ダーク・ファンタジー小説

赤眼の過去 ( No.30 )
日時: 2024/02/23 21:55
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

アナウンサー『では次のニュースです。先日、列強五位であるアクシオン氏が殺害されたことが判明されました。司法解剖の結果、死因は全身を強く打った事により、即死だったという事です。犯人は夜神よがみ伊吹氏という事であり、アグネス氏は列強会議に参加させる趣旨であります』

ニュースを見た神谷と那由多は驚いた。アクシオンは列強五位、列強では最弱だが実力者には間違いない。彼の能力は『弾丸の生成』。一見すると弱いかもしれないが、弾丸はアサルトライフルのサイズから大和の46㎝砲までのサイズを”無尽蔵”に生み出し、自由な速度で撃つことが出来る。

那由多「…」
神谷「…」
アナウンサー『では次のニュースです。三日前、突如として謎の巨大な島が現れ、そこには現地住民が住んでいました。現地住民たちは『アンストロース大魔法帝国』と名乗っており、政府は国交樹立を検討しています。また、アメリカ合衆国、イギリス連邦、スペイン王国、フランス共和国は国交を樹立しているようです』

魔法と聞いて、神谷はフリーデン王国を思い浮かべる。このニュース以外に、特に特筆するものはなかったが、那由多が神谷に話しかける。

那由多「アクシオンさんが死んじゃっていることは、今言った夜神さんが列強になるってことだね…」
神谷「アクシオンと会ったことがあるのか?お前」
那由多「列強会議でね」
神谷「なぁ、その列強会議ってなんだっけ?」
那由多「え?知らないの?」
神谷「名前だけ知ってるって感じだわ」
那由多「じゃあ説明するね。一年おきに開催して、列強会議は言わば列強同士の交流なんだ。ご飯を食べたり、話し合ったりするんだよ」

神谷は思う。『これに自分が参加するのか…』と。

神谷「俺は初めてだから、案内頼んだぞ」
那由多「いいよ、一緒に行こう」

神谷はいろんな事を教えてもらった。服などの荷物や、スケジュールなどを。那由多は帰っていき、一人になった。
夜になり、神谷はベッドの上で目をつぶった。


これは、赤眼を持つ男の過去の物語。神谷は一人だった。12歳の頃、両親が他界。神谷は遺産を受け継ぎ、一人で生活をしていた。どうやら父の遺産は多く、生活には余り困らなかった。今は17歳、アパートに住んでいる。
そして…いつも通り高校に通学する。朝の挨拶の時、担任がこんなことを言った。

担任「今日、転校生が来るぞー」
男子高校生1「えぇ!マジかよ!」
男子高校生2「女子がいいな~」

各自各々の感想を言う。神谷は興味なさそうに頬杖をつき、外を見ている。

担任「じゃあ、入ってくれー」

担任の野太い声が教室に響く。扉が開き、転校生が入ってくる。女子であったが、その姿は一言で表すなら美しい。白い肌、真っすぐ整った鼻、潤いのある唇、すっきりとしたあご、綺麗な瞳、美少女だ。髪はショートヘアーとなっている。彼女はこう言った。

転校生「皆さんこんにちは、白鳥葵です。親の仕事の都合で転校してきました。よろしくお願いします」
担任「じゃあ葵、そこの神谷の隣の机に座ってくれ」

神谷は知らなかった。彼女との出会いが人生を変えることになるなんて。

趣味が合う男女 ( No.31 )
日時: 2024/04/01 23:21
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

葵が隣に座ってくる。歩いてる姿に男子たちは見惚れていた。

葵「神谷君、よろしくね」
神谷「…あぁ、これからよろしく」
男子1「神谷いいなー」
男子2「俺と変われ~」

横からヤジが飛んでくるが神谷にとっては雑音と同じだ。そのまま授業が始まったが、ちょっとしたハプニングが起きた。葵は数学の教科書を忘れてしまった。

葵「神谷君、ごめん!数学の教科書忘れちゃったから見せてくれないかな?」
神谷「ん?あぁいいぞ」
葵「ありがと~」

男子から嫉妬の目を向けられているが、気にしない。数学が終わり、教科書は返してもらった。
授業が終わり神谷は小説を読み始めるが、葵がそれに反応して話しかけてきた。

葵「神谷君、なに読んでいるの?」
神谷「別に下の名前の悠でもいいよ…。そうだな、『一生会えない君からの手紙』だな」
葵「あ~それかぁ。私も読んでるよ」
神谷「特に主人公が手紙を読んだときは感動したな」
葵「分かる!私そこで泣いちゃったなぁ」

完全に二人の世界となっており、周りの生徒たちはポカーン( ゚д゚)とする。その後、二人の語りは続く。生徒たちも各々のしたい事をするようになった。

学校も終わり、神谷は尾川町の古本屋で小説を買いに来ていた。今度は恋愛小説2冊買いに来た。店内に入り、いい小説を見つけたが、取ろうとしたと同時に誰かの手に触れた。どうやらその人も小説を取ろうとしたらしい。

神谷「あ…すみm」

言いかけたと同時に、その人物を認識した。白鳥葵だった。

神谷「…お前だったのか?」
葵「え…悠君も?」

狙っていた小説がかぶってしまい、若干気まずくなったが、神谷はこう言った。

神谷「お前が欲しいなら譲るが…どうする」
葵「いやいや…私こそ悠君が欲しいなら」
神谷「いやいや」
葵「いやいや」

話が進まない。結局、神谷は押し切られ、葵は別の恋愛小説を取った。購入し、店を出た。

神谷「そういやお前は何でここに?」
葵「小説を買いにね。この尾川町にはどんな本が売ってあるんだろうって」
神谷「なるほどな。じゃあな、…ええと、名前で呼んでいいのか?」
葵「いいんだよ!」

葵はぐぃっと顔を近づけてこう言った。

葵「ずっとお前お前って呼んでたから、てっきり名前で呼んでくれないのかなって思ったよー!」
神谷「名前で呼んでほしいのか?」
葵「名前で呼ばれないと案外寂しいからね」
神谷「わ…分かった。おm…葵…」
葵「ありがとね、悠君」

葵はふわっと笑顔を浮かべた。その後葵と別れて、家に帰った。玄関で神谷はこうつぶやいた。

神谷「相駆らわずあの赤い眼はなんだ?」

守る ( No.32 )
日時: 2024/02/24 17:45
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

朝、神谷は学校の玄関に来ていた。神谷の上履きを取ろうとしたが、何故かなくなっていた。

神谷「…あれ?」

昨日絶対にしまったはずなのであるはずだが無い。あるのは紙だけ。その紙にはこう書かれていた。

『白鳥葵と縁を切れ。切らなければお前に不幸が訪れるだろう』
神谷「面白れぇ、上等だ」

まさかの対抗しようとした神谷。その時、後ろから突っ込みが飛んでくる。

葵「いや面白くないよ…」
神谷「おっ、葵か」
葵「大丈夫、悠君…?」
神谷「大丈夫だろ、犯人探し出してボコボコにすればいい」
葵「凄い怒ってるんじゃん…」

尚この三日後、犯人(D級)は顔面がはれ上がった状態で見つかったとさ。仕方なく職員室で上履きを借りた。借りてる最中、教師から陰口が聞こえてきた。心が広い神谷は煽りにも負けない、と思いながら歯軋りをしながら教室に行った。

神谷(あの教師、後で消してやる…)

物騒なことを思っているが気にしてはいけない。嫉妬の目線を向けられつつ、授業が終わり神谷は屋上で昼飯の弁当(米、から揚げ、卵焼き、サラダetc…)を食べようとしたが、屋上には先客がいた。

神谷(誰だ…?)

様子がおかしかったので覗くと、女子一人と男子一人がいた。男子一人は問題児で有名な愚川ぐがわで、女子は葵。神谷は様子を見ると、なにやら話していた。

愚川「なんでだよ!あんな無能より強い俺の方がいいだろ!」
葵「だから嫌なの」
愚川「はぁ!?」
葵「あなたみたいな自分より弱い人を馬鹿にする人は好きになれない」
愚川「っ!てめぇ!!馬鹿にすんじゃねえ!」

そのまま葵の手を掴もうとした愚川だが、勿論神谷がそれを許すはずもない。神谷はわざとドアを勢いよく開ける。その音に気が付いた愚川と葵が神谷に視線を飛ばす。

愚川「なっ…てめぇ、いつの間に!」
神谷「葵を襲って楽しもうとしようとしたのか?よっぽどのクズなんだな」
愚川「なめやがって!ぶっ飛ばしてやる!」

愚川は神谷に殴りかかってきたが、神谷は赤眼、愚川はC級、勝ち目はない。そのまま避けられ、逆に神谷に顔面を殴られた。

愚川「ぐへぇあぁー!!!」

断末魔を上げ吹っ飛ばされる。勿論だが殺してはいない。気絶した後、葵は質問してきた。

葵「えぇっと、神谷君は無能力者なの?だとしたら何であんなに強いの?」
神谷「そうだな、俺にもよくわからん」
葵「えぇ……」
神谷「何でそんなに強いのかは本当によくわからんこの体は。変化があるとすればだな…えぇっと、強いて言うなら時々、左眼ひだりめが赤くなることだ」
葵「左眼が…赤く…?」
神谷「あぁ、赤くなるって言っても、赤くなるだけだからな」

葵は神谷の説明を理解できていないようだ。仕方なく別の所で食事をとった。
そのまま学校は終わり、葵は家に帰った。そして湯船につかった。ふと神谷を思い出す。

葵「…なんで、なんで悠君を思うと、胸が締め付けられるの…?」

葵は神谷の事を思いながら、湯船を満喫する。

守った結果停学 ( No.33 )
日時: 2024/02/25 20:10
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

実は愚川をぶっ飛ばした日、現場を駆け付けた教師に見られて、神谷は生徒指導室に来ていた。

先生「神谷、俺は驚いたぞ。ここまでの実力があったとはな。E級じゃ勿体無い、B級の申請書を出してみないか?」
神谷「いや、指導しましょうよ…」

何故か評価される神谷。生徒指導の先生は文字通り脳筋だった。

先生「指導、か…そうだな…」

先生は少し悩んで、こういった。

先生「やりすぎだ」
神谷「やりすぎ、ですか」
先生「だが逆に言えばそれだけだな。あの状況を聞けばお前は葵を守ったんだな?」
神谷「はい、それが?」
先生「会議でもそれを評価された。だがな、殴った際、歯が折れまくった挙句、頭蓋骨が一部ひびがあったそうだ。流石に見過ごせないんだ」
神谷「…なるほど」

そこまでの重傷を負っていたとは少し申し訳ないと思う神谷。先生の話が続く。

先生「まぁ俺は助けたことは正しいことだと思う」

先生は一拍を置きこう言った。

先生「だがあそこまで傷つけるのはやりすぎだ。傷つけるのは筋肉だけだ」
神谷「は、はぁ。確か、筋肉を傷つけると逆に活性化する、的なことをした気が…」
先生「そうだ、よく覚えているな!お前も筋トレをやr」
神谷「結構です」
先生「あ…うん…」

少し残念そうにするが、神谷は疑問に言ったことを問う。

神谷「…それで、俺はどうなります?」
先生「まぁ、停学だろうな。ただ退学は無いな。実力主義と言えど、あいつのやった事は問題だしな。未遂でも犯罪だ。葵から聞くと、『襲われそうになった』って言ってた。あそこでお前がいなければあいつを退学せざるを得ない事になる。お前は同時にあいつを守ったんだ」
神谷「そうですか」
先生「まぁ二人とも停学だ」
神谷「…これ、進路に影響します?」

神谷は今高二で、一年後には進路を考えなければいけない時期だ。

先生「そうだが…お前いまだに進路考えていないのか?」
神谷「それは…」
先生「まあいい、早めに決めた方がいいぞ。まぁ、生徒指導の俺が言うのもあれだが、お前のした事は正しいと思う。それは誇れ」
神谷「…将来には黒歴史になってそうですけどね」
先生「まぁ今日はこれでおしまいだ。今日は自習しろ」

そんなこんなで、神谷は自習をすること(するとは言っていない)になった。その帰り、神谷は校門に向かうと、葵がいた。

葵「待ってたよ」
神谷「律儀な奴だな。帰ってもよかったのに」
葵「あのさ…」

葵は申し訳なさそうにこう言った。

葵「ごめんね!」
神谷「?どうして?」
葵「だって、私のせいで悠君が…」
神谷「別にいいよ…そもそも、あいつが事の発端だし…」
葵「でも…」
神谷「事の発端があいつでも、俺がやった事だ。しっかり責任を取る。それに、俺がいなかったら葵は襲われていた。葵が無事な事にほっとしている」
葵「そっか…それならいいけど…」
神谷「そういうわけで、俺は用事があるから先に帰るぞ」
葵「えっ、あっ、さようなら」
神谷「ああ、さようなら」

そう言って神谷は走り去っていった。そして、葵が湯船につかっている時間に戻る。

テロリストとの出会い ( No.34 )
日時: 2024/03/02 16:08
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

神谷「…暇だな…」

次の日停学になった神谷は本を読んでいたが、それも読み終わり、やることが無くなった。

神谷「…そういえば、最近映画を見ていなかったな」

映画を見に行こうと思った神谷は、駄目だが見に行った。映画自体は面白かった。
映画のストーリーがある程度落ち着いてきたころ、突然前の席から声をかけられてきた。その男は学ランでリーゼント。いかにもヤンキーのような姿だった。

?「…あんたも停学か?」
神谷「…そうだが、あんたは?」
?「俺は大田垣カイロだ。俺は学校で馬鹿した結果、停学になったヤンキーだ!」
神谷「大声出すな…」

そして映画が終わったが、何故か神谷とカイロは近くの飲食店に来ていた。

カイロ「代金は気にすんな、好きなもん頼めよ」
神谷「お、おう…で、なんでこんなところに来たんだ?」
カイロ「お前の事が聞きたいからだよ。お前、無能力者だろ」
神谷「…!そうだが、それが?」

無能力者の事に気づいた事に驚くが、話は続く。

カイロ「俺は気配に敏感で、無能力者って気づいたんだよ。あんたは強いのに無能力者なのが気になったんだ」
神谷「あいにく、俺はそんなに強いわけじゃない」
カイロ「またまた~わかってるんだぞ~」

神谷はうざいと思いつつ、注文したコーヒーがやってきた。カイロには無茶苦茶でかいパフェがやってきた。

神谷「へえ…意外と甘党なんだな」
カイロ「甘いものは俺にとってガソリンさ」
神谷「なんだその例え…で、目的はそれだけか?」
カイロ「と、言うと?」
神谷「そんな事の為に俺をここに誘ったわけじゃないんだろ?」

神谷はそう答えると、カイロは不適な笑みを浮かべる。

カイロ「そうだ…俺たちはロンギヌス。今、俺たちは人材が欲しい」
神谷「…見かけによらず、随分とテロリストなんだな」

ロンギヌスは、日本に存在するテロリストだ。度々テロを起こし、警察や日本軍が対応をするが拠点が一切見つからないため、国民、特に都市部にすむ人々は怯えている。

神谷「悪いが、俺はテロ組織なんかになりたくない。この話は終わりにさせてもらう」
カイロ「いいのか?革命が成功すれば、お前には今と比べ物にならない富が手に入る。後悔するぞ?」
神谷「関係ない。もういいか?」
カイロ「待てよ…ほら、名刺だ。入りたかったら、名刺に書いてある連絡先を見な」

こうして、カイロは代金を払い、店の外へと出て行った。そのうち、神谷も店の外に出た。

神谷「…なんだったんだ?あいつ…」

と、言葉を零したのだった。

ロンギヌスのテロ ( No.35 )
日時: 2024/03/06 15:28
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

停学になって一週間、まだ停学でやる事がない神谷はブラブラとショッピングモール『ニオン』へとやってきた。勿論小説を買いにだ。

神谷「迷うな…これもいいし、これもいい…」

何を買うか迷っていた頃、彼らも行動を開始していた。

警備員「はーい、止まって止まって」

ニオンの地下搬入口に十台近いトラックがやってきて、直ぐに警備員が止め、運転手に事情を聞き始めた。

警備員「なんだこの車列は?商品の搬入なんて、こっちは聞いてないぞ」
運転手「我々は建設会社の者だ。ニオンが建てられた5年前後の建物で、立て続けに問題が見つかっていてな。その確認と、念の為に補修用のパーツとか交換用のパーツを持って来させて貰った」
警備員「じゃあ何で事前通告がないんだ?」
運転手「昨日いきなり言われて、連絡する暇が無かったんだ」

警備員は怪しいなと思っていたが、最近のニュースでも「建物の老朽化が」というのを言っていたので通すことにした。だがそれは、間違いだった。
彼らの正体は建設会社の社員なんかでは無い。彼らはテロリスト『ロンギヌス』の構成員である。
今回の作戦は簡単だ。地下の制御室と変電設備を制圧し、電気を遮断し電子機器をダウンさせ、取れる限りの人質を確保。その後は能力でニオンを要塞にする。

建物の中へ続くドアの前で、警備員から入館証の提示を求められる。精巧に作った偽物の入館証を見せ、中へと入っていくテロリスト達。ここでも事情を話して、中に入れてもらった。
しかし、そんなことを知る由のない神谷はまだ迷っていた。

構成員「始めるぞ」

構成員達は構える。

構成員「GO」

警備員たちは対応をしようとしたが、直ぐに殺され制御室は制圧される。続いて変電室も制圧され、構成員達は銃を持ち、その姿を公衆の前に晒した。

構成員「動くんじゃねぇ!!!殺すぞ!!!」
構成員「騒ぐな、大人しくしろ!」

テロリストたちは銃を乱射し黙らせる。勿論能力者たちも戦おうとしたが、戦えなかった。

一般人「…は?なんで能力が発動しな」

数人を撃ち殺し、更にはさらに客に変装して紛れ込んでいた他のテロリスト達も、客を誘導し一か所に集める。その中には勿論神谷もいた。

神谷(…さて、これからどうしようか…)

今後の動きを考えていると、聞きなれない音が外から聞こえてきた。日本の警察がやってきたのだ。奇跡的にニオンから出た一人が通報したのだ。警察は直ちに投降を求めた。

警官「あー、あー、君たちに告ぐ、直ちに降伏しなs」

その時、一人の警官が狙撃銃によって腹が貫かれ、殉職した。他の警官たちは直ぐにパトカーの後ろに隠れる。
が、窓に設置された機関銃が、パトカーを貫き、パトカーが爆発し、殉職者を増大にする。

警官「こ、こちら佐藤巡査、相手は武装している!至急増援を!!」

が、佐藤巡査も狙撃銃によってこの世を去った。

本部『おいどうした、佐藤巡査!』

いつもは大人から子供まで、多くの人間が行き来するニオンが、一瞬で戦場と化した。近くにいた市民は逃げ出していたが、後から来た市民が周囲を彷徨い、一般人の避難誘導すら出来ておらず、警官が20人近く一気に殉職し、制御不能になったパトカーがニオンに突っ込み、大惨事となった。
警官たちは能力や拳銃で各々対抗したが、窓から機関銃の弾幕や狙撃銃の攻撃、能力者たちの攻撃で圧倒的不利になった。

最強の見守りと無能の反撃 ( No.36 )
日時: 2024/03/09 11:52
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

この惨状を音で聞いた神谷は直ぐに動き出そうとしたとき、隣から聞き覚えのある声が聞こえた。

葵「…悠君、なんでこんなところに?」
神谷「あのなぁ…こっちのセリフだよ」
葵「いやいやいや!停学中に遊び目的で外出る普通!?」
神谷「うるせぇ!暇なんだよ停学!やってられるか!!」
構成員「うるさいぞ!静かにしろ!」

構成員に怒鳴られて流石に黙る二人。今度は小声で話しかける。

葵「…どうするの?殺されないよね?」
神谷「今殺されないってことは、まだ人質の価値があるだろうな。あと数時間くらいは持つはずだ」
葵「そっか、そのころには警察の人や特殊部隊的な人たちが助けてくれるよね」
神谷「いや、そうでもないぞ。外の音を聞く感じ、かなり苦戦している。というか死者が出ている。それに、能力が発動しない。まぁテロリストのせいだろうけどな。要するに今ニオンは要塞と化している」
葵「私の耳だと外の音は爆発音ぐらいだよ。なんで分かるの…」
神谷「…」

自分の身体能力を疑われて思わず押し黙ってしまった。


そのころ、イギリス連邦、ロンドンでは、この惨状をテレビの中継で見ている者がいた。その洋風の部屋には、長袖のワンピースを着ている17歳の少女と、執事らしき54歳男がいた。

執事「日本は大変ですね、こんなテロリストの対応をしなければいけいないなんて」
少女「そうねタキオン…”我が”イギリスで起きてないだけでも幸運ね」

彼女はイギリス王室王女アグネス。彼女は最強だった。

アグネス「…あっ」
タキオン「どうしました?殿下」
アグネス「紅茶が無くなったわ、それにクッキーも。持って来てちょうだい」
タキオン「承知しました、殿下」

そういって紅茶とクッキーを持ってこようとタキオンは退出する。アグネスはこうつぶやいた。

アグネス「そういえば…あの”日本人”は、今何をしてるのかしら…」

その日本人の事を思いながら、アグネスは中継を見守る。


警官とロンギヌスの戦闘から一時間後、いい加減神谷はイライラしていた。縄で両手を縛られ、動けない状況ではイライラしてしまう。

神谷「葵、少しじっとしてくれ」
葵「…え?どういう事?」
神谷「俺はこいつらに、俺を敵に回すとはどう言うことか。敵に回した奴はどの様な末路を辿るのか。それをその身に刻んでくる」

神谷は歩き出す。少し歩いた後、構成員の前に立った。

構成員「お前、何をうg」

構成員に手刀を喰らわせる。一瞬で崩れた。

構成員「き、貴様!!」

構成員達は銃を抜こうとしたが、瞬時に神谷は手刀を喰らわせた上、銃も握りつぶされた。
一般人は混乱するが、直ぐに神谷は構成員の気配がいる場所に地を蹴り急行する。

神谷は気配のある場所に急行する。曲がり角を曲がろうとしたが、

ガガガガガガガガガ!!!

という音と共に弾幕が神谷を襲う。神谷は咄嗟に後ろにジャンプした。

構成員「出てくるなら出て来いよぉ!ははは!!」

が、機関銃のリロードが始まった瞬間、バキッっという音と共に構成員は気絶する。更に進むと構成員が男性の人質を取った。

構成員「動くな!動いたr」

が、神谷は地を蹴り男性を救出し、そのまま倒した。男性はお礼を言った後、走り去っていった。
構成員達を倒していくと、制御室にたどり着いた。そこには、ボスらしき男がいたボスは驚きつつも、余裕の笑みを浮かべる。

ボス「能力は使えないぞ!俺の能力でニオン一帯は能力が使えないテリトリーとなった!」

が、ただでさえ無能力者の神谷に通用するはずもなく、そのまま腹を殴られ倒された。
その後攻撃が来なくなり特殊部隊が突入し、騒動は終結を迎えた。

『それ』の疑問 ( No.37 )
日時: 2024/03/23 16:28
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

テロが終わり、神谷たちは救出され(神谷は特殊部隊が来る直前に捕まっていた場所に戻っていた)、事情徴収を受けたのち、各自各々帰っていった。神谷が事情徴収が終わったのは午後9時。夜ご飯は何も食べていないため、ラーメン屋に食べに行った。神谷は醤油ラーメンを食べている時だった。

神谷「…で、何でお前がここに居るんだよ」
カイロ「いいじゃねぇか。あ、大将!ニンニクとチャーシューましまし醤油ラーメン!」

テロを起こしたくせに何食わぬ顔でカイロはラーメンを頼んでいた。

カイロ「で、ロンギヌスに入るか?」
神谷「入るわけねぇだろ、頭湧いてんのか」
カイロ「別に湧いていないさ。あと、今回のテロはお前の実力を確かめるためだ」

まさかの爆弾発言に、どう返せばいいのか神谷は困ってしまう。

カイロ「ま、いいさ。いつでも待っているぜ」
神谷「そのまま逝ってくれ」
大将「おい兄ちゃんたち、物騒な話は別でやってくれ」

顔が怖い巨漢の大将からラーメンをカイロは受け取り、神谷とカイロは黙々とラーメンを食べ続ける事10分、神谷の方が食べ終わり、代金を払い店から出て行った。

カイロ「またな~」

「おう」と返し、ガラガラガラと扉を開け、神谷は家に帰っていった。昼間と違い夜は寒く、星は輝いていた。


…それから数か月後、神谷の停学も終わり、学校生活は過ぎていった。
ある日の事だった。神谷と葵は小説の事を話していた。

葵「…ねぇ悠君」
神谷「?どした?」

突然真面目な顔をされ、神谷は疑問に感じた。葵は制服のスカートのポケットからスマホを取り出した。スマホを操作し、それを神谷に見せる。

神谷「…これは?」

見せられたものに、神谷は疑問を感じざるを得なかった。


こんにちは!monmonです!今後、投稿頻度が下がるかもしれません(上がるかもしれませんが…)。後、投稿できず、申し開けありません!『赤眼の過去編』も、折り返し地点まで来ました。今後もよろしくお願いします!!

初めて女友達と遊ぶ ( No.38 )
日時: 2024/03/25 16:46
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

神谷「…これは?」

見せられたものに、神谷は疑問を感じざるを得なかった。スマホに映っていたものは、”USJ”の公式ホームページだ。

葵「ふっふっふっ、私の家って私、お母さん、お父さんの三人だけどさ、前の夏休みの時にさ、チケットを間違って5枚買っちゃったんだよね。2枚残っているから、悠君行こうよ!」
神谷「いや、次家族と行くときに残せばいいじゃねぇのか?」
葵「うっ…それは…」

少し痛いところを神谷に指摘され、たじろいでしまう。

葵「でも!まだ日付変更できるし、行こうよ!」
神谷「…分かった。いつだ?俺的にはいつでもいい」
葵「ありがと~じゃあ次の連休の日曜日に!」

連休は土日月。日曜日にUSJに行く事になった。


カイロ「…なるほどな」

という神谷と葵と会話を”能力”でカイロは聞いていた。カイロは周りにいる部下にこう言った。

カイロ「USJにいるであろう神谷悠と白鳥葵を”襲撃”する」
部下「質問です。誰が襲撃するんですか?」

部下の質問にカイロは答える。

カイロ「俺がいく」

ザワザワザワザワザワザワ

部下たちが騒ぎ始める。無理もないだろう、ロンギヌス”ボス”が直々に手を下すことに驚いていた。

カイロ「その後は…そうだな、冬月那由多を殺る」

ザワザワザワザワザワザワザワザワ

更に部下たちが騒ぐ。つい最近列強入りした那由多を殺害するつもりに驚いていた。

カイロ「…と、いう事だ。暫くは”行動”するな。いいな?」

部下たちは、賛同するしかなかった。


…そして、時が流れ、ついにその日がやってきた。神谷は駅で待っていた。すると、葵が走ってやってきた。

葵「はぁ…はぁ…はぁ…ごめんね、遅れちゃった」
神谷「大丈夫か?」
葵「うん…大丈夫…いこ…」
神谷「お…おう…」

…こうして、神谷と葵はUSJに遊びに行く事となる。

初めて女友達と遊ぶ2 ( No.39 )
日時: 2024/03/26 12:12
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

日本ではあまり見かけない木、クルクル回るUNIVERSALの文字がついている地球儀、そして大きな門。ここはUSJのエントランスだ。葵は楽しみで仕方ない。

葵「早く開園時間にならないかな~!」
神谷「そんなに楽しみか?」
葵「楽しみだよ!何度来ても飽きないからね!」

程なくして開園時間は来た!大勢の人々が園内になだれ込むように入っていく。

葵「まずUSJですることは…」
神谷「する事?」
葵「コインロッカーの確保!」

お土産を買いたい気持ちはある。だがコインロッカーを持っておけば上着を入れられるなどいろいろ楽だ。「後で確保しておけばいい」と言うのは、痛い目を見る。確保できても小さいのしか取れないためである。
二人はコインロッカーを確保し、トイレに行った後に再結集する。

葵「まずは宇宙のあれいこ!」
神谷「USJって行ったこと無いから分からねえよ…」

宇宙のあれとはスペース・ファンタジー・ザ・ライドの事である。詳しくは言わないがライド系アトラクションの事だ。

神谷「イィィィィィヤッホォォォォォォ!!!!!」
葵「キャァァァァァァァ!!!!!」

一応言っておくと葵は楽しんでいる。二人ともこの後はハリウッド・ドリーム・ザ・ライドに乗り、楽しんだ後はニューヨークエリアに来た。

神谷「すげえ。まるで昔のニューヨークみたいだ」
葵「なんだか外国に来たみたいだよね」

ニューヨークエリアは1930年代のニューヨークをモチーフにしたエリアである。二人は写真を撮りまくった後は〇ニオンパークに来ていた。そこではミ〇オン・ハチャメチャ・ライドに乗った。

葵「ミニ〇ンだ!可愛い~~!」
神谷「どうなってんだこれ!」

神谷は終始混乱していたが楽しかった。もう12時なのでレストランがたくさんあるサンフランシスコエリアのハピネス・カフェに来ていた。

神谷「んだこれうめえ!!」
葵「ほんと、ここはおいしいよねえ~」

一応言っておくと神谷はマナーが悪いわけじゃない。初めて食べるものに感動しているだけである。因みに神谷はバーガーを、葵はワッフルを食べている。
食べ終わり、ジュラシックエリアに来ていた。そこではザ・フライング・ダイナソーに乗っている。

神谷「あ”ぁ“ア“ア“ア“ア“!!!!!回転す”る”う”う”う”う”う”!!!!!重力す”げ”え”え”え”え”え”え”え”!!!!!!」

楽しんではいるが、初めての感覚に困惑する神谷と慣れてるのか楽しんでいる葵。
次はウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー〇ッターに来ていた。ハリー・〇ッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニーで遊んでいる。

神谷「まじでどうなってんだ!?」

もの凄い躍動感がある映像に興奮しっぱなしな神谷。
次はメインディッシュのスーパー・〇ンテンドー・ワールドだ。神谷も葵も、もの凄く楽しみだった。某バンドやアプリはしていないが、マ〇オ〇ート ~〇ッパの挑戦状~を遊んでいた。

神谷「すげぇ!!回る!」
葵「あ!外した!」

二人とも楽しみ、この後も様々なアトラクションを回ったら、気づけば7時とすっかり暗くなっていた。神谷と葵は休むためにラグーン・湖のほとりのベンチで座っていた。周りには人がいない、完全に二人だけだった。

葵「…悠君、ちょっと立ってくれるかな?」
神谷「?おう」

神谷と葵は立つ。そして…。

告白…? ( No.40 )
日時: 2024/03/26 16:35
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

葵「…ずっと好きなの」

葵は、顔を赤面しながらそういった。神谷は一瞬、葵が言った事を理解できなかった。が、直ぐに理解していく。

神谷「…ちょっと待ってほしい」
葵「やだ」
神谷「俺に拒否権は無いのか」
  (なんで俺に?俺は無能力者だぞ)

少し考えて、理由を聞く。

神谷「…なんで俺を?」
葵「えっ…ええと…」

葵はもじもじとする。

葵「だって…小説の話をすると楽しいし、一緒にいてて楽しいから」
神谷「…一応言うが俺は無能力者だ。仮に俺と付き合った所で、周りからはあんまりいい目で見られないかもしれないぞ?」
葵「それでも!」

葵は自分の気持ちを神谷にぶつける。

葵「…それでも…だよ…私は悠君と一緒に居たい!」
神谷「…葵…」
葵「私じゃ…駄目かな…」

その質問に、神谷は答える。

神谷「…俺は」

パァァァァァン!!!

乾いた音が、遊園地であらざる音が、そこに響いた。気づけば葵は頭から血を流しながら倒れていた。その顔は生気が全く感じられない。
おかしい…こんなこと…。突然の事に神谷は呆気にとられる。ゆっくり銃声が聞こえた方向に首を動かせば、煙を銃口から出すマカロフPMを持つカイロがいた。

神谷「…お前…何で…」
カイロ「いやぁ、告白タイムの時にごめんな?けどお前を始末しないといけなくなったんだよ」
神谷「…!てめぇ!!」

神谷の怒号がその場に響く。

神谷「俺を始末するなら…俺一人で十分だろ!?何で…何で!!!」
カイロ「彼女は理想の能力を持っている。『自分の理想を現実にする能力』だ。俺の能力で見たところ、将来ロンギヌスと敵対する未来が見えた。だがさっき言ったところ、彼女が敵になれば確実に負ける。だから殺したんだ」
神谷「…まじか…」

葵がそれほどの能力を持っているとは思ってもみかった。その能力に絶句する。

カイロ「俺の能力を教えてやろう。『殺した相手の能力を奪う能力』だ。俺は彼女を殺した。それが意味すること…。分かるか?」
神谷「!?まさか!」
カイロ「俺は今、『自分の理想を現実にする能力』を手に入れた!!文字通り俺は世界最強となったんだ!!俺は今、機嫌がいい。手始めに、お前を殺そう」
神谷「…くそ…」

神谷はこうして、絶望的な戦いを強いられることになった…。

理想の力 ( No.41 )
日時: 2024/03/27 11:55
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

カイロ「けどUSJを壊すのもなぁ…」

そういった瞬間、突如八幡屋公園にワープした。周りは人がいない。完全な二人の状態。

神谷「ちっ…随分と余裕だな」
カイロ「そりゃあ、最強だからな。さあ、始めよう」

パンパンパンパンパン!

5回、マカロフPMの乾いた音が鳴る。神谷は銃弾を最小限の動きで避け、地面がえぐれる程の踏み込んだ、とんでもない速度でカイロに近づき殴ろうとした。が、なんと”人差し指のみ”で受け止められてしまった。

神谷「!?」
カイロ「お前、空飛んだことあるか?」

人差し指を上にあげた瞬間、神谷も同時に空中に投げ出されてしまう。高度は地上から400メートルほどだ。

神谷「~~!?」
カイロ「おらよ!」

カイロはジャンプで神谷のいる位置に到達し、指を組んだ両手をハンマーのように神谷の背中に振り下ろす!余りの強さに神谷は多目的広場に向かって落ちてゆく。

神谷「ぐっ!?」

上手く着地が出来ず胸から地にぶつかってしまう。体のつくりが丈夫だから生きているが肋骨が2~3本粉砕した。そして血を吐いてしまう。広場は落ちた衝撃でコンクリートがバキバキに割れてしまう。
何とか立つと空から拳大程の石が次々と、数千数万と恐ろしい量で降ってくる。その一つ一つが、人体を容易く破壊できる威力だった。

神谷「…くそ…面倒だ…」

神谷は拳で石をある程度迎撃できているが、数が多すぎて大部分が対処しきれない。顔や頭、肩に背中など、常人なら死んでしまう程喰らってしまう。
降ってこなくなったが、体のいたるところから出血する。血の生臭い鉄の臭いが不快感に感じる。

神谷(くそ…!この一瞬で一気に劣勢だ…!)
カイロ「まだまだだぞー」

高度を下げたカイロがその言葉を言った瞬間、神谷とその周りがとてつもない重力に襲われる。

ドン!!!!

あまりの重力に地面がえぐれ、神谷も立てなくなる。思わず地面にはいくつばってしまう。

神谷「…か…あ……」
カイロ「どうだ?20Gを与えているんだ。しゃべれないだろ。肺が潰れたから呼吸困難で息できないだろ。お前の身体の状態なんてまるわかりだからな。まぁ…」

カイロは、動かなくなった神谷を見て、こう言った。

カイロ「もう…死んでるから聞こえないか」

神谷は…神谷悠は、死亡した。

自分の答え ( No.42 )
日時: 2024/03/27 16:30
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

深く沈んだ神谷の意識。闇のように暗く、まるで宇宙のように際限無く広い。何も無い、光すら通らない夜の様な異空間。そこに1人で立っていた。

神谷「……何処だここ。いわゆる死後の世界ってやつか?」

神谷はここが何なのか分からなかった。だが歩いた。意味もなく歩き続けていた。
そして…神谷はなんとなく止まると、一つの画面が浮かんでいた。

神谷「…走馬灯か?」

葵と話していたり、両親が死ぬところ、アパートの大家の老夫婦に初めて会うところ、両親の葬儀のシーン、愚川を殴るところ、それらの記憶が一つ一つアニメーションとなって流されていく。
そして、見覚えのない記憶もあった。見覚えのある日本人とピザを食べ、外人と戦ったり、教祖らしきおっさんを気絶させるシーン。

神谷「…なんだこれ。こんなの記憶にないぞ」

一通り見終わったあと、最後に出てきた1枚の映像。雑音と掠れた画質ではまともな判断ができないが、後ろ姿で着物を着た黒髪で長髪の女性が映っていた。振り向いたら可愛らしい笑顔。…その両目は赤かった。
心当たりがない。いつの話かも分からない。

神谷(まぁ、いいか)

…この暗闇にどれだけ長く居ようと、神谷が死んだことには間違いはない。
どれだけたったか分からない。突然、辺りは明るくなる。空は薄く赤みがかって、陸地には彼岸花の花畑と、馬鹿でかい川があった。が、問題はそこじゃない。なんと明るくなった瞬間、神谷は空中に投げ出され、川に落ちる。でかい水しぶきと音が鳴る。

神谷(三途の川か!!)

理解した瞬間、神谷は三途の川に落ちた。とてつもない引ていく。苦しい。やがて川底が見えてきた。

神谷(これは……!)

川底に、何か”赤く光る何か”があった。神谷はなんとなくだったが、それが”自分の答え”のような感じがした。

神谷「邪魔するな」

突然引力は消え、神谷は泳ぎながらそれに近づく。右手でそれに触れた瞬間、神谷は”自分の答え”にたどり着いた。


眼が覚めると、白い天井が目に入った。体には、掛布団がかけられていた。頭や体には包帯がまかれ、左腕には点滴が刺さっていた。辺りを見渡すと、ここが病室という事が分かる。

看護師「あっ…」

そう呟き看護師が走り去っていく。数分すると、医師らしき白髪の60代の渋い顔の男と30前半らしき看護師がやってきた。

看護師「気づかれましたか?」
医師「私は医者です。緊急搬送された貴方を治療しました。現在の容態だと、命に別状は無いでしょう。全力で治療に当たらせていただきます」
神谷「…そうか」

包帯が巻かれているが、全身が痛む。痛覚神経は自分が大けがを負った事を訴えてくる。医師の横にはスーツ姿の男が二人見ている。

男1「私たちは大阪警察の者です。少し事情徴収いいですか?」
神谷「…分かった」

そうして神谷は昨日の事を話す。


男2「そうでっか。話してくれておおきに」
男1「では私たちはこれで」

少し時間がたった後、警官たちは去っていった。

最強と赤眼 ( No.43 )
日時: 2024/04/01 23:24
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

今日は少し長いです。


僅か1日で全快し、医者からも「あなた人間ですか?」と突っ込まれる。身元保証人はあの筋肉先生がやってくれた。神谷はそれを知ったときは感謝した。すぐに神谷は退院できたわけだが、医者から神谷にある手紙が届けられた。

『神谷悠。生きてるんだってな。驚いたよ、死んだかと思ったのにな。
 今度こそ殺す。指定された場所にこい。
 場所は……………………だ日付は…月…日だ。』
神谷「…ご丁寧に招待状を出してやがる。嫌だなぁ…正直行きたくねぇ…」

ふと神谷の脳裏には葵の姿が浮かび上がる。

神谷「…いや、行くか」

こうして神谷は行く事を決意する。


那由多「…くそっ!」

温厚な那由多は珍しく、自室の中で激しく怒っていた。理由は一つ。厘がドミナターに拉致されたのだ。

那由多「学校は我慢しろって言っていたけど、こんなの…!」

学校は『ドミナターを敵に回すとどうなるか分からないし、ドミナターも厘は丁寧に扱うと言っているから。な?』と言っていた。学校は厘など正直どうでもよく、自らの保身を優先していた。

那由多「…どうすれば…」

那由多は、この事態に苦悩するのだった。


神谷「部下は呼ばなかったのか?」
カイロ「何でたかがお前ごときにつれてかないといけないんだ?」

…その日、招待状の通りに神谷は来ていた。場所は人気のない山だった。木など数本しか生えておらず、草そこらに生え、岩石まみれの場所だった。空は快晴、時間も昼。だが少し寒い。

カイロ「…じゃ、始めようか」

その瞬間、神谷の周りにたくさんの宙に浮いた銃火気が、神谷を囲むように銃口を向けていた。
M16、カラシニコフ、89式小銃などの小火器、ブローニングM2、Kord、.50"/62ヴィッカース、DShK38、XM806、などの機関銃、RPG-7、RPG-2、パンツァーファウスト、PIATなどの対戦車兵器など、そのほかの様々な銃が、対戦車兵器が、様々な時代の兵器が、神谷を狙っていた。

カイロ「発射」

冷たい言葉が口から出た瞬間、対戦車兵器が神谷めがけて発射された。ロケットの噴出音がやけにうるさい。着弾し、その瞬間火器が発砲を開始、音楽のように乾いた音が鳴る。

が、神谷はカイロの後ろに回り、頭にめがけて蹴りを仕掛ける。カイロも気づき蹴りで受け止める。

カイロ「何か強くなったんじゃない?回復して、戦闘民族みたいに強くなったのか」
神谷「ちげえよヤンキー」

呑気な会話をしながらも攻防は続く。神谷は足払いを掛けられて避けきれずに転んだ。

カイロ「おらよ!」

カイロはその隙を見逃さず蹴りを入れる。神谷は数十メートル吹っ飛ぶが着地に成功する。

カイロ「あれ?まだ死なねえの?」

地を蹴り瞬時にカイロに近づく。カイロに殴ろうとしたが突如として減速する。そのまま跳ね返されてしまった。

カイロ「驚いたか?空気を丁度よく弾力があるようにした。だから効かないんだよ」
神谷「……」

カイロが説明しても神谷から応答がない。カイロは不審に思った。

神谷「ははは!!ははははは!!ははははっははあっははははっはははは!!!」
カイロ「…?何笑って」

神谷が突然笑い出し思わず一歩後ずさる。様子がおかしい神谷に警戒し始めた。

神谷「なぁカイロ。お前は生物として格が上がったら、どう思う?嬉しいだろうな。気持ちがいいだろうな」
カイロ「?何を言ってんだ?」
神谷「お前が理想を現実にする能力を手に入れたとき、そんな気持ちだったんだろうなぁ。俺も、ようやく理解したよ。なんでも出来るって感じる……生物としての格が上がった様なこの気持ちっ!」

その黒い左目は…赤く染まっていく。

神谷「第二ラウンドだ!お互い本気でやろう!」
カイロ「ああいいぜ!俺がお前の本気とやらをねじ伏せてやるよ!!」

…もはやこれはただの能力者同士の戦いじゃない。最強の能力者と赤眼の戦いだ。

夢への決意 ( No.44 )
日時: 2024/04/05 16:24
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

はなから結果は明らかだった。圧倒的な戦闘力の前にカイロはなすすべがなかった。能力を使っても、赤眼はそれを許さなかった。

カイロ「おらよ!」
神谷「効かねえよ!」

純粋な殴り合い。だがカイロの傷はどんどん増えていき…最後は仰向けになって倒れた。
神谷はカイロを蔑むような、悲しいような、複雑な顔をしていた。

カイロ「…じゃ、俺負けたんだ。やりたきゃ殺れ」
神谷「…そうだな、お前は負けた」

神谷はボロボロになった、カイロにとどめをさそうと”した”。突如神谷の前に女が現れた。女はすぐ、カイロを守るかのように神谷の前に立った。

神谷「…?誰だ?後どけ、見世物じゃないんだ」
女「……やだ」

女は小さく呟いた。

神谷「もう一度言う。どけ」
女「…やだ!」

女は様々な感情を含んだ声で神谷に訴える。神谷は驚いた。

女「カイちゃんを殺さないで!殺すなら私を殺してからにして!」
神谷「…おいカイロ。これはどういう事だ」
カイロ「…」

カイロは倒れながらも不適に笑う。

カイロ「俺の彼女だ」
神谷「…まじか」

神谷はカイロに彼女がいたのかと驚いた。

カイロ「…桃には手を出すな」
神谷「桃…こいつの事か」
カイロ「ああそうだ。俺が勝手にやった事だ。こいつは関係ないはずだ」

カイロが言い終えた瞬間、桃は泣きながら懇願してきた。

桃「お願いします!!カイちゃんだけは!カイちゃんだけは…」
神谷「……はぁ…」

神谷はため息をつく。神谷は自分の結論を言った。

神谷「…今すぐ警察に自首しろ。俺の事は言うな。後は知らん、好きにしろ」
カイロ「おいおい…罰が軽すぎないか?」
神谷「あいにく、俺はカップルを殺す主義じゃないんだ」
カイロ「…そうか。お前ってやつはすげぇ」

桃が神谷に何かを言おうとした瞬間、神谷はすぐにどこかに行った。


…それから、カイロ含むロンギヌスは警察に出頭。この出来事は社会を驚愕させた。言ったとおり、神谷の名前は出てこなかった。数か月後、暖かく、出会いと別れの季節になった。神谷は、とある女性の墓を訪れていた。周りは桜の木が、優しくつぼみを花開いていた。

神谷「…久しぶりだな。お前の両親の言う通り、ここに来てみた。カイロが死なず自首した事は、お前がどう思っているかは分からない。だがあいつは曲がりなりにも、この世界を良くしようとした。それだけは覚えといてほしい。最後に…」

恥ずかしくなりつつも、こう言った。

神谷「最後に…あの時の答え、答えられずにごめんな。そして、今だからこそ、あの質問に答える。
   …俺もだ。大好きだよ、葵」


朝になり、神谷はベッドの上で目を覚ました。

神谷「くそっ…んだよこの夢、目覚め悪りぃ」

時刻は午前7時。鳥のさえずりが聞こえてきた。

神谷「…準備するか」

神谷は来る列強会議に、備えるのであった。


皆さんこんにちは、monmonです。お…終わった…。2月23日から始まった過去編、長かったような短いような…。
今後の展開としては、『揺らぐ列強編』か、『黄金の都編』のどちらかを先にします。
揺らぐ列強編は、列強会議を書きます。黄金の都編は、文字通り黄金と化した町での出来事を書きます。
どちらもやるつもりなので、楽しみにしてください。