ダーク・ファンタジー小説
- Re: 死ぬ前にすべきこと。 ( No.19 )
- 日時: 2012/09/13 20:47
- 名前: 朱雀 (ID: P/sxtNFs)
- 参照: ゆびきった。 (企画短編小説)
きみは、やっぱりしぃが他人と関わるのが大嫌いだった。
ころころと、ところどころが傷で汚れた青いボールが脚にあたったのを眺めながら視界がぼやけて見えなくなっちゃう。
しぃは縛られたくない。
もっともっとお友達を作りたいのに、きみのせいでしぃは全然お友達ができなくなっちゃったんだ。
いつもいつもね、しぃがボールをもって公園にいくとね、みんなしぃからぱぁー!って離れていっちゃうの。
最初はね、しぃを鬼ごっこに混ぜてくれたんだって嬉しかったの。
だからね、しぃは大切なボールを置いてみんなを追いかけたんだよ。
・・・けどね、みんなしぃがおばけなんだって思ってるの。・・・・・・みんなしぃのこと、キライになっちゃったの、そのたびにね、たくさんたくさんぽろぽろお目目からね、雨が流れてくるの。
そうしていると、いつもきみはしぃの目をハンカチで拭いてくれたんだ。
「しぃね、さいきんずうっと雨がやまないの」
怒っちゃったのかなぁ、きみは下をむいてなんにも言わなかった。
「しぃにはね、ぼくいがいお友達はいらないんだよ」
「どうして?しぃはたくさんたくさんお友達が欲しいよ」
「それはね、ぼくいがいの子はしぃのことたくさん傷つけていくからだよ」
きず?しぃは何のことかわからないよ。しぃはいつも転ぶけど、みんなにいじわるなこと、されたことないよ?
「しぃ、わかんない」
「うん、でもね。やくそくして?」
「ゆびきりげんまん?」
「うん。うそついちゃだめだよ、はりせんぼんのまなきゃいけなくなっちゃうもん」
「しぃ、はりお口にいれたくないよ」
「だからね、ぼくとのおやくそくやぶらなかったら、のまなくていいの。しぃ、ぼくだけが友達だよ。ほかのことしゃべっちゃいやだよ」
きみのいうことはいつも正しいもんね。しぃ、おやくそくする。きみのこゆびとこゆびをからめてうそついたらはりせんぼんのーます、ゆびきった。
あ、もうお空があかくなってきた。帰らなきゃ。しぃはきみにてをふってまたねっていう。きみもにっこりわらってまたねっていってくれた。
しぃはきみとボール遊びするの、あしたできるかなってわくわくしてたの。
なかよしのお友達だよね。
なのに、なのに——きみはしぃをお手手でぶったんだ。
「ねえ、しぃ!どうしてぼくいがいとはなすの!やくそくしたよね!っしたよね!」
「なにをおこってるの・・・?しぃわかんないよ」
ボールが、大切にしてたボールがおちちゃった。
拾わないと・・・・・・・ねえ、足がじゃまして取れないよ。どうしてそんないじわるなことするの。
「しぃ、もう遊んであげないよ」
え?しぃは君の顔をみた。その顔をみて、しぃのてにたくさんたくさん雫が落ちてきた。
「どうして・・・?しぃともう遊んでくれないの・・・?」
「しぃ、だってやくそく守らないもん。そんなこぼくもう遊びたくないよ」
「や、やだ、やだよぉおおおおぉぉ!しぃのおともだちでいてよ、やだやだやだやだやだやだやだ」
「しぃ」
きみがいつもみたいにたくさん雨でぬれたお目目をふいてくれた。
「しぃ、もうぼくいがいのことしゃべらない?」
「う、ぅ、ん、やくそく、するっ」
「しぃ、そのボールもすててくれる?」
・・・・・・え?
「な、なんで・・・?しぃ、大切なの、このボールはとくべつなの」
しぃがそういうと、きみは鬼みたいに顔をまっかにしてまたしぃのほほを叩いた。
「しぃのとくべつはぼくだけでいいの!ぼくしかいらないの!」
しぃね、またね、きみにともだちじゃないっていわれると胸がちくちくしてとってもいたいの。お鼻のおくがじぃーんってなってまたお目目から雨がおちてくるの。
いたいのはいやだよ、うれしいのがいいよ・・・。
しぃね、ほんとはすごくすごくかなしかったけどね、胸いたくていたくてしかたなかったけどね、しぃボールをゴミ箱にすてちゃったの。
きみはとてもまんぞくそうににっこりわらってたけど、しぃとってもいたかったの。いたくていたくて、でもでも・・・おともだちがほしかったの。
ボールをくれたたいせつなおともだちをすてて、しぃはきみとおともだちになるしか、おともだちを作る方法をしらなくて。
だからね、しぃはきみとおともだちになれるってしんじてた。
しんじてたのに——・・・・・・