ダーク・ファンタジー小説

ドミナター ( No.4 )
日時: 2023/12/31 21:42
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

二日後の朝、世界の光教についてのニュースがテレビに流れていた。内容は、勿論昨日の事についてだった。

神谷「やっぱり…社会問題になりつつあったこの宗教は、テレビに出たか」

そう呟きながら、神谷は優雅にブラックコーヒーをすする。この日は休みなので、こうしてブラックコーヒーを飲んでいるわけだ。

神谷「…そういえば…」

神谷は昨日の教祖が言っていたことを思い出す。

教祖『こっこんなことをして、列強が黙ってないぞ!!』

神谷(何であいつから列強が出てきた?まさか列強の誰かがあいつと繋がっていたのか?……まさかな…)

神谷はこの時知る由もなかった。この事件をきっかけに、とんでもない展開になっていくことになる事に。


二日後、依頼を終え、依頼金を依頼主から貰った後、神谷がゆっくりしていた時だった。突然、事務所にサングラスを付けているスーツ姿の男が二人入ってきたのである。

神谷「どんな依頼ですか?何でもやりますよ」

いつものセリフを言ったが、男たちの目的は依頼じゃなかった。

男1「私たちは”ドミナター ”だ。貴方には、日本支部に来てもらおう」

そう言ってきた。ドミナターはフランスのマフィア組織であり、世界最大規模である。この組織は、薬物や殺人、売春や密輸など、ありとあらゆる犯罪に手を染めている。本来なら、現実の暴対法のような法律で規制されるのだが、この世界は実力主義である。つまり、ドミナターのボスは相当の実力を持っている。

神谷「…?」
男2「お前は我々と繋がっていた世界の光教を壊滅させた疑いがある。その話を聞くため、ついてきてもらおう」

ドミナターは、神谷が世界の光教を壊滅させたのを感づいていたのだ。

神谷「それは…無理ですね。それに、俺は壊滅なんかさせていませんよ」

そう言うと、男たちは「そうか」と、言ってあっさり帰っていった。この行動に神谷は疑問に感じたが、依頼主が依頼にきて、夜まで依頼をこなした。


神谷「…疲れたな……」

神谷は依頼を終えた後、深夜に一人で事務所に戻ってきたのである。今は薄暗い道を歩いている。
その時、声をかけられた。

?「待て」

神谷は振り返ると、ナイフを持ったいかつい男が二人いた。

神谷(アサシンか…)

その瞬間、二人の男はナイフを突き立てて神谷の懐に飛んできた。が、神谷は瞬時に避ける。

アサシン1・2「なっ…!」
神谷「成ってないな。俺がそれの使い方を教えてやるよ」

神谷は”無能力者なのに ”持ってないはずのナイフを握っていた。二人のアサシンは、それに驚愕する。
そして…その片目は”赤かった ”。

アサシン1「くそっ!調子の」

神谷は瞬時に近づいて、一人の首を切り、その男は血を流しながら倒れた。
もう一人は…神谷に恐怖を感じたのかは分からないが、即座に逃げ伏せる。

神谷「なに逃げてんだ。戦いで逃げるのは…死ぬぞ??」
アサシン2「ぎゃっ!」

ナイフをもう一人の頭に投げ、戦いは終わった。

神谷「はあ…面倒な事にならないといいな……」

そんな神谷の願いを踏みにじるように、事態は進んでいく。

列強第二位 ( No.5 )
日時: 2024/01/01 12:35
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

アサシンを返り討ちにした神谷は何事もなかったように薄暗い道を抜け、今は繁華街に来ていた。この先に事務所があるのである。老鶯町とは違う町並みで、神谷は新鮮さを感じる。

神谷「しかし、老鶯町と違ってここは栄えてんなぁ。また今度行ってみたいなぁ」

老鶯町は普通の町という印象を受けるが、繁華街はビルや駅、レストランなど、さながら都会のような印象を受ける。
だが、こんな都会のような街にも事件というものは起きるもので…。

?「キャアアアアアっ!!」

女性の叫び声が聞こえた先には、刃物を持った男と肩を負傷している男性がいた。神谷は救援しようとしたが、突然誰かに肩を触れられた。

神谷「…誰だ?」

警戒しながら振り返ると、神谷と同年代に見える眼鏡の男がいた。

?「ごめんね、止めちゃって。けど、ここは僕に任せてくれないかな?…ああ、自己紹介が遅れたね」

その男はこう言う。

?「僕の名前は…冬月那由多。列強第二位だよ」
神谷「…なんで、そんな大物のあんたが俺なんかに?」
那由多「いやぁ、君、やる気満々でしょ?危ないと思ってね」
神谷「嘘つけ。おいしいところを取りたいだけだろ」
那由多「あはは…確かにそうだね」

那由多と会話をしていると、刃物をもった男が声をかけてくる。

男「おっおっおいぃぃ!お前、俺を馬鹿にしてるだろぉっ!?」
那由多「あっ落ち着いて!馬鹿になんかしていませんよ!」
男「俺を……馬鹿にするなあぁぁ!!!」

男は刃物を突き立てて、那由多に向かって突撃をした。
…が、那由多はそれに対応し、刃物を持っている手首を握り、手首の骨を粉砕する。

男「がっがあああああああああ!?!?」
那由多(すみません!!)

手首が粉砕され、男は絶叫する。

一般人1「!?何が起こったんだ!?」
一般人2「どうなって…」

周りの一般人たちは何が起きたのか分からなかったが、この中で神谷だけが那由多の動きをとらえることが出来ていた。

神谷(…さすが列強ってところだな…今まで見てきた中で一番速んじゃないか?)

刃物の男は駆け付けた警官に逮捕された。神谷は那由多に声をかける。

神谷「あんた、さすが列強だな。あの男に近づいての手首粉砕だ。中々筋がいい」
那由多「ありがとう。僕なんか・・ってえ?」
神谷「…?どうした?」
那由多「いや…君、今の動きが見えたの?」
神谷「まあな」
那由多「すごいね…僕の動きが見える人なんて少ししかいないのに」
神谷「…そういえば、自己紹介が遅れたな。俺の名前は神谷悠。老鶯町のしがない何でも屋だ」
那由多「じゃあ、悠君よろしくね」

と、このように新たな出会いがありつつ、神谷は事務所に戻り、睡眠をとった。ドミナターはどうなっていくのか、まだ知らない。

株式会社 ( No.6 )
日時: 2024/02/14 14:43
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

アサシンや那由多との出会いといった事が起きた夜を越し、神谷は何でも屋を再開していた。
不倫相談の依頼を終えた後、次の男性の依頼主が来た。いつものセリフを言うと男性はソファに座り、依頼内容を話し始めた。

神谷「闇バイト、ですか」
依頼主「あいつ、やめろつってもやめないんです」

依頼主の依頼は、「闇バイトに加担している友人をやめさせてくれ」というものだった。その友人は村田という男で、聞けば村田が働いてる店がつぶれた後、金欲しさにやってしまった。組織の事を言ったり抜けたりすると殺されてしまうらしい。村田は依頼主に相談して、今に至るという。

神谷「その闇バイトの名前はなんですか?」
依頼主「名前は…『株式会社玄墨げんぼく』らしいです。会社って言ってますが、村田曰く、詐欺グループらしいです」
神谷「…なるほど…とりあえず、村田さんに連絡して、やめるように促してください。俺は玄墨に電話してみます」
依頼主「本当ですか!?ありがとうございます!」

依頼主が帰った後、神谷は玄墨に問い合わせをしてみたら、そんな社員はいないと言われてしまった。加えて雑な態度だったので、会社の程度が知れた。
電話を終えた数分後、突然依頼主から電話が来た。なんだと思いつつ、神谷は電話に出るとある真実が伝えられる。

依頼主『村田が…出ません!』
神谷「…!どういうことですか?」
依頼主『分からない…何度掛けても出ないんです』
神谷「…分かりました。後は私一人で何とかします」
依頼主『???分かりました…』

依頼主は神谷の言葉の意味が分からなかったが、この日は血が流れる事は確かである。


夜、神谷は玄墨の拠点に来ていた。理由は勿論”カチコミ ”であると同時に、村田の救出である。
ここの社員たちは全員クズなので…。

神谷「よぉ。か弱い人たちからとった金はおいしかったか?」
社員「なっなんだぁ!?こいつ!?」

ドアを勢いよく蹴破った瞬間に、社員たちは一斉に戦闘準備しようとしたが、神谷はさせるはずもなく攻撃を開始した。部屋の中を血まみれにしていく。サブマシンガンを撃っている奴もいたが、弾をナイフで全部弾き飛ばして撃破する。
いくら犯罪者集団と言っても所詮無能力者の集まり。イケメンで強い神谷に勝てるはずもない。社員たちを倒しながら進んでいくと、社長がいた。奴は慌てて何者かを呼ぶ。

?「こいつですかぁ?」

出てきた太っている男は命令されると、神谷にパンチしてきたが、神谷は避け、質問する。

神谷「何でそんなクズの仲間になったんだ」

男は嘲笑い、こう答えた。

男「そりゃあ、女と金に決まっている」
神谷「……そうか」

…神谷に迷いはなかった。神谷は瞬時に近づいて男のはらわたを殴る。男は悲鳴を上げる間もなく、神谷は持っていたナイフで腹をめった刺しにする。男の格闘服は赤色に染まり、倒れて動かなくなった。
社長の男は驚く。

社長「ばっ馬鹿な!?あいつはドミナターの」

言い終わる前に胴と首は分かれていた。


結局、村田は地下室で見つけた。達磨の状態で。それを依頼主に報告すると、「……そうですか」の一言で、今回の依頼は終了した。
…だが、これが神谷とドミナターとの全面戦争になる引き金だと、神谷は知らずに…。

炎上 ( No.7 )
日時: 2024/01/04 12:09
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

ドミナター構成員死亡の事件はニュースになり(神谷の名前は出ていないが)、世間は驚くと同時に嘲笑った。SNSでは、「馬鹿すぎるww」「あーあ、やっちゃった」「殺した奴何を四天王?」などのコメントがされ、ドミナターが圧勝すると予想していた。

神谷は24時間寝てる間も警戒しているが、何でも屋はやっていた。曰く、「よほどの事をしない限りこっちからやるつもりはない」だそうだ。


神谷「えっ、今日は来てないの?」
綾香&桃華「「うん……」」

子供の綾香と桃華の母である田中は母子家庭であるため、よく依頼をしていた。そのため、何でも屋の常連であり、来る時はいつも三人だった。が、この日は何故か綾香と桃華しか来ていなかった。
二週間前、いい条件の仕事が見つかって以来来ておらず、神谷は忙しいと思っていた。

神谷「そっか、じゃあ、なんでここに?」
綾香「それはね…お母さんを見つけてほしいの」
神谷「お母さんを?」
桃華「うん。このままだと、悪いおじさんに連れてかれちゃうの。だから…」
神谷「分かった。お兄さんが見つけるよ」
綾香&桃華「「ほんと!?」」

神谷は田中を見つけるために、行動を開始した。田中の就職先を調べた結果、ある事実が分かった。
二週間前、田中はS商事という会社に”好条件 ”で入った。高収入や残業なし、社員寮といった条件でだ。入社すると、携帯を没収、これは機密保持のためで、代替え金が用意されていると文句は言えない。

いざ仕事をすると残業や注意、罵倒のオンパレード、仕事をろくに教えていないのにだ。しばらくすると命令を告げられる。「風俗(キャバクラもある。男性は炭鉱)にいけ」到底受け入れられないが、社員寮の経費を払えと言われたら従うしかなく、仮に子供がいたら海外に売り払う事になっており、被害者は逃げられない。


神谷は老鶯町の外れにあるS商事の本社に行き、カチコミをする。会社内は能力者と無能力者であふれており、神谷を殺そうとした。
ある者はバットで、ある者は鉄パイプで攻撃した。バットの男は神谷に振ろうとしたが、逆に取られ、

神谷「ホームラーン」
男「ぐはあっ!」

逆にバットで顔面が粉砕し、

神谷「残業手当だよ」
男「かっ…かかっ」

首を絞められ、ものの数分で制圧する。
社長室にいくと、突然氷の針が飛んできた。首を動かして避けると、青髪の男と社長がいた。

社長「やっちまえ!!」

命令されたと同時に、男はかなりのスピードで神谷に接近し、氷をまとった拳で神谷に殴りにかかる。神谷はそれに対応すると、男に問いかける。

神谷「何でそんなクズに手を貸す?」

男はこう答えた。

青髪の男「俺は上に言われてここに来ただけだぁ。早く死んでくれない?」

青髪の男は言い終わると同時に氷の剣で神谷に突撃をする…が、神谷は氷の剣を拳を突き出しただけで粉砕する。
青髪の男は驚くが、神谷はナイフで男をめった刺しにし、赤い液体は噴水のように飛び出し倒れた。
神谷は周りを見渡すが、社長の男はすでに逃げていた。


会社内に収容されていた社員たちを解放し、今回の騒動は終わった。神谷は男が言った”上 ”はドミナターだと推測しつつ、田中や綾香、桃華に感謝され、事務所に帰ると、

事務所は”燃えていた ”。

天使 ( No.8 )
日時: 2024/02/14 14:45
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

神谷「……は???」

神谷はその光景に言葉が出なかった。事務所が”燃えていた”からである。事務所の周りには人が囲って、

?「やっぱ、敵の家は燃やすに限るよな」

隣で声が聞こえ、神谷は隣に首を動かすと、オールバックでスーツを着た男がいた。身長は194センチで、神谷の175センチより高い。

神谷「…おい、どういうことだ?」
男「はぁ~?決まってんじゃん」

男は神谷の逆鱗に触れる言葉を、当たり前のように言った。

男「神谷悠、お前の事務所を燃やしたんだよ」

神谷はその言葉を聞いた瞬間、恐ろしい速度で男の腹を殴り、男は壁にぶつかった。
男は口から血を流していたものの、すぐに立ち直る。

男「…痛ってえな、只の無能力者だったんじゃないのかよ」
神谷「うるせえぞ、かかってくるならサッさとこい」
男「はいはい、ああそうだ、俺の名前はノア・ルーセル。フランス人。上に言われて、お前を殺しに来た」
神谷「お前もドミナターか?」
ノア「正解~。じゃ、死ね」

ノアは凄まじい殺気を放ち、殴りかかった。神谷は両腕でガードするも、吹き飛ばされ壁に激突する。ノーダメージだが、神谷はその光景に驚いた。空を飛び、ノアの背中から天使の羽が二つ生えていた。その神々しい姿に、一般人は驚くことしかできなかった。

ノア「驚いたか?俺は準列強だ。俺の動きに対応できたのはやるが、天使にかなわねえよ」
神谷「…自分を天使って思っているのか?随分脳内お花畑だな」
ノア「仕方ないだろ、天使だから」

ノアの羽からレーザー光線が飛んできて、神谷は後ろに飛んで避けるが、すぐに対応され拳をまた喰らう。神谷は家の天井に飛び、体制を整う。ノアはすぐに動き、光線で家ごと破壊する。神谷が別の家に飛ぶと、語り掛けてきた。

ノア「……分からないな」
神谷「…何に?」
ノア「お前のその実力だ。それだけの実力があるのに、何で上は教えてくれなかったんだ?」
神谷「簡単だ。俺は等級に興味が無いからだ」
ノア「もったいねぇ~」

会話が終わると攻撃を再開した。神谷のいる地点を光線で破壊、神谷は別の家屋に飛ぶ移る寸前で、ノアの羽は神谷を貫く勢いで飛んできた。

神谷「……っぶね!?」

神谷は寸前でナイフでさばいたが、さばいたと同時にノアが突撃し、神谷の腹に直撃した。

神谷「ぐっ!?」

神谷は吹き飛ばされ、歩道にたたきつけられる。たたきつけられた場所は大きなひびが入り、一般人は突然の事に驚く。ノアは歩道に降り立つ。

ノア「どうだ?これが天使だ。負けを認めろ、楽に殺してやる」

ノアは攻撃をしようとしたが突然やめた。神谷の気配がおかしくなったからだ。神谷は立ち、そしてこう言った。

神谷「もう、止まらねえぞ?」

神谷の左目は…赤かった。

天使 2 ( No.9 )
日時: 2024/01/07 19:53
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

ノア「っは、目が赤くなっただけで俺に勝てるとでも言うのか?冗談きつ」

ノアが言い終わる前に神谷はナイフで攻撃を仕掛けた。ノアは左腕で対応したが、神谷の力が強すぎて後方に吹っ飛ぶ。天使の羽で無理やり止まるが二十メートルも移動して、歩道にはくっきり跡がついていた。

ノア「が…あぐ…」

神谷の力が強すぎたのか、ノアの左腕の骨は粉砕されていた。余りの痛さにうめき声をあげる始末だ。神谷はノアに瞬時に近づいて、こう言った。

神谷「おい…まだ全然本気を出していないぞ?この程度で根を上げるのか?」
ノア「…っ!なめるなぁ!」

ノアは神谷の煽りに乗って、空中に飛んだ次の瞬間、恐ろしい量の光線の弾幕が飛んできた。普通の人間なら抵抗も出来ずに蹂躙される、”普通の人間”なら。
神谷はその弾幕を軽々と避け、ナイフでさばく。そのままノアにジャンプで近づき、ナイフを突き立てる。

ノア(何だあいつ、強すぎる!?勝てるビジョンが見えねぇ!?)

ノアは圧倒的な実力差に焦っていた。列強を除いてここまでの実力を持った人間はここまでいない。ノアは戦闘中なのにいつかの記憶を思い出す。彼がまだフランスに居た頃だった。

ノア『が…こんな……』
?『おい、最後のチャンスをやる、俺に従え』

あの頃感じた、とてつもない恐怖を…とてつもない強さを…。

ノア『おいあんた…名前は?』
?『ああん?俺の名前?』

忘れることのできない名前を…。

?「ガブリエル。ガブリエル・マルタン。列強4位だ。俺のドミナターに入れ」

ノアの生まれは現在も分かっていない。学生時代は喧嘩に明け暮れ、殺人未遂に発展した日もあった。そんな中、ノアはガブリエルに勝負を挑み、惨敗。そして流れるように、この時はまだ小さかったドミナターに入った。
そして現在…そんな記憶を思い出していると、ノアは気が付くと地面に仰向けで倒れていた。腹は裂かれており、血を流していた。

ノア(…何故だ?回復しねぇ)

ノアの天使の能力は自動で回復する効果も含まれていた。が、何故か機能せず、羽も生やそうとしても生やせなかった。これは出血や体力消耗が原因じゃない。
ノアは周りを見渡すと、神谷が見下すように立っていた。

神谷「ったく、事務所を修理する金は払ってもらうぞ?」
ノア「…ははっはははっはははははっ!」
神谷「??何がおかしい?」

神谷が質問すると、ノアはこう答えた。

ノア「いや、なんでもない。昔の事を思い出してただけだ」

ノアはガブリエルに惨敗した一度だけしか負けたことがなかった。だが、神谷という圧倒的強者に惨敗した事実に、ノアは笑うしかなかった。

ノア「最後に…ほらよ、スマホだ。日本語を鍛えるつもりで文字を日本語にしたが、ここで役立つとはなぁ」

ノアはどこからか出したスマホを神谷に渡した。

神谷「…これは?」
ノア「俺のスマホだ。パスワードはめんどいからつけていないが…口座、好きに使え」
神谷「…はははっ、最後の遺言がこれかよ」

神谷はこれを笑った。神谷が言い終えたと同時に、準列強であるノア・ルーセルは…息を引き取った。


こうして今回の騒動は終わったが、ノアが死亡したことはドミナター本部に知られ、戦争は激化していく…。

まさかの再開 ( No.10 )
日時: 2024/01/05 21:20
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

結局、事務所が燃えた神谷は近くの公営住宅に住むことになった。家具や電化製品はノアの貯金を使って買いなおした。あの戦いから一週間たち、現在はノアの貯金と火災保険などで暮らしている。

神谷「…まさか、あいつの貯金額が億いってたとはなぁ。金には困らないな」

事務所が治るまで後二週間、公営住宅で暮らさなければいけない神谷にとって、何でも屋が出来ないこの時間はこの上なく暇なのである。勿論家事をしたりなど、やることはあるにはあるが、それでも時間が出来てしまっている。

買い物を終えて駐車場に着くと、ここに住んでいるのか同じ住居者が見えたので、神谷は声をかけた。

神谷「こんにちは~今日はいい天気ですね~」
?「そうですねってえ?」
神谷「え?」

声をかけた事は良かった。住居者が列強二位という事以外は。

那由多「あっ久しぶり~」
神谷「ああ、久しぶりだな」
那由多「大変だったねぇ~」
神谷「ああほんと、稼げないし暇だし、ひどい目にあったよ」

まるで友人にあったかのように話す神谷と那由多の光景は、チラホラいる通行人にとって驚きの事だった。

那由多「せっかくだし、僕の部屋に入らない?」


那由多「依頼をしていいかな?」
神谷「…は?」

那由多の部屋に入った神谷は、突然こんなことを言われていた。

神谷「別にいいが…何を依頼するんだ?」
那由多「それはねぇ…これ」

那由多は神谷にある写真を渡された。その写真は那由多と女性だった。中がいいのか、二人は笑っていた。

神谷「…なんだこれ?」
那由多「これは僕と妹の写真、今はドミナターに拉致られているんだ」
神谷「…まさか…」
那由多「そう…」

那由多は神谷にこういった。

那由多「僕の妹…厘を助けてほしい」


那由多と厘は親を亡くした後、列強レベルの那由多に日本政府からの義援金を使って暮らしていた。金銭は義援金によって問題なかったが、同時に寂しい思いをしていた。
那由多が17歳、厘が16歳の頃、高校の修学旅行で奈良に行っていた時、班行動をしていた厘はドミナターに連れていかれた。

厘『いやぁ!助けて!誰かぁ!』

学校は厘の解放を要求できなかった。相手が列強ガブリエル率いるドミナターだったため、学校も強く出れなかった。

神谷「あんた、列強二位だから解放を要求しなかったのか?世界は実力主義、要求すれば一発なのに」
那由多「僕は気が弱いからね…強く出れなかったんだ…」

すると、神谷は那由多を拳で殴った。那由多の頬には赤い跡ができている。那由多が立っている神谷を驚いた顔で見ていると、神谷は那由多の胸倉を握りながらこう言った。

神谷「お前…ふざけるなよ?」

まさかの再開2 ( No.11 )
日時: 2024/01/07 19:49
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

那由多「ふざけるなよって…一体何が?」

殴られた上に胸倉をつかまれている那由多は困惑と怒気が混じった言葉で質問すると、怒気を含んだ言葉でこう言った。

神谷「ああふざけてるさ。気が弱いから妹を取り戻せないって言い訳で、お前は妹を助けようとしない、こんなにふざけている事をふざけていると言わずして何という?」
那由多「…!確かに僕はふざけてるかもしれないよ……けどね」

那由多は一泊をおいて、こう言った。

那由多「けどね!あいつらは『救出しに来たら殺す』って言ってたんだよ!殺されるかもしれないのに、救えるわけがないだろ!こう言い訳してないと、どうにかなっちゃうんだよ!!」

那由多は神谷に怒鳴った。もともと温厚な那由多は人生で一度も怒鳴ったことは無い。

那由多「人の気持ちを分からないくせに…言ってこないでよ!」

神谷の顔に那由多の拳が突き刺さる。神谷は痛みを覚えた。…だが、神谷は微動だにせず、首を動かして那由多を見つめる。

神谷「…分かるよ、俺も大切な人を失ったんだ。もっとも、お前のように妹って訳じゃないけどな」
那由多「……」

那由多は神谷を殴った事に申し訳なさを覚えたと同時にこう思った。

那由多(…神谷君は、大切な人を昔失ったのか…。厘が生きている僕よりずっと、辛い思いをしてたのか…)
神谷「…まあいい。ああそうだ」

神谷は何かを思い出したのか、突然神谷にこう言った。

神谷「お前には…ある作戦に乗って欲しい」
那由多「…作戦?」

神谷が言う作戦に那由多は疑問を持った。

神谷「その内…ドミナター本部を直接攻撃をする」
那由多「えっ!?はっ!?さっきのシリアスな展開は!?」
神谷「俺からしたらシリアスより作戦だ!シリアスなんてくそくらえだ!!」

那由多はあまりにも唐突な展開で頭を抱え込む。

那由多「はぁ…で、作戦は?」
神谷「それはな…」

神谷は作戦を伝えると、こう言った。

神谷「正直一人でやってもいいが、さすがにめんどくさいからな。どうする?」
那由多「うーーーーーーーーん………」

那由多は迷う。攻撃したら厘が死ぬかもしれないからだ。だが、作戦の内容には『厘がいる日本支部を那由多が攻撃』のため、那由多は考えに考えた結果…。

那由多「分かったよ、その作戦に乗った!」
神谷「ああ、そう来なくちゃな」

神谷と那由多は手を組み、タッグは成立した。ガブリエルにたどり着く日は近い…。

ボスの誕生 ( No.12 )
日時: 2024/01/31 18:32
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

フランスのとある町で車に乗っている男がいた。運転は別の誰かがやっており、明らかに男の方が格上だとわかる。
男の名はガブリエル・マルタン。列強四位で、世界最大規模のフランスマフィア『ドミナター』を率いている。

彼は幼少期の頃、職を失った父親は酒を毎日のように飲み、ガブリエルやガブリエルの母親に手を出していた。所謂DV、虐待だろう。

父親「てめぇ!俺の酒盗んだだろ!!」
母親「盗んでいなっぎゃっ!?」
ガブリエル「あ…ぁ…」

そんな日々を過ごしていると、六歳の頃転機が訪れる。

ガブリエル「お母さん!!お母さん!!」
父親「ああっ!?うるせぇ!!」

六歳の時、ガブリエルの母は父親の暴力によって死亡してしまった。父親はそのままどこかに行ってしまい、ガブリエルは施設に入った。小学校高学年になり順調に育っていった。はずだった。

ガブリエル「早く金出せよ、また痛い目みたいのか?」
同級生「ど…どうぞ…これです…」

彼は『欲しいものは奪えばいい』という考えになっていった。母親の死で変わっていったのだろう。
だが、当然この事をされた児童は教師に報告するものだ。

教師「お前、なんてことをしたんだ!?」
ガブリエル「…ごめんなさい」
     (…あいつがチクったか)

報告した生徒はガブリエルによって徹底的に殴り蹴られ、報告などガブリエルの恐怖でできなかった。

中学になると喧嘩の日々に明け暮れた。高い身体能力をもったガブリエルに、能力をもってしても傷をつける事は無かった。
この頃から他校の生徒や高校生がガブリエルに喧嘩を売りに来たが、無駄な事だった。時には病院に送られる者まで出てきた。

高校になると、喧嘩を売ってきた高校生を全員倒し、実質的な学校のトップとなった。他校の者も喧嘩を撃ったが、その内ガブリエルは制圧した。配下の部下は40名ほどになった。

高校を卒業すると、周辺のマフィアからスカウトが連日のようにきた。

末端「君、マフィアって興味ない?」
ガブリエル「すみません、興味はありません」
     (ふん、雑魚が)

だが連日スカウトが来ると、ガブリエルはマフィアに興味が湧いていた。ドミナターの前任組織を乗っ取ると、名をドミナターに変えた。


こうしてガブリエルはドミナターを作り上げた。国内外の人間問わず、構成員は50万人を超えた。
ちなみに冒頭のガブリエルがどこに向かっているかというと…。

ガブリエル「よう…久しぶりだな、くそ親父」
父親「なっ…お前は…ガブリエル!?」
ガブリエル「ああそうだ。あんたが捨てた、ガブリエルだよ」

汚いホームレスになっていた父親はガブリエルにすがってきた。

父親「なあガブリエル!金を貸してくれないか?お前有名らしいからな。金はあるだろ?」
ガブリエル「ああ?」

瞬間、ガブリエルは拳銃を取り出し、恐ろしい速度で父親を撃った。断末魔を上げず、銃の口径がデカかったのか、頭は吹き飛んだ。

ガブリエル(あのくそ日本人を早く殺さないとな…ノアも殺られたんだ、殺らないと面子が潰れる…)

ガブリエルは夜空を見上げながら、そう思いながら煙草を吸う。
煙草の光ははかない命を表しているかのようだった。

決戦前の会話 ( No.13 )
日時: 2024/01/10 22:51
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

あの修羅場を終えて…夜。デリバリーでピザを食っていた。

神谷「おっうまいな…」
那由多「これもおいしいね」

Mを一枚づつ、他はお好みで頼んだピザはとてもうまかった。いいにおいで食欲がそそられ、食べてみると温かく、出来立てを食べてるようで素材の味を感じつつ、味付けはとても良いものだった。
神谷はピザの温かさとうまさを堪能していると、那由多からこんな事を言われた。

那由多「…昼間はごめんね…」
神谷 ムシャムシャムシャ(咀嚼音)
那由多「後…怒ったのも」
神谷 ムシャムシャ(咀嚼音) ゴックン(飲み込む音)
那由多「…一ついい?」
神谷 ゴクゴク(コーラを飲む音)

那由多は一泊を置いてこう言った。

那由多「しゃべってるときにピザ食べないでくれるかなぁ!?」
神谷「ああ、悪い悪い。ピザがうまいのが駄目なんだよ」
那由多「それを食べる悠君が駄目なんだよ??後シリアスな展開だからね今のって」

シリアスな展開が神谷に通じない事に那由多は頭を抱える。すると神谷がこう言った。

神谷「まぁ今のは冗談だ。例の作戦はしっかりやれよ?お前にかかってるんだ。失敗したらどうなるか分からない」
那由多「…大丈夫、絶対に成功させるよ。僕は列強だからね」
神谷「慢心はよくないぞ?」
那由多「ははは、たしかに」

例の作戦とは神谷が考えたプランであり、ドミナターとの戦いに勝利するための作戦である。元々一人でやるつもりだったが、那由多がいるなら話は変わる。
だが、那由多は疑問をぶつける。

那由多「勝てるの?僕が言った方がいいんじゃない?」
神谷「妹は俺かお前か、どっちに助けてもらいたいと思う?」
那由多「うっ……それは…」
神谷「それに、ちゃんと勝算はある。お前はつべこべ言わずに妹助けろ」
那由多「…そこまで言うなら、反対はしないよ。健闘を祈るよ」
神谷「ああ、勝ってくるさ」

作戦は一週間後に行われる。勝利は近い…。

妹と再会 ( No.14 )
日時: 2024/01/14 18:18
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

夜、那由多はドミナター日本支部に来ていた。理由は勿論日本支部の破壊と妹の厘を救出するためである。

那由多「建物はヨーロッパって感じだなぁ。日本ではあんまり見ないかも」

建物は欧州という雰囲気が強く、日本にはあまり似合わないものだった。さっさと門前に移動すると、そこにいた見張りは驚いた。

見張り1「あ、貴方は!?」
那由多「ごめんね」
見張り1「がっ!」
見張り2「何を!?」

那由多は見張り1を手刀で気絶させ、叫んできたもう一人を手刀で気絶させた。門を突破し扉を蹴破るとドミナター構成員たちがいた。那由多に驚きつつ、アサルトライフルや能力で対抗した。

構成員「かまうな!列強でも所詮無能力者だ!」
構成員「ぶっ殺せぇ!!」

那由多は驚くことに無能力者であるにもかかわらず、列強上位に上り詰めていたのだ。構成員たちは銃を乱射するが那由多にはほんの一つも当たらない。アサルトライフルを乱射してる構成員達は瞬く間に倒された。

構成員「ぶっとべぇ!」

構成員の一人は爆破の能力で那由多を爆破を試みたが、悲しいことに那由多には全て避けられてしまい、倒された。

構成員「くそぉ!?何で死なないんだ!?」
構成員「言ってる場合か!?早く殺すんだ!」

対抗はしているが攻撃は一つも当たらず、どんどん倒されていく。ある構成員は那由多の姿を見てこう言った。

構成員「…化け物…」

この言葉を聞いた他の構成員は、恐怖のあまり後ずさってしまう。那由多は何も言わずに進む。途中構成員が攻撃してきたが、彼らを気絶させる。その内支部長の部屋にたどり着いた。

支部長「…!お前は…!」
那由多「突然で悪いけど、降伏してくれないかな?後、妹の厘を解放して欲しい」
支部長「…それは…」

支部長はガブリエルの言った事を思い出す。『厘を解放したら殺す』と言われている。もし厘を解放したら本部から刺客が来る可能性もある。そんな状況で厘を解放すると冗談抜きで暗殺されかねない。だが、目の前にいるのは世界でも実力は二番目に入る列強である。そんな男に逆らうと殺されかねないと思った支部長は降伏を決定した。通信機で構成員にその趣旨を伝えると、厘のいる部屋を那由多に伝えた。

那由多「ここか…」

部屋の扉をひねり、ゆっくり開けた。部屋にはテレビやソファ、ベッドに本、果てはトイレなど、生活に困らない物が揃っていた。ソファには…厘は座っていた。厘は那由多に驚き、那由多は厘の姿に安堵していた。直後、厘は那由多に抱き着き、涙を流した。

厘「…馬鹿ぁ!寂しかったよぉ!」
那由多「…ごめんな…寂しい思いをさせて…」
厘「…ありがと、お兄ちゃん…」

数年ぶりの再会に、那由多は心なしか泣いていた。那由多も厘をハグし、部屋は静寂に包まれた。
…その時フランスでは、神谷は那由多から国際メールをもらった。内容は『成功したよ!!』という内容だった。神谷は『おk』と返した。

神谷「さて、俺もやるとするか。ドミナター、首を洗って待ってろよ」

そして始まる。歴史で語り継がれる戦い『ドミナター本部攻防戦』が。

ドミナター本部攻防戦1 ( No.15 )
日時: 2024/01/15 00:00
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

ドミナター本部は他国の支部を上回る規模の大きさで、もはや別荘の規模じゃなくなっている。神谷は裏路地から門前の敵構成員を見ている。今の時刻は22時、深夜に攻撃を仕掛けようとしている。

神谷(…雑魚構成員は問題ないが…問題はボスの列強だ。列強がどの程度の実力か未知数だ。最悪俺より強い可能性も考慮しないとな…)

神谷は列強ガブリエルの実力を知らない。はっきり言って勝てるかどうか分からない。だがやるしかない。この戦いに終止符を打ち、また何でも屋をするためにも、避けては通れない道なのだ。

神谷はまずナイフを監視カメラに投げ、無力化した。見張りはこの音に驚きカメラの方に首を向けたが最後、瞬時に首の骨を折られ絶命した。

神谷「よっと」

鋼鉄製の門を軽く引き裂いた。バキバキと、普通じゃ聞かない音が鳴る。進んで本部の扉を蹴破った。ロビーには那由多の時のように中には武装した構成員がいたが流石は本部、日本支部を超える人数がいた。

構成員「なんだお前!?」
神谷「ここのボスを殺しに来た何でも屋だよ」
構成員「あいつが…」
構成員「ノアさんを殺した…」

構成員達は神谷の登場に心底驚いた様子だったが、直ぐに攻撃を開始した。ある構成員は能力によってデカくなった腕で神谷に殴りかかり、ある者はアサルトライフルを神谷に向かって乱射し始めたが…。

神谷「バリヤー!」
構成員「があああぁぁぁぁ!?!?」

なんと神谷は近くの殴りかかってきた構成員を掴んでガードした。これには乱射してきた構成員は唖然とした。これによって構成員達はぶちぎれ、より神谷を殺しにかかってきたが、悲しいことに相手は無能力者の中でも最強の部類に入り、列強にも迫る実力者だ。

神谷「こんな組織楽しいの?」
構成員「ぐあああああ!?」

ある者はナイフで今袈裟切りにされ…。

神谷「ドミナターって儲かるの?」
構成員「やめ…ぎゃぁぁぁぁ!?」

ある者はナイフで腹の中をかき回し…。

神谷「人を薬漬けにした感想は?」
構成員「…」

ある者は置いてあった植木鉢を頭に投げられ、頭が文字通り吹き飛び…。

神谷「買収した感想は?」
構成員「があああああ!?」

ある者はナイフでめった刺しにされ、普通の死に方をさせてもらえない。そうこうしているうちに、ロビーの構成員は全滅し、その全員が血に染まっており、さっきまで綺麗だったロビーは地獄絵図に変わった。廊下に出ると騒ぎを聞きつけたのか、構成員が駆け付けていたが結果はロビーと同じだった。
更に進むと、他のものとは違う雰囲気を持った男がいた。

神谷「お前…名前は?」
男「俺はジャン・ロメール。ボスと戦うなら…」

ジャンは拳に雷をまとい、神谷に向かってこう言った。

ジャン「先に俺と戦え!」

ドミナター本部攻防戦2 ( No.16 )
日時: 2024/01/28 13:06
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

こんにちは!monmonです!投稿遅れて申し訳ございません。小説書くの難しいんですよね、特にバトルシーンとか。これから投稿頻度上げれるように頑張ります!それでは本編どうぞ!


ジャン「破っっ!」
神谷「ぐっっ!?」

雷をまとった拳を左腕でガードしたがとてつもない電気が腕に流れ思わず顔をしかめる。もう一撃は後方に飛んで避けた。電気による痺れで左腕はマヒしてしまった。

神谷(くそっ…!腕が一本使い物にならなくなった…)
ジャン「まだまだぁ!」

ジャンは人差し指を神谷の腹に向ける。神谷は横にジャンプした次の瞬間、雷のビームが横を通り過ぎた。横腹にかすったが威力が大きすぎたためか、血が勢いよく飛び出る。

ジャン「今だ!!」

神谷が着地の寸前でジャンは勢いよく飛び出してきた。さっきより強力な雷の拳で殴りにかかった…が、神谷は器用に拳を避け、ジャンの顔面にキックを食らわせた。ジャンは勢いよく吹っ飛び、神谷は背中から落ちる。

神谷「くそ…こんな事だったらあいつを連れてくべきだったな」

数十メートル先に吹っ飛んだジャンは鼻から血を流しながらこう言った。

ジャン「…なかなかやるな…」
神谷「そりゃどーも。んな事より、さっさと道開けてくれないかな?邪魔なんだよ」
ジャン「ふざけるなぁ!!」

廊下全体に怒号が響き渡る。

ジャン「ノアを殺したお前は、俺が絶対殺す!!」

ジャンの脳裏にはある日を思い浮かべる。それはノアと焼肉を食べた日だった。

ノア『俺金無いですよ?』
ジャン『金なら心配するな!お前は若いからたくさん食え!あっはっはっはっはっ!』

ジャン「お前は絶対に…絶対に!ここで殺す!!」

次の瞬間、ジャンは弾丸を持ち、両手を合わせ手のひらの中にしまう。そして…これまでとは段違いの雷が手のひらに集まる。『バリバリバリ!』という、普通じゃ絶対に聞かない音が聞こえてくる。

ジャン「超電磁砲レールガン…発射ぁ!!」

耳がイカれる程の轟音が鳴り響く。手のひらから放たれた弾丸は実にマッハ5という規格外の速さで神谷に放たれた!

神谷「……」

神谷は赤い目を発動する。なんとナイフで超電磁砲レールガンを迎撃しようとしているのだ。

神谷「ふっっ!!」

そして…ピンポイントで弾は切断され、ジャンの奥義は打ち破られた。

ドミナター本部攻防戦3 ( No.17 )
日時: 2024/01/28 14:23
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

ジャンは力尽きて仰向けになって倒れた。自分の最強の必殺技を打ち破られて、体力は尽きた。超電磁砲レールガンには自信があった。列強にすら通用すると思っていた奥義は…列強ですらない、無能力者に敗北した。

ジャン(ノア…すまねぇ…負けちまったよ…)

申し訳なさでいっぱいになる。ノアの仇をとれなかったことに…。
神谷は何も言わずに進もうとしたが…ジャンに呼び止められた。

ジャン「二つ…聞きたいことがある。なんだ?あの目は?」
神谷「さぁな、俺も知らない」
ジャン「…そうか…じゃあ、なんで俺を殺さないんだ?」

赤い目の事が聞けない事に少々残念さを感じるが、一番聞きたい事を聞くと、神谷はこう言った。

神谷「力尽きたお前を殺しても…意味はないと思ったから」
ジャン「何でだ…俺は準列強だ。殺せば少なくとも無能力者のお前は評価されるぞ?」
神谷「俺は評価だったり、等級だったり、そんなのは興味はない」

ジャンは驚く。この世界は等級が命だ、等級が高くないと生きにくい仕組みになっている。等級が上がれば少なくとも社会的に生きやすくなる。

ジャン「俺はお前を殺しに来るかもしれないぞ?」
神谷「だったら、返り討ちにするだけだ」
ジャン「…そうか……」

神谷は今度こそ進み、進んだ先にある扉を開ける。中には広い空間があり、事務机と椅子がある。そこに座っているのは…列強四位であり、ドミナターを作り出した張本人であるガブリエルが座っていた。

ガブリエル「お前が来たって事は…ジャンは負けたのか」
神谷「俺を止めたきゃもっと準列強を連れてくるべきだったな」
ガブリエル「米英独伊露中台伯加西葡墨印や香港にエジプト、オーストラリアと、その他さまざまな国にある支部にもリソースを割かないといけないからな」
神谷「へぇ、大変だな、それにしても日本語がうまいな」
ガブリエル「勉強したからな、どうも」

他愛もない会話をしているが一触即発、爆発寸前だ。

ガブリエル「そういえば、何でこんなところに?」
神谷「お前を……ぶちのめす為だ」

刹那、二人はナイフでぶつかり、戦いは始まった。ナイフで攻撃を捌き、捌かれる攻防が始まった。

ガブリエル「ほらよっ」
神谷「!?」

とんでもない速度で神谷を蹴ろうとしたが神谷は間一髪で避け、後ろに飛んだ。

神谷(あの速度…避けれたのは奇跡だな。あいつは全く本気を出していない…)

思考する間もなくガブリエルからくないが足元に飛んできた。神谷はジャンプして避けたが、先を読まれガブリエルから拳が飛んできた。

神谷「ぐっっ!?」

腕でガードしたが、吹き飛ばされてしまう。

ガブリエル「俺はな、ガキの頃からニンジャが好きなんだよ。だからニンジャのくないを使えて幸福を覚える」
神谷「…そりゃ、よかったな」

勝てるか分からない。だがここまで来た以上、勝たなければいけない…。

ドミナター本部攻防戦4 <赤眼> ( No.18 )
日時: 2024/01/29 22:15
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

刹那、神谷の目の前にくないが”突然”現れた。それは神谷に飛んでくる。

神谷「なっ!?」

神谷はナイフでくないを捌いたが、捌いた瞬間に周りに大量のくないがまた突然現れた。目の前のくないを捌いて避けたが、背中や腕、足に刺さってしまった。神谷は落ちたくないを複数個ガブリエルに投げつける。

ガブリエル「ちっ」

ガブリエルはナイフで対応するが、同時に神谷がガブリエルに向かって走り出し、間合いに入った。そしてナイフで顔を突いた。

……はずだった。

突然だった。背中がいつの間にか切られていた。

神谷「がっっ!?」
ガブリエル「へぇ…よく動けたな…確実にやったと思ったのに…」
神谷「お前…いつの間に…!」
ガブリエル「驚いたか?姿を消すのはまるでニンジャだろ?」

まさに忍者のごとく現れたガブリエルにナイフを振ったが、また消えた。その瞬間、ガブリエルは足元に攻撃を仕掛けてきた。神谷はジャンプで避けるが、着地した場所にあるはずのない撒蔆を踏んでしまう。

神谷「ぐっ…!」

足の裏が血まみれになってしまう。痛みで悶えている間にガブリエルは神谷に近づきナイフで腹を刺す。ただでさえジャンとの戦闘で傷ついた腹のダメージも相まって尚効く。

神谷「くそっ!」
ガブリエル「おっとっ」

ナイフでガブリエルの腹を刺そうとしたが、ガブリエルに手首を掴まれ折られてしまう。

ガブリエル「じゃあな、無能力者の割には強かったが、列強には敵わねえんだよ」

その刹那…腹に刺さっていたナイフを縦に振り、神谷の腹を裂き……神谷は血を流しながら倒れた。


ガブリエル「はぁ…ようやく終わったか…くそ、派手にやってくれたな。死んだ奴の埋め合わせと…」

ガブリエルは神谷から受けた損害について独り言を言っている。

ガブリエル「はぁ…これから忙しくなるな…」

そう言った次の瞬間だった。ガブリエルはとある気配を後ろから感じ取った。その気配は…能力者でも無能力者のでもないおかしなものだった。

?「ああ~…おはよう…いや、こんばんはの方が正しいか?」

振り返ってみると…なんと倒れていたはずだった。神谷が…立っていた。そして…傷は何故か”治っていた”。

ガブリエル「なっ……!なんで生きてるんだ、お前…それに…その目は…」
神谷「ん?ああそうか、俺も”これ”はよくわからん」
ガブリエル「じゃあ…死んだお前が生きているのはなんなんだ!?」
神谷「そんなことを言われてもな…そうだなぁ…強いて言うなら…」

神谷は口にする。その目を…その名前を…。

神谷「”赤眼”」

ドミナター本部攻防戦5 ( No.19 )
日時: 2024/01/31 17:22
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

神谷の赤眼せきがんはなんなのか?どんな力があるのか?それは神谷にしか分からない。科学で証明は不可能であり、どんなに技術が進んでも分からない。能力者が調べても分からない。仮に神谷が他者に赤眼の力を教えても、赤眼の情報の部分だけが理解が出来ない言語になる。だが唯一理解できる方法が一つだけある。
それは…直接見る事だ。

神谷「おらよ」
ガブリエル「がっ!?!?」

ドおおおおおおん!と、大きな音が鳴る。ガブリエルは神谷の拳を顔面で殴られ、壁に激突する。鋼鉄よりも頑丈な壁は激突した後が大きく残る。その動作に、ガブリエルは全く反応できなかった。
ガブリエルは呻く。鼻は折れ、鼻血が流れている。

ガブリエル(なんだ今の…速度は?おかしい…本当にさっきの日本人か?)
神谷「何やってんだ?さっきの威勢はどこ行った?」
ガブリエル「なめんじゃねえぞ…俺は列強4位だ」

この瞬間、ガブリエルは能力を発動した。能力は”時止め”。景色は灰色に染まる。

ガブリエル(さて…どう調理しようか…)

この時だった。ガブリエルの耳にガシャァァァァン!と聞こえた。気づけば…能力は……解除されていた。
神谷はにやりと笑う。

神谷「どうした…?時止め…早くやれよ」
ガブリエル「…っ!なめるなぁ!」

ガブリエルは激怒し、ナイフを片手に突撃する。ナイフを突き立て、喉元を刺そうとする。
が、神谷のナイフで防がれる。

ガブリエル「はあぁぁぁ!」

ナイフで捌き捌かれの攻防が始まった。ナイフのぶつかる音は音楽の音楽のように聞こえた。が、最初は互角だった攻防も徐々に神谷が速度を上げ、力の差は広まっていく。ガブリエルは少しづつ傷ついていった。

ガブリエル(くそっ!?何なんだこいつは!?ナイフの速度が高まっていく!?まるで上位列強と戦ってるみたいだ!)
神谷「へぇ…まだ耐えるのか…流石列強だな」

ガブリエルは列強と戦ったことが無いが、そう錯覚する程、実力がかけ離れていた。
ガブリエルは鍛えたことがない。才能だけで列強に上り詰めたのだ。自分でも強いと思い、いつかは列強一位を超えて世界最強になる事を夢見ていた。
…が、明らかに自分を超える列強クラスの神谷に、なすすべなく蹂躙されている。自分の思っていた常識がガラガラと崩れていく。

神谷「ガブリエル、そろそろ本当の終わりだ。お前は強かったよ」
ガブリエル「くそぉぉぉぉ!!」
神谷「…じゃあな」

神谷はそのナイフで…ガブリエルの体を袈裟切りにした。

ガブリエル「がぁぁぁぁ!?!?」

血は勢いよく噴出した。神谷は…勝利したのだ。

勝利 ( No.20 )
日時: 2024/02/01 17:16
名前: monmon (ID: Jolbfk2/)

薄れていく意識の中で、ガブリエルは思った。「いつからこうなっていたのか?」と。20の頃、ドミナターの前身組織に入った。その実力で、僅か5年でトップになった。他のマフィアをつぶしながら勢力を拡大、50万の兵力という、大国並みの軍事力を持った。資金は20兆円を超す資金力を手に入れた。すべてを手に入れた。いつか最強になれる。そう思った。

…はずだった。
この目の前の男はガブリエルをいとも簡単に打ち倒した。全く手も足も出ずに。強かった。ガブリエルは強かった。神谷というイレギュラーが現れるまでは。

ガブリエル(ああ……どうすりゃ良かったんだよ…)

ガブリエルの薄れる意識の中で、神谷がこう言った。

神谷「お前…お前は強かったよ。本当に…俺が赤眼を使うまで手も足も出なかった。だが、俺の勝ちでいいな?」
ガブリエル「く…そが…最後に…煽ってんじゃ…ゴフッ」
神谷「…じゃあな、もう会わないだろうな」

神谷はそう言い残し、部屋を出る。部屋は静寂に包まれる。
ガブリエルはこうつぶやいた。

ガブリエル「おふくろ…もしあんたが俺をもっと育ててくれたら…施設に一回でも来てくれたら…俺は…違う人生を…歩んでいたのかも…な…」

それは…自分を捨てた母親に対する…言葉だった。
こうして…列強4位であり、ドミナターボスのガブリエル・マルタンは…静寂の部屋の中、静かに息を引き取った。


神谷はフランスでの戦いを終えた後、日本に帰国していた。空港には…那由多と厘が迎えに来てくれていた。

那由多「お疲れさま。どうやら勝ったみたいだね」
神谷「ああ、強かったよ。で、隣の奴は?」
那由多「そうだね、紹介するよ。冬月厘、僕の妹だ」
厘「厘です。初めまして神谷さん」
神谷「ああ、初めまして。俺は神谷悠だ」
  (礼儀正しいな)

神谷と厘は握手を交わした。

厘「神谷さん、今回はありがとうございます!感謝しきれません!」
神谷「どうって事ねぇよ。あと那由多」
那由多「?どうしたの?」
神谷「依頼金一億よこせ」

この後、依頼金についてちょっとした戦争があったのは別の話。


皆さんこんにちは、monmonです。ついにドミナター編、終わりましたね。勿論まだ終わりじゃありません。
この後の物語についてですが、予定としては神谷の過去編、揺らぐ列強編、第二次世界大戦編、最後の戦い編です。
最後の戦い編については、名前はまだ仮であり、どういう結末にするかは決まっていませんし、今言った”編”も、なくなるかもしれないですし、新しい”編”がスタートするかもしれません。
まあとにかく、小説は続けていきます。良かったらずっと見てくださると作者のモチベーションにつながりますので、今後ともよろしくお願いします。

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