ダーク・ファンタジー小説
- 黄金郷 ( No.55 )
- 日時: 2024/06/14 09:12
- 名前: monmon (ID: Jolbfk2/)
??「…へぇ…夜神伊吹を退けた、神谷悠が、”ここ”にくるのね…」
とある村で、彼女は椅子に座り、頬を机につきながら独り言をしていた。その村は至って普通”だった”。家の中は血まみれで赤に染まっている。なのにもかかわらず、死体という死体もなかった。
??「またやったのか」
??「いいじゃない、人は殺しつくさない程度であれば、殺しても問題ない」
??「…そうか」
彼女のいる家に現れたのは、長髪の美男子。だが服装はまるでアラブの貴族が着ていそうな豪華な服。一目で地位の高い者だと分かる。一方、彼女は質素で娘のような服。
??「まあいい、後で始末する」
??「いいの?神谷悠はとんでもなく強いけど」
??「俺よりもか」
??「えぇ」
男は彼女にそう言われ、彼女を睨みつける。
??「貴方は強いことは分かっている。けど、それで油断で死んじゃったら元も子もないじゃない」
??「…ふん」
男は家の玄関を開け外に出て行った。残された彼女は、狂気の笑みを浮かべる。
??「待ち遠しいわ…神谷悠…貴方はどんな人形になるの?」
イメニアン国際空港。イメニアの首都イメニアンに設置された国際空港。2年前、現在でも続く内戦で破壊されたが、現在はイメニア解放軍が治っている。
神谷「おぉお…」
こんな声を出すのも無理はない。ロンドン・ヒースロー空港なんかよりもの凄い砂漠だ。神谷もイメニアン国際空港を全く調べていなわけじゃない。だが思ったより砂漠で驚いたのだ。
??「あっ!来た来た!」
飛行機から降りたら何やら爽やかな青年と数人の自動小銃(AK47)を持った男4人が走ってきた。
神谷「えーと、君は?」
??「俺ですか?俺はムージャ・アッザーム・ジブリールっていいます。ムージャって呼んでください」
神谷「お…おう」
「なんで神谷はアラビア語なんて分かる」と思うだろうが、神谷はこの数日間、赤眼で記憶力向上の効果などを使ってアラビア語を覚えた。日本語訛りはあるが。
入国手続きを済ませ、空港の外に出て車に乗る。
神谷「おっ、トヨハシだ」
「トヨハシの自動車は頑丈だからな。うちでも重宝されている」
実際、現実の中東のテロリストはトヨタの自動車を使っており、機関銃などを載せている。数台の車と共に未舗装の道路を進む。
ムージャ「酔わないんですか?」
神谷「この程度で酔ったら列強やれねぇよ」
ムージャ「凄いですね!」
一時間走れば時々木が見えたり、砂の世界に入ったりする。ラジオはイメニアの言葉だが、内容は面白味のない物なので暇な時間が続く。だがそんな時間は前のトヨハシの車の爆破で終わりを告げる。
神谷「あ?」
「なんだ!?」
「なにが!?」
神谷は余裕だが、男たちは特段強いわけじゃない。驚いて動きも遅れる。すぐに神谷の所へRPGの弾が2発飛んでくる。
神谷「おらよ」
1つ目を手に取り2つ目に当て回避する。男たちは「おお!!」と驚きと感嘆の声を上げる。だがまだ襲撃は終わっていない。
車から降りると、AKを持った軍人らしき男が数人、神谷に向けて銃を向けていた。神谷は悩む。ここで軍人らしき男たちを殺してしまったら、更に面倒なことが起きてしまうかもしれないのだ。
すると、ムージャが神谷の前に出た。
ムージャ「神谷さん、ここは俺に任せてください」
神谷の前に出るムージャを見て、男たちは警戒する。瞬間、一番前に出ていた男はムージャに顔を殴られ吹き飛ばされる。
「殺せぇ!!」
周りの男はAKを乱射するが、現地生産された粗悪品では精度が非常に悪く当たらない。ムージャはものの一分足らずで制圧した。神谷はその光景に感心する。
神谷(おぉ…あいつかなり動けるな。いつか大物になるのかもな)
「大丈夫かぁ!?」
車が数台やってくる。元々いた男たちは安堵している様子を見ると、どうやら仲間らしい。
「大丈夫か!?」
神谷「大丈夫、ではないな」
負傷した男は仲間の車に乗せられ、神谷たちは仲間と共に進み、彼らのベースキャンプにたどり着く。
- 黄金巨人 ( No.56 )
- 日時: 2024/06/10 16:34
- 名前: monmon (ID: Jolbfk2/)
暫くして車列はベースキャンプに到着し、神谷とムージャは考古学者団の部屋へと案内された。そこには複数人のイギリス人がいた。
??「貴方が神谷悠?こんにちは。私の名前はサイラス・ブラウン、団長です」
学者の中で一番年齢が高いであろう初老の男が、神谷に握手を求めてきた。
神谷「よろしくお願いします」
神谷も握り返すと、ムージャがやってきた。
ムージャ「全員揃いましたね?では今からプランを説明していきます」
ムージャがポケットから地図を取り出し机に広げ、指を差す。
ムージャ「まず、このルートを進み、黄金郷に行きます。神谷さんと俺、あと数人を学者さんたちの護衛をします。期間は3か月、あとは…」
こうして数十分後、説明が終了する。各自自由にし、神谷もキャンプの子供たちと遊んでいると、軍服を着た若い男が血相を変えバイクから降りて、ベースキャンプの隊長室に走っていった。
「あの人何してるんだろぉ」
神谷「んー…分からないな…」
隊長室に入って数十秒、「なんだって!?」という声が聞こえた。神谷は隊長室に入ると、血相を変えた隊長の姿があった。
隊長「神谷さん!今、巨人が来ています!」
神谷「きょ、巨人?」
いきなり巨人と言われても、何が何だかよく分からない。曰く、「巨人は黄金の肉体を持っており、小銃程度は跳ね返す防御力を持っている。身長は2~3メートルの化け物だ。戦車かロケットランチャーを持ってこないと倒せない」らしい。
隊長が説明を終えると同時に、例の巨人がやってきた。
「は、早く逃げろぉぉ!」
「対戦車兵器は!?」
「今持ってくる!」
「もうだめだ…おしまいだ…」
神谷(いや、俺列強だぞ?少しは安心してくれ…)
神谷は呆れつつ、巨人の前に出る。巨人は神谷に大振りでその黄金巨椀を振るう。が、神谷に片手で防がれる。
周りは一瞬静かになったが、「おぉ!」と感嘆の声が開けられるが、神谷からすれば余裕じゃなかった。
神谷(うお…力が滅茶苦茶強いな)
神谷は即座に離れるが、勢い余って地面までその巨椀はぶつかるが、めり込みひびが入っている。神谷はすかさず追撃。首にナイフで斬りかかり、その首を落とす。
一瞬の沈黙、誰が言ったか分からないが、「すげぇ…」の一言で、歓喜の声が響き渡った。
- 黄金の化け物 ( No.57 )
- 日時: 2024/06/14 16:42
- 名前: monmon (ID: Jolbfk2/)
2日が過ぎ、神谷はついに出発をする事になった。軍用車に乗り、車列は出発する。森を走っていると、車に近づくように男が走って近づいてくる。
ムージャ「誰でしょうか?」
神谷「さぁ?」
そのまま無視して進もうとしたが、男が車の前に仁王立ちして強制的に進行を止めた。
車列にいた数人の兵士がAKを持って、男に銃口を向ける。神谷とムージャもなんだなんだと思い車から降りる。
男「なあ、助けてくれ!!」
「何を言っている?ふざけているのか?」
ムージャ「まぁ少し待ってください。俺が聞きます」
「!?…失礼しました」
ムージャが前に出ると、男はムージャに縋りつく。
男「仲間が全員殺された!あれは化け物だ!最初は軽い気持ちで行ったんだ!!行ったら仲間が化け物に殺された!黄金の化け物だ!!助けてくれよ!お願いだ!お願いだ!!」
ムージャ「…一度落ち着きましょう」
男「落ち着けるか!?なあお願いだよ!助けてくれ!!!」
男が叫んだ瞬間、足に異変が起こった。足は金になっていた。
男「あ、あ、ああああああ!!!!助けてくれぇ!!!!!」
神谷「くそ!」
神谷が赤眼を発動するまでもなく、男は黄金の像と化した。
ムージャ「何が…」
神谷「…」
神谷は赤眼を発動して男だった黄金像に触れたが、何も起こらなかった。
神谷(…本物の黄金になったから、何も起きないのか?)
ムージャ「神谷さん、その黄金は偽物です」
神谷「どういう事だ?」
ブラウン「その黄金、いや物質は、見た目が黄金なだけで、構造が黄金とは違う。売っても価値がないですよ」
車から降りてきたブラウンにそう言われ、神谷は黄金像を見つめていた。
神谷(ここに来てから、今まで起こったことが黄金がついてくる。どういう事だ…?)
一両は黄金像を抱えベースキャンプへと帰ってくる。神谷たちはそのまま黄金郷へと向かう。
??「いい嫌がらせじゃない。けど引いていく様子が無いわね」
??「なら俺が作った黄金郷で、神谷悠を迎え撃つ。それでいいだろう、ジハード」
ジハード「そう、好きにしたらいいじゃない、ザハブ」
ザハブと言われた男は家から出ていく。扉を閉めていかない様子に、ジハードと呼ばれた女性は機嫌が若干悪くなった。
ジハード「全く、ドアくらいは閉めてほしいのだけれど」
- 黄金郷の主 ( No.58 )
- 日時: 2024/10/10 23:57
- 名前: monmon (ID: Jolbfk2/)
ついに神谷達は黄金郷にたどり着いた。神谷達は黄金郷の少し遠くにキャンプを設置し、神谷とムージャ、学者団と数人の兵士と共に黄金郷へと入る。
ブラウン「しかし、扉が開いててよかったです。危うく扉を壊すことになったかもしれません」
神谷「そ、そうか…しかし、黄金郷って名前がついているが、全部黄金なのかよ…」
この黄金郷、街の全てが文字通り黄金で出来ている。これが本物の黄金だったら、一体いくらになったのだろうか。
ブラウンは写真を撮りながら街を道に沿って歩いていると、複数の黄金の像を見つけた。だがその像達は銃をある方向に向かって向けている。
ブラウン「何だこれは…」
そう呟きながら像に近づき写真を数枚撮る。更に進むと、顔つきがヨーロッパ人らしき男が何かを睨みつけている像を見つける。同じように写真を数枚撮り、更に進むと、複数人のヨーロッパ人の男女が、何かに視線を向けた像が見つかる。
ブラウン「神谷さん、ムージャさん、これは失踪した学者団でs」
??「やれやれ、二つ目の像を見つけた時点で引き返せば良いものを」
ムージャが振り替えようとした瞬間、腹部に激痛が走った。
ムージャ「ぐっ…!」
??「石で作った弾丸だ。生きては返さんぞ」
神谷は即座に赤眼を発動し、ナイフを持って”それ”に近づいた。
??「速い…!ジハードの言う通りだな」
神谷「ジハードかなんか知らないが、とりあえず寝てもらうぞ」
ムージャ「神谷さん待って」
神谷と”それ”は声のした方に首を向けるが、ムージャは”それ”に近づき、腕に触れる。
1秒後、ムージャは鼻から出血し倒れた。
神谷「とりあえず、お前は邪魔だ」
??「がっ…!」
神谷は”それ”を蹴り飛ばし、家屋を巻き込んで吹き飛んでいく。そして神谷はムージャを抱える。
神谷「ブラウンさん!撤退するぞ!ムージャがそろそろヤバイ!!」
ブラウン「分かりました!」
”それ”が戻る前に神谷達はその場を離れ、黄金郷を脱出する。”それ”が戻ってくる頃には、神谷達はいなくなっていた。
ザハブ「…くそ…」
ジハード「お疲れさま。どうだった?神谷悠とムージャ・アッザーム・ジブリールは?」
ザハブ「ムージャはまだまだ粗削りだが腕はいい。問題は神谷悠だ」
ジハード「と、言うと?」
ザハブは服についた埃を払いながら言う。
ザハブ「あの実力、今の俺じゃまず勝てない」
ジハード「ようやく分かったかしら」
ジハードは自慢げにそう言う。
ザハブ「褒めてるんじゃない。だがお前の言った事が正しかったら、確実に神谷悠は俺を殺しにかかってくるぞ」
ジハード「その時は簡単。私が神谷悠を、貴方がムージャを相手すればいい」
ザハブ「そうか、頼んだぞ。お前は俺よりも強いからな」
ジハード「あら?貴方にしては嬉しいことを言うじゃない」
ザハブ「黙れ」
ムージャ「…ここは?」
??「あら?起きたかしら?」
ムージャが目覚めるとそこはベースキャンプにいた。医療テントらしいが、おかしいのは、おかまの医者がいる事だった…。
- 黄金の主の過去 ( No.59 )
- 日時: 2024/06/30 22:50
- 名前: monmon (ID: Jolbfk2/)
ムージャ「??????」
ムージャはおかまという人間を見たことがない。というか会ったことがない。だが自分が目を覚ますと、ヨーロッパ人でおかまで医者はムージャにとって恐怖の対象だった。
??「おはよ~。体調はどう?変なところはある?」
ムージャ「え、ええと…」
話しかけられて困惑と恐怖が入り混じっているが、「大丈夫です」というと医者は微笑んだ。瞬間、ムージャに悪寒が走った。
神谷「ようムージャ、起きたのか」
ムージャ「神谷さん、この人は一体…」
神谷「この人はラディー。イギリス、というか世界でも特に優秀な医者だ」
ムージャはそう言われるが、おかまが世界でも特に優秀…?と思ってしまった。
ラディー「今失礼なことを考えたでしょ」
ムージャ「す、すみません…ああそうだ神谷さん」
神谷「俺?」
ムージャは握手を催促するように手を差し出した。ラディーは机に戻って何かパソコンをいじっていた。
神谷「これは?」
ムージャ「俺の能力は記憶の共有です。触れた相手のの記憶を読んだり、共有をすることが出来ます。神谷さんには今から俺と握手をしてもらい、あの男の記憶を見てください。あの男、つらい過去を持っているようですし、神谷さんにも知ってもらいたいです」
神谷「あいつの情報を一気に知ったら俺の脳がやばくないか?」
ムージャ「記憶を厳選したので、頭痛が起きる程度です」
神谷「そうか、それなら」
神谷はムージャの手を握り目を瞑る。そして脳内には、ザハブの記憶が流れ始めた。
中東はかつて戦乱の世だった。ザハブは小国の王子だった。
「ザハブ様、隣国の○○国から、婚約をしたいとの申し出がありましたが、どうしますか」
ザハブ「そんなもの興味ない。さっさと拒否の趣旨を送ってこい」
「分かりました」
ザハブはその容姿と、強力な能力で他国から結婚の申し込みが後を絶たなかった。だがザハブはそんなものは興味が無く、申し出が来るたびに蹴っていた。
「ザハブ様、○○国からの侵攻が確認されました…!」
ザハブ「分かった。俺が対処する」
ザハブが邪魔な国、結婚の申し込みを一蹴させられた事に憤りを覚えていた国は、ザハブの国に度々侵攻を仕掛けていた。だがザハブは侵攻軍をことごとく壊滅させ、侵略をはねのけていた。軍が壊滅した後は、他国に攻め入り占領。そうしてザハブの国は中堅国になりつつあった。
ある日、ザハブはとある国に攻め込んでいた。既に王城は陥落しており、都は瓦礫の山と人が焼ける生臭い死臭、熱い炎に包まれていた。ザハブは御前に一人入ると瓦礫の山と炎の中、ある少女が空いた天井から来る月の光に照らされていた。
ザハブ「お前はなんだ?何故逃げない?」
少女「すべて、どうでもいいの。この国が滅びようと、親が死のうと、誰かに殺されようと」
少女は透き通った声でそう言った。ザハブはその少女に興味が湧いた。今までザハブの見た女は、自分に媚びを売り、自分の顔と能力にしか興味のない生き物と思っていた。だがこの少女はザハブに一寸も興味を沸かそうともせず、空いた天井から見える月を見ていた。
ザハブは面白半分でその少女を国に連れ帰った。
- 十字軍最高司令官 ( No.60 )
- 日時: 2024/07/24 16:34
- 名前: monmon (ID: Jolbfk2/)
ザハブは彼女に高度な教育、うまい飯、広い部屋を与えた。ザハブを知る従者や王は驚いた。女性を嫌悪しているザハブが、女性をだ。従者の中には「ザハブ様が女性を連れて帰ってくるとは!喜ばしいことだ!」という者や、「女性を嫌悪しているザハブ様が女性を連れて帰ってくるのはおかしい。何かあったに違いない」と心配する者もいた。
王城のテラスでは、ザハブと少女が紅茶をたしなんでいた。
ザハブ「どうだ?王城の生活は」
少女「…」
だが少女は何も答えない。
ザハブ「どうだと言っているんだ。どうでもいいのか、よくないのか」
少女「…貴方が私を勝手に連れてきた。捨てたければ捨てればいい」
ザハブは思わず顔をしかめた。少女はいつもと変わらないペースで、表情も変えずにそう答えたが、ザハブはイライラと同時に、ここまで自分に興味が無い少女に興味が一層湧いた。
ザハブ「…はぁ…まあいい。4日後、十字軍の将軍と会談をする。お前もついて来い」
少女はこくりと頷く。
十字軍は聖地エラサレムを奪還し、イメニア周辺諸国に侵攻を何度も繰り返していたが激しい抵抗にあい、停戦交渉をしようと通達が来た。交渉は隣国の「ムヘーレス王国」の部屋で行われるようになった。
ザハブ(緊張するな…)
少女「…」
ザハブは初めてする国家間の交渉に緊張しており、少女は無関心だった。イスラム風の椅子に座り、将軍を待つ。
??「へぇ~、なんや、一応王城だけあるんなや」
そう言ってきたのは、数人の護衛を連れてきたつり目の将軍だ。彼は椅子に座り足を机に置く。ザハブは彼の行動に嫌悪感を感じつつも丁寧に話しかける。
ザハブ「お待ちしていました。使者であるザハブと申します」
少女「…ブルカと申します」
??「十字軍最高司令官のクラリッサや。今日はよろしく」
クラリッサの言動は相手を敬おうという気が全くしない。ザハブは更に嫌悪感を増大する。
ザハブ「今日は停戦についt」
クラリッサ「そうやね。じゃ、おたくらの条件を聞きましょか」
ザハブ「まず、サウジェラビア以降は撤退し今後不干渉を守ること、エラサレムには信者の自由な出入りの許可です」
クラリッサは考え込むが、直ぐに口を開ける。
クラリッサ「別にオタクらの条件は飲んでもいいけど、一つうちの条件を飲もか」
ザハブ「なんですか?」
クラリッサは嫌らしい顔をする。
クラリッサ「そこのブルカちゃんをちょーだい。そうしたら飲んでもええよ」
ザハブ「それは…無理ですね。人質は認めません」
クラリッサ「そうかいな」
周りの護衛は剣を抜き始め、クラリッサも剣を抜く。
ザハブ「なに?」
クラリッサ「この剣はアロンダイト。俺の家に受け継がれている骨董品や。あと交渉決裂ね」
- 砂と黄金 ( No.61 )
- 日時: 2024/10/09 14:49
- 名前: monmon (ID: Jolbfk2/)
大変申し訳ございません!!!久しぶりの投稿です…言い訳をすると、どうしても内容が思いつかなくて…
追記 小説☆カキコ大会2024・夏 ダーク・ファンタジー板では銀賞を取りました!!!!やったぁぁぁ!!!!!
護衛はザハブに剣を向ける。一人の男は叫ぶ。
「かかれえぇぇ!!」
護衛たちはザハブたちに飛んでいく。
パキキ………
護衛たちは一瞬、1秒もかからず黄金の像にに変えられる。
クラリッサ「へえ…これがザハブ君の能力、あのカス達をきれいな黄金にするとはやるね」
ザハブ「部下の心配を知ったらどうだ?」
クラリッサ「カスの心配をしてどうするんや?別に変わりはいくらでもいるんや。カスが死んでもどうでもいいやろがい」
ザハブ「…クズが」
ザハブはクラリッサに嫌悪感を示す。そんなザハブを見て、クラリッサは嘲笑する。
クラリッサ「ザハブ君の国にもあるやろ?奴隷。どうせ君も奴隷をカスだと思っとるんやろ?同じやで」
ザハブ「お前と俺を同類にするな」
クラリッサ「ならそのブルカちゃんはどうや?奴隷やろ」
ザハブ「…黙れ」
ザハブは剣を抜きクラリッサに飛び込む。クラリッサはザハブの剣を受け止める。
クラリッサ「おっそ」
ザハブの剣は砂と化しサラサラと崩れていく。驚いたザハブは飛びのく。
クラリッサ「俺の能力、『あらゆる物質を砂に変える能力』や。君の能力とは相性最悪、詰みやね君」
ザハブ「どうかな?」
クラリッサの真上の天井から黄金のつららが無数に落ちてくる。
クラリッサ「うっとおしいなぁ…」
つららを剣でさばいていく間に、ザハブはブルカを左腕でつかむ。
ブルカ「…少し苦しい」
ザハブ「悪かったな!」
無理やりドアを右拳で破壊し部屋を脱出する。だがそれをクラリッサは逃していない。
クラリッサ「待ちいや!」
激高しすぐに部屋を出てザハブを追う。ザハブは黄金の矢を30本だしクラリッサに飛ばすが瞬時に剣で落とされてしまう。クラリッサは剣を振る。
ザハブ「ちっ!!」
ザハブはすぐにジャンプする。瞬間、人を肉塊にせんとするほどの風圧がザハブのいたところをすり抜け壁にぶつかる。風は部屋をいとも簡単に破壊し外界に飛んでいく。ザハブは避けたが右足を欠損してしまう。
ザハブ「ぐっ…この程度!」
ザハブは黄金で右足を義足として修復する。だがクラリッサは許さずザハブのいたところにジャンプする。
クラリッサ「じゃあねザハブ君。楽しくもなかったわ」
クラリッサは剣をザハブに向けて振り下ろす。ザハブは黄金で生成した剣で受け止めるが、破壊されそのままブルカもろとも切られてしまう。更にクラリッサはザハブを蹴り床に大きなひびが入るほどの勢いで落とす。
クラリッサ「さって、これからどうしたもんやね。もうこのまま俺がこの国を…」
クラリッサはブツブツ独り言を話す。騒ぎを聞いた兵団は現れる。
「ザハブ様!?」
「ブルカ様も…」
「貴様あぁぁ!!!!」
全員がクラリッサに剣を構えて突撃する。が、クラリッサは兵団に向けて睨む。
恐ろしいまでの重圧。これだけで数万人を虐殺を出来てしまうのではないかというほどまでに。
「あっ…あっ…」
「………」
「あっあっははははははははははは!!!!!」
その恐ろしさに兵士たちは一瞬で戦意喪失する。中には精神に異常をきたしているものや植物人間になっているものまでいた。
クラリッサは兵団に向けて剣をふるう。さっきと同じ威力の風はいとも簡単に兵士たちを粉々にした。
- 嫌な真実 ( No.62 )
- 日時: 2024/10/11 11:55
- 名前: monmon (ID: Jolbfk2/)
『覚醒』
能力者、無能力者が死の淵に追いつめられると稀に発生する現象。既存の能力が覚醒し強力なものになる(神谷悠の赤眼は少し違う)。
ザハブは覚醒を終え目を覚ました。近くにはブルカの遺体がある。が、信じられない光景を目にした。
ザハブ「…は?」
クラリッサ「が…は…」
目に映ったのはぼろ雑巾のようになっているクラリッサ、その胸倉をつかんでいる異形の人間。その姿は複数の人間が混ざり合った、何とも言い難い恐ろしい姿。そしてその後ろにいるのは、今の状況に合わない少女。
??「…あら?覚醒したのね」
ザハブ「…誰だ」
喉にたまった血を咳で吐きながら問う。少女はクスクスと笑う。
??「せっかくなら見る?この男の最後」
クラリッサ「なん…でや…女ごときに……俺が負けるねん……」
??「女性差別は良くないことよ?男が女性差別をするのって、大体2種類だと思うの。自分の無能さを隠したいがためか、そのみみっちいプライドのためか、まあ貴方は人形になるもの。どうでもいいけど」
少女は微笑を浮かべながらクラリッサに触れる。すると、クラリッサはさっきの余裕からは考えられない悲鳴を上げる。
クラリッサ「がっあああっああああああああっあああああああああああああああああ!!!!!!!!」
??「…いいわね、貴方、いい人形になるのね。いいわあ」
クラリッサはどんどん小さくなっていき、最終的には人形と化す。少女はその人形をボリボリ食す。その光景に、ザハブは呆然とする。
ザハブ「何がどうなって…!?」
??「おいしかったぁ。どうだったかしら?この男の末路は」
少女はクラリッサとは全く比較にならない速度で、それこそ瞬間移動と錯覚するほどの速度でザハブのすぐ隣に移動する。
ザハブは少女に気づき黄金の剣で彼女を切ろうとする。が、彼女は人間の顔の形をした盾で防ぐ。
ザハブ「なっ…!?」
??「いい反応ね。でも遅い」
少女はザハブより早く動き、ザハブに触れる。ザハブは全く動けなくなってしまった。
??「人生お疲れさま。最後に何か言い残すことは?」
ザハブ「…お前の名は」
??「…えっ」
少女は名を聞かれクスクスとおかしく笑った。
??「フフッ…そうね…ジハード。それが私の名前」
ザハブ「聖戦を意味する名とは、皮肉だな」
少なくとも彼女の行動は聖なる事ではないだろう。ザハブは倒れる。
ジハード「さてと…サンプルは手に入った。後は…”彼”に任せましょう」
ジハード「お願いね?ザハブ」
ザハブ「…分かった」
王城のテスラにいるのはザハブとジハード。だがザハブには生気がない。顔色も優れていない。
ザハブは能力を発動する。
パキキキキキキキキキキキキキキキキキキ………………………
ザハブは能力で王城を、街を黄金にしていく。街に住む国民は気づかずに黄金と化していく。やがて”黄金の都”が形成されていく。
「くそっ!なんだあの化け物ども!」
「知るか!!とにかく矢を一本でも飛ばせ!!何としてでもあの化け物たちを足止めしろ!!」
「あ”あ”ー!!腕がー!!!助けてくれー!!!」
ジハードの能力は『人間を操る能力』。文字通り人間を操り、人間同士を合体する能力。その能力には自身も含まれる。彼女は能力で寿命という概念を自身から消し、2023年に至るまでおよそ3000年生きながらえてきた。
ザハブの国は滅亡。王城を攻めてくる敵軍を能力で作り出した異形の人間の軍団で襲い、生け捕りにした兵を能力で駒にする。その内、黄金の都が他国に知れ渡ると近づくことはいつしかなくたって行った。そして、ザハブは完全にジハードに操られていた。
ジハード「…フフフッ」
ザハブ「?」
ジハード「いや、何でもないわ」
神谷「頭がいてえ」
ムージャ「大丈夫ですか?」
神谷「ああ、問題ない」
時は現代。現代のザハブが忘れてしまった記憶を神谷は見た。溜息を思わず吐く。ブラウンはムージャの容体を見るためにキャンプに入ってくる。
神谷「…!」
ムージャ「どうしました?」
神谷「ブラウンさん、もう離れてください。あいつともう一人」
ブラウン「…!分かりました。ですが神谷さんは?」
神谷「俺は残って対処します」
ムージャ「俺も残ります」
神谷「…」
神谷は何とも言えない顔をしていた。だがムージャの目は覚悟の目だった。
神谷「…分かった。だが無理はするな」
ムージャ「はい!」
神谷とムージャは向かう。来る敵を打ち取りに。
- マッドサイエンティスト ( No.63 )
- 日時: 2024/10/11 14:55
- 名前: monmon (ID: Jolbfk2/)
ブラウンたちは急いで荷物をまとめる。だが遠くから数十体の異形の人間が押し寄せてくる。
神谷「面倒だな。いくぞ」
ムージャ「はい!」
神谷とムージャはすぐに走り出し異形の人間にたどり着く。先陣を切ったのは神谷。異形の人間に飛び移り首を斬っていく。
ムージャは殴ってきたり引っ搔いてくる異形の人間を殴り殺す。
一分もしないうちに異形の人間を全滅させる。
ジハード「あら?もう全滅していたのね。流石列強」
神谷「…!?」
神谷は驚愕した顔で後ろを振り返る。そこにはジハードがいた。
全く気付かなかった。気配の消し方がそれこそ列強の上位にも匹敵、或いは凌駕する。赤眼を発動していない神谷はそれこそ戦闘能力はアクシオンにも劣る。
圧倒的な実力の差。それに神谷は戦慄する。ムージャも信じられないといった顔でジハードを見ていた。
ジハード「初めまして、神谷悠。私の名前はジハード」
神谷「…」
ジハード「そんなに怖がらなくてもいいじゃない」
ジハードは頬を膨らませながら不満を零す。ただの女の子だったら、男は彼女に対して可愛いと思うかもしれない。”普通だったら”どれだけ良かったのだろう。
ザハブ「おい、そんなくだらないことをしてる場合じゃないぞ」
遅れてきたザハブがジハードに文句を言う。
ジハード「いいじゃないそれくらい、どうせ人形にするんだし、最後くらいいいじゃない」
ザハブ「…好きにしろ」
ザハブは黄金の剣を生成しムージャに突撃する。ムージャは剣を引いて防いだが遠くに吹き飛ばされる。土埃が舞う。
神谷は赤眼を発動し、ナイフでジハードの喉を突こうとするが、人間で生成した盾で防がれる。ナイフは盾に深々と刺さるが破壊には至らない。
ピイイイイイイイイイイ!!!!!!!!!!
ジハードは血のレーザーを神谷の横っ腹に振るう。その速度はマッハ6。
神谷(…”悪趣味”だな)
神谷はジハードに嫌悪感を感じながらよける。
神谷「人間だろ。その血のレーザーといい、あの盾といい」
ジハード「よく気づいたわね。流石列強」
神谷「お世辞は良いんだよ。ヤな趣味だな」
嫌悪感を示す神谷を見て、ジハードは笑う。
ジハード「別にいいじゃない。人間の一人二人、どうせ増えていくもの。それに」
神谷「…?」
ジハード「人間の可能性、私はそれを信じている。改めて名乗るわ、私の名はジハード。3000年を生きた科学者」
神谷「マッドサイエンティストが言うか」
ジハード「私は1000年をかけて思い至ったの。人類の可能性を。人間は強制的に合体するとそのそれぞれの強さが掛け算で強くなる。私はそれに気づいてこう考えたの」
ジハードの口調はあくまで穏やかで、だが心底楽しそうに言う。
ジハード「この世界の人間、約80憶人を合体させる。そうすれば宇宙で最も強い人間が誕生する」
神谷「…それは、笑えないな」
ジハード「笑えない?面白そうじゃない。最強になれるのよ?」
神谷「仮にお前が生み出したその最強の人間に殺されるってなったらどうするんだ?」
ジハード「最初の犠牲者になれるのもまた面白そうじゃない」
神谷「そうか」
神谷は消える。ジハードと同様恐ろしい速度でジハードの後ろを取る。
ジハード「流石ね」
ジハードは感心した顔を見せる。神谷が首を狙おうとした瞬間、地面から大量の手が飛び出してくる。神谷は上空に退避する。
神谷「どんだけこいつの目的のために犠牲になったんだよ」
赤いオーラをナイフに宿しナイフを振る。大量の手はオーラの斬撃により消し飛ばされジハードに近づいていく。
ジハードは超スピードで即座に避ける。オーラは地面にぶつかり、深い跡を残して消える。
「ピイイイイイ!!!」
大量の人間の面影を残した怪鳥がマッハ3で神谷を襲う。神谷は器用に突進してくる怪鳥を切り伏せる。神谷は頭をジハードに向ける。
ドオオオオオオオン!!
とてつもない音が鳴る。空気を蹴り音速を超えジハードに突進する。ナイフを一気に振り落とす。
が、ジハードは人間の面影を残した大剣を片手で持ち神谷のナイフを防御する。途轍もない衝撃波があたりを襲う。草は激しく煽られ土埃が舞う。
神谷は着地し土埃でジハードの姿は見えなくなる。神谷の後ろの存在は大剣で神谷を袈裟斬りにしようとしたが神谷は後ろの存在に気づき飛び避ける。大剣は神谷を切ることなく空振りする。
神谷(気配が読みづらい、赤眼を使ってもだ。しかも相手は人間を使った多彩な手を使ってくる)
ジハード(彼、強いわね。はっきり言って想像以上。フフフッ、人形にするのが楽しみ)
二人にとっても全くの未知数な戦いが続く。一方そのころ、ムージャはザハブ相手に大苦戦を強いられていた。
- 閉じ込めた記憶 ( No.64 )
- 日時: 2025/02/18 15:48
- 名前: monmon (ID: Jolbfk2/)
ザハブは駒のような何かを2個後ろに走っているムージャに投げつける。
駒は怪物になり黄金に包まれる。
ムージ「くそっ!」
ムージャに向けて黄金の怪物はラッシュをするにつれ、地面がボコボコになっていく。よけた瞬間に、もう一体に殴られ、吹き飛ばされ岩にぶつかる。岩が崩れていくときに起き上がろうとしたらザハブが剣を振り下ろす。
ムージャ「ふんっ!」
ザハブ「ほう……」
ムージャは両手で剣を受け止める。だが長くはもたない。
ザハブ「終わりだ」
二本の黄金の巨大針がムージャを刺そうと襲い掛かる。張りが到達する一秒前、彼は走馬灯を見た。
ムージャは貧しい家に生まれた。村ではその力で村人を助けながら暮らしていた。
子供は嫌な記憶を閉じ込め封印する力がある。彼はある少女にしゃべりかけられた。
道端で寝ていた。夜だった。起きて家に帰ったが両親がいなかった。泣きながら知り合いの家に行った。いなかった。村人を訪ね続けた。だが誰もいなかった。
「どこにいったのぉ!お母さん!お父さん!おじさん!おばあさん!みんなぁ!!!」
朝になり泣くのも疲れて呆然としていたら反乱軍がやってきて、保護され所属する。
ムージャは「自分は軍に生まれ、軍と祖国のために生まれてきたんだ」。そう自分に暗示をかけた。そうして自分を維持してきた。
ジジジジジジジ……………
ザハブ「!?」
黄金がムージャに近づくほど分解されるように消えていく。能力が維持できない。黄金で生成した剣が消えザハブは後ろに飛び、ムージャが起きる。
ムージャ「…思い出しましたよ、神谷さん。すべて」
ザハブ「…覚醒したか」
ザハブはムージャを睨みつけ、殺気を更に出す。
ザハブ「…良いだろう、俺もお前を弱者とは思わない。俺も全力を出し」
ザハブの後ろから大量の黄金が噴出される。
ザハブ「お前を殺す」
はい、大変申し訳ございませんでしたぁ!!!!!投稿できずにすみません!!
2024年受験シーズンに突入→勉強なり面接練習なりでてんやわんや→面接で合格→今ここナウ!!
といった感じです。受験は終わったため、投稿を再開しようと思った所存でした。皆さんは勉強はちゃんとやろうね~。
さて、この編が終わったらようやくあと2編!(やだなあ)。次は戦争もの(でもどうせボス戦までは無双)、その次は列強会議で梓涵(列強3位)がいっていたハルマゲドンが登場します。
次書く作品は和風のものにしようかと考えますが、ひとまずはこの作品が終わってからにしたいと思いますし、和風になるかも分からないし…
では皆さんお元気で~。
- 勝利は勝っても確信するな ( No.65 )
- 日時: 2025/03/09 22:18
- 名前: monmon (ID: Jolbfk2/)
互いは傷だらけだが、傷のどれもこれも薄皮一枚程度で済んでいる。だが互いの攻撃次第でどちらかが致命傷を負う。
ジハード「これはどうかしら?」
ジハードは巨大な芋虫を生成し神谷に放つ。芋虫が繰り出した拳を避ける瞬間、拳を放った腕から針が飛んでくる。
神谷「鬱陶しいな」
神谷は飛んできた針をナイフで捌くが、同時にジハードが突っ込んできた。剣同士が衝突し衝撃波が発生する。
神谷は問う。
神谷「ザハブ、お前が操っているだろ」
ジハード「あら?わかっていたの?」
神谷「さっき見た時、お前の気配を感じた。お前の能力だったら、不思議じゃないからな」
ジハード「ついでにザハブの記憶を読んだから」
神谷「.....正解だ。よくわかったな」
ジハード「年上を舐めないようにね」
神谷「隠居してくれよ老害」
両者は攻撃を再開する。ナイフと剣のラッシュで周りの地形が破壊されていく。
だが神谷が若干速度が速い。傷だらけになりつつ、ジハードは耐えきれず、剣を落とす。
ジハード「しまっーー」
神谷「震電」
炸裂する。赤い雷はピンポイントでジハードの腹に炸裂する。ジハードは吹き飛ぶが受け身を取る。
ジハード「っ!げほ...なんて威力...!」
ジハードは人間を盾にして塞いだがそのすべてを突き破られた。例えるなら、ガラスで戦車砲を防ぐようなものだ。
だが、
ジハード「いいわぁ...想像以上。これほどいい素材は初めて。どうなるのかしらぁ..」
神谷「...狂ってんな」
どこまでも、ジハードは狂っていた。
ジハード「狂っている?生物としての普通の感情よ。知りたいものを知りたい、未知の世界にワクワクする。それが"生きる"事。この感情は貴方にもあるはずよ。
神谷「...確かにな。高校でも分からない問題もあったし、昔のことも今でもその時の答えも分からない。だがな」
神谷はナイフを構えて答える。
神谷「痛みも、後悔も、絶望も、乗り越えてこそ、生きているんだ」
神谷は地面が抉れるほど踏み込み、ジハードに突進する。
ジハードは大量の人間を剣にし神谷に向けて飛ばすが神谷は捌き、避ける。
ジハード「ああ神谷悠!貴方は最高のーー!」
神谷はジハードを切り裂いた。
神谷「何か言い残すことは?」
ジハード「道半ば、残念ね。けど私の意思は、恐怖の大王に継がれる」
神谷「...?」
「ついでに」と、ジハードは言う。
ジハード「勝利は、勝っても確信しないものよ」
刹那、地面に刺さっていた剣が変形し、
ーー神谷悠の腹と"心臓"を貫いた。
- 解かれた黄金の束縛 ( No.66 )
- 日時: 2025/03/10 22:04
- 名前: monmon (ID: Jolbfk2/)
神谷がジハードと戦闘を行っている中、ザハブとムージャは互角の戦いを繰り広げていた。
黄金の波がムージャを襲う。ジャンプで避けた彼には波から飛び出した枝がムージャを襲うが、ムージャは剣で捌いている間にザハブは思考する。
ザハブ(ジハードの言う通り、こいつは記憶を読む能力。だが覚醒している現状、その能力は大きく強化されているため、何かしらの変化は起きているはずだが...)
ムージャの覚醒した能力は"記憶情報に適応する能力"。記憶から読み取った情報を元に物質を構築と分解を行う。分解は負担がほぼかからないが、構築は物質の価値や原子構成により決まる。勿論元々の能力は使用できる。
ムージャ「っ...こんなに強いのに、あいつに操られているなんて」
ザハブ「?何を言っている」
ムージャ「!分からないんですか...?!」
ムージャは飛んできた何千の黄金のつららと、何万の黄金の拳を分解しながら剣でザハブの足を切ろうとするが地面から飛び出た針で防ぐ。
ムージャ「あのジハードという人に、貴方は操られているんですよ?!」
ザハブ「本当に、何を言っている....?」
混乱しているザハブに、ムージャは過去を伝えた。
ザハブ「そんなことがあるわけないだろう。妄想もここまでくると笑えるな」
ムージャ「ブルカちゃんとの生活、楽しかったでしょう」
ピシリ、ザハブの動きは止まる。ムージャは追い討ちをかけるように言う。
ムージャ「悔しかったでしょう、クラリッサとの戦い」
ザハブ「...」
ムージャ「鬱陶しい女性の婚約」
ザハブ「黙れ」
ムージャ「思い出せないんですか?」
ザハブ「黙れと言っている」
ザハブは徐々に殺気を強くしていくが、お構いなしにザハブは続ける。
ムージャ「王子としーー」
ザハブ「黙れ!!」
ザハブはムージャに剣を振るうが簡単に避けられてしまい、逆に右拳を喰らってしまう。
ザハブ「ぐふっ?!」
ムージャ「黙りません。貴方が思いだすまで」
ムージャは掌でザハブの頭に触れる。
.....思い出した。全て、大河のように次から次へと。
ああ、自分は愚かだ。結局何がしたいかも分からず、民を穢わらしい黄金に変えてしまった。
分かってしまった。自分はもう生きている人間でなく、屍だということを。
思わず幻覚も見えるようになったか。あの頃と変わらない自室。
ザハブ「...ブルカ」
ブルカ「貴方がしたことは正しいか全く分からない」
「けど」とブルカは僅かに頬を赤らめながら答える。
ブルカ「...ほんの少し、楽しかった」
ザハブ「...そうか」
現実ではザハブは砂になり消えていく。ムージャは最後まで眺め、神谷の元へ向かうが、
神谷は倒れていた。
はい、monmonです。すみませんでした。9ヶ月も掛かってしまい申し訳ございません。
黄金の都編はこれでお終いですが、時間をかけ過ぎてしまいました....。もう少し執筆速度を上げます。
- 世界大戦 ( No.67 )
- 日時: 2025/03/13 20:54
- 名前: monmon (ID: Jolbfk2/)
「救急救急!」「どいてどいて!」「ラディー先生は!?」「くも膜下血腫の患者だ!クソッタレ!!」
神谷悠はイギリスから派遣された能力者によりイギリスのロンドン・クリニックに患者として運ばれた。
最終的に神谷は一命を取り留めたものの、臓器の消滅がラディーの治療でも一度では治せなかった。無菌室で大量の点滴と酸素マスクでギリギリである。
ラディー「全く...強い人って、どうして無理しちゃうかしら」
男性医師「どうしてでしょうね。強いからこそ無理するんじゃないんでしょうか」
ラディー「そうかしら...」
溜息をつくラディーを横目に男性医師は適当にスマホでニュースを見ている。
男性医師「えっ!?戦争?!」
スマホには、「アンストロース大魔法帝国、宣戦布告なしに全世界に喧嘩を売る!!」
と書いていた。
魔王を作り、魔王が「あのお方々」と呼んでいた者たちこそがアンストロース大魔法帝国だ。
皇宮アスターの大会議室では、皇帝と皇子、各軍の将軍20名と、最強の魔導師5人で構成される「五星将」がいた。
皇帝サルガスは五星将のうち1人、サイフに問う。
サルガス「サイフよ、神谷悠が動けない今、この戦争どうなると考える?」
サイフ「五星将と列強一人一人の戦力差は1:1。後は我らと400万の大軍が世界を獲るでしょう」
??「だが敵の兵力は1000万近くだ。その戦力差をどうやって埋める」
そう椅子から立って問うのは皇子のミルザム。答えたのは海軍総提督のアルカイドと、陸軍総大将のアトリアだった。
アルカイド「殿下、ご心配に当たりません。4年前から建造していた新型の空中戦艦が完成いたしました」
アトリア「また、新たに開発していた二足歩行兵器も実践配備を終えました」
ミルザム「なるほどな、数を質で叩き潰すのか」
ミルザムは安心したか納得し戻った。
みなさんこんにちは、monmonです。お知らせがあります。
別の小説サイトハーメルンにこの作品を投稿することにしました。名義は「おサトさん」です。
ただ小説カキコでの投稿はストップせず、ちゃんと続けます。(ただ展開などは修正します。物語の大軸は変えません)
また世界大戦編と次の編は同じにようになるかもしれません。
これからもよろしくお願いします。