ダーク・ファンタジー小説

Re: 白黒物語—モノクロストーリー— ( No.18 )
日時: 2012/11/26 18:43
名前: 名純有都 (ID: SfeMjSqR)

 続きです。バトル描写に嫌われてんのかな私……。


 しばらく、沈黙が続く。ヘイリアは眼を見開いてリョウと男を見ていた。驚くほどに速かった。

 鳩尾に、一点に力を注いだ一撃。効いただろう。


 息をすることと動くことを忘れていたように、男は咳き込んだ。それはかすれた息だった。
 
次の刹那、男は膝からくずおれるようにして気絶した。

 安堵によって、リョウははあっと息をつく。
 ヘイリアは無防備にへたり込み、目を閉じる。極度の緊張状態に置かれたせいもあった。

「ヘイリア、ロープ。荷造り用のやつ、丁度そのへんにあるだろ」

「了解。ほら、これでしょう」

「さんきゅ」

 リョウのロープワークは多彩であった。その巧みな縛りは、うっ血もせずだがきつく結ばれている。


「……先輩、こいつ精神異常者ですか?」

「いや————恐らく、ホントに憶測だが、


                 模倣犯(もほうはん)だろう」


 ヘイリアはさして驚いた様子を見せなかった。おおかた、予想はついていたらしい。
 この手段の選ばなさ、見つかったら殺し、もしくは見つからなくても殺すつもりであっただろう。音に気付いてよかった。改めてほっとする。



「模倣犯。じゃあ、それはつまり白き悪魔(ブラン・ディアブロ)のということに…」

「なるな。もし俺がいなくてお前だけだったら頭蓋骨砕かれたたかもしれないぞ、感謝しろ」

「命令形ですか…。でも、助かりましたよ。一応お礼は言います。ありがとう」


照れ隠しになっていないが、まあまあ可愛い。


「しかし…」と話をさえぎるようにヘイリアは切り出した。

「殺人衝動に思えなくもないですよね。白き悪魔も、この男も。


———————あああっ!!!」




「……なんだヘイリアうるさいな!」


「エージィさんに、なんて言い訳しましょう………」

「……………思いだした」


 そして二人は暇だったはずの数日を慌ただしく過ごすことになる。
「ヴァロック・シティ」の家具屋には、デザインをしっかりと記載されたリクエスト用紙とともに、ドアの注文が入ったという。