ダーク・ファンタジー小説

Re: ラストシャンバラ〔B〕 最後の楽園 9/7 更新 ( No.48 )
日時: 2013/11/24 12:41
名前: 風死  ◆Z1iQc90X/A (ID: 68i0zNNK)

 ラストシャンバラ〔B〕 ——最後の楽園—— 第1章 楽園への鍵
 第2話「ゾディアーク・ディ・プリンセスナンバーズフイブルズ(ゾディアーク序列女性5位)」 Part2

 「ぬーげぬーげ! クリミア姉さんの体のエロさは世界一ぃっ! ぶげらっ!?」
 「黙れこのエロガキッ!」

 すっかり酔って自制の利かないハルの拍手喝采を鉄拳制裁で打ち止めにした瞬間だった。
 甘ったるい少女のような声が飛び込んでくる。
 
 「呼んだぁ?」
 「そこで一々反応するなババァっ」
 「ババァって失礼だなぁ。クロノス姉さんまだまだお姉さんですよぉ」

 ほんの3時間程度前アルテミスに脳天を派手に割られて、気絶して自室まで運ばれていた馬鹿だ。
 ローティーンにしか見えないガキそのものな容姿だが、実は彼女の種族は人間でいう若造り揃いで。
 クロノスは実際私より数段年上だ。
 だが年下としてこいつを敬うつもりは欠片もない。
 なにせ入ってきたと思ったら、すぐに涎流して霜降り肉にがっつくようなデリカシーのなさの持ち主だしな。

 「おーぃ、ダンナァ。ジギンドの旦那ぁ。白目むいて大丈夫っすかぁ?」
 「いっ1番良いのを頼む」
 「もー、駄目みたいですわね?」
 「しかし、クリミアよ。そううかうかしてもいられないのではないか? ゾディアークへの加入権は得たが、欠員が出たわけではない。これは抜けるべき序列の相手を倒さねばならないということでは?」

 旦那の酒が弱いのは今に始まったことじゃないのでどうでも良いとして、オデッサの言うことは確かに懸念事項だ。
 すっかり忘れていたことで少し酔いがさめる。
 確かに空席ができたから加盟できるとはハルから聞いていない。
 やれやれと私は肩をすくめた。

 「あー、そういやぁ、そっすねぇ! 結構ヤバくないっすか姉さん!?」

 わざわざ聞いてくるハルに私は鬱陶しそうに思ったことを伝える。

 「倒す相手にもよるんじゃないか? 例えば序列女性11位(プリンセスナンバーズ・イナレブス)あたりなら結構楽に勝てそうだ」
 「その件ならクロノスさんがさっき聞いたよぉ?」

 どうやら乱痴気騒(らんちきさわ)ぎしている間に、またアッサーマン氏から通達があったらしい。
 ハルも気づかなかったので、違う回線から通電しそれをクロノスがとったというところか。
 そしてクロノスの口ぶりからするに、11位なんて下位の相手ではないようだ。 

 「で、誰ですの?」

 怪訝そうに眉根をひそめカロリーナがクロノスに問う。 

 「第5位の人だって」
 
 それを聞いて、いよいよ完全に酔いがさめる私。
 周りも当然ながらどよめいているようだ——
 
  

 End

 
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