ダーク・ファンタジー小説

Re: 白黒物語—モノクロストーリー— ( No.11 )
日時: 2012/11/18 19:50
名前: 名純有都 (ID: SfeMjSqR)

参照の数が……!!
ありがとうございます!感動しました!
よし、定期テストで落ち込んでもいられませんね。頑張ろう。

例によって続きです。


 イギリス、オックスフォード。だだっぴろい草原と畑が視界いっぱいに広がり、酪農家の家が点々と立ち並ぶ。
 今日は、珍しく雨が降っていなかった。
「困ったことになりました…」
 雨が降っている時の憂鬱な気分にかられながら、アルフィス・ハイレンは手紙をちらと見た。妹の、ヘイリア・ハイレンからの文だ。

「まったく、せっかく田舎暮らしに慣れてきた僕を、またヴァロックに召集とは……」

 一日足らずで送られてきた報告書。黒の断罪(ノワール・ギルティ)の代理人として、報告書の差出人は妹のものになっていた。きっと、今上司と口げんかをしながら黒の断罪……エージィのほっぽった仕事をこなしているのだろう。
「ヘイリアは、この催促の宛名が僕だと気付いていなかったのか?」
 だとしたらよっぽど余裕がないか、気付いていたら彼女は鬼畜である。というより、今までのアルフィスの反撃を経験していればそんなことはしないはずだが。

「薄情だなぁ、トラキアも。追い遣ったのは、あいつ自身なのにねぇ」

 独り言を聞いているのは雨だけだ。いくら不満を言っても聞いてくれる人がいないのも、アルフィスが田舎の苦手な理由のひとつである。

「僕はひとり遊びが得意じゃないけど、やっぱ独りの空間は落ち着くし、なんか受けるも受けないも、メリットデメリットがデカイしな…」

アルフィスはひとしきり考え込んで、ぽんと手を打った。


「そーだ、白き悪魔(ブラン・ディアブロ)が死ねば全部終わる話じゃんかぁ!」


 その言葉を聞いたら、きっとエージィは「それができねぇから困ってんだろうがァ!」とでも言うだろうが、つっこむ者がいない今、アルフィスは暴走機関車である。
 にやり、と口の端が持ち上げられた。

「そう決まれば、やっぱり僕がヴァロックに赴くしかないよねぇ……」






『———白と、黒ならどっちの色が強いと思うかい?』


『この世で一番強いのは、何色にも染まりうる白だ』


『もしくは、全てその色の中に取り込む黒か』



いや、違う。全てを凌駕する、この世の色は———————————。


第一話  完