ダーク・ファンタジー小説
- Re: やよいの過去屋 ( No.7 )
- 日時: 2025/01/19 08:09
- 名前: とーりょ (ID: Fjgqd/RD)
これからあたし達が行く交番には、この前 依頼を受けた『山田』さんがいる。
あたしは昔、よく迷子になり毎回その交番に行っていたので交番までの道のりは把握していた。
「…ずっと花倉に聞きたいことがあった。」
えぇ?今?今そんな深刻な話する??
いきなりノアールが喋り出したので、お互い立ち止まってしまった。
ノアールは黒い目を光らせ、じっとやよいを見ていた。
「なんで、花倉は微妙な大阪弁っぽい喋り方なんだ…?」
「…え??そんな事なん?」
あたしはてっきり、『あの事』を聞かれたのかと思った。
…いや、ノアールには『あの事』をまだ言ってないし、知られてはない。大丈夫だ。
「…お前にとっては『そんな事』かもしれないが、あまりにも不自然すぎる。
お前は産まれも育ちも石川県、両親だって石川県生まれだ。昨日も今日も、家族の中で
お前みたいな特殊な喋り方をする奴はいなかった。なぜ、お前だけ…?」
…確かにそうだった。いつかはノアールにはバレてしまうかもしれない…。
ノアールは鋭い…鋭すぎる。
それをあたしは笑いながらごまかした。
「…うーん、なんでやろうなぁ!あたしも分からんわぁ!!ははは…」
あたしはノアールに遊ばれている気がして、あたしからもノアールに質問した。
「…ほな、あたしからも質問しせてもらう。
どうやってお客さんから過去を消すつもりなん…?」
これは本当に気になっていた。あたしにそんな力はない。
過去が見られたのもマグレだ。
「んなの、できるわけねぇーだろ。
…花倉はただ過去を見れるだけでもすごい優秀なんだ。」
「うん!それは知ってる!!」
あたしは、ニカーっと笑った。
「だから、見えた過去についてお客に話す…
そうすればお客は花倉を信用するだろうから、そこで過去を消さない方向にお前が話を進めればいい。」
…あれ?これって……詐欺!?
「…ほないけど、契約書の『過去、取り消しますか?』はどうなん?これや詐欺やで?!」
あたしは冷汗をかいていた。
「なに言ってんだ、それはただ『過去、取り消しますか?』って聞いてるだけだよ。
…大丈夫、俺だって努力しておくから。」
その言葉に、あたしは少し信用してしまった。