ダーク・ファンタジー小説
- Re: 死ぬ前にすべきこと。 変わり身編 ( No.30 )
- 日時: 2012/09/17 19:35
- 名前: 朱雀 (ID: P/sxtNFs)
- 参照: 変わり身 SIDE 澤田
私は、もうだめだった。
彼女の狂気にさらされて、もう、生きれないんだと。もう、死ぬしかないんだと。
なんでだろう、どうしてだろう、なんで、なんで、こんなことになったの……?
私はただ、ハル君が好きで。なのに、ハル君はいつもいつもアイツの隣で笑ってる、とっても幸せそうで。なんで……?どうしてアイツなんかが、私のどこが劣るの?まさか、そんなはずない、あるわけない、私の方が運動だって、勉強だって、おしゃれだって、すべてにおいて私の方が優勢なのに。なのに、どうして?どうして、私じゃだめなの?
ハル君、そいつを見て幸せそうに笑わないで。
ハル君、ハル君、ハル君、ハル君、ハル君、ハル君、ハル君、ハル君、ハル君、ハル君、ハル君、ハル君は私の呼び声には目もくれない、見てもくれない、なのになのに、なのに、なのになのにどうしてアイツは!アイツには振り向くの?!あんな奴に!どうして!
最初は、警告だけのはずだった。
なのに、私は狂ってしまった。叫ぶ声が、泣く顔が、許してと懇願する体を見るたび、快感に震えて。狂気に犯されて。
今まで覚えていた憎しみを返すように彼女を殴り、笑い、潰し、隠し、破り、折り、裏切った。楽しくて、楽しくて、楽しくて、殴るたび懇願する顔が快感で。ああ、こいつは奴隷なの。私はこいつのご主人様。だから何をしてもかまわない、こいつは黙って殴られればいい。
——これは、罰だった。罪だった。
——私は知らなかった、知りもしなかった。殴られ続け、許しを請う顔の奥で、いつもいつも私のことを書き綴り、写真に収め、耐え続けたことを。
許されないのだけは、もう知っていた。
分かっていた。理解していた。
死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない、死にたくない!
——じゃあ、どうするの。
え?
——このまま、堕ちていく?
……それは、……。
——どうせ、殺される。無残な死に方で。逃げられないよ、だって私は逃がさなかった。許させるわけないよ。
……じゃあ、じゃあどうすればいいの!!
私は、どうすればいい?!家にひきこもってればいい?!無駄だよ、アイツはどんな手を使ってでも私を殺してくる。心を引き裂いて笑い続ける!!
——死ねば、いいんだよ。
え?
——殺されてしまう前に、死ねばいいの。だってそうでしょ?無残な殺され方するぐらいなら、自分で死んだ方が……マシでしょう?
手が震える。
息が上がって、空気が喉を通らない。
背中から汗が噴き出てくる。
ふらふらおぼつかない足取りで、家の廊下を歩く。なんども壁に当たっても気にしなかった。
部屋は暗かった。自分はまるで死神にでも囲まれてしまったような感覚に陥る。台所に向かうと、母の姿はない。きっと、仕事だろう。
この期に至って、私はまだ明日学校に行けば藤木や前田がいて。バカみたいな話で盛り上がって。
ハル君がちょっとだけむすっとした顔でいるから私が、おはようって挨拶するの。その声は上ずってて私、恥ずかしくて下を向いたまま教室に入ろうとすると、後ろから小っちゃい声でおはようって返ってくるの。
そんな、私の幸せな日常。
「……あははははははは……」
乾かしていた食器と一緒に並ぶ、それを手に取る。
不気味に青白く光った先端が、私を映す。
もう、終わりにしよう。全部。
ぴろりろん、ぴろりろん♪
藤木と同じにした着メロが静かに、静かに流れ出す。
ポケットから携帯を出すと、アイツの名前がモニタに出されている。
一斉送信。
[夜10時から]
学校に集合してください。
私が生きる時間はあと……何時間?