。これが本物の黄金だったら、一体いくらになったのだろうか。
ブラウンは写真を撮りながら街を道に沿って歩いていると、複数の黄金の像を見つけた。だがその像達は銃をある方向に向かって向けている。

ブラウン「何だこれは…」

そう呟きながら像に近づき写真を数枚撮る。更に進むと、顔つきがヨーロッパ人らしき男が何かを睨みつけている像を見つける。同じように写真を数枚撮り、更に進むと、複数人のヨーロッパ人の男女が、何かに視線を向けた像が見つかる。

ブラウン「神谷さん、ムージャさん、これは失踪した学者団でs」
??「やれやれ、二つ目の像を見つけた時点で引き返せば良いものを」

ムージャが振り替えようとした瞬間、腹部に激痛が走った。

ムージャ「ぐっ…!」
??「石で作った弾丸だ。生きては返さんぞ」

神谷は即座に赤眼を発動し、ナイフを持って”それ”に近づいた。
??「速い…!ジハードの言う通りだな」
神谷「ジハードかなんか知らないが、とりあえず寝てもらうぞ」
ムージャ「神谷さん待って」

神谷と”それ”は声のした方に首を向けるが、ムージャは”それ”に近づき、腕に触れる。
1秒後、ムージャは鼻から出血し倒れた。

神谷「とりあえず、お前は邪魔だ」
??「がっ…!」

神谷は”それ”を蹴り飛ばし、家屋を巻き込んで吹き飛んでいく。そして神谷はムージャを抱える。

神谷「ブラウンさん!撤退するぞ!ムージャがそろそろヤバイ!!」
ブラウン「分かりました!」

”それ”が戻る前に神谷達はその場を離れ、黄金郷を脱出する。”それ”が戻ってくる頃には、神谷達はいなくなっていた。


ザハブ「…くそ…」
ジハード「お疲れさま。どうだった?神谷悠とムージャ・アッザーム・ジブリールは?」
ザハブ「ムージャはまだまだ粗削りだが腕はいい。問題は神谷悠だ」
ジハード「と、言うと?」

ザハブは服についた埃を払いながら言う。

ザハブ「あの実力、今の俺じゃまず勝てない」
ジハード「ようやく分かったかしら」

ジハードは自慢げにそう言う。

ザハブ「褒めてるんじゃない。だがお前の言った事が正しかったら、確実に神谷悠は俺を殺しにかかってくるぞ」
ジハード「その時は簡単。私が神谷悠を、貴方がムージャを相手すればいい」
ザハブ「そうか、頼んだぞ。お前は俺よりも強いからな」
ジハード「あら?貴方にしては嬉しいことを言うじゃない」
ザハブ「黙れ」


ムージャ「…ここは?」
??「あら?起きたかしら?」

ムージャが目覚めるとそこはベースキャンプにいた。医療テントらしいが、おかしいのは、おかまの医者がいる事だった…。

黄金の主の過去 ( No.59 )
日時: 2024/06/30 22:50
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

ムージャ「??????」

ムージャはおかまという人間を見たことがない。というか会ったことがない。だが自分が目を覚ますと、ヨーロッパ人でおかまで医者はムージャにとって恐怖の対象だった。

??「おはよ~。体調はどう?変なところはある?」
ムージャ「え、ええと…」

話しかけられて困惑と恐怖が入り混じっているが、「大丈夫です」というと医者は微笑んだ。瞬間、ムージャに悪寒が走った。

神谷「ようムージャ、起きたのか」
ムージャ「神谷さん、この人は一体…」
神谷「この人はラディー。イギリス、というか世界でも特に優秀な医者だ」

ムージャはそう言われるが、おかまが世界でも特に優秀…?と思ってしまった。

ラディー「今失礼なことを考えたでしょ」
ムージャ「す、すみません…ああそうだ神谷さん」
神谷「俺?」

ムージャは握手を催促するように手を差し出した。ラディーは机に戻って何かパソコンをいじっていた。

神谷「これは?」
ムージャ「俺の能力は記憶の共有です。触れた相手のの記憶を読んだり、共有をすることが出来ます。神谷さんには今から俺と握手をしてもらい、あの男の記憶を見てください。あの男、つらい過去を持っているようですし、神谷さんにも知ってもらいたいです」
神谷「あいつの情報を一気に知ったら俺の脳がやばくないか?」
ムージャ「記憶を厳選したので、頭痛が起きる程度です」
神谷「そうか、それなら」

神谷はムージャの手を握り目を瞑る。そして脳内には、ザハブの記憶が流れ始めた。


中東はかつて戦乱の世だった。ザハブは小国の王子だった。

「ザハブ様、隣国の○○国から、婚約をしたいとの申し出がありましたが、どうしますか」
ザハブ「そんなもの興味ない。さっさと拒否の趣旨を送ってこい」
「分かりました」

ザハブはその容姿と、強力な能力で他国から結婚の申し込みが後を絶たなかった。だがザハブはそんなものは興味が無く、申し出が来るたびに蹴っていた。

「ザハブ様、○○国からの侵攻が確認されました…!」
ザハブ「分かった。俺が対処する」

ザハブが邪魔な国、結婚の申し込みを一蹴させられた事に憤りを覚えていた国は、ザハブの国に度々侵攻を仕掛けていた。だがザハブは侵攻軍をことごとく壊滅させ、侵略をはねのけていた。軍が壊滅した後は、他国に攻め入り占領。そうしてザハブの国は中堅国になりつつあった。


ある日、ザハブはとある国に攻め込んでいた。既に王城は陥落しており、都は瓦礫の山と人が焼ける生臭い死臭、熱い炎に包まれていた。ザハブは御前に一人入ると瓦礫の山と炎の中、ある少女が空いた天井から来る月の光に照らされていた。

ザハブ「お前はなんだ?何故逃げない?」
少女「すべて、どうでもいいの。この国が滅びようと、親が死のうと、誰かに殺されようと」

少女は透き通った声でそう言った。ザハブはその少女に興味が湧いた。今までザハブの見た女は、自分に媚びを売り、自分の顔と能力にしか興味のない生き物と思っていた。だがこの少女はザハブに一寸も興味を沸かそうともせず、空いた天井から見える月を見ていた。
ザハブは面白半分でその少女を国に連れ帰った。

十字軍最高司令官 ( No.60 )
日時: 2024/07/24 16:34
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

ザハブは彼女に高度な教育、うまい飯、広い部屋を与えた。ザハブを知る従者や王は驚いた。女性を嫌悪しているザハブが、女性をだ。従者の中には「ザハブ様が女性を連れて帰ってくるとは!喜ばしいことだ!」という者や、「女性を嫌悪しているザハブ様が女性を連れて帰ってくるのはおかしい。何かあったに違いない」と心配する者もいた。


王城のテラスでは、ザハブと少女が紅茶をたしなんでいた。

ザハブ「どうだ?王城の生活は」
少女「…」

だが少女は何も答えない。

ザハブ「どうだと言っているんだ。どうでもいいのか、よくないのか」
少女「…貴方が私を勝手に連れてきた。捨てたければ捨てればいい」

ザハブは思わず顔をしかめた。少女はいつもと変わらないペースで、表情も変えずにそう答えたが、ザハブはイライラと同時に、ここまで自分に興味が無い少女に興味が一層湧いた。

ザハブ「…はぁ…まあいい。4日後、十字軍の将軍と会談をする。お前もついて来い」

少女はこくりと頷く。


十字軍は聖地エラサレムを奪還し、イメニア周辺諸国に侵攻を何度も繰り返していたが激しい抵抗にあい、停戦交渉をしようと通達が来た。交渉は隣国の「ムヘーレス王国」の部屋で行われるようになった。

ザハブ(緊張するな…)
少女「…」

ザハブは初めてする国家間の交渉に緊張しており、少女は無関心だった。イスラム風の椅子に座り、将軍を待つ。

??「へぇ~、なんや、一応王城だけあるんなや」

そう言ってきたのは、数人の護衛を連れてきたつり目の将軍だ。彼は椅子に座り足を机に置く。ザハブは彼の行動に嫌悪感を感じつつも丁寧に話しかける。

ザハブ「お待ちしていました。使者であるザハブと申します」
少女「…ブルカと申します」
??「十字軍最高司令官のクラリッサや。今日はよろしく」

クラリッサの言動は相手を敬おうという気が全くしない。ザハブは更に嫌悪感を増大する。

ザハブ「今日は停戦についt」
クラリッサ「そうやね。じゃ、おたくらの条件を聞きましょか」
ザハブ「まず、サウジェラビア以降は撤退し今後不干渉を守ること、エラサレムには信者の自由な出入りの許可です」

クラリッサは考え込むが、直ぐに口を開ける。

クラリッサ「別にオタクらの条件は飲んでもいいけど、一つうちの条件を飲もか」
ザハブ「なんですか?」

クラリッサは嫌らしい顔をする。

クラリッサ「そこのブルカちゃんをちょーだい。そうしたら飲んでもええよ」
ザハブ「それは…無理ですね。人質は認めません」
クラリッサ「そうかいな」

周りの護衛は剣を抜き始め、クラリッサも剣を抜く。

ザハブ「なに?」
クラリッサ「この剣はアロンダイト。俺の家に受け継がれている骨董品や。あと交渉決裂ね」

砂と黄金 ( No.61 )
日時: 2024/10/09 14:49
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

大変申し訳ございません!!!久しぶりの投稿です…言い訳をすると、どうしても内容が思いつかなくて…

追記 小説☆カキコ大会2024・夏 ダーク・ファンタジー板では銀賞を取りました!!!!やったぁぁぁ!!!!!


護衛はザハブに剣を向ける。一人の男は叫ぶ。

「かかれえぇぇ!!」

護衛たちはザハブたちに飛んでいく。

パキキ………

護衛たちは一瞬、1秒もかからず黄金の像にに変えられる。

クラリッサ「へえ…これがザハブ君の能力、あのカス達をきれいな黄金にするとはやるね」
ザハブ「部下の心配を知ったらどうだ?」
クラリッサ「カスの心配をしてどうするんや?別に変わりはいくらでもいるんや。カスが死んでもどうでもいいやろがい」
ザハブ「…クズが」

ザハブはクラリッサに嫌悪感を示す。そんなザハブを見て、クラリッサは嘲笑する。

クラリッサ「ザハブ君の国にもあるやろ?奴隷。どうせ君も奴隷をカスだと思っとるんやろ?同じやで」
ザハブ「お前と俺を同類にするな」
クラリッサ「ならそのブルカちゃんはどうや?奴隷やろ」
ザハブ「…黙れ」

ザハブは剣を抜きクラリッサに飛び込む。クラリッサはザハブの剣を受け止める。

クラリッサ「おっそ」

ザハブの剣は砂と化しサラサラと崩れていく。驚いたザハブは飛びのく。

クラリッサ「俺の能力、『あらゆる物質を砂に変える能力』や。君の能力とは相性最悪、詰みやね君」
ザハブ「どうかな?」

クラリッサの真上の天井から黄金のつららが無数に落ちてくる。

クラリッサ「うっとおしいなぁ…」

つららを剣でさばいていく間に、ザハブはブルカを左腕でつかむ。

ブルカ「…少し苦しい」
ザハブ「悪かったな!」

無理やりドアを右拳で破壊し部屋を脱出する。だがそれをクラリッサは逃していない。

クラリッサ「待ちいや!」

激高しすぐに部屋を出てザハブを追う。ザハブは黄金の矢を30本だしクラリッサに飛ばすが瞬時に剣で落とされてしまう。クラリッサは剣を振る。

ザハブ「ちっ!!」

ザハブはすぐにジャンプする。瞬間、人を肉塊にせんとするほどの風圧がザハブのいたところをすり抜け壁にぶつかる。風は部屋をいとも簡単に破壊し外界に飛んでいく。ザハブは避けたが右足を欠損してしまう。

ザハブ「ぐっ…この程度!」

ザハブは黄金で右足を義足として修復する。だがクラリッサは許さずザハブのいたところにジャンプする。

クラリッサ「じゃあねザハブ君。楽しくもなかったわ」

クラリッサは剣をザハブに向けて振り下ろす。ザハブは黄金で生成した剣で受け止めるが、破壊されそのままブルカもろとも切られてしまう。更にクラリッサはザハブを蹴り床に大きなひびが入るほどの勢いで落とす。


クラリッサ「さって、これからどうしたもんやね。もうこのまま俺がこの国を…」

クラリッサはブツブツ独り言を話す。騒ぎを聞いた兵団は現れる。

「ザハブ様!?」
「ブルカ様も…」
「貴様あぁぁ!!!!」

全員がクラリッサに剣を構えて突撃する。が、クラリッサは兵団に向けて睨む。
恐ろしいまでの重圧。これだけで数万人を虐殺を出来てしまうのではないかというほどまでに。

「あっ…あっ…」
「………」
「あっあっははははははははははは!!!!!」

その恐ろしさに兵士たちは一瞬で戦意喪失する。中には精神に異常をきたしているものや植物人間になっているものまでいた。
クラリッサは兵団に向けて剣をふるう。さっきと同じ威力の風はいとも簡単に兵士たちを粉々にした。

嫌な真実 ( No.62 )
日時: 2024/10/11 11:55
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

『覚醒』
能力者、無能力者が死の淵に追いつめられると稀に発生する現象。既存の能力が覚醒し強力なものになる(神谷悠の赤眼は少し違う)。
ザハブは覚醒を終え目を覚ました。近くにはブルカの遺体がある。が、信じられない光景を目にした。

ザハブ「…は?」
クラリッサ「が…は…」

目に映ったのはぼろ雑巾のようになっているクラリッサ、その胸倉をつかんでいる異形の人間。その姿は複数の人間が混ざり合った、何とも言い難い恐ろしい姿。そしてその後ろにいるのは、今の状況に合わない少女。

??「…あら?覚醒したのね」
ザハブ「…誰だ」

喉にたまった血を咳で吐きながら問う。少女はクスクスと笑う。

??「せっかくなら見る?この男の最後」
クラリッサ「なん…でや…女ごときに……俺が負けるねん……」
??「女性差別は良くないことよ?男が女性差別をするのって、大体2種類だと思うの。自分の無能さを隠したいがためか、そのみみっちいプライドのためか、まあ貴方は人形になるもの。どうでもいいけど」

少女は微笑を浮かべながらクラリッサに触れる。すると、クラリッサはさっきの余裕からは考えられない悲鳴を上げる。

クラリッサ「がっあああっああああああああっあああああああああああああああああ!!!!!!!!」
??「…いいわね、貴方、いい人形になるのね。いいわあ」

クラリッサはどんどん小さくなっていき、最終的には人形と化す。少女はその人形をボリボリ食す。その光景に、ザハブは呆然とする。

ザハブ「何がどうなって…!?」
??「おいしかったぁ。どうだったかしら?この男の末路は」

少女はクラリッサとは全く比較にならない速度で、それこそ瞬間移動と錯覚するほどの速度でザハブのすぐ隣に移動する。
ザハブは少女に気づき黄金の剣で彼女を切ろうとする。が、彼女は人間の顔の形をした盾で防ぐ。

ザハブ「なっ…!?」
??「いい反応ね。でも遅い」

少女はザハブより早く動き、ザハブに触れる。ザハブは全く動けなくなってしまった。

??「人生お疲れさま。最後に何か言い残すことは?」
ザハブ「…お前の名は」
??「…えっ」

少女は名を聞かれクスクスとおかしく笑った。

??「フフッ…そうね…ジハード。それが私の名前」
ザハブ「聖戦を意味する名とは、皮肉だな」

少なくとも彼女の行動は聖なる事ではないだろう。ザハブは倒れる。

ジハード「さてと…サンプルは手に入った。後は…”彼”に任せましょう」


ジハード「お願いね?ザハブ」
ザハブ「…分かった」

王城のテスラにいるのはザハブとジハード。だがザハブには生気がない。顔色も優れていない。
ザハブは能力を発動する。

パキキキキキキキキキキキキキキキキキキ………………………

ザハブは能力で王城を、街を黄金にしていく。街に住む国民は気づかずに黄金と化していく。やがて”黄金の都”が形成されていく。


「くそっ!なんだあの化け物ども!」
「知るか!!とにかく矢を一本でも飛ばせ!!何としてでもあの化け物たちを足止めしろ!!」
「あ”あ”ー!!腕がー!!!助けてくれー!!!」

ジハードの能力は『人間を操る能力』。文字通り人間を操り、人間同士を合体する能力。その能力には自身も含まれる。彼女は能力で寿命という概念を自身から消し、2023年に至るまでおよそ3000年生きながらえてきた。
ザハブの国は滅亡。王城を攻めてくる敵軍を能力で作り出した異形の人間の軍団で襲い、生け捕りにした兵を能力で駒にする。その内、黄金の都が他国に知れ渡ると近づくことはいつしかなくたって行った。そして、ザハブは完全にジハードに操られていた。

ジハード「…フフフッ」
ザハブ「?」
ジハード「いや、何でもないわ」


神谷「頭がいてえ」
ムージャ「大丈夫ですか?」
神谷「ああ、問題ない」

時は現代。現代のザハブが忘れてしまった記憶を神谷は見た。溜息を思わず吐く。ブラウンはムージャの容体を見るためにキャンプに入ってくる。

神谷「…!」
ムージャ「どうしました?」
神谷「ブラウンさん、もう離れてください。あいつともう一人」
ブラウン「…!分かりました。ですが神谷さんは?」
神谷「俺は残って対処します」
ムージャ「俺も残ります」
神谷「…」

神谷は何とも言えない顔をしていた。だがムージャの目は覚悟の目だった。

神谷「…分かった。だが無理はするな」
ムージャ「はい!」

神谷とムージャは向かう。来る敵を打ち取りに。

マッドサイエンティスト ( No.63 )
日時: 2024/10/11 14:55
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

ブラウンたちは急いで荷物をまとめる。だが遠くから数十体の異形の人間が押し寄せてくる。

神谷「面倒だな。いくぞ」
ムージャ「はい!」

神谷とムージャはすぐに走り出し異形の人間にたどり着く。先陣を切ったのは神谷。異形の人間に飛び移り首を斬っていく。
ムージャは殴ってきたり引っ搔いてくる異形の人間を殴り殺す。
一分もしないうちに異形の人間を全滅させる。

ジハード「あら?もう全滅していたのね。流石列強」
神谷「…!?」

神谷は驚愕した顔で後ろを振り返る。そこにはジハードがいた。
全く気付かなかった。気配の消し方がそれこそ列強の上位にも匹敵、或いは凌駕する。赤眼を発動していない神谷はそれこそ戦闘能力はアクシオンにも劣る。
圧倒的な実力の差。それに神谷は戦慄する。ムージャも信じられないといった顔でジハードを見ていた。

ジハード「初めまして、神谷悠。私の名前はジハード」
神谷「…」
ジハード「そんなに怖がらなくてもいいじゃない」

ジハードは頬を膨らませながら不満を零す。ただの女の子だったら、男は彼女に対して可愛いと思うかもしれない。”普通だったら”どれだけ良かったのだろう。

ザハブ「おい、そんなくだらないことをしてる場合じゃないぞ」

遅れてきたザハブがジハードに文句を言う。

ジハード「いいじゃないそれくらい、どうせ人形にするんだし、最後くらいいいじゃない」
ザハブ「…好きにしろ」

ザハブは黄金の剣を生成しムージャに突撃する。ムージャは剣を引いて防いだが遠くに吹き飛ばされる。土埃が舞う。
神谷は赤眼を発動し、ナイフでジハードの喉を突こうとするが、人間で生成した盾で防がれる。ナイフは盾に深々と刺さるが破壊には至らない。

ピイイイイイイイイイイ!!!!!!!!!!

ジハードは血のレーザーを神谷の横っ腹に振るう。その速度はマッハ6。

神谷(…”悪趣味”だな)

神谷はジハードに嫌悪感を感じながらよける。

神谷「人間だろ。その血のレーザーといい、あの盾といい」
ジハード「よく気づいたわね。流石列強」
神谷「お世辞は良いんだよ。ヤな趣味だな」

嫌悪感を示す神谷を見て、ジハードは笑う。

ジハード「別にいいじゃない。人間の一人二人、どうせ増えていくもの。それに」
神谷「…?」
ジハード「人間の可能性、私はそれを信じている。改めて名乗るわ、私の名はジハード。3000年を生きた科学者」
神谷「マッドサイエンティストが言うか」
ジハード「私は1000年をかけて思い至ったの。人類の可能性を。人間は強制的に合体するとそのそれぞれの強さが掛け算で強くなる。私はそれに気づいてこう考えたの」

ジハードの口調はあくまで穏やかで、だが心底楽しそうに言う。

ジハード「この世界の人間、約80憶人を合体させる。そうすれば宇宙で最も強い人間が誕生する」
神谷「…それは、笑えないな」
ジハード「笑えない?面白そうじゃない。最強になれるのよ?」
神谷「仮にお前が生み出したその最強の人間に殺されるってなったらどうするんだ?」
ジハード「最初の犠牲者になれるのもまた面白そうじゃない」
神谷「そうか」

神谷は消える。ジハードと同様恐ろしい速度でジハードの後ろを取る。

ジハード「流石ね」

ジハードは感心した顔を見せる。神谷が首を狙おうとした瞬間、地面から大量の手が飛び出してくる。神谷は上空に退避する。

神谷「どんだけこいつの目的のために犠牲になったんだよ」

赤いオーラをナイフに宿しナイフを振る。大量の手はオーラの斬撃により消し飛ばされジハードに近づいていく。
ジハードは超スピードで即座に避ける。オーラは地面にぶつかり、深い跡を残して消える。

「ピイイイイイ!!!」

大量の人間の面影を残した怪鳥がマッハ3で神谷を襲う。神谷は器用に突進してくる怪鳥を切り伏せる。神谷は頭をジハードに向ける。

ドオオオオオオオン!!

とてつもない音が鳴る。空気を蹴り音速を超えジハードに突進する。ナイフを一気に振り落とす。
が、ジハードは人間の面影を残した大剣を片手で持ち神谷のナイフを防御する。途轍もない衝撃波があたりを襲う。草は激しく煽られ土埃が舞う。
神谷は着地し土埃でジハードの姿は見えなくなる。神谷の後ろの存在は大剣で神谷を袈裟斬りにしようとしたが神谷は後ろの存在に気づき飛び避ける。大剣は神谷を切ることなく空振りする。

神谷(気配が読みづらい、赤眼を使ってもだ。しかも相手は人間を使った多彩な手を使ってくる)
ジハード(彼、強いわね。はっきり言って想像以上。フフフッ、人形にするのが楽しみ)

二人にとっても全くの未知数な戦いが続く。一方そのころ、ムージャはザハブ相手に大苦戦を強いられていた。

閉じ込めた記憶 ( No.64 )
日時: 2025/02/18 15:48
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

ザハブは駒のような何かを2個後ろに走っているムージャに投げつける。
駒は怪物になり黄金に包まれる。

ムージ「くそっ!」

ムージャに向けて黄金の怪物はラッシュをするにつれ、地面がボコボコになっていく。よけた瞬間に、もう一体に殴られ、吹き飛ばされ岩にぶつかる。岩が崩れていくときに起き上がろうとしたらザハブが剣を振り下ろす。

ムージャ「ふんっ!」
ザハブ「ほう……」

ムージャは両手で剣を受け止める。だが長くはもたない。

ザハブ「終わりだ」

二本の黄金の巨大針がムージャを刺そうと襲い掛かる。張りが到達する一秒前、彼は走馬灯を見た。


ムージャは貧しい家に生まれた。村ではその力で村人を助けながら暮らしていた。

子供は嫌な記憶を閉じ込め封印する力がある。彼はある少女にしゃべりかけられた。

道端で寝ていた。夜だった。起きて家に帰ったが両親がいなかった。泣きながら知り合いの家に行った。いなかった。村人を訪ね続けた。だが誰もいなかった。

「どこにいったのぉ!お母さん!お父さん!おじさん!おばあさん!みんなぁ!!!」

朝になり泣くのも疲れて呆然としていたら反乱軍がやってきて、保護され所属する。
ムージャは「自分は軍に生まれ、軍と祖国のために生まれてきたんだ」。そう自分に暗示をかけた。そうして自分を維持してきた。

ジジジジジジジ……………

ザハブ「!?」

黄金がムージャに近づくほど分解されるように消えていく。能力が維持できない。黄金で生成した剣が消えザハブは後ろに飛び、ムージャが起きる。

ムージャ「…思い出しましたよ、神谷さん。すべて」
ザハブ「…覚醒したか」

ザハブはムージャを睨みつけ、殺気を更に出す。

ザハブ「…良いだろう、俺もお前を弱者とは思わない。俺も全力を出し」

ザハブの後ろから大量の黄金が噴出される。

ザハブ「お前を殺す」


はい、大変申し訳ございませんでしたぁ!!!!!投稿できずにすみません!!
2024年受験シーズンに突入→勉強なり面接練習なりでてんやわんや→面接で合格→今ここナウ!!
といった感じです。受験は終わったため、投稿を再開しようと思った所存でした。皆さんは勉強はちゃんとやろうね~。
さて、この編が終わったらようやくあと2編!(やだなあ)。次は戦争もの(でもどうせボス戦までは無双)、その次は列強会議で梓涵(列強3位)がいっていたハルマゲドンが登場します。

次書く作品は和風のものにしようかと考えますが、ひとまずはこの作品が終わってからにしたいと思いますし、和風になるかも分からないし…
では皆さんお元気で~。

勝利は勝っても確信するな ( No.65 )
日時: 2025/03/09 22:18
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

互いは傷だらけだが、傷のどれもこれも薄皮一枚程度で済んでいる。だが互いの攻撃次第でどちらかが致命傷を負う。

ジハード「これはどうかしら?」

ジハードは巨大な芋虫を生成し神谷に放つ。芋虫が繰り出した拳を避ける瞬間、拳を放った腕から針が飛んでくる。

神谷「鬱陶しいな」

神谷は飛んできた針をナイフで捌くが、同時にジハードが突っ込んできた。剣同士が衝突し衝撃波が発生する。
神谷は問う。

神谷「ザハブ、お前が操っているだろ」
ジハード「あら?わかっていたの?」
神谷「さっき見た時、お前の気配を感じた。お前の能力だったら、不思議じゃないからな」
ジハード「ついでにザハブの記憶を読んだから」
神谷「.....正解だ。よくわかったな」
ジハード「年上を舐めないようにね」
神谷「隠居してくれよ老害」

両者は攻撃を再開する。ナイフと剣のラッシュで周りの地形が破壊されていく。
だが神谷が若干速度が速い。傷だらけになりつつ、ジハードは耐えきれず、剣を落とす。

ジハード「しまっーー」
神谷「震電」

炸裂する。赤い雷はピンポイントでジハードの腹に炸裂する。ジハードは吹き飛ぶが受け身を取る。

ジハード「っ!げほ...なんて威力...!」

ジハードは人間を盾にして塞いだがそのすべてを突き破られた。例えるなら、ガラスで戦車砲を防ぐようなものだ。
だが、

ジハード「いいわぁ...想像以上。これほどいい素材は初めて。どうなるのかしらぁ..」
神谷「...狂ってんな」

どこまでも、ジハードは狂っていた。

ジハード「狂っている?生物としての普通の感情よ。知りたいものを知りたい、未知の世界にワクワクする。それが"生きる"事。この感情は貴方にもあるはずよ。
神谷「...確かにな。高校でも分からない問題もあったし、昔のことも今でもその時の答えも分からない。だがな」

神谷はナイフを構えて答える。

神谷「痛みも、後悔も、絶望も、乗り越えてこそ、生きているんだ」

神谷は地面が抉れるほど踏み込み、ジハードに突進する。
ジハードは大量の人間を剣にし神谷に向けて飛ばすが神谷は捌き、避ける。

ジハード「ああ神谷悠!貴方は最高のーー!」

神谷はジハードを切り裂いた。


神谷「何か言い残すことは?」
ジハード「道半ば、残念ね。けど私の意思は、恐怖の大王に継がれる」
神谷「...?」

「ついでに」と、ジハードは言う。

ジハード「勝利は、勝っても確信しないものよ」

刹那、地面に刺さっていた剣が変形し、

ーー神谷悠の腹と"心臓"を貫いた。

解かれた黄金の束縛 ( No.66 )
日時: 2025/03/10 22:04
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

神谷がジハードと戦闘を行っている中、ザハブとムージャは互角の戦いを繰り広げていた。

黄金の波がムージャを襲う。ジャンプで避けた彼には波から飛び出した枝がムージャを襲うが、ムージャは剣で捌いている間にザハブは思考する。

ザハブ(ジハードの言う通り、こいつは記憶を読む能力。だが覚醒している現状、その能力は大きく強化されているため、何かしらの変化は起きているはずだが...)

ムージャの覚醒した能力は"記憶情報に適応する能力"。記憶から読み取った情報を元に物質を構築と分解を行う。分解は負担がほぼかからないが、構築は物質の価値や原子構成により決まる。勿論元々の能力は使用できる。

ムージャ「っ...こんなに強いのに、あいつに操られているなんて」
ザハブ「?何を言っている」
ムージャ「!分からないんですか...?!」

ムージャは飛んできた何千の黄金のつららと、何万の黄金の拳を分解しながら剣でザハブの足を切ろうとするが地面から飛び出た針で防ぐ。

ムージャ「あのジハードという人に、貴方は操られているんですよ?!」
ザハブ「本当に、何を言っている....?」

混乱しているザハブに、ムージャは過去を伝えた。

ザハブ「そんなことがあるわけないだろう。妄想もここまでくると笑えるな」
ムージャ「ブルカちゃんとの生活、楽しかったでしょう」

ピシリ、ザハブの動きは止まる。ムージャは追い討ちをかけるように言う。

ムージャ「悔しかったでしょう、クラリッサとの戦い」
ザハブ「...」
ムージャ「鬱陶しい女性の婚約」
ザハブ「黙れ」
ムージャ「思い出せないんですか?」
ザハブ「黙れと言っている」

ザハブは徐々に殺気を強くしていくが、お構いなしにザハブは続ける。

ムージャ「王子としーー」
ザハブ「黙れ!!」

ザハブはムージャに剣を振るうが簡単に避けられてしまい、逆に右拳を喰らってしまう。

ザハブ「ぐふっ?!」
ムージャ「黙りません。貴方が思いだすまで」

ムージャは掌でザハブの頭に触れる。

.....思い出した。全て、大河のように次から次へと。


ああ、自分は愚かだ。結局何がしたいかも分からず、民を穢わらしい黄金に変えてしまった。
分かってしまった。自分はもう生きている人間でなく、屍だということを。

思わず幻覚も見えるようになったか。あの頃と変わらない自室。

ザハブ「...ブルカ」
ブルカ「貴方がしたことは正しいか全く分からない」

「けど」とブルカは僅かに頬を赤らめながら答える。

ブルカ「...ほんの少し、楽しかった」
ザハブ「...そうか」


現実ではザハブは砂になり消えていく。ムージャは最後まで眺め、神谷の元へ向かうが、

神谷は倒れていた。


はい、monmonです。すみませんでした。9ヶ月も掛かってしまい申し訳ございません。
黄金の都編はこれでお終いですが、時間をかけ過ぎてしまいました....。もう少し執筆速度を上げます。

世界大戦 ( No.67 )
日時: 2025/03/13 20:54
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

「救急救急!」「どいてどいて!」「ラディー先生は!?」「くも膜下血腫の患者だ!クソッタレ!!」

神谷悠はイギリスから派遣された能力者によりイギリスのロンドン・クリニックに患者として運ばれた。
最終的に神谷は一命を取り留めたものの、臓器の消滅がラディーの治療でも一度では治せなかった。無菌室で大量の点滴と酸素マスクでギリギリである。

ラディー「全く...強い人って、どうして無理しちゃうかしら」
男性医師「どうしてでしょうね。強いからこそ無理するんじゃないんでしょうか」
ラディー「そうかしら...」

溜息をつくラディーを横目に男性医師は適当にスマホでニュースを見ている。

男性医師「えっ!?戦争?!」

スマホには、「アンストロース大魔法帝国、宣戦布告なしに全世界に喧嘩を売る!!」
と書いていた。


魔王を作り、魔王が「あのお方々」と呼んでいた者たちこそがアンストロース大魔法帝国だ。
皇宮アスターの大会議室では、皇帝と皇子、各軍の将軍20名と、最強の魔導師5人で構成される「五星将」がいた。
皇帝サルガスは五星将のうち1人、サイフに問う。

サルガス「サイフよ、神谷悠が動けない今、この戦争どうなると考える?」
サイフ「五星将と列強一人一人の戦力差は1:1。後は我らと400万の大軍が世界を獲るでしょう」
??「だが敵の兵力は1000万近くだ。その戦力差をどうやって埋める」

そう椅子から立って問うのは皇子のミルザム。答えたのは海軍総提督のアルカイドと、陸軍総大将のアトリアだった。

アルカイド「殿下、ご心配に当たりません。4年前から建造していた新型の空中戦艦が完成いたしました」 
アトリア「また、新たに開発していた二足歩行兵器も実践配備を終えました」
ミルザム「なるほどな、数を質で叩き潰すのか」

ミルザムは安心したか納得し戻った。


みなさんこんにちは、monmonです。お知らせがあります。
別の小説サイトハーメルンにこの作品を投稿することにしました。名義は「おサトさん」です。
ただ小説カキコでの投稿はストップせず、ちゃんと続けます。(ただ展開などは修正します。物語の大軸は変えません)
また世界大戦編と次の編は同じにようになるかもしれません。
これからもよろしくお願いします。

反撃 ( No.68 )
日時: 2025/03/21 20:55
名前: monmon (ID: ak9ikTR3)

タタタタタタタ、タタタタタタタ

「殿下はまだか!?」
「あと10分だ!」
「弾薬はもう直ぐそこを尽きる。もうダメかもしれないな」
「その時は皆んなでバンザイだな」

戦場ほど生き地獄なものはない。苦楽を共にした仲間が死んでいく。

「くそっ!銃も効かない、ジャベリンも効果が薄い!」
「空爆か戦車でしか倒せないなんて、こんな絶望はママのベットを粉々にした時以来だな」
「何したらそうなるんだよ」

今は戦争、突如アンストロース大魔法帝国はNATOに戦争を仕掛けた。総力を上げて防衛を行ったが、各国が連合を組んだ海軍が粉砕された。
そしてイギリス、海軍が壊滅したことで上陸を許し、田舎町オークハンプトンでの戦闘が繰り広げられている。

「くそ!また来やがった!」
「SFみたいなロボなんて、メタ◯ギアかよ」
「しかも5体、故郷の街で死ぬのならまあ悪くないか」
「お前さっきから諦めてんな」

だがある意味正解かもしれない。全員が全員、死を覚悟した時だった。

そのロボットが真っ二つになっていた。

ドオオオオオン!!!

ロボットは虹色の閃光を発しながら爆散した。

「一体何が....」
「どうなってやがる...」

兵士たちが騒然とする中、風に乗って降りてくる、ドレスを着た女性が現れた。

アグネス「驚きましたか?ごめんあそばせ」
「おぉ!!殿下だ!!」
「何という強さだ...」
「これが列強第一位、アグネス様...」

その錚々たる顔に、兵士たちは喜んだ。中には泣いて喜ぶ者も現れる。

アグネス「まずは貴方よ」

瞬間、土から無数の槍が勢いよく真上に飛び出していった。
ロボットが光線を放とうとしたが、アグネスはプラズマを放ちロボットの腕を破壊する。

アグネス「次は貴方」

ロボットの直ぐそこに移動する。反応が遅れレーザーを放ちロボットの両足を粉砕する。

アグネス「更に貴方」

地面が崩れてロボットの動きを封じる。

アグネス「最後に貴方」

ロボットに重力を発生させ動きを封じる。

アグネス「さて、終わりね」

アグネスが後ろを振り向いた瞬間、一斉にロボットたちがあるだけの兵装を放つ。

「殿下!」
「危険だ、避けろー!」
「離れてください!殿下!」

ロボットたちが攻撃しようとした瞬間、さっき放った土の槍がロボットたちを一気に破壊した。

「殿下ー!」
「流石だ殿下!」
「やったぁー!」

兵士たちは喜びの雄叫びをあげる。これがこの戦争での初めての勝利だった。
だが誰も知らない。この戦争により、化け物が生まれることを。

急襲 ( No.69 )
日時: 2025/03/30 09:31
名前: monmon (ID: Rjl67pny)

今回は短いです


「ーーーと、ということでございます」
サルガス「...下がれ」
「はっ、はっ!」

イギリスの反転攻勢により第6軍集団はかなりの苦戦を強いられている。勿論原因はアグネスだが。

サルガス「アトリア、各戦線の状況は?」
アトリア「はっ、はっ!開戦当初は快進撃でしたが、各国が能力者を動員し攻勢に出ているため、膠着状態が続いております」

サルガスの顔面は真っ赤に染まっている。これには会議に参加している各々が冷や汗をかいている。

サルガス「魔道士もどきが、我が国を侮辱しよって....!」

サルガス、というかアンストロース大魔法帝国は基本的にプライドが天元突破している。その為格下国家に舐められると強烈な報復をする。

サルガス「ただちに国内から徴兵せよ!また各兵器の生産工場を増設、加速せよ!」
「「「「ははっ!」」」」

各要人はすぐに命令された仕事をこなす為に会議室から出ていったが、残る1人、ミルザムは出ていかなかった。

サルガス「どうしたミルザム?」
ミルザム「はっ、父上、作戦について提案があります」
サルガス「提案だと?」

珍しく軍事に興味がないミルザムが軍事について提案をしてきた。

ミルザム「現在神谷悠はイギリス国の首都にて病院で眠っている状況、ここは列強の1人が目覚める前に襲撃します」
サルガス「首都攻撃か」
ミルザム「えぇ、首都攻撃が出来て、尚且つ敵の最高戦力の1人を潰すことができ、敵に打撃を与える事が出来ます」
サルガス「よかろう、皇都親衛隊の中から第一魔導機動連隊、第26魔導師連隊、第31魔導支援連隊を派遣する事を許可する。また転移魔法の使用を許可する」

しれっと首都の防衛部隊の中から軍を引き抜くなど、サルガスとミルザムのこの行動は、後々絶望をする事になってしまうがそれは別のお話。


「上手く転移できたようだな、流石は最高等魔法だな」
「そうだな、行くぞ」

三つの部隊は神谷を殺害すべく進撃を開始する。だが直接首都攻撃するなんて全く想定していない軍司令部は大混乱に陥った。

「敵、恐らく三部隊は三方向からロンドンに向かっています!」
「何だと!?数千人を一気にここに送ることが可能なのか!?」
「早く近衛隊を出動して防衛しろ!ロンドンを死んでも守り切るぞ!」

こうしてイギリスは未曾有の危機に見舞われた。

復活 ( No.70 )
日時: 2025/05/21 22:35
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

「くそ!弾薬がもうない!!」
「ほら、分けてやr……は!?大丈夫か!?くそKIA!KIA!一人」

頭が消し飛んだ仲間の戦死報告を行った直後、この兵士はライフルで撃ったスイカのように爆散して死亡した。
ここはイギリス首都ロンドン、現在アンストロース大魔法帝国の攻撃を突如受けた。市街地の6割は占領されており、神谷が入院しているロンドン・クリニック、バッキンガム宮殿、首相官邸周りはぼろぼろになっている。
苦戦している理由は、能力者が殆ど最前線で出張していることと、常駐軍の数が圧倒的に足りないことだ。
後に国防省職員は語る。

『ありとあらゆる物が足りなかった。そこは地獄だった、84年前のあの最悪の戦争のように、瓦礫と廃墟の悪夢のようだった』



ロンドン近郊、第26魔導士連隊 第6砲撃小隊。

「第一魔道機動連隊から砲撃支援が届きました!」
「方角と座標は?」
「はっ!方角は北北西。座標は317241 ELE60であります」
「そうか。全員、方角北北西、座標317241 ELE60に砲撃を開始しろ!!弾種は風神弾!!」

拡声器で命令を受けた兵士たちは弾に魔力を注入を開始する。方角と角度を調整し、撃つ準備を開始する。兵士が言った方角と座標はロンドン・クリニック。
注入を終え、緑色の水晶のような弾を砲に装填する。全員の装填が完了したと聞き、分隊長が命令を出す。

「砲撃開始!!」


キュイイイイイイイイイイイイン!!!!


砲から緑光が次と、その次と放たれていく。光は弧を描きながら飛翔していく。


ロンドン・クリニック、神谷が眠っている無菌室の外には5人の近衛兵。中にはクリーンウェアを装着している、アグネスの妹、アイラだった。彼女が病院にたどりついたと同時に襲撃は始まった。すぐに病院は包囲され、一時は解放されるも、更に現れた帝国軍に完全包囲され、退路は断たれてしまった。仕方なく、当初の目的であるお見舞いを実施しているところだ。

アイラ「……起きては、くれませんか…」

アイラは悲しそうに、複数の点滴と酸素マスクを装着している神谷を見つめていた。

アイラ「最早、ロンドンが落ちるのも時間の問題、姉が来てくれればあるいは……」

その時、放たれた風神弾が無菌室の窓に当たった。

アイラ「きゃあ!!」

凄まじい爆音と衝撃でアイラは吹き飛ばされそうになったが、踏みとどまって神谷に覆いかぶさる。ただ飛んできたガラスの破片がアイラの頭にかすめ出血してしまう。

アイラ「うう……」

目眩がしつつ辺りを見渡すと、壁に穴が開き日の光が差し込む。

「ぐあ!?」
「が!」

廊下から銃声と断末魔が聞こえて、アイラは恐怖を感じる。扉をこじ開けてきたのは6人の帝国軍兵士だった。

「おっ、女がいるぞ!」
「作戦完了後に本国に持ち帰ってやろうぜ」
「いやいや、まずは俺らでヤるんだよ!」

アイラには言葉が聞き取れなかったが、少なくとも察せることは分かった。嫌悪感と恐怖で吐き気を感じる。

??「待て待て、まずは私が話します」

不満そうな顔をしつつアイラに近づく男に敬礼をする。彼はアイラに英語で話し始めた。

??「やあこんにちは、私は第26魔導士連隊隊長、ムジカ・ラーン。この国の王族と聞きましたよ、ご機嫌よう」
アイラ「……それが一体何ですか」
ムジカ「いやいや、折角なので私たちと一緒に楽しいことをしませんか?」
アイラ「敵に弄ばれるくらいなら」
ムジカ「はっはっはっ、随分元気ですね」

パアン

何者かがムジカに向けてL96A1で銃撃する。だがムジカは倒れるどころか、弾をキャッチしていた。

ムジカ「全く誰ですか、危ないでしょう」

ムジカは撃たれた方向に弾を投げ飛ばす。1Km先にいる英軍狙撃兵は驚愕する間もなく、投げ飛ばされた弾丸によって頭が消滅した。

ムジカ「……さて、敵もいなくなったことですし」
アイラ「やっ、やめて!」

アイラは神谷に覆いかぶさるがムジカに引き剝がされてしまう。

ムジカ「諦めなさい」
アイラ「嫌だ!私は」

ムジカはアイラの体に手で触れようとする。なすすべのなくなったその時だった。
ムジカが掴んでいるアイラが突然消えた。

ムジカ「??」

彼が困惑して辺りを見渡すと、彼についてきた兵士が壁のそばで倒れていた。しかも頭から血を出してだ。

ムジカ「何が起きt」

彼は突然吹き飛ばされ、近くのビルに激突した。

アイラ「………貴方は」
??「悪かったな、寝ててしまって」
アイラ「…ぁ……」

アイラから思わず涙がこぼれ出る。涙は止まらなかった。

??「大丈夫か?」
アイラ「私を助けてくれて、ありがとう……”神谷”さん……」

目覚めた神谷は、彼女にとっては紳士どころか、ヒーローに見えただろう。


皆さんこんにちはmonmonです。この話を投稿後、作中で出てきた座標が、誰かの電話番号と分かり変更いたしました。大変申し訳ございません。
因みに新たに修正した座標はBF1キャンペーンの、タウンゼントの戦車に向けて重砲を撃った時の座標です

英国王室からの頼み ( No.71 )
日時: 2025/05/18 16:06
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

神谷「……なるほどな」
アイラ「はい……」

目覚めた神谷に、アイラは現在のロンドンの状況を話した。現在も病院は包囲されている。バンバン狙撃されまくっているが、神谷は余裕で弾丸をキャッチしながら聞いていた。勿論アイラは驚いた。

神谷「分かった。じゃあ、俺も戦うよ」
アイラ「いいのですか!?ありがとうございます!」
神谷「あと……着替えたいんだが服はどこにあるかるか?」

ということで神谷の参戦が決まった。アイラが見ていないところですぐに着替えてナイフも装備した。

神谷「さて、アイラ、おんぶすr」

また風神弾が飛んできたが、神谷は既に赤眼を発動しているため蹴り飛ばした。尚、

「うわあああああ!!!」
「風神弾!?何でここに飛んできた!?」

風神弾はしっかり、敵砲陣地に飛んで行った。尚これで第6砲撃小隊の分隊長は戦死した。


アイラをおんぶしながら、ビルとビルを飛んでロンドンを駆け巡る。だが下を見ると英軍は帝国軍によって蹂躙されている。

アイラ「………」

アイラはなすすべもなく殺されていく国民、その光景に目をつぶってしまう。思わず神谷の首を掴まる力は強くなった。

アイラ「あっ…すみません」
神谷「大丈夫だ、しっかり掴まってろよ」

そう言った直後、神谷はすぐに下に降りた。下は帝国軍で戦闘中あり、かなりの劣勢だった。

「がっ!」
「誰だ!?」

降り立った瞬間、一振りで3人を切り殺した。

「これでもくらえ!」

精鋭帝国軍は神谷の登場に狼狽えるが、すぐに小銃を向ける。流石は全世界と戦争している国家の軍人だが、列強には通用しない。

神谷「遅えよ」

360度全てにナイフの斬撃を浴びせる。周りの軍人はすぐに倒れた。ロボもすぐに反撃しようとしたが、神谷が通り過ぎると爆散した。
僅か1分弱でここにいた帝国軍は壊滅した。戦っていた英軍は歓喜の声を上げたが、神谷はすぐにその場から消え去った。


アイラ「す、すごいですね……」
神谷「まあな」

と、話しているうちにバッキンガム宮殿にたどり着いた。ホームガードも参戦しているため、包囲されてるがある程度は善戦していた。
神谷は包囲網を簡単にすり抜け、宮殿の扉の目の前にたどり着いた。バンバン銃撃されているが、ナイフだけでさばきながら中に入っていく。

「誰だ!って神谷悠!?それに殿下まで!!」
神谷「こいつが俺を守ってくれてな。そのおかげで助け出すことができた」
「わ、分かりました。では案内しますのでついてきてください」

兵士にそう言われついていく。歩いていると宮殿で働いていた職員や政府関係者から注目を集める。

神谷「今更だが頭は大丈夫か?」
アイラ「はい、貴方が着替えている間、スカートを破って包帯代わりにしました」

おもむろにスカートを見ると、確かに破っている跡が見えた。

神谷「あー…、悪かったな」
アイラ「大丈夫ですよ。貴方が目覚めただけでも幸運です」

アイラと話していると、豪華な装飾の扉の前についた。兵士はノックをして扉を開けると、老人や幼い少年少女、青年が20人いた。
彼らはイギリス王室。およそ1000年もの歴史、ブリテン島に君臨し続ける王の末裔たちだ。

アイラ「お母さま……お父様」
??「アイラ!?無事でよかった…大丈夫?」
??「大丈夫かアイラ!」

アイラがお母さま、お父様と呼んだ者は、アメリア夫人とジョージ3世。現英国のトップだ。

アメリア「貴方が神谷悠?」
神谷「ああ、娘さんしっかり無事……ではないな、傷をつけさせて悪かった」
アメリア「いいえとんでもない、アイラを助けてくれてありがとう」
ジョージ「神谷悠、君に多大なる感謝を」

その他、他の王室メンバーは神谷に感謝を伝える。すると案内してくれた兵士が気まずそうに割って入った。

「申し訳ございません、殿下は治療を受けてもらいますが、問題ないですね?」
アメリア「ええそうでしたね、ほらアイラ、傷を治しなさい」

すると軍医数名がアイラを担架に乗せて連れて行った。残された神谷は立ち去ろうとしたがジョージに止められた。

ジョージ「本来なら国王である私が戦わないといけないだろうが、私にはアグネスのように戦う力がない。君のような若者にこんなことを言うのは躊躇いがあるが…」
神谷「分かっている、俺もこの国が好きだ。あんた等が守ってきたこの国を、今度は俺が守ってやる」
ジョージ「君に神のご加護を」