ダーク・ファンタジー小説
- 反撃 ( No.68 )
- 日時: 2025/03/21 20:55
- 名前: monmon (ID: ak9ikTR3)
タタタタタタタ、タタタタタタタ
「殿下はまだか!?」
「あと10分だ!」
「弾薬はもう直ぐそこを尽きる。もうダメかもしれないな」
「その時は皆んなでバンザイだな」
戦場ほど生き地獄なものはない。苦楽を共にした仲間が死んでいく。
「くそっ!銃も効かない、ジャベリンも効果が薄い!」
「空爆か戦車でしか倒せないなんて、こんな絶望はママのベットを粉々にした時以来だな」
「何したらそうなるんだよ」
今は戦争、突如アンストロース大魔法帝国はNATOに戦争を仕掛けた。総力を上げて防衛を行ったが、各国が連合を組んだ海軍が粉砕された。
そしてイギリス、海軍が壊滅したことで上陸を許し、田舎町オークハンプトンでの戦闘が繰り広げられている。
「くそ!また来やがった!」
「SFみたいなロボなんて、メタ◯ギアかよ」
「しかも5体、故郷の街で死ぬのならまあ悪くないか」
「お前さっきから諦めてんな」
だがある意味正解かもしれない。全員が全員、死を覚悟した時だった。
そのロボットが真っ二つになっていた。
ドオオオオオン!!!
ロボットは虹色の閃光を発しながら爆散した。
「一体何が....」
「どうなってやがる...」
兵士たちが騒然とする中、風に乗って降りてくる、ドレスを着た女性が現れた。
アグネス「驚きましたか?ごめんあそばせ」
「おぉ!!殿下だ!!」
「何という強さだ...」
「これが列強第一位、アグネス様...」
その錚々たる顔に、兵士たちは喜んだ。中には泣いて喜ぶ者も現れる。
アグネス「まずは貴方よ」
瞬間、土から無数の槍が勢いよく真上に飛び出していった。
ロボットが光線を放とうとしたが、アグネスはプラズマを放ちロボットの腕を破壊する。
アグネス「次は貴方」
ロボットの直ぐそこに移動する。反応が遅れレーザーを放ちロボットの両足を粉砕する。
アグネス「更に貴方」
地面が崩れてロボットの動きを封じる。
アグネス「最後に貴方」
ロボットに重力を発生させ動きを封じる。
アグネス「さて、終わりね」
アグネスが後ろを振り向いた瞬間、一斉にロボットたちがあるだけの兵装を放つ。
「殿下!」
「危険だ、避けろー!」
「離れてください!殿下!」
ロボットたちが攻撃しようとした瞬間、さっき放った土の槍がロボットたちを一気に破壊した。
「殿下ー!」
「流石だ殿下!」
「やったぁー!」
兵士たちは喜びの雄叫びをあげる。これがこの戦争での初めての勝利だった。
だが誰も知らない。この戦争により、化け物が生まれることを。
- 急襲 ( No.69 )
- 日時: 2025/03/30 09:31
- 名前: monmon (ID: Rjl67pny)
今回は短いです
「ーーーと、ということでございます」
サルガス「...下がれ」
「はっ、はっ!」
イギリスの反転攻勢により第6軍集団はかなりの苦戦を強いられている。勿論原因はアグネスだが。
サルガス「アトリア、各戦線の状況は?」
アトリア「はっ、はっ!開戦当初は快進撃でしたが、各国が能力者を動員し攻勢に出ているため、膠着状態が続いております」
サルガスの顔面は真っ赤に染まっている。これには会議に参加している各々が冷や汗をかいている。
サルガス「魔道士もどきが、我が国を侮辱しよって....!」
サルガス、というかアンストロース大魔法帝国は基本的にプライドが天元突破している。その為格下国家に舐められると強烈な報復をする。
サルガス「ただちに国内から徴兵せよ!また各兵器の生産工場を増設、加速せよ!」
「「「「ははっ!」」」」
各要人はすぐに命令された仕事をこなす為に会議室から出ていったが、残る1人、ミルザムは出ていかなかった。
サルガス「どうしたミルザム?」
ミルザム「はっ、父上、作戦について提案があります」
サルガス「提案だと?」
珍しく軍事に興味がないミルザムが軍事について提案をしてきた。
ミルザム「現在神谷悠はイギリス国の首都にて病院で眠っている状況、ここは列強の1人が目覚める前に襲撃します」
サルガス「首都攻撃か」
ミルザム「えぇ、首都攻撃が出来て、尚且つ敵の最高戦力の1人を潰すことができ、敵に打撃を与える事が出来ます」
サルガス「よかろう、皇都親衛隊の中から第一魔導機動連隊、第26魔導師連隊、第31魔導支援連隊を派遣する事を許可する。また転移魔法の使用を許可する」
しれっと首都の防衛部隊の中から軍を引き抜くなど、サルガスとミルザムのこの行動は、後々絶望をする事になってしまうがそれは別のお話。
「上手く転移できたようだな、流石は最高等魔法だな」
「そうだな、行くぞ」
三つの部隊は神谷を殺害すべく進撃を開始する。だが直接首都攻撃するなんて全く想定していない軍司令部は大混乱に陥った。
「敵、恐らく三部隊は三方向からロンドンに向かっています!」
「何だと!?数千人を一気にここに送ることが可能なのか!?」
「早く近衛隊を出動して防衛しろ!ロンドンを死んでも守り切るぞ!」
こうしてイギリスは未曾有の危機に見舞われた。
- 復活 ( No.70 )
- 日時: 2025/05/21 22:35
- 名前: monmon (ID: Jolbfk2/)
「くそ!弾薬がもうない!!」
「ほら、分けてやr……は!?大丈夫か!?くそKIA!KIA!一人」
頭が消し飛んだ仲間の戦死報告を行った直後、この兵士はライフルで撃ったスイカのように爆散して死亡した。
ここはイギリス首都ロンドン、現在アンストロース大魔法帝国の攻撃を突如受けた。市街地の6割は占領されており、神谷が入院しているロンドン・クリニック、バッキンガム宮殿、首相官邸周りはぼろぼろになっている。
苦戦している理由は、能力者が殆ど最前線で出張していることと、常駐軍の数が圧倒的に足りないことだ。
後に国防省職員は語る。
『ありとあらゆる物が足りなかった。そこは地獄だった、84年前のあの最悪の戦争のように、瓦礫と廃墟の悪夢のようだった』
ロンドン近郊、第26魔導士連隊 第6砲撃小隊。
「第一魔道機動連隊から砲撃支援が届きました!」
「方角と座標は?」
「はっ!方角は北北西。座標は317241 ELE60であります」
「そうか。全員、方角北北西、座標317241 ELE60に砲撃を開始しろ!!弾種は風神弾!!」
拡声器で命令を受けた兵士たちは弾に魔力を注入を開始する。方角と角度を調整し、撃つ準備を開始する。兵士が言った方角と座標はロンドン・クリニック。
注入を終え、緑色の水晶のような弾を砲に装填する。全員の装填が完了したと聞き、分隊長が命令を出す。
「砲撃開始!!」
キュイイイイイイイイイイイイン!!!!
砲から緑光が次と、その次と放たれていく。光は弧を描きながら飛翔していく。
ロンドン・クリニック、神谷が眠っている無菌室の外には5人の近衛兵。中にはクリーンウェアを装着している、アグネスの妹、アイラだった。彼女が病院にたどりついたと同時に襲撃は始まった。すぐに病院は包囲され、一時は解放されるも、更に現れた帝国軍に完全包囲され、退路は断たれてしまった。仕方なく、当初の目的であるお見舞いを実施しているところだ。
アイラ「……起きては、くれませんか…」
アイラは悲しそうに、複数の点滴と酸素マスクを装着している神谷を見つめていた。
アイラ「最早、ロンドンが落ちるのも時間の問題、姉が来てくれればあるいは……」
その時、放たれた風神弾が無菌室の窓に当たった。
アイラ「きゃあ!!」
凄まじい爆音と衝撃でアイラは吹き飛ばされそうになったが、踏みとどまって神谷に覆いかぶさる。ただ飛んできたガラスの破片がアイラの頭にかすめ出血してしまう。
アイラ「うう……」
目眩がしつつ辺りを見渡すと、壁に穴が開き日の光が差し込む。
「ぐあ!?」
「が!」
廊下から銃声と断末魔が聞こえて、アイラは恐怖を感じる。扉をこじ開けてきたのは6人の帝国軍兵士だった。
「おっ、女がいるぞ!」
「作戦完了後に本国に持ち帰ってやろうぜ」
「いやいや、まずは俺らでヤるんだよ!」
アイラには言葉が聞き取れなかったが、少なくとも察せることは分かった。嫌悪感と恐怖で吐き気を感じる。
??「待て待て、まずは私が話します」
不満そうな顔をしつつアイラに近づく男に敬礼をする。彼はアイラに英語で話し始めた。
??「やあこんにちは、私は第26魔導士連隊隊長、ムジカ・ラーン。この国の王族と聞きましたよ、ご機嫌よう」
アイラ「……それが一体何ですか」
ムジカ「いやいや、折角なので私たちと一緒に楽しいことをしませんか?」
アイラ「敵に弄ばれるくらいなら」
ムジカ「はっはっはっ、随分元気ですね」
パアン
何者かがムジカに向けてL96A1で銃撃する。だがムジカは倒れるどころか、弾をキャッチしていた。
ムジカ「全く誰ですか、危ないでしょう」
ムジカは撃たれた方向に弾を投げ飛ばす。1Km先にいる英軍狙撃兵は驚愕する間もなく、投げ飛ばされた弾丸によって頭が消滅した。
ムジカ「……さて、敵もいなくなったことですし」
アイラ「やっ、やめて!」
アイラは神谷に覆いかぶさるがムジカに引き剝がされてしまう。
ムジカ「諦めなさい」
アイラ「嫌だ!私は」
ムジカはアイラの体に手で触れようとする。なすすべのなくなったその時だった。
ムジカが掴んでいるアイラが突然消えた。
ムジカ「??」
彼が困惑して辺りを見渡すと、彼についてきた兵士が壁のそばで倒れていた。しかも頭から血を出してだ。
ムジカ「何が起きt」
彼は突然吹き飛ばされ、近くのビルに激突した。
アイラ「………貴方は」
??「悪かったな、寝ててしまって」
アイラ「…ぁ……」
アイラから思わず涙がこぼれ出る。涙は止まらなかった。
??「大丈夫か?」
アイラ「私を助けてくれて、ありがとう……”神谷”さん……」
目覚めた神谷は、彼女にとっては紳士どころか、ヒーローに見えただろう。
皆さんこんにちはmonmonです。この話を投稿後、作中で出てきた座標が、誰かの電話番号と分かり変更いたしました。大変申し訳ございません。
因みに新たに修正した座標はBF1キャンペーンの、タウンゼントの戦車に向けて重砲を撃った時の座標です
- 英国王室からの頼み ( No.71 )
- 日時: 2025/05/18 16:06
- 名前: monmon (ID: Jolbfk2/)
神谷「……なるほどな」
アイラ「はい……」
目覚めた神谷に、アイラは現在のロンドンの状況を話した。現在も病院は包囲されている。バンバン狙撃されまくっているが、神谷は余裕で弾丸をキャッチしながら聞いていた。勿論アイラは驚いた。
神谷「分かった。じゃあ、俺も戦うよ」
アイラ「いいのですか!?ありがとうございます!」
神谷「あと……着替えたいんだが服はどこにあるかるか?」
ということで神谷の参戦が決まった。アイラが見ていないところですぐに着替えてナイフも装備した。
神谷「さて、アイラ、おんぶすr」
また風神弾が飛んできたが、神谷は既に赤眼を発動しているため蹴り飛ばした。尚、
「うわあああああ!!!」
「風神弾!?何でここに飛んできた!?」
風神弾はしっかり、敵砲陣地に飛んで行った。尚これで第6砲撃小隊の分隊長は戦死した。
アイラをおんぶしながら、ビルとビルを飛んでロンドンを駆け巡る。だが下を見ると英軍は帝国軍によって蹂躙されている。
アイラ「………」
アイラはなすすべもなく殺されていく国民、その光景に目をつぶってしまう。思わず神谷の首を掴まる力は強くなった。
アイラ「あっ…すみません」
神谷「大丈夫だ、しっかり掴まってろよ」
そう言った直後、神谷はすぐに下に降りた。下は帝国軍で戦闘中あり、かなりの劣勢だった。
「がっ!」
「誰だ!?」
降り立った瞬間、一振りで3人を切り殺した。
「これでもくらえ!」
精鋭帝国軍は神谷の登場に狼狽えるが、すぐに小銃を向ける。流石は全世界と戦争している国家の軍人だが、列強には通用しない。
神谷「遅えよ」
360度全てにナイフの斬撃を浴びせる。周りの軍人はすぐに倒れた。ロボもすぐに反撃しようとしたが、神谷が通り過ぎると爆散した。
僅か1分弱でここにいた帝国軍は壊滅した。戦っていた英軍は歓喜の声を上げたが、神谷はすぐにその場から消え去った。
アイラ「す、すごいですね……」
神谷「まあな」
と、話しているうちにバッキンガム宮殿にたどり着いた。ホームガードも参戦しているため、包囲されてるがある程度は善戦していた。
神谷は包囲網を簡単にすり抜け、宮殿の扉の目の前にたどり着いた。バンバン銃撃されているが、ナイフだけでさばきながら中に入っていく。
「誰だ!って神谷悠!?それに殿下まで!!」
神谷「こいつが俺を守ってくれてな。そのおかげで助け出すことができた」
「わ、分かりました。では案内しますのでついてきてください」
兵士にそう言われついていく。歩いていると宮殿で働いていた職員や政府関係者から注目を集める。
神谷「今更だが頭は大丈夫か?」
アイラ「はい、貴方が着替えている間、スカートを破って包帯代わりにしました」
おもむろにスカートを見ると、確かに破っている跡が見えた。
神谷「あー…、悪かったな」
アイラ「大丈夫ですよ。貴方が目覚めただけでも幸運です」
アイラと話していると、豪華な装飾の扉の前についた。兵士はノックをして扉を開けると、老人や幼い少年少女、青年が20人いた。
彼らはイギリス王室。およそ1000年もの歴史、ブリテン島に君臨し続ける王の末裔たちだ。
アイラ「お母さま……お父様」
??「アイラ!?無事でよかった…大丈夫?」
??「大丈夫かアイラ!」
アイラがお母さま、お父様と呼んだ者は、アメリア夫人とジョージ3世。現英国のトップだ。
アメリア「貴方が神谷悠?」
神谷「ああ、娘さんしっかり無事……ではないな、傷をつけさせて悪かった」
アメリア「いいえとんでもない、アイラを助けてくれてありがとう」
ジョージ「神谷悠、君に多大なる感謝を」
その他、他の王室メンバーは神谷に感謝を伝える。すると案内してくれた兵士が気まずそうに割って入った。
「申し訳ございません、殿下は治療を受けてもらいますが、問題ないですね?」
アメリア「ええそうでしたね、ほらアイラ、傷を治しなさい」
すると軍医数名がアイラを担架に乗せて連れて行った。残された神谷は立ち去ろうとしたがジョージに止められた。
ジョージ「本来なら国王である私が戦わないといけないだろうが、私にはアグネスのように戦う力がない。君のような若者にこんなことを言うのは躊躇いがあるが…」
神谷「分かっている、俺もこの国が好きだ。あんた等が守ってきたこの国を、今度は俺が守ってやる」
ジョージ「君に神のご加護を」