ダーク・ファンタジー小説

Re: ■些細な嘘から始まった■ ( No.4 )
日時: 2012/10/10 21:44
名前: 碧 (ID: Uxa2Epx7)

第二話【つまらない日常の狂い】
葵は、
「世間のせいで、母さんは……」
なんて、物事を悲観的に見て悲しみに浸りながら、下校していた。
白虎橋を通り抜けると、その先が家である。
「なんか、面白い事かないかな」
そんな事をぼんやりと考え、橋の手前の路地まで来た時だ。
「ボチャン……」
大きな魚が跳ねたかのような音がした。
あぁ、魚が跳ねたのか。と行きたいが、この川に魚は居ない。居たとしても、めだかぐらいであろう。とにかく、川がこんな音をたてるはずがないのだ。
葵はあいにく面白い事を求めていた事もあり、不思議にも思いながら、白虎橋の方まで走った。

Re: ■些細な嘘から始まった■ ( No.5 )
日時: 2012/12/25 13:01
名前: 碧 (ID: tRamSAT8)

「…………!?」
白虎橋に着き、葵は言葉を失った。
そこには……人気女優の如月 霞が沈んでいたのである。
岩につっかえているので、よく見えた。でも、角度によっては見えなかった。
葵は、嫌いだった。世間に寄り添い、いつも笑ってる霞が。
その恨みに恨んだ人気女優が、今 ここに沈んでいるのだ。
「面白いな」
そう思った時だ。
「ドンッ!」
葵の肩に誰かがぶつかった。
誰かは、謝りもせず、無視して歩いて行った。
私は、謝らない相手にムカついたから、相手に向かって舌打ちしてやった。
ッチ!
「あの後ろ姿は、俳優の一斗…?」
舌打ちした後に葵は、呟いた。
やはり、世間は冷たいモノだ。
あんなにテレビで人に気を使っている優しい一斗でも、プライベートでは、謝りもしないのだ。
私は、民間人だ!……とつまらない事を心で怒鳴った。

Re: ■些細な嘘から始まった■ ( No.6 )
日時: 2012/12/13 18:23
名前: 碧 (ID: Cb0oSIti)

「さて、どうしようか」
葵は、霞を見ながら言う。
とりあえず、引き上げる事にした。
岩に引っかかっていたこともあり、引き上げることは出来そうだ。
周りの目を確認する。大丈夫、誰も居ない。人気のない橋で良かった。
そして、引きずるように岸辺に引っ張る。
重い。筋肉が完全に起動していない時は、正常な時よりも重くなる。それに加え、水の重さもあった。
葵は、霞を陸に置くと、じっくり考えた。
ーーーー警察に届けようか……
葵は、ふと水面に映った自分の顔を見た。
その顔は、霞とそっくりだった。
違うところといえば、口元にある小さなホクロくらいだ。
まるで、姉妹のようである。
何故今までこんなに面白い事に気づかなかったのであろう。
葵の頭を一つの考えがよぎった。
ーーーー霞に成りすまし、世間に復讐だ。
葵は、走り出した。
葵にとっては面白い計画だった。だが、それが葵の運命を黒く、尚更醜くする計画だったーーーー

《第二話 END》