ダーク・ファンタジー小説

Re: ラストシャンバラ〔B〕 最後の楽園 8/14 更新 ( No.44 )
日時: 2013/09/07 17:39
名前: 風死  ◆Z1iQc90X/A (ID: 68i0zNNK)

 ラストシャンバラ〔B〕 ——最後の楽園—— 第1章 楽園への鍵
 第2話「ゾディアーク・ディ・プリンセスナンバーズフイブルズ(ゾディアーク序列女性5位)」 Part1

 「ミッションコンプリーットオォォゥッ!」

 あぁ、やっぱり宇宙船の中は落ち着くなぁ。
 やっぱり私は地面より宇宙(そら)の上にいる方が落ち着くらしい。
 それにしても今は本当に最高の気分だ。
 人型ノヴァの拾得にゾディアーク任命、そしてアッサーマン氏の息子に接触。
 何て有意義。

 間違いなく私の人生にとって大きな転機だろう。
 これからの冒険を紙が祝福しているようだよ。
 溜飲(りゅういん)に浸っている私に、軽い口調でハルが話しかけてくる。

 「おっ、何かスゲェテンションたけぇっすねクリミア姉さんっ!? ツーか、その氷漬けになってる美少女はなんっすかっ?」
 「あぁ、これか? 驚くなよ。ノヴァだ」

 何というか待っている者がいる場所というのはやはり良いよな。
 予想通り氷漬けのノヴァについて突っ込んでくるあたりは、本当にハルは分かっているよ。
 案の定、有りの侭(まま)を口にしても呆けてくれる。
 
 そりゃぁ、そうだよな。
 私も驚いた。
 何せ基本的にノヴァは鉱石の姿を取っているのだから。
 案外ハルは筋道の通らないことは納得できないタイプだ。
 頭が固いと言えば良いのか。
 当然のように聞き返してくる。
 
 「はっ? ワンモアプリーズ?」
 「だからこれが今回のノヴァだと主は言っているだろう? 自分のご主人様が言うことを信じられないのかハル?」

 しかしそれと同時に私の後ろから低く冷たい声が響く。
 相変わらず感情の乏しい顔立ちがだが、明らかにアルテミスは怒っている。
 正直見えない冷気が立ち込めている気がして、私も震えるのだがそんなに私が好きならそう殺気立てないで欲しい。

 「あっ、その冷たい眼差しと氷のような喋り方良い! もっかい言っグフっ!?」

 しかしハルには通用しないようだ。
 まぁ奴は女の前ではサディストにもマゾフィストにもなれる変態だから仕方ないな。
 そしてアルテミスに力を行使されるのもいつものこと。

 「死ぬのは好きか?」
 「俺っ、人間なんで……一度しかっ死ねませんっ」

 とりあえず2人の間抜けなやり取りは無視し、私は操舵室(そうだしつ)に備え付けられている冷蔵庫から缶ビールを取る。

 そして派手な音を立てて、自席の横に備え付けられたテーブルにビールを置く。
 多分開けるとき滅茶苦茶泡吹くな。
 まぁ、そんなのはどうでも良い。

 さぁ、ゾディアーク協議会までは飛ばしても結構時間が掛かるし、ど派手に乱交パーティだ野郎共。
 あぁ、嘘。
 普通の飲み会をしよう皆。

 「さてと、今日はめでたいことが3つもあってな。こんな時はパァーっと盛り上がりたいものだ」
 「つまり派手に騒げってことですか?」

 わざわざ聞く必要も無いのにジギンドが改めて聞き返す。
 私は間髪居れずに。

 「そういうことだ! 冷蔵庫にある酒と食い物全部食っちまえっ!」

 

 End

 
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