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ダーク・ファンタジー小説
- Re: 死ぬ前にすべきこと。 ( No.1 )
- 日時: 2012/09/16 17:33
- 名前: 朱雀 (ID: P/sxtNFs)
- 参照: 一日目
校内は静かだった。
私は俯きながら、ただただ教室を目指す。
「また来てる、あいつ」
「うっそぉー、マジここまで来るとキモいんですけど」
「うわ、ゴキブリがこっち向いたぁー!!」
くすくす笑う声に私は、ふらりと眩暈が来た。
あ、あ。
また、まただ・・・気にするな、私しかここにはいない、いない、いない。
いつものようにかける暗示はもう、効き目がなくなってしまった。
アイツらの声は私の体に直接、刺してくるんだ。
とがった先端を私に見せつけながら、狂気に染まった声で何度も何度も。私を刺してくる、殺そうとしてくる。
もう、逃げることも隠れることもできない。
私は素肌をさらしたまま、その声、その視線で抉られ続ける。
生きたまま、私は死んでいた。
・・・ああ、それは昨日までの話か。
生きたまま、嬲り殺され続ける私はもうどこかへ行ってしまったんだ。
肩に下げた手提げが2キロほどあるにも関わらず、軽い。そう思うと自然と周りが冷静に見えてくる。そう、アイツらの薄い面をはがせば出てくるのは、誰かがいなければなにも出来ないただのゴミ屑にも等しいじゃないか。
恐れることなんて、何にもなかった。
くすくす馬鹿の一つ覚えのように笑い続けるそいつらを見て、何だか可哀想に思えてきてしまった。哀れなやつら。可哀想に。私を無視したり、殴ったり、隠したり、破ったり、あざ笑わなかったら、こんなことにはならなかったろうに。
これは、罪だ。罪はきちんと償わなきゃって親に教えてもらってでしょう?そう、償わなきゃ。私が払った代価と同じ価値のものを。
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